13 / 36
12 農民の調査
しおりを挟む
屋敷に帰ったエリーシアは湯浴み後に食事をし、指示をしてから床に入った。
「マリアナ様。御嬢様の御命令は何だったのですか?」
「ここ数十年の農民の数の増減と、豊作不作の情報。加えて税収の変化を地域別に調べて報告せよとの事ですよライル殿」
専門外だということで、ファイアットに出し抜かれて外出に同行できなかったライルが、マリアナに詰め寄っていた。
「恐らくは、あの少女の言葉の裏付けをとろうとしておられるのだろう」
「少女?裏付け?何の事だ?今日は奴隷商への見学に行かれたのだろう?」
同行したファイアットがエリーシアの行動と命令から予想を話す。
「ああ。奴隷商で野盗に拐われて奴隷になったと言う少女が居たのだ。もし、農民の女が拐われれば配偶者が減って長期的には農民が減る。農民が減れば耕地面積があっても働き手が居ないので収穫量が減る。そうなれば税収に変化が出ると言うわけだよライル」
「ファイアット、もしソレが本当なら一大事じゃないか?」
「左様でございますよ。御嬢様の指示はそう言う事でございましょう。ところでファイアット殿は商人の情報にも詳しいと聞いていますが、もし可能ならば金や農産物の流通や噂なども調べてみるのはいかがでしょうか?結果次第では嬢様にも喜んでいただけるとおもいますが?」
人口の変化は数十年単位でしか分からないし、帳面上の数字だけでは分からない事もある。
しかし、商人の情報ならば長期的なものや短期的な物、隠蔽されたものまで見つかるかも知れない。
「分かりました、流石はマリアナ様です。俺の伝を当たってみます」
「(ファイアットだけに良い働きをさせる訳にはいかぬ)帳簿関係と疫病などの情報は私が調べよう。ファイアットは商人の方に専念してくれ。その方が早く御報告ができるだろう」
特に【疫病】関係は言われてないが、これも人口の増減に関係するので、排除要素として考慮すべきだろう。
「そうだな。助かるよライル」
張り切るファイアットに、ライルは分業を申し出る。
特に手柄を独り占めしたい訳ではないファイアットは、その提案を受け入れた。
『調べる』と言っても、下位の者や下僕にさせるのが貴族と言うものだが。
『我々は急ぎ農村を回り、人拐いの信憑性を確かめる』
『了解』
【影】達も独自に動き出したようだ。
◆◆◆◆◆
調査と精査には半月を要した。
現代日本的には遅く感じるが、交通機関などが未発達の世界では、領内を手分けして情報収集するのも年単位の行動となる。
「御嬢様のお勉強の為にと農村の現状を調べましたところ、バルド・ノウル配下の領地で農民の人口減少は、確実に起きています。あまり変化が見れないのはバルド直轄地とクシャラ領など、少数でございます」
エリーシアの為にと言えば、かなり自由な行動が許されるし、実際に彼女の要望でもあったのだから。
「比例して収穫量も減っておりますが、ここ十年程はリゼート様が融通してくれているので飢餓には陥っていないとの事です」
「ソライト(・リゼート)も人徳者よのう」
リゼート領は、バルド・ノウル配下の中でも大きな領地と食料生産量を誇っている。
食事の後のお茶の時間に、ライルとファイアットが主人であるフェラルドに調査結果を報告した。
その場にはエリーシアも居るのだが、特に彼女の指示とは明かさない様にと事前に報告した時に指示されている。
「その人口減少ですが、農民の娘が人拐いに連れ去られて居るのが、少なからず関係している様です。比例して女奴隷の増加も確認されている様ですが、詳細は調べきれませんでした」
産み手が減れば、農民が減り、結果的に収穫量がへる。
それは財政の悪化を意味する。
この、侍従長ダニエルの報告は、ファイアットの商人情報も加味したものだ。
