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五章

21、愛しいから

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 普段、どんなに絲さんを抱いても、犯しとうという気分には滅多にならへんかった。
 抱き潰してしまうんは問題やけど。

 俺が絲さんの知らんとこがあるんが許されへんからゆうて、無茶をさせとう自覚はある。
 俺の我儘を許してな、絲さん。

 俺は、うつ伏せになり下腹部に枕を置いた絲さんの頬に接吻した。

「ちゃんと入ったで。頑張ったな」
「どうなさるの?」
「うん。そんな疑問が浮かばへんくらい愛したるから。安心し」

 彼女の体を仰向けにして、膝の裏に手を入れて足を持ち上げる。
 敏感な部分はまだ濡れたままで、そっと撫でてやると絲さんは小さく喘いだ。

「挿れるで」
「え。また、なの?」

 体だけやのうて、絲さんの声も震えとう。
 大丈夫や、安心し。今度は俺のや。

◇◇◇

 ぐちゅ……と、淫らな音を立てて、蒼一郎さんがわたしの中に入ってきます。
 普段からでも圧迫感がすごいのに。今日は後ろに珠を入れられているから。
 とても苦しくて。

「絲さん。ちゃんと息しぃや」
「は……い」

 苦しいのに、異物感がすごいのに。浅いところで蒼一郎さんが何度も抜き差しなさるから。

「あ、だめぇ……もぅ、達しそう」
「それは早すぎやろ」

 そんなこと仰っても、無理なの。
 蒼一郎さん自身と珠が、直ではないのに擦れあって。
 わたし……もう。

「っあ、ああ……っ、ふ……ぁ、ぁん」
「くっ。絲さん締め付けすぎや」

 わたしの胸やお腹に、蒼一郎さんの汗がしたたり落ちます。その雫にすら肌が感じてしまって。
 なのに、蒼一郎さんはなおもわたしの中を穿つの。

「や、やめて、今達してる……の」
「うん。分かるで。ちゃんと伝わってくる」
「それなら」
「これは誕生日の贈り物なんやろ?」

 上ずった声で囁かれ、わたしは小さく頷きました。
 そう、そうなの。わたしが了承したことなの。

 絶え間なく襲ってくる快感に、唇の端から唾液が流れていきます。
 こんな、はしたない。
 それに珠が苦しくて仕方なかったのに。蒼一郎さんが入って来てからは、感覚が変わってしまって。

 足を上げさせられた状態で奥を穿たれ、ひときわ強い甘美な愉悦に囚われました。

「も、むり、だから」
「うん、あんまり無理させられへんから。そろそろ終わろか」

 ようやく終わるのね。わたしはほっとして息をつきました。

 でも再び何度も貫かれ、明るい天井がぶれて見えます。
 体の下の敷布はすでにぐちゃぐちゃに乱れ、室内にこもる匂いに、どれほど激しく抱かれているのか分かります。

 わたしにのしかかってきた蒼一郎さんに体を抱きしめられ、熱い精を吐き出されたのが分かったの。
 その時でした。
 後ろに入れられた珠が、一気に引き抜かれたの。

「い、いやぁぁぁっ」
「……っ」
「だめ、も、お願い。だめぇぇ」

 あまりの強烈な快感に、目の前がちかちかします。頭の中が真っ白になって。まるで全身で蒼一郎さんを感じているようで。
 
「ああ、絲さん。なんて可愛いんや」

 ぐったりとしたわたしに、蒼一郎さんがくちづけをなさいます。
 彼の唇が肌を撫でると、わたしの体はその度に痙攣して。

 だめ、こんなはしたない姿。両手で顔を隠すと「達した顔が見たいんや」と、両手をそっとのけられます。

「よう頑張ったな。絲さんは、ほんまに頑張りやさんやな」

 蒼一郎さんは囁きながら、まだ痙攣するわたしを強く抱きしめたの。
 
 しとしとと降る雨の音の中、わたしは重くなった瞼を閉じました。
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