【第ニ部】没落令嬢は今宵も甘く調教される

真風月花

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三章

14、乱されて【4】※文子視点

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「や、だめ」
「なんで? ちゃんと見とき。文子さんがどんなに綺麗か、自分でも知っといた方がええから」
「やめて、恥ずかしいんです」

「そうやなぁ。そうやろなぁ」と琥太郎さんははぐらかしながら、わたしの耳朶を噛んだ。

「ん……っ」
「ほら、ちゃんと目ぇ開けて」

 彼が部屋を暗くしなかったのは、オイルランプを消さなかったのは、窓を鏡代わりにする為だったのだと、ようやく気がついた。

「部屋の入口の方に姿見が壁に付けられとうけど。そっちで見る? ベッドがないから立ったままになるんやけど」
 
 すでにわたしに選択権はなかった。彼に弄られ、抱かれるのを窓に映すか鏡に映すかの違いだけ。
 
「なぁ、文子さん。どっちにする? 立ったまま、もっとはっきりと見える姿見の方がええかなぁ?」

 耳元で囁く声は湿り気を帯びて。普段は優しいから気にならないのだけれど。やはり琥太郎さんは堅気ではなくて、こうして追い込んでいくのだと思った。
 わたしに選ばせる形を取るだけで、どちらでも琥太郎さんの意のままだもの。
 
「このまま……で」
「うん。そうやなぁ」

 琥太郎さんはわたしの耳朶を指で触れながら、柔らかな声音で答えた。でも、その後に恐ろしいことを呟いたの。

「ベッドの上の方がええよなぁ。立ったまま私に入れられるのは、さすがに体がきついと思うで。もっと慣れてからにせんとなぁ」
「慣れたら……そう、すると仰るの?」
「『そう』って、どういうことやろ。ちゃんと言葉にしてくれんと分からへんで」
 
 琥太郎さんがわたしの顎に手を掛けて上を向かせる。窓ガラスには、足を開かされ彼に拘束されたわたしの姿。

「教えとくけど、あんまり男を煽ったらあかんで。歯止めが効かんようになるからなぁ」
「わたしの、所為?」
「そうやで。文子さんが可愛いことを言うから、ひどくしてほしいとか、私の服が汚れること案じたりとか。ほら、滅茶苦茶に可愛がりたくなるやろ」

 しばらく放置されて、まだ熱が冷めない部分に琥太郎さんが手を伸ばしてきた。

「ここは二階の端で角部屋やし、いくら声を上げても構わへんから」
「あっ……あぁっ」
「目ぇ閉じたらあかんで。ほら、今から指を入れるから。ちゃんと見とき」

 だめ、瞼を閉じなきゃ。そう思うのに「あかんて、言うとうやろ」と低いのに甘い声で囁かれて。
 わたしはガラスに映る自分の姿を見ていたの。

 琥太郎さんの指が入って来て。苦しいのに、体の奥が嬉しがっているのが分かる。秘薬の所為なの? もっと彼の指に触れて欲しくて、腰が浮いてしまって。
 その様子をつぶさに見ているから、自分がこんなにも淫らだったなんて知らなかった。

「ひ……ぁ、あぁ……ん。一度に触れ、ない……で」

 体の奥だけではなく、花芯も一緒に弄られて。わたしは琥太郎さんの腕から逃れようとした。
 でも彼の脚の間に座らされ、しかも両脚ははしたないほどに広げられて。身動きもとれない。

「だめ、あ……ぁ、も、むり、です」
「ああ、可愛いなぁ。無茶させて姫泣き油を使ってよかった。こんな可愛い文子さんを見られるやなんて」
「あ、や……ぁ」
「ほら、ちゃんと目ぇ開いて。ちゃんと見なあかんで」

 もう少しで達しそうだったのに、琥太郎さんは指の動きを止めた。わたしは疼く体のまま、熱に浮かされた心地でガラスに映る自分を見た。
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