魔獣の求恋〜美形の熊獣人は愛しの少女を腕の中で愛したい〜

森 湖春

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四章

53 公開抱っこの刑

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「どうしておねえさんは、だっこするだけなのにたいへんそうなの? ほんとうは、いや?」

「ニューシャ。世の中にはね、嫌よ嫌よも好きのうち、という言葉があるのですよ」

「へぇ。じゃあ、おねえさんはたいへんそうにみえるけれど、ほんとうはうれしいってこと?」

「そうですね。少なくとも、私にはそう見えます」

「まじゅうのこいをおうえんするおじさまがいうのだから、きっとそうね!」

 キャッキャと会話するジョージとニューシャに、エディは頭をガンガン殴られているような気持ちになった。

(容赦がなさ過ぎる……!)

 そうでなくとも、自業自得の妄想とロキースの色気で大打撃を受けていたのに、更なる追撃が加わって、もう残りの力なんて残っていない。

「うぅぅ……」

 クラクラと目眩がしそうだった。

 額を押さえて目を閉じるエディを、ロキースが心配そうに見つめている。

 エディは諦めたようにハァとため息を吐くと、「失礼」とかたい口調で言ってロキースの膝の上に乗った。

 その顔は羞恥に赤く染まり、目は死んだ魚のようにどこを見ているのか分からない。

 もちろん、わざとそうしている。美形の顔を間近で見るなんて、どうなってしまうのかエディにだって分からないのだ。

(最悪、心臓が止まるかもしれない……!)

 声だけで強烈なのである。キスできそうなくらい間近で、あの綺麗な顔を拝んだら即死しかねない。

 お茶会を繰り返して友人の距離は平気になったが、エディにそれ以上の耐性はまだないのである。

 それになにより、今のエディはいつもと違って何だかおかしいのだ。どこが、とは明確に言えないのがもどかしいが、とにかく何かがおかしい。

 ロキースのことを考えるだけで胸がドキドキ、目がウルウル、頭の中はモヤモヤ。こんな症状は、今まで感じたことがない。帰ったら、この症状についてミハウと相談した方が良いかもしれない。

 そんなことを考えながら、エディはなるべく距離を取るように、ロキースの太腿の上を横向きで座った。

「ほら、座りましたよ! これで良いのでしょう⁉︎」

 ロキースの筋肉質な太腿の上は、安定感抜群だ。

 エディが倒れないように、そっと腰に手を回してくるロキースに、彼女はガキンと体を緊張させる。なるべく手に触れないよう、エディは必死になって姿勢を保った。

「はい、それで結構です。さて、だいぶ話が逸れてしまいましたが……一体、どのようなご用件だったのでしょうか?」

 散々な目に遭ったが、これでようやく当初の目的が果たせる。

 エディは恥ずかしさを押し込めて、ヴィリニュスの鍵のこと、それから鍵の行方について話した。
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