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二章
42、只今、混乱中【1】※文子視点
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目が覚めた時、わたしは自分が何処にいるのか分からなかった。
天井がうちとは違う。ベッドも違う。
窓の外から鳥の囀りも聞こえるわ。
そして何より違うのは、わたしの隣に琥太郎さんがいるってこと。
「……っ!」
声を上げそうになって、慌てて手で口を覆う。
待って、待って。何から理解したらいいのかしら。
覚えてるわよ。あれくらいの梅酒で記憶をなくすほどではないからね。
えーと、夕食をいただいてお風呂に入って、その後琥太郎さんに……。
徐々に思い出す昨日の夜の光景。わたしは、うなじがかぁっと熱くなるのを感じた。
そうよ、琥太郎さんに抱かれたの。しかも、わたし何も着ていないわ。
寝間着。ううん、そもそも寝間着を着ていなかった。
どうしよう。どうしたらいいの?
下腹部に、じんとした痛みを覚えて。ああ、あれは夢じゃなくて現実だったんだわ、と再確認した。
「文子さん。目ぇ覚めたん?」
「は、はい。おはようございます」
眠っていたはずの琥太郎さんに声を掛けられて、わたしは跳び上がりそうになった。でも、胸の辺りまでを毛布で隠す。今更だけど。
「痛いとこ、ないか?」
「大丈夫……うっ」
う、うう。少し動いただけで、体のあちこちが痛い。中も外も。なんとか誤魔化そうとして笑顔を浮かべたけど。琥太郎さんがわたしの頬に手を添えてきたの。
「無理せんとき。痛い時は、痛いって言うてくれた方が、私も助かるから」
「は、はい」
琥太郎さんは「おいで」と言って、わたしを手招きしたの。服を着ている時は細く見えるのに、筋肉のついた腕を枕に置いて。
わたしを腕枕してくれたの。
「お邪魔します」
「なんや、それ。お行儀ええな」
ふっと楽し気に、琥太郎さんが笑みを洩らす。その表情がとても柔らかくて。
長い指が、わたしの乱れた髪を直してくれるの。
「ありがとう、文子さん」
「あの、何が」
「私を受け入れてくれて。強引すぎるとは思うんやけど。貴女が卒業するまで、待つのはつらいというか……うーん、そういうとこがあかんのかなぁ」
困ったように微笑む琥太郎さんは、言い方は変だけど、本当に困っているみたいで。
飄々として確かに強引で、でも洗練されている普段の彼とまったく違って見えたの。
わたしは、自分でも気づかぬ内に彼の柔らかな髪に手を伸ばしていた。
そして指で、くるくると巻いたの。
愛しい人。わたし、琥太郎さんのことが好きなんだわ。
こんなにも好いてもらって、わたしには勿体ない人なのに。でも、彼はそんな風には思っていない。
「文子さんの髪は、まっすぐやなぁ」
まるでお返しとばかりに、琥太郎さんの長い指がわたしの髪をくるくると巻く。けれど癖のない髪だから、すぐに彼の指からするりと解けてしまったの。
「まっすぐな髪とくせ毛と。どっちになると思う?」
「何がですか」
何のことか分からずに尋ねると、琥太郎さんがわたしに顔を近づけてきたの。腕枕されている状態だけれど、肘から先を彼が曲げたから、わたしは下がることもできなかった。
そのまま、かすめるように軽く接吻される。
「私と文子さんの子ども」
「こ、こ、ここ、こども?」
待って、待って。そこまで話が飛びますか。
天井がうちとは違う。ベッドも違う。
窓の外から鳥の囀りも聞こえるわ。
そして何より違うのは、わたしの隣に琥太郎さんがいるってこと。
「……っ!」
声を上げそうになって、慌てて手で口を覆う。
待って、待って。何から理解したらいいのかしら。
覚えてるわよ。あれくらいの梅酒で記憶をなくすほどではないからね。
えーと、夕食をいただいてお風呂に入って、その後琥太郎さんに……。
徐々に思い出す昨日の夜の光景。わたしは、うなじがかぁっと熱くなるのを感じた。
そうよ、琥太郎さんに抱かれたの。しかも、わたし何も着ていないわ。
寝間着。ううん、そもそも寝間着を着ていなかった。
どうしよう。どうしたらいいの?
下腹部に、じんとした痛みを覚えて。ああ、あれは夢じゃなくて現実だったんだわ、と再確認した。
「文子さん。目ぇ覚めたん?」
「は、はい。おはようございます」
眠っていたはずの琥太郎さんに声を掛けられて、わたしは跳び上がりそうになった。でも、胸の辺りまでを毛布で隠す。今更だけど。
「痛いとこ、ないか?」
「大丈夫……うっ」
う、うう。少し動いただけで、体のあちこちが痛い。中も外も。なんとか誤魔化そうとして笑顔を浮かべたけど。琥太郎さんがわたしの頬に手を添えてきたの。
「無理せんとき。痛い時は、痛いって言うてくれた方が、私も助かるから」
「は、はい」
琥太郎さんは「おいで」と言って、わたしを手招きしたの。服を着ている時は細く見えるのに、筋肉のついた腕を枕に置いて。
わたしを腕枕してくれたの。
「お邪魔します」
「なんや、それ。お行儀ええな」
ふっと楽し気に、琥太郎さんが笑みを洩らす。その表情がとても柔らかくて。
長い指が、わたしの乱れた髪を直してくれるの。
「ありがとう、文子さん」
「あの、何が」
「私を受け入れてくれて。強引すぎるとは思うんやけど。貴女が卒業するまで、待つのはつらいというか……うーん、そういうとこがあかんのかなぁ」
困ったように微笑む琥太郎さんは、言い方は変だけど、本当に困っているみたいで。
飄々として確かに強引で、でも洗練されている普段の彼とまったく違って見えたの。
わたしは、自分でも気づかぬ内に彼の柔らかな髪に手を伸ばしていた。
そして指で、くるくると巻いたの。
愛しい人。わたし、琥太郎さんのことが好きなんだわ。
こんなにも好いてもらって、わたしには勿体ない人なのに。でも、彼はそんな風には思っていない。
「文子さんの髪は、まっすぐやなぁ」
まるでお返しとばかりに、琥太郎さんの長い指がわたしの髪をくるくると巻く。けれど癖のない髪だから、すぐに彼の指からするりと解けてしまったの。
「まっすぐな髪とくせ毛と。どっちになると思う?」
「何がですか」
何のことか分からずに尋ねると、琥太郎さんがわたしに顔を近づけてきたの。腕枕されている状態だけれど、肘から先を彼が曲げたから、わたしは下がることもできなかった。
そのまま、かすめるように軽く接吻される。
「私と文子さんの子ども」
「こ、こ、ここ、こども?」
待って、待って。そこまで話が飛びますか。
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