85 / 398
おっさん、迷宮に挑む①
しおりを挟む「よし、転移陣は問題なく作用したな」
積層型魔法陣の発光後、俺達は瞬く間もなくダンジョン内部に移動していた。
ここのダンジョンはオーソドックスな迷宮型とは聞いていたが情報通りだ。
石造りの通路が延々とどこまでも伸びている。
その様はまるで地獄へ誘われるかのごとく陰鬱な印象を受ける。
まあテンションの上がる快活なダンジョンなどは存在しないか。
壁自体が薄く発光してる為か視界に問題ないのが救いだな。
ある程度マッピングは済んでるらしく、ギルドから自動更新される魔導具マップを購入しておいたが――この様子だとまだまだ未踏破の領域があるらしい。
そういった所は未知の妖魔が潜んでいたり罠があったりと、危険がデンジャラスな地帯である。無論、未盗掘のお宝等が秘蔵されていたりと、リスクに応じたリターンもある為、進むか退くかはパーティのリーダー次第だ。
俺達【気紛れ明星】の名目上の頭目は勇者の称号を持つシアだ。
しかし実質上のリーダー役は俺が任されているので気が抜けない。
深呼吸を一つすると俺は三人へ声を掛ける。
「みんな、問題ないな?」
「うん、絶好調♪」
「ん。良好」
「万全ですわ」
「なら打ち合わせ通り――今日は軽く、ここらを周回しよう。
久々のダンジョンアタックだから気を抜くなよ。
リア、フィーナ。疲れない範囲で防御系の魔術と支援系の法術を頼む」
「了解した。
いつも通り恒常型の【魔術障壁】を展開する。
ヘタな鎧より強固なので直撃でも喰らわない限りはダメージがこない」
「それではわたくしは【常時回復】の祝祷を願いますね。
一瞬で傷を癒すほどではありませんが……探索で蓄積されていく疲労を緩やかに取り除き、身体のパフォーマンスを最高の状態に保てるようになります」
「ああ、頼む。
それとシア――気付いたか?」
「うん、おっさんも?」
「勿論だ。
今回の騒動で大分レベルが上がっていたしステータスも向上していた。
簡単で構わないので今の内に情報を共有しておこう」
「特技欄や装備欄はいいよね?」
「任意で表示のオンオフが出来るだろう?
今はレベルと基本情報だけでいい」
「ん~じゃあ、はい」
首から下げた冒険者証をシアが提示する。
そこに書かれているのは以下のデータだ。
ネーム:アレクシア・ライオット
レベル:39
ランク:AA(ダブル)
クラス:勇者
称 号:魔剣使い 飛竜を屠る者 希望の担い手
身 長:158
体 重:54
ステ表:筋力B 体力B 魔力B
敏捷A 器用B 精神C
……相変わらずバランスの良いステータスだ。
クラスチェンジは文字通り生まれ変わりを意味する。
だというのにステータス低下の弊害をまったく見せてない。
さすがは勇者、という事か。
「おっさんはおっさんは!」
「そう急くな。ほれ」
俺はシアに新しく更新された金色の冒険者証を見せる。
ネーム:ガリウス・ノーザン
レベル:78
ランク:A
クラス:戦士
称 号:魔神殺し 闇夜の燈火 死神に滅びを告げる者
身 長:182
体 重:78
ステ表:筋力A 体力A 魔力E
敏捷B 器用B 精神A
「おお~レベルが上がったのもあるけど……
相変わらずおっさんは凄いね」
「何がだ?」
「何ていうか――究極の努力の人、って感じ。
ステータスにそつがない」
「まあ自分に出来る限りの事はやってきたからな。
弛まぬ鍛錬の成果だ」
「あら? 面白い事をしてますわね」
「仲間外れは良くない」
「分かった分かった。
本来ステータスは秘匿するものだが――この機会だ。
久々にお前達のも見せてくれ」
「では僭越ながらわたくしから」
ネーム:フィーナ・ヴァレンシュア
レベル:65
ランク:AA(ダブル)
クラス:聖女
称 号:慈愛を齎す者 主神の寵愛児 憂鬱の貴腐人
身 長:166
体 重:51
ステ表:筋力D 体力C 魔力B
敏捷B 器用A 精神S
「うう、チート臭いステータスだぁ」
「確かに。でもまあリアには負けるな」
「ん。では御開帳」
ネーム:ミザリア・レインフィールド
レベル:72
ランク:AAA(トリプル)
クラス:賢者
称 号:真理の探究者 星々の招き手 境界を越えしもの
身 長:152
体 重:44
ステ表:筋力E 体力D 魔力SS
敏捷B 器用A 精神C
「ステータスだけなら既にS級だな、リアは」
「それに加えて高位魔術の使い手だもん。
本当に尊敬しちゃうよ」
「同じ時期にガリウス様に師事したのに――
随分差を付けられましたわ。悔しいです」
「気にすることは無い。
これは一点集中型の特徴。汎用性に欠ける。
通常ならお勧めできない伸ばし方。
けど――頼りになるパーティメンバーがいる。
なので安心してこの形にした」
「嬉しい事を言ってくれる。
さあ、準備はいいか?
この玄室を出たらそこはもうダンジョンの真っ只中だ。
俺が斥候を務めるが……油断するなよ?」
「「「はい!」」」
「いい返事だ。じゃあ気合いを入れて行こう」
索敵スキルを発動。
すると俺を中心に脳裏に円形状にセンサーが広がっていく。
どうやら近辺に妖魔はいない様だ。
俺は軽く指先で扉に触れると罠を確認。
ノブ部分や鍵穴に問題ない事を確かめると、そっと玄室を出て先行する。
その後を足音を消して追ってくる三人。
こうして俺達の精霊――迷宮都市ダンジョンの初アタックは開始された。
2
あなたにおすすめの小説
妖精の森の、日常のおはなし。
華衣
ファンタジー
気づいたら、知らない森の中に居た僕。火事に巻き込まれて死んだはずだけど、これってもしかして転生した?
でも、なにかがおかしい。まわりの物が全部大きすぎるのだ! 草も、石も、花も、僕の体より大きい。巨人の国に来てしまったのかと思ったけど、よく見たら、僕の方が縮んでいるらしい。
あれ、身体が軽い。ん!?背中から羽が生えてる!?
「僕、妖精になってるー!?」
これは、妖精になった僕の、ただの日常の物語である。
・毎日18時投稿、たまに休みます。
・お気に入り&♡ありがとうございます!
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身、動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物や魔法、獣人等が当たり前に存在する異世界に転移させられる。
彼が送るのは、時に命がけの戦いもあり、時に仲間との穏やかな日常もある、そんな『冒険者』ならではのスローライフ。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練とは如何なるものか。
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
中年オジが異世界で第二の人生をクラフトしてみた
Mr.Six
ファンタジー
仕事に疲れ、酒に溺れた主人公……。フラフラとした足取りで