「調べきれないと言う事は、少なからず【貴族】が関わっていると言う事か?」
「恐らくは・・・」
侍従長の追加報告に、フェラルドは眉をひそめる。
「怪しいのは分家とクシャラと言う訳か?」
「当家直轄は警備が厳しいですし、クシャラは地方すぎるので掛かる移動や食料などの効率が悪いのだと思われます。検問の様子から、他のバルドや異国の干渉とは思えません」
ファイアットが商売目線で進言した。
「つまりは、誘拐をしている奴等は後ろ楯の領内でもソコソコ仕事をして、カモフラージュしている訳だな?」
「恐らくは、後ろ楯の許可を得ての事でしょうが」
「各領にまたがっているために、地方領主では取り逃がしているのでしょう」
バルド間の検問は厳しいが、同じバルドに属する伯爵家同士は、行商人を融通してかなりズブズブだ。
しかし兵を動かすとなると問題になる。
フェラルドは眉間を押さえて俯いた。
「つまりは、バルドが動いて誘拐犯の野党を捕まえねばならないと言う事か?」
バルドの軍であれば地方領主の領内でも、その領地境でも、かなり融通がきくのだ。
だが、軍を動かすには費用も掛かるし、闇雲に巡回する訳にはいかない。
巡回の期間が延びれば、費用も馬鹿にできないからだ。
「どうしたものかな?」
原因は予想できたが、解決の具体的手段が見つからない。
この様な事は行政におけるアルアルなのだが、古今東西で手段がなかったりする。
食事の後に自室に戻ったエリーシアは、シンシアを呼び出した。
「御呼びでございますか?御嬢様」
「シンシアも貴族社会での所作ができる様になったわね」
シンシアの顔が、頭を下げたまま『イーだ!』と不機嫌な顔になっている。
ここまでくるのに、マリアナのスパルタ教育を受けて、見えない所が鞭の痕だらけなのだ。
「貴女を呼んだのは、貴女の実家の力を借りたいと思っているからなの。勿論、必要経費は払うわ」
そう言いながら、エリーシアはシンシアに手紙を渡した。
シンシアはマリアナの知人の娘となっているが、実は暗殺ギルドの娘なのだ。
貴族の親など居るはずが無いので、手紙の行き先は暗殺ギルドの頭領だと分かる。
昼間、エリーシアの部屋には、シンシアの事情を知らない側仕えも居るので、詳細を話す事はできない。
エリーシアの横に居るマリアナも頷いている。
「承知しました御嬢様。では、急ぎ実家に戻らせていただきます」
彼女は未だに見習いなので、館内で特に仕事を割り当てられていない立場だ。
メイド長であるマリアナの指示で動いていたので、融通がきくのだった。
◆◆◆◆◆
暗殺ギルドと言えども、拠点の他に家族で暮らす家がある。
それはスラムの一角に分散して有るので、貴族のメイドと言えども目立つ。
「それで、御嬢様は何とおっしゃってらっしゃるのですか?御父様」
古びたコートを着て実家に帰ったシンシアは、手紙を開封した父親に聞いた。
「おいおい、お前は本当にチラなのか?」
「一度崩すと咄嗟に【地】が出てしまうので、日頃から崩さぬ様にと、メイド長に言われておりますので」
驚く家族に、シンシア(チラ)は、顔をひきつらせながら言い訳をした。
「チラは概要を聞いていないのか?」
「御嬢様の周りには、気を許せない者もおりますので、全ては手紙でとなさったのでしょう」
暗殺ギルド頭領の横で、息子が腹を抱えて苦しんでいるが、流石に声は出さない。
「まぁ、要約するとだな、農民を奴隷商に売っている野盗をブチ殺したいから、奴隷商に出入りする仲買人の後を尾行して、仲買人と野盗の合流を突き止めろとさ。いったい、どれだけの人数が掛かると思ってるんだか?」
通信手段の無い世界では、尾行に一グループ三人以上の要員が必要となる。
