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二章
6、節度
高瀬先生に押さえつけられる形で、わたくしの体は一人用のソファに沈んでいます。
片膝を立てて、袴から覗く素足に先生が唇を這わせました。
膝から太腿へ。腰巻までめくられ、少しずつ先生の唇が移動すると、腰から背筋にかけて甘い痺れが走りました。
「せん……せ……。節度をまも……るって」
「ああ、だから見えない場所にしているだろう? それにすぐに授業に戻っても大丈夫なように、ほら、脚だけにしている」
わたくしを下から見上げる先生の目は鋭くて。まるで射すくめられたように、動けなくなります。
あと何分で休み時間が終わるのでしょうか。
じれったい甘さと、与えられることのない決定的な快感を求めて、自分でも気づかぬうちに腰を浮かせていました。
「困ったな、翠子さん。ここは学校だよ。そんな風にねだられても、抱いてあげることはできないんだ」
「違います、わたくしは」
「違わないな。ほら、俺に愛撫して欲しくてひくついている」
先生の指が、まるでそよ風のようにわたくしの秘された部分をかすめました。
「あぁ……あ」
思わず声を上げてしまいましたが。でも、それだけでした。
「翠子さんは感じやすいから、教え甲斐がある」
「やめてください」
「まだ、授業までには少しある。触れてほしいのかい?」
「そんなこと、言っていません」
「口ではね」
わたくしの顔の前に、先生は人差し指を立てて見せました。
「ほら、こんなにも濡れているのに」
カーテンが閉じられた仄暗い室内でも、先生の長い指が濡れているのが分かりました。
それが、わたくしが先生の指で感じさせられた証だと分かり、羞恥に思わず目をきつく閉じました。
「お願いです。やめてください」
「もっとしてほしいの間違いじゃなくて?」
「学校で、こんなことをなさらないで」
「じゃあ、家ならいいんだな」
先生はわたくしの答えを待って、じっと見据えてきます。
それは、数学の答えを待つのと同じ姿でした。
生徒がちゃんと答えるまで、分からないならどこが分からないか質問するまで、許して下さらないのです。
「家で……してください。ここでは、いやです」
「分かった。では、また夜に」
◇◇◇
指導室から翠子さんを先に出して、俺はソファに座り込んでいた。
優しくしたいと願っているのに。どうして彼女を追い込むような真似をしてしまうのか、自分でも分からない。
家に戻れば、翠子さんがいる。それはこれからもずっとだ。
理解しているはずなのに、なぜ安心できないのだろう。
そろそろ三限目が始まるのだろう。ぱたぱたと軽く廊下を走る生徒たちの足音、それを叱責する教師の声が扉の外から聞こえてくる。
そうだ、これが現実だ。
翠子さんは間に合っただろうか。途中でふらついていないだろうか。
「だから、案ずるくらいなら最初からするなと言ってるんだ」
俺は無理にでも彼女のことを、頭から振り払おうとした。
なのに、どうしても思い出してしまうんだ。今の彼女じゃない。もっと以前の、そう俺がまだ大学に通っていた頃のことだ。
片膝を立てて、袴から覗く素足に先生が唇を這わせました。
膝から太腿へ。腰巻までめくられ、少しずつ先生の唇が移動すると、腰から背筋にかけて甘い痺れが走りました。
「せん……せ……。節度をまも……るって」
「ああ、だから見えない場所にしているだろう? それにすぐに授業に戻っても大丈夫なように、ほら、脚だけにしている」
わたくしを下から見上げる先生の目は鋭くて。まるで射すくめられたように、動けなくなります。
あと何分で休み時間が終わるのでしょうか。
じれったい甘さと、与えられることのない決定的な快感を求めて、自分でも気づかぬうちに腰を浮かせていました。
「困ったな、翠子さん。ここは学校だよ。そんな風にねだられても、抱いてあげることはできないんだ」
「違います、わたくしは」
「違わないな。ほら、俺に愛撫して欲しくてひくついている」
先生の指が、まるでそよ風のようにわたくしの秘された部分をかすめました。
「あぁ……あ」
思わず声を上げてしまいましたが。でも、それだけでした。
「翠子さんは感じやすいから、教え甲斐がある」
「やめてください」
「まだ、授業までには少しある。触れてほしいのかい?」
「そんなこと、言っていません」
「口ではね」
わたくしの顔の前に、先生は人差し指を立てて見せました。
「ほら、こんなにも濡れているのに」
カーテンが閉じられた仄暗い室内でも、先生の長い指が濡れているのが分かりました。
それが、わたくしが先生の指で感じさせられた証だと分かり、羞恥に思わず目をきつく閉じました。
「お願いです。やめてください」
「もっとしてほしいの間違いじゃなくて?」
「学校で、こんなことをなさらないで」
「じゃあ、家ならいいんだな」
先生はわたくしの答えを待って、じっと見据えてきます。
それは、数学の答えを待つのと同じ姿でした。
生徒がちゃんと答えるまで、分からないならどこが分からないか質問するまで、許して下さらないのです。
「家で……してください。ここでは、いやです」
「分かった。では、また夜に」
◇◇◇
指導室から翠子さんを先に出して、俺はソファに座り込んでいた。
優しくしたいと願っているのに。どうして彼女を追い込むような真似をしてしまうのか、自分でも分からない。
家に戻れば、翠子さんがいる。それはこれからもずっとだ。
理解しているはずなのに、なぜ安心できないのだろう。
そろそろ三限目が始まるのだろう。ぱたぱたと軽く廊下を走る生徒たちの足音、それを叱責する教師の声が扉の外から聞こえてくる。
そうだ、これが現実だ。
翠子さんは間に合っただろうか。途中でふらついていないだろうか。
「だから、案ずるくらいなら最初からするなと言ってるんだ」
俺は無理にでも彼女のことを、頭から振り払おうとした。
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