【第ニ部】没落令嬢は今宵も甘く調教される

真風月花

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一章

12、別荘の夜【2】

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 部屋の明かりは点いたままです。スタンドに笠のついた電燈は、寝室をぼんやりと照らしています。
 窓の外は森に囲まれているので、引き締まった旦那さまの肉体が、窓ガラスに映っています。

「よそ見をしない」

 旦那さまの唇が、わたくしの首筋から胸へとたどっていきます。胸の尖りを舐められて、わたくしはびくりと身を竦ませました。
 
「ああ、本当に久しぶりだ」

 胸を口に含まれたまま、大きな手で腹部や腿を撫でられます。ええ、わたくしにとっても久しぶりの感触です。
 どこもかしこも旦那さまに触れられて、徐々に蕩けていくのです。

 別荘地の涼しい夜も、高瀬家での凪の夜も、花街の旅館での暑い夜も。こうして触れられるだけで、わたくしの居場所は常に旦那さまの腕の中になるのです。

 自分でも気づかぬうちに、わたくしはスカートまで脱がされ、一糸まとわぬ姿になっていました。
 膝を旦那さまの手で持ち上げられ、あまりの恥ずかしさに両手で顔を隠してしまいました。

「まぁ、いいけどね。いつまでも隠していられるものでもないし」と、旦那さまは余裕のある口ぶりで、わたくしの腿の内側にくちづけます。

「や、そんなとこまで……」
「貪られる覚悟をするようにと、言ったはずだぞ」
 
 両膝を閉じようとすると、余計に開かせられました。
 とてもとても恥ずかしいのですけど、旦那さまの指がわたくしの秘所に触れた時には、すでにそこは濡れていました。
 ええ、まるで旦那さまの指を……そして旦那さまを待ち焦がれていたかのように。

「……っ、ぁあ……あ、んっ」
「もっと啼いていいよ」
「いや……恥ずかしい、です」

 わたくしは手を伸ばして、枕を引き寄せました。
 だって、足を閉じることは叶わず、しかも丹念に触れられるたびに、はしたない水音がするんですもの。

 この寝室は、書斎とは壁で隔たっていますし、二階なのでテラスがあるわけでもありませんから。
 高瀬家の縁側に面した広い部屋と違い、声が響きやすいんです。
 わたくしはそれが恥ずかしいのに、旦那さまは「聞いていると、ぞくぞくする」なんて、意地悪を仰るんですもの。

 風が出てきたのか、窓ガラスがカタカタと音を立てています。
 旦那さまの愛撫を受けて、わたくしの体はすでに蕩けてしまっています。
 達しそうになっても、それを許してはもらえず。
 あともう少しで……というところで、何度も指や手を離して、わたくしを甘くて苦しい牢獄に捕らえます。

「あ……やめ、ないで」

 旦那さまの指が、わたくしの中と花芯を同時に責め苛みます。
 なのに決定的な快楽は与えてもらえず、下腹部が疼いて……はしたなくもねだってしまいました。

「今夜は、たとえ翠子さんの頼みでも聞けないよ」
「どう、して?」
「そこまで余裕がないからね」

 上ずった声で仰いながらも、まだ旦那さまはわたくしの中に入っていらっしゃいません。
 でも、このままだと苦しいのです。
 旦那さまにもっともっと愛されたいのです。

「翠子は、どうすればよいのですか?」

 熱っぽい声で問いかけると、旦那さまは眉根を寄せました。そしてわたくしから離れて、ベッドの端に腰かけます。
 何を? と思う間もなく、手招きされます。

「翠子さんが、自分で挿れてごらん」

 仰っている意味が、すぐには分かりませんでした。でも、理解したとき……わたくしは耳が千切れそうなほどに熱くなりました。

「できない?」
「で、できません。そんな……」
「だが苦しいだろ? 俺も苦しい。これは翠子さんしか救えないのではないか?」

 わたくしは、きっと思考まで蕩かされていたのでしょう。恥ずかしいという気持ちは当然あるのに、差し伸べられた旦那さまの手を取りました。
 それが許諾の合図でした。

 ベッドから体を起こして、旦那さまの元へと進みます。柔らかなマットレスに沈み込む裸体のわたくしを、旦那さまはひょいと抱き上げて、ご自分の膝にお乗せになりました。
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