中間報告に戻る者と、最終段階の報告に戻る者、最後まで尾行を続ける者の三人だ。
奴隷商は主要都市にしか無いが、大きな都市には幾つか有り、そこに出入りする奴隷の仲買人は、十数人に及ぶので、尾行に要する人数は百人以上になるだろう。
確かに、バルドの持つ【影】よりも、【暗殺ギルド】の手駒の方が圧倒的に数が多いが、
「ガーランドは、どう思う?【社会勉強】とかに同行したんだろ?」
ガーランドとはガガズと名乗っていたチラの兄だ。
「いきなり総当たりする必要は無いんじゃないか?先ずは例の片腕無くしたガキの仕入れ先や若い娘を大量に扱った仲買人に絞って尾行を付ければ」
「そうだな。忍び込んで帳簿を見れば、割り出せるだろう」
少量の農民娘を売り飛ばしても手間だけ掛かって儲けがない。
野盗は娘ばかりを十人くらいを一気に売り渡しているだろう。
必然的に仲買人は一度に多くの娘を奴隷商に卸す事となる。
「しかし、親父。これって【暗殺ギルド】の仕事なのか?諜報は【闇】の方の仕事だろ?」
表向きは【暗殺ギルド】ではあるが、彼等の実態は王家に情報を流す【闇】なのは、エリーシアにも知られている。
「そこが【御嬢様】のズル賢い所でな、【殺したいから】と付けている。つまりは、関係者を皆殺しにする為の尾行だそうだ。そして、確認の為に殺す時には同行したいと書かれている」
人気の無い所で、秘密裏に取り引きする野盗と仲買人の死体など、そうそう明るみに出ないので依頼者としては確認のしようがないというのも確かだ。
「一応は筋が通っちゃいるが、方便じゃねえか?」
「それが【御貴族様】ってもんだろ?ガーランド」
貴族相手に仕事をした事もある彼等だが、この御嬢様は一筋縄ではいかない様だった。
「マリアナ様。御嬢様の御命令は何だったのですか?」
「ここ数十年の農民の数の増減と、豊作不作の情報。加えて税収の変化を地域別に調べて報告せよとの事ですよライル殿」
専門外だということで、ファイアットに出し抜かれて外出に同行できなかったライルが、マリアナに詰め寄っていた。
「恐らくは、あの少女の言葉の裏付けをとろうとしておられるのだろう」
「少女?裏付け?何の事だ?今日は奴隷商への見学に行かれたのだろう?」
同行したファイアットがエリーシアの行動と命令から予想を話す。
「ああ。奴隷商で野盗に拐われて奴隷になったと言う少女が居たのだ。もし、農民の女が拐われれば配偶者が減って長期的には農民が減る。農民が減れば耕地面積があっても働き手が居ないので収穫量が減る。そうなれば税収に変化が出ると言うわけだよライル」
「ファイアット、もしソレが本当なら一大事じゃないか?」
「左様でございますよ。御嬢様の指示はそう言う事でございましょう。ところでファイアット殿は商人の情報にも詳しいと聞いていますが、もし可能ならば金や農産物の流通や噂なども調べてみるのはいかがでしょうか?結果次第では嬢様にも喜んでいただけるとおもいますが?」
人口の変化は数十年単位でしか分からないし、帳面上の数字だけでは分からない事もある。
しかし、商人の情報ならば長期的なものや短期的な物、隠蔽されたものまで見つかるかも知れない。
「分かりました、流石はマリアナ様です。俺の伝を当たってみます」
「(ファイアットだけに良い働きをさせる訳にはいかぬ)帳簿関係と疫病などの情報は私が調べよう。ファイアットは商人の方に専念してくれ。その方が早く御報告ができるだろう」
特に【疫病】関係は言われてないが、これも人口の増減に関係するので、排除要素として考慮すべきだろう。
「そうだな。助かるよライル」
張り切るファイアットに、ライルは分業を申し出る。
特に手柄を独り占めしたい訳ではないファイアットは、その提案を受け入れた。
『調べる』と言っても、下位の者や下僕にさせるのが貴族と言うものだが。
