【第一部】没落令嬢は今宵も甘く調教される

真風月花

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六章

5、初めての

 旦那さまのくちづけは激しくて、呼吸が上手くできません。わたくしは旦那さまの腕にしがみついていました。でないと、溺れてしまいそうです。
 体中を弄られ、ぼうっとした頭では敷布シーツが水面のようにも思えてきます。

「翠子さん。中に入るよ」
「……は……い」

「俺も余裕がないんだよ」と、旦那さまは自嘲気味に仰いますが。そんな風には見えません。翻弄されて余裕をなくしているのは、わたくしの方ですのに。

 逞しく引き締まった体が、わたくしにのしかかってきます。重くはありません。きっと体重をかけないように、気遣っておられるのでしょう。
 ざらりとした浴衣の麻の生地とは違う、張りのある旦那さまの肌。少し低めの体温を、胸に感じて恥じらってしまいました。

 ふいに硬い屹立が、わたくしに押し当てられました。
 これが……旦那さまが、今から中に入ってこられる。そう考えると、きつく瞼を閉じてしまいました。

「少し我慢なさい。痛くないようにするから」

 質量がある旦那さま自身が、こじ開けるように入ってきます。その圧迫感が苦しくて……。

「くっ……あぁ」
「力を抜きなさい」
「あっ……や……っぁ」

 わたくしは旦那さまの腕から手を離し、無我夢中で敷布を手繰り寄せました。旦那さまはわたくしの首筋にくちづけながら、ゆっくりと動きます。

「苦しいだろうな。馴染むまでもう少し我慢できるか?」
「平気、です」

 わたくしを気遣ってくださる旦那さまこそ、つらそうです。
 浅いところで抜き差しされて、いつもとは違うもどかしい感覚です。

「駄目だな……あなたを苦しめないと約束したのに」
「旦那さま?」
「済まない、翠子さん」
「……いいんです。思うようになさってください。わたくしは大丈夫ですから」
「あなたという人は……」

 軽く唇を重ねた後で、旦那さまの屹立が一気に奥まで入ってきました。

「あ……っ! ぁ……うっ」

 激しく揺さぶられて、何も考えられなくなります。なのに奥に感じる甘美な感覚と、旦那さまの指が……敏感なところに触れるので。わたくしはもう……。

「……っん……ん、あ……あぁ」
「翠子さん」

 切ない声で名を呼ばれるので、わたくしは旦那さまの腕にしがみつきました。

「駄目だよ、それ以上締め付けたら。ただでさえ狭いんだ」
「ごめ……なさ……い」
「あなたの中にいると実感できて、悪くはないが」

 旦那さまは何かをこらえるように、眉根を寄せておられます。
「もっとくしてあげるから」と、わたくしの耳元で囁きます。その低い声に、ぞくりと肌が粟立ちました。

 ぬる……っという感触と共に、旦那さまのものが抜かれました。
 
「や……ぁ、離れないでください」
「あなたは本当に煽るのが上手い」

 左右の膝裏を手で持ち上げられたと思うと、踵を旦那さまの両肩にかけさせられます。

「こんな、恥ずかしい……格好」
「今更だよ」

 旦那さまに勢いよく穿たれると、わたくしはあまりの愉悦に首をのけぞらせました。
 こんなの知りません。分かりません。

「……っ!」

 言葉にならず、口は開くのですが。ただ声にならない息が洩れるばかりです。
 無理です。駄目です。こんなの。
 深く……さらに奥の方まで……だなんて。

「あぁ、ああ……。旦那さまぁ」
「名前で、だよ?」
「欧之……丞……さ、ん。翠子、おかしくなり……そう」
「いいよ。乱れたあなたが見たいんだ」

 頬に汗を伝わらせながら、旦那さまは微笑みました。
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