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序章
わたくしの両目は、絹の帯紐で目隠しされています。
今は夜、部屋には行灯が灯っているのですが。幾重にも帯紐が重なっているせいで、わたくしは暗闇に包まれています。
さらりとした肌触りのよい帯紐と反対に、これから起こる甘苦しい感覚を考えると、浴衣の下の皮膚がざわりと粟立ちました。
「さぁ、翠子さん。両手をかしなさい」
「でも……」
正座したまま、ためらいがちに後ろへ下がると、旦那さまの手がわたくしの腕を掴みました。
強い力で握りしめられ、思わず眉をしかめてしまいます。
「家に戻ることは許していないはずだ」
「……はい」
「ならば、俺から逃げようとしたのか」
「いいえ、いいえ。違います」
「口では何とでも言える」
お仕置きが始まるのでしょうか。
わたくしは両手をそろえて、背後に回しました。ゆるく三つ編みにした黒髪が、乱れた浴衣の衿にかかります。
「そうか。翠子さんは後ろ手に縛ってほしいのだな」
含み笑いをしながら、旦那さまがわたくしの両手を結んでいきます。目隠しと同じ絹の紐なので、痛くはありません。
そうですね、女学校で噂が立てば困りますものね。
わたくしの肌に痕をつけた教師と、痕をつけられた教え子が、夜な夜な愛し合っているなど。決して学友に知られてはいけないことです。
夜はとっぷりと更け、どこかで夜啼き鳥が鋭い声を上げています。
次に声を上げさせられるのは、このわたくしですね。
衣擦れの音がして、浴衣の裾がめくられる感覚がありました。わたくしの膝に、旦那さまの手が触れてきます。
大きなてのひらで膝を包まれると、背筋にぞくりと這い上がってくるものがあります。
わたくしよりも低い体温。
見えないからこそ、次にどこを触られるのか予想がつかずに、怖いのだけれど、胸が高鳴ります。
「……高瀬先生」
「いけないな。ここは学校ではないよ、翠子さん」
「はい、旦那さま」
高瀬先生の将来の妻、それが今のわたくしの立場です。
婚約者である女学生が、先生と共に住んでいる。誰かにこの関係を知られたらと思うと、彼に抱かれることに背徳感を覚えます。
ああ、旦那さまの唇が、わたくしの膝に触れてきました。
浴衣の裾ははだけられ、片方の膝にくちづけられたまま、もう片方の足を開かされます。
目隠しをされている状態で見えませんが。きっと旦那さまは、羞恥に悶えるわたくしを注視なさっているでしょう。
「足を閉じないで」
「……はい」
「綺麗だよ、翠子さん」
浴衣に隠れた太ももを撫でられると、体がびくりと勝手に反応します。
彼に抱きつきたいのに、後ろ手に縛られた状態では、それも叶いません。
どうすればよいのでしょう?
今は夜、部屋には行灯が灯っているのですが。幾重にも帯紐が重なっているせいで、わたくしは暗闇に包まれています。
さらりとした肌触りのよい帯紐と反対に、これから起こる甘苦しい感覚を考えると、浴衣の下の皮膚がざわりと粟立ちました。
「さぁ、翠子さん。両手をかしなさい」
「でも……」
正座したまま、ためらいがちに後ろへ下がると、旦那さまの手がわたくしの腕を掴みました。
強い力で握りしめられ、思わず眉をしかめてしまいます。
「家に戻ることは許していないはずだ」
「……はい」
「ならば、俺から逃げようとしたのか」
「いいえ、いいえ。違います」
「口では何とでも言える」
お仕置きが始まるのでしょうか。
わたくしは両手をそろえて、背後に回しました。ゆるく三つ編みにした黒髪が、乱れた浴衣の衿にかかります。
「そうか。翠子さんは後ろ手に縛ってほしいのだな」
含み笑いをしながら、旦那さまがわたくしの両手を結んでいきます。目隠しと同じ絹の紐なので、痛くはありません。
そうですね、女学校で噂が立てば困りますものね。
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夜はとっぷりと更け、どこかで夜啼き鳥が鋭い声を上げています。
次に声を上げさせられるのは、このわたくしですね。
衣擦れの音がして、浴衣の裾がめくられる感覚がありました。わたくしの膝に、旦那さまの手が触れてきます。
大きなてのひらで膝を包まれると、背筋にぞくりと這い上がってくるものがあります。
わたくしよりも低い体温。
見えないからこそ、次にどこを触られるのか予想がつかずに、怖いのだけれど、胸が高鳴ります。
「……高瀬先生」
「いけないな。ここは学校ではないよ、翠子さん」
「はい、旦那さま」
高瀬先生の将来の妻、それが今のわたくしの立場です。
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ああ、旦那さまの唇が、わたくしの膝に触れてきました。
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目隠しをされている状態で見えませんが。きっと旦那さまは、羞恥に悶えるわたくしを注視なさっているでしょう。
「足を閉じないで」
「……はい」
「綺麗だよ、翠子さん」
浴衣に隠れた太ももを撫でられると、体がびくりと勝手に反応します。
彼に抱きつきたいのに、後ろ手に縛られた状態では、それも叶いません。
どうすればよいのでしょう?
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