【第一部】没落令嬢は今宵も甘く調教される

真風月花

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九章

10、恋文【5】

 わたくしは、自分から聞こえるはしたない音に、小さく首を振りました。
 ですが、旦那さまの指が与えてくださる悦楽から逃れることができません。抱いてほしいとねだったのは、わたくしです。
 
 旦那さまの長い指が入ってきて、中で曲げられたのが分かります。
 
「あ……っ、んん……ぅ……」

 わたくしが反応した場所を、旦那さまの指は的確に責め続けます。

「そんなに締め付けたら、指を動かせないよ」
「ちが……知ら、ない……です」
「違わない。翠子さんはここが好きだから」

 さらに執拗に指で弄ばれて、思考もなにもかもが蕩けていきます。

「や……、わたくし……、旦那、さまが……ほし、い」
「俺を?」

 耳元で囁かれる声は、あまりにも艶っぽくて。しかも旦那さまの指が入ったままの状態なので、わたくしは歯を食いしばりました。
 そうしないと、今すぐにも気を遣ってしまいそうだったのです。

 ですが、わたくしのそんな状態を旦那さまが見逃すわけがありません。
 ゆっくりと長い指が抜かれていきます。旦那さまの指先から、透明なものが糸を引きます。
 わたくしが感じている証だと思うと、恥ずかしくてなりません。

 いつものように覆いかぶさられるか、旦那さまの膝にまた乗せられるのかと思っていたのに。今夜は違いました。

 だんなさまは、その濡れた手でわたくしの体をうつ伏せになさったのです。そして上体は布団に伏しているのに、膝だけを立てるように言われます。

「む、無理です。そんな……」
「ご褒美に好きにさせてもらうと、言ったはずだよ」

 だって、今さっきまで旦那さまは手紙を書いておられたから、今夜は部屋の燈が灯っているんです。それも行灯ではありません。
 すべてをつまびらかにする、電気の燈です。

 わたくしの背後に旦那さまの気配を感じます。後ろから屹立がぐいっとねじ込まれてきます。

「や、ひどくしないでぇ」
「いつもと角度が違うから、慣れないだけだ。優しくするから、大丈夫だ」

 体内に満ちる圧迫感に、下腹部が苦しさを訴えています。ですが「優しくする」という言葉通り、旦那さまの動きはとてもゆっくりです。
 
 なんて、はしたない格好。なんて淫らな姿。
 あまりの羞恥に、耳が千切れそうに熱くなります。

「恥じ入るあなたも、とても可愛いよ」
「言わ……ないで」

 わたくしは枕に顔を押し付けました。こうすれば顔も見えませんし、声を押し殺すこともできます。
 なのに、旦那さまは非情にも枕を抜き取ってしまわれました。

「そんなことをしたら、あなたの愛らしく啼く声が聞こえない」
「き、聞こえなくて、いい、です」
「聞かせてくれないのか?」
「わたくしの、声なんて」

 すると、旦那さまの指がわたくしの口の中に入れられました。

「あ……ふぁ、あ」
「聞かせてくれるよね」

 先日、旅館で旦那さまの指を噛んで傷つけたことが思い出され、わたくしは口を閉じることができませんでした。
 ただ、小さくうなずくだけです。

 ようやく口から旦那さまの指が離れ、中途半端に開かれたままの唇から、はしたなくも唾液が溢れました。
 わたくしは背後から上体を抱えて起こされ、旦那さまにくちづけられます。

 唇の位置が重なりづらく、なのに体の奥は繋がったままで角度が変わり、わたくしは呻き声を上げました。

「あなたの学業に支障が出るのは、俺も好まない。何度もしないから」
「……は、い」

 再び上体を布団に押し付けられ、旦那さまに穿たれます。

 これまで抱かれた時よりも、さらに奥に旦那さまが入ってこられます。繋がっている部分を旦那さまにはっきりと見られていると思うと……いえ、そんなことを考えては、恥ずかしくて……だめです、見ないで。

 思考がめちゃくちゃになった頃、今まで感じたことのない激しい快感に貫かれました。

「あ、だめ……ぁ……んんっ。だ……んな、さまぁ……」

 卑猥な水音はさらに激しくなります。肌が重なる音と重なり、わたくしは高みへと追いやられました。
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