『我々は急ぎ農村を回り、人拐いの信憑性を確かめる』
『了解』
【影】達も独自に動き出したようだ。
◆◆◆◆◆
調査と精査には半月を要した。
現代日本的には遅く感じるが、交通機関などが未発達の世界では、領内を手分けして情報収集するのも年単位の行動となる。
「御嬢様のお勉強の為にと農村の現状を調べましたところ、バルド・ノウル配下の領地で農民の人口減少は、確実に起きています。あまり変化が見れないのはバルド直轄地とクシャラ領など、少数でございます」
エリーシアの為にと言えば、かなり自由な行動が許されるし、実際に彼女の要望でもあったのだから。
「比例して収穫量も減っておりますが、ここ十年程はリゼート様が融通してくれているので飢餓には陥っていないとの事です」
「ソライト(・リゼート)も人徳者よのう」
リゼート領は、バルド・ノウル配下の中でも大きな領地と食料生産量を誇っている。
食事の後のお茶の時間に、ライルとファイアットが主人であるフェラルドに調査結果を報告した。
その場にはエリーシアも居るのだが、特に彼女の指示とは明かさない様にと事前に報告した時に指示されている。
「その人口減少ですが、農民の娘が人拐いに連れ去られて居るのが、少なからず関係している様です。比例して女奴隷の増加も確認されている様ですが、詳細は調べきれませんでした」
産み手が減れば、農民が減り、結果的に収穫量がへる。
それは財政の悪化を意味する。
この、侍従長ダニエルの報告は、ファイアットの商人情報も加味したものだ。
「調べきれないと言う事は、少なからず【貴族】が関わっていると言う事か?」
「恐らくは・・・」
侍従長の追加報告に、フェラルドは眉をひそめる。
「怪しいのは分家とクシャラと言う訳か?」
「当家直轄は警備が厳しいですし、クシャラは地方すぎるので掛かる移動や食料などの効率が悪いのだと思われます。検問の様子から、他のバルドや異国の干渉とは思えません」
ファイアットが商売目線で進言した。
「つまりは、誘拐をしている奴等は後ろ楯の領内でもソコソコ仕事をして、カモフラージュしている訳だな?」
「恐らくは、後ろ楯の許可を得ての事でしょうが」
「各領にまたがっているために、地方領主では取り逃がしているのでしょう」
バルド間の検問は厳しいが、同じバルドに属する伯爵家同士は、行商人を融通してかなりズブズブだ。
しかし兵を動かすとなると問題になる。
フェラルドは眉間を押さえて俯いた。
「つまりは、バルドが動いて誘拐犯の野党を捕まえねばならないと言う事か?」
バルドの軍であれば地方領主の領内でも、その領地境でも、かなり融通がきくのだ。
だが、軍を動かすには費用も掛かるし、闇雲に巡回する訳にはいかない。
巡回の期間が延びれば、費用も馬鹿にできないからだ。
「どうしたものかな?」
原因は予想できたが、解決の具体的手段が見つからない。
この様な事は行政におけるアルアルなのだが、古今東西で手段がなかったりする。
食事の後に自室に戻ったエリーシアは、シンシアを呼び出した。
「御呼びでございますか?御嬢様」
「シンシアも貴族社会での所作ができる様になったわね」
シンシアの顔が、頭を下げたまま『イーだ!』と不機嫌な顔になっている。
ここまでくるのに、マリアナのスパルタ教育を受けて、見えない所が鞭の痕だらけなのだ。
「貴女を呼んだのは、貴女の実家の力を借りたいと思っているからなの。勿論、必要経費は払うわ」
そう言いながら、エリーシアはシンシアに手紙を渡した。
シンシアはマリアナの知人の娘となっているが、実は暗殺ギルドの娘なのだ。
貴族の親など居るはずが無いので、手紙の行き先は暗殺ギルドの頭領だと分かる。
