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六章
77 ロキースの宝物
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それから、どれくらいそうしていただろうか。
根気強くエディの話を聞き続けた結果、ロキースにもなんとなく事態が飲み込めた。
彼女が言うには、こうである。
ヴィリニュスの鍵というのは、鍵の役目だけでなく魔笛の一部という側面もあった。
魔笛というのは魔獣を意のままに操ることが出来る笛なのだそうだ。
それを使われたらロキースが操られ、その結果、獣人との恋に憧れる彼女の義姉、ルタのものになってしまうかもしれない──らしい。
そんな馬鹿な、とロキースは思った。
くだらない笛如きで、自分の気持ちが変わるわけがない。
だが、そのせいでエディは泣いているのだ。
馬鹿げたことだと、一蹴することがロキースには出来なかった。
「ロキースの隣がルタのものになったら、僕は……僕は……!」
その先を言うことさえ怖がっている様子のエディは、離れることを恐れるようにロキースにしがみついた。
エディはロキースの隣を、こんなにも望んでくれている。
ロキースの隣は、エディ以外有り得ないというのに。
「そんなことには、絶対にならない。俺が、させない」
「でも……!」
「俺の隣はいつだってエディだけのものだ。だが、エディがそんなに不安なら、一刻も早く鍵を手に入れよう。エディは泣き顔も可愛らしいと思うが、笑ってくれている方がもっと好きだ」
抱きしめる腕を緩めたロキースは、そっと体を屈めた。
まだ涙が残るエディの眦に、唇を寄せる。
素直に目を閉じてキスを待つエディは、押し倒したいくらい可愛らしかった。
チュと音を立てて涙を拭い、顔を上げる。
絡んだ視線の甘さに、どちらからともなく目を逸らした。
「ごめんね、みっともなく泣いちゃって」
エディが照れ臭そうに、ぎこちなく笑う。
ようやく見せてくれた笑顔に、ロキースはホッと息を吐いた。
「いや。俺は夢が叶ったし、気にするな」
「ロキースの夢?」
「あ、いや、その……」
安堵したせいか、ポロリと溢してしまった失言に、ロキースは狼狽た。
「ロキースの夢ってなに? 教えて?」
よほど興味をそそられたのか、エディは泣き濡れた目をキラキラさせながら、ロキースの顔を覗き込んでくる。
とどめに「お願い」と言われてしまっては、惚れた弱みもあってか誤魔化すことも難しい。
だが、この夢はロキースにとって宝物のような思い出と結びついている。
たとえエディのお願いであっても、いや、エディのお願いだからこそ、恥ずかしかった。
「いつか。いつか話すよ。でも今は、鍵のことを考えようか?」
大人ぶってそう返せば、そうだったとエディの表情が引き締まる。
少年のようだと言われる彼女だが、ここ最近は随分と女性らしくなってきたような気がする。
惚れた欲目も多分にあるだろうが、きっと彼女はこの先、もっと綺麗になっていくのだろうなとロキースは思った。
ロキースが夢を話せるようになった時、彼女はどんな女性になっているのだろう。
そう未来に想いを馳せて、まずは鍵だなとロキースは緩んだ顔を引き締めた。
根気強くエディの話を聞き続けた結果、ロキースにもなんとなく事態が飲み込めた。
彼女が言うには、こうである。
ヴィリニュスの鍵というのは、鍵の役目だけでなく魔笛の一部という側面もあった。
魔笛というのは魔獣を意のままに操ることが出来る笛なのだそうだ。
それを使われたらロキースが操られ、その結果、獣人との恋に憧れる彼女の義姉、ルタのものになってしまうかもしれない──らしい。
そんな馬鹿な、とロキースは思った。
くだらない笛如きで、自分の気持ちが変わるわけがない。
だが、そのせいでエディは泣いているのだ。
馬鹿げたことだと、一蹴することがロキースには出来なかった。
「ロキースの隣がルタのものになったら、僕は……僕は……!」
その先を言うことさえ怖がっている様子のエディは、離れることを恐れるようにロキースにしがみついた。
エディはロキースの隣を、こんなにも望んでくれている。
ロキースの隣は、エディ以外有り得ないというのに。
「そんなことには、絶対にならない。俺が、させない」
「でも……!」
「俺の隣はいつだってエディだけのものだ。だが、エディがそんなに不安なら、一刻も早く鍵を手に入れよう。エディは泣き顔も可愛らしいと思うが、笑ってくれている方がもっと好きだ」
抱きしめる腕を緩めたロキースは、そっと体を屈めた。
まだ涙が残るエディの眦に、唇を寄せる。
素直に目を閉じてキスを待つエディは、押し倒したいくらい可愛らしかった。
チュと音を立てて涙を拭い、顔を上げる。
絡んだ視線の甘さに、どちらからともなく目を逸らした。
「ごめんね、みっともなく泣いちゃって」
エディが照れ臭そうに、ぎこちなく笑う。
ようやく見せてくれた笑顔に、ロキースはホッと息を吐いた。
「いや。俺は夢が叶ったし、気にするな」
「ロキースの夢?」
「あ、いや、その……」
安堵したせいか、ポロリと溢してしまった失言に、ロキースは狼狽た。
「ロキースの夢ってなに? 教えて?」
よほど興味をそそられたのか、エディは泣き濡れた目をキラキラさせながら、ロキースの顔を覗き込んでくる。
とどめに「お願い」と言われてしまっては、惚れた弱みもあってか誤魔化すことも難しい。
だが、この夢はロキースにとって宝物のような思い出と結びついている。
たとえエディのお願いであっても、いや、エディのお願いだからこそ、恥ずかしかった。
「いつか。いつか話すよ。でも今は、鍵のことを考えようか?」
大人ぶってそう返せば、そうだったとエディの表情が引き締まる。
少年のようだと言われる彼女だが、ここ最近は随分と女性らしくなってきたような気がする。
惚れた欲目も多分にあるだろうが、きっと彼女はこの先、もっと綺麗になっていくのだろうなとロキースは思った。
ロキースが夢を話せるようになった時、彼女はどんな女性になっているのだろう。
そう未来に想いを馳せて、まずは鍵だなとロキースは緩んだ顔を引き締めた。
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