【第ニ部】没落令嬢は今宵も甘く調教される

真風月花

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二章

41、高瀬家の夜【6】

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 翠子さんはすでにしっとりと潤んでいるから、俺をすぐに受け入れた。
 熱く、そして狭い彼女の中。
 俺に穿たれるたびに、翠子さんは苦しげに眉を寄せる。

「もう半巾ハンカチはないから、いくらでも声を上げていいよ」
「……でも」
「大丈夫。俺しか聞いていないから」

 それは少し嘘だ。寝床ではエリスが丸くなって目を閉じ、耳をぴくりと動かし、尻尾を揺らめかせている。
 それは「早く翠子さんを、わたしに返してよ」と催促しているように思えた。
 
 しなやかな彼女の腰に手を当てて、さらに深く入っていく。
 淫らな水音、それが翠子さんにも聞こえるのだろう。
 今更なのに、恥じらって腕で顔を隠そうとする。

 本当に困るんだ。妖しいほどに艶めかしいのに。清楚なあなたが、時折顔を見せるから。

 けれど腕だけでは、顔全体を覆うことは出来ない。
 彼女の目は隠されて見えないが、その唇は半ば開いて俺を誘う。

「あ、あ……ぁ、や、ぁ……ん」
「ここが好き?」

 耳に口を寄せて囁いてやると、翠子さんは小さく頷いた。
 
「どうして欲しい? 教えてくれないと分からないけど」
「激しく……して」
「あなたがそう望むのなら」

 俺は彼女と手を繋ぎ、指と指を絡めた。

◇◇◇

 別荘は涼しいはずなのに、わたしの肌はしっとりと汗ばんでいました。旦那さまの肌も。

 テラスで触れられていた時は、旦那さまは服をお召しだったのですが。こうして彼と肌と肌を重ねるのは、好きなんです。

 だって、よくわたしだけ極めさせられて、旦那さまの前で乱れてしまうんですもの。

 こうしてちゃんと考えていられるのも、今の一瞬だけ。分かっているの。すぐに次の甘美な波に呑まれて、もう何も考えられなくなるの。

「い……ぁ、あぁ、旦那さまぁ」
「もっと?」

 翠子は貪欲です。旦那さまに抱かれているのに、もっと愛してほしいだなんて。
 けれど、ぐずぐずに溶かされた体は、もう冷静な判断ができなくて。

「や、あぁっ、だめ……も、また……ぁ」

 奥深いところを責められて、わたくしはまた達しました。
 体が痙攣して、それが止まりません。
 旦那さまは、まだわたくしの中にいらっしゃいます。それが余計に感じてしまい。

「ん……っ、あ……ぁ、ぁ」

 あまりの甘美な苦しさに、頭を枕に擦りつけるように左右に振ります。
 
「ああ、なんて綺麗なんだ」
「あ、ぁ……ん」
「俺の……俺だけの翠子さん」

 かすれた声で囁かれて。でももう、まともな返事もできません。
 
 どれほどの時間、そんな風に抱かれていたのでしょう。何度達しかのか、まったく分かりません。
 目が覚めた時には、窓の外は乳白色の霧に包まれていました。
 
 わたくしも旦那さまも、一糸まとわぬ姿です。旦那さまの腕の中に閉じ込められたままで、窮屈なのですけど。
 でも、その腕の重さと温かさが嬉しいのです。
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