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二章
40、高瀬家の夜【5】
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目隠しをされ、口に半巾を咥え、全ての服を剥ぎとられた翠子さんは、壮絶な色香を滲ませていた。
自分に嗜虐趣味があるとは思わないが。(銀司は異論を唱えるだろうが)それでも、ずっと眺めていたくなるほどだ。
暗い森を背景に、木々の葉は焚き火の明かりで照らされている。無論、翠子さんの素肌も。
俺が与える快感に溺れる翠子さんは、スカートを脱がされたことにも気づかなかったようだ。
それでいい。俺と二人でいる時に、他の奴のことなど考えてもらっては困る。
「ん……ぅ、ぅぅ……」
視界を奪われ、翠子さんは俺が与える刺激にだけ集中している。
しかも声を出せないので、俺にしがみつく以外に快楽を逃すことができないようだ。
「翠子さん。力を抜いてごらん」
ふるふると首を振りながらも、命令には背けないのか。彼女は俺の肩にかけていた手から、力を抜いた。
「ふ……っ、ぅぁ」
苦しげに首を振り、彼女の裸身が緊張をたたえたところで、弄っていた指を外す。
決定的な快感を与えぬままに、何度も何度も達する寸前で手を止めて。それを繰り返していると、翠子さんはとうとう自ら口の半巾を外した。
テラスの床にはらりと落ちていくレースの半巾。小刻みに震える指で、目隠しも外して。
そして、自ら俺にくちづけてくる。
彼女の好む軽いキスではなく、切なくて仕方がないというほどに狂おしいくちづけだ。
「翠子さん?」
「旦那さまが……欲しいの」
吐息のように彼女は囁いた。
俺は息を呑んだ。ああ、彼女がそうなるように仕向けたのは、俺だ。
清楚で可憐なお嬢さまのあなたが、淫靡な香りをまとい、俺を……俺だけを求めるように。
「中に入ろう」
そう囁くと、翠子さんは小さく頷いた。
焚き火はまだ燃え盛っている。さすがに彼女の服を置いていくわけにはいかず、翠子さんを抱き上げたままでそれを拾い、テラスの扉を開く。
「旦那さま?」
「ああ、銀司。焚き火を消しておいてくれ」
階段の軋む音に気付いたのだろう。顔は見せずに、銀司が声を掛けてくれる。
本当に気の利く男だ。
二階の廊下を進み、寝室に入ると寝床に居たエリスが「にゃあ」と声を掛けてくる。
うん、済まない。君も翠子さんと一緒に眠りたいだろうが。今夜は我慢してくれ。
寝台に翠子さんを下ろす。背中に触れる布団にすら感じるようで、翠子さんは甘い声を上げた。
「ぁ……ん。旦那さま……ぁ」
「いい子だな。少しだけ待っていなさい」
まったく、こういう時は自分の服を引き千切りたくなる。ボタンって奴はどうしてこうも、ちまちまとしているのだ。
翠子さんは、体に残る快感を堪えるように唇を噛みしめて、敷布を握りしめている。
ああ、もう。俺に爪を立てればいいのに。
本当に服を脱ぐのがもどかしい。
シャツを床に落として、俺はベッドに手をついた。
半ば瞼を開いた翠子さんが、潤んだ瞳で俺を見上げてくる。
上気した頬。嫋やかな指が、俺の頬を撫でる。
「抱いてくださるの?」
妖艶すぎるだろ。自分でも気づかぬ内に、息を呑んでいた。
自分に嗜虐趣味があるとは思わないが。(銀司は異論を唱えるだろうが)それでも、ずっと眺めていたくなるほどだ。
暗い森を背景に、木々の葉は焚き火の明かりで照らされている。無論、翠子さんの素肌も。
俺が与える快感に溺れる翠子さんは、スカートを脱がされたことにも気づかなかったようだ。
それでいい。俺と二人でいる時に、他の奴のことなど考えてもらっては困る。
「ん……ぅ、ぅぅ……」
視界を奪われ、翠子さんは俺が与える刺激にだけ集中している。
しかも声を出せないので、俺にしがみつく以外に快楽を逃すことができないようだ。
「翠子さん。力を抜いてごらん」
ふるふると首を振りながらも、命令には背けないのか。彼女は俺の肩にかけていた手から、力を抜いた。
「ふ……っ、ぅぁ」
苦しげに首を振り、彼女の裸身が緊張をたたえたところで、弄っていた指を外す。
決定的な快感を与えぬままに、何度も何度も達する寸前で手を止めて。それを繰り返していると、翠子さんはとうとう自ら口の半巾を外した。
テラスの床にはらりと落ちていくレースの半巾。小刻みに震える指で、目隠しも外して。
そして、自ら俺にくちづけてくる。
彼女の好む軽いキスではなく、切なくて仕方がないというほどに狂おしいくちづけだ。
「翠子さん?」
「旦那さまが……欲しいの」
吐息のように彼女は囁いた。
俺は息を呑んだ。ああ、彼女がそうなるように仕向けたのは、俺だ。
清楚で可憐なお嬢さまのあなたが、淫靡な香りをまとい、俺を……俺だけを求めるように。
「中に入ろう」
そう囁くと、翠子さんは小さく頷いた。
焚き火はまだ燃え盛っている。さすがに彼女の服を置いていくわけにはいかず、翠子さんを抱き上げたままでそれを拾い、テラスの扉を開く。
「旦那さま?」
「ああ、銀司。焚き火を消しておいてくれ」
階段の軋む音に気付いたのだろう。顔は見せずに、銀司が声を掛けてくれる。
本当に気の利く男だ。
二階の廊下を進み、寝室に入ると寝床に居たエリスが「にゃあ」と声を掛けてくる。
うん、済まない。君も翠子さんと一緒に眠りたいだろうが。今夜は我慢してくれ。
寝台に翠子さんを下ろす。背中に触れる布団にすら感じるようで、翠子さんは甘い声を上げた。
「ぁ……ん。旦那さま……ぁ」
「いい子だな。少しだけ待っていなさい」
まったく、こういう時は自分の服を引き千切りたくなる。ボタンって奴はどうしてこうも、ちまちまとしているのだ。
翠子さんは、体に残る快感を堪えるように唇を噛みしめて、敷布を握りしめている。
ああ、もう。俺に爪を立てればいいのに。
本当に服を脱ぐのがもどかしい。
シャツを床に落として、俺はベッドに手をついた。
半ば瞼を開いた翠子さんが、潤んだ瞳で俺を見上げてくる。
上気した頬。嫋やかな指が、俺の頬を撫でる。
「抱いてくださるの?」
妖艶すぎるだろ。自分でも気づかぬ内に、息を呑んでいた。
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