昼間、エリーシアの部屋には、シンシアの事情を知らない側仕えも居るので、詳細を話す事はできない。
エリーシアの横に居るマリアナも頷いている。
「承知しました御嬢様。では、急ぎ実家に戻らせていただきます」
彼女は未だに見習いなので、館内で特に仕事を割り当てられていない立場だ。
メイド長であるマリアナの指示で動いていたので、融通がきくのだった。
◆◆◆◆◆
暗殺ギルドと言えども、拠点の他に家族で暮らす家がある。
それはスラムの一角に分散して有るので、貴族のメイドと言えども目立つ。
「それで、御嬢様は何とおっしゃってらっしゃるのですか?御父様」
古びたコートを着て実家に帰ったシンシアは、手紙を開封した父親に聞いた。
「おいおい、お前は本当にチラなのか?」
「一度崩すと咄嗟に【地】が出てしまうので、日頃から崩さぬ様にと、メイド長に言われておりますので」
驚く家族に、シンシア(チラ)は、顔をひきつらせながら言い訳をした。
「チラは概要を聞いていないのか?」
「御嬢様の周りには、気を許せない者もおりますので、全ては手紙でとなさったのでしょう」
暗殺ギルド頭領の横で、息子が腹を抱えて苦しんでいるが、流石に声は出さない。
「まぁ、要約するとだな、農民を奴隷商に売っている野盗をブチ殺したいから、奴隷商に出入りする仲買人の後を尾行して、仲買人と野盗の合流を突き止めろとさ。いったい、どれだけの人数が掛かると思ってるんだか?」
通信手段の無い世界では、尾行に一グループ三人以上の要員が必要となる。
中間報告に戻る者と、最終段階の報告に戻る者、最後まで尾行を続ける者の三人だ。
奴隷商は主要都市にしか無いが、大きな都市には幾つか有り、そこに出入りする奴隷の仲買人は、十数人に及ぶので、尾行に要する人数は百人以上になるだろう。
確かに、バルドの持つ【影】よりも、【暗殺ギルド】の手駒の方が圧倒的に数が多いが、
「ガーランドは、どう思う?【社会勉強】とかに同行したんだろ?」
ガーランドとはガガズと名乗っていたチラの兄だ。
「いきなり総当たりする必要は無いんじゃないか?先ずは例の片腕無くしたガキの仕入れ先や若い娘を大量に扱った仲買人に絞って尾行を付ければ」
「そうだな。忍び込んで帳簿を見れば、割り出せるだろう」
少量の農民娘を売り飛ばしても手間だけ掛かって儲けがない。
野盗は娘ばかりを十人くらいを一気に売り渡しているだろう。
必然的に仲買人は一度に多くの娘を奴隷商に卸す事となる。
「しかし、親父。これって【暗殺ギルド】の仕事なのか?諜報は【闇】の方の仕事だろ?」
表向きは【暗殺ギルド】ではあるが、彼等の実態は王家に情報を流す【闇】なのは、エリーシアにも知られている。
「そこが【御嬢様】のズル賢い所でな、【殺したいから】と付けている。つまりは、関係者を皆殺しにする為の尾行だそうだ。そして、確認の為に殺す時には同行したいと書かれている」
人気の無い所で、秘密裏に取り引きする野盗と仲買人の死体など、そうそう明るみに出ないので依頼者としては確認のしようがないというのも確かだ。
「一応は筋が通っちゃいるが、方便じゃねえか?」
「それが【御貴族様】ってもんだろ?ガーランド」
貴族相手に仕事をした事もある彼等だが、この御嬢様は一筋縄ではいかない様だった。
1
あなたにおすすめの小説
偽夫婦お家騒動始末記
紫紺
歴史・時代
【第10回歴史時代大賞、奨励賞受賞しました!】
故郷を捨て、江戸で寺子屋の先生を生業として暮らす篠宮隼(しのみやはやて)は、ある夜、茶屋から足抜けしてきた陰間と出会う。
紫音(しおん)という若い男との奇妙な共同生活が始まるのだが。
隼には胸に秘めた決意があり、紫音との生活はそれを遂げるための策の一つだ。だが、紫音の方にも実は裏があって……。
江戸を舞台に様々な陰謀が駆け巡る。敢えて裏街道を走る隼に、念願を叶える日はくるのだろうか。
そして、拾った陰間、紫音の正体は。
活劇と謎解き、そして恋心の長編エンタメ時代小説です。
裏長屋の若殿、限られた自由を満喫する
克全
歴史・時代
貧乏人が肩を寄せ合って暮らす聖天長屋に徳田新之丞と名乗る人品卑しからぬ若侍がいた。月のうち数日しか長屋にいないのだが、いる時には自ら竈で米を炊き七輪で魚を焼く小まめな男だった。
七日後に神罰が落ちる。上層部は「下を切り捨てろ」と言った——私は全員を逃がす
蒼月よる
ファンタジー
七日後、この港に神罰が落ちる。
追放された元観測士イオナだけが、その事実を知っていた。
しかも災害は自然現象ではない——誰かが、意図的に引き起こそうとしている。
港の上層部はすでに手を打っていた。「下層区画を緩衝被害区として切り捨てる」秘密契約。被害を最小限に見せかけ、体制を守る冷徹な計画だ。
イオナは元護送隊長ガルム、荷運び組合長メラとともに動き出す。
犯人を暴き、証拠を公開し、住民を逃がし、工廠を止める——すべてを七日で。
被害を「選ぶ」管理か、全員を「残す」運用か。
追放観測士の、七日間の港湾カウントダウン・サスペンス。
この作品は以下の箇所にAI(Claude Code)を利用しています。
・世界観・設定の管理補助
・プロット段階の壁打ち
・作者による執筆後の校正
行き遅れ王女、重すぎる軍団長に肉で釣られる
春月もも
恋愛
25歳、独身、第四王女システィーナ。
夜会でも放置されがちな行き遅れ王女の前に、ある夜突然現れたのは、ローストビーフを差し出す重すぎる第三軍団長だった。
形のない愛は信じない。
でも、出来立ての肉は信じてしまう。
肉に釣られ、距離を詰められ、気づけば下賜され、そして初夜へ。
これは、行き遅れ王女が重たい愛で満たされるまでの、ちょっとおかしなお話。
冴えない建築家いずれ巨匠へと至る
木工槍鉋
ファンタジー
「建築とは、単なる箱を作ることではない。そこに流れる『時』を設計することだ――」
かつてそう語り、伝説の巨匠と呼ばれることになる男も、かつては己の名前に怯えるだけの冴えない二級建築士だった。
安藤研吾、40代。独立したものの仕事はなく、下請けとして「情緒のない真四角な箱」の図面を引き続ける日々。そんな彼が恩師に教えられた座標の先で迷い込んだのは、昭和初期を彷彿とさせる、魔法のない異世界だった。
現代の建築知識、そして一釘一釘を大切にする頑固大工との出会い。 「便利さ」ではなく「住む人の幸せ」を求めて、研吾は廃村に時計台を建て、水路を拓き、人々の暮らしを再生していく。
異世界で「百年の計」を学んだ研吾が現実世界に戻ったとき、その設計は現代の建築界をも揺るがし始める。 これは、一人の男が仕事への誇りを取り戻し、本物の「巨匠」へと駆け上がるまでの、ひたむきな再建の記録。
イジメられっ子世に憚る。
satomi
ファンタジー
主人公須藤正巳はぼんやりと教室で授業を受けていた。その時、突然教室中に物凄い量の光が…。 正巳が属する2-C全員が異世界転移することとなってしまった。 その世界では今まで正巳が陰キャとして読み漁ったラノベともゲームとも異なり、レベルがカウントダウン制。つまりレベル999よりレベル1の方が強い。という世界だった。 そんな中、クラスのリーダー的陽キャである神谷により全員で教室の外に出ることに。 いきなりドラゴンに出会い、クラスの全員がとった行動が『正巳を囮にして逃げること』だった。 なんとか生き延びた正巳は、まず逃げた連中へ復讐を誓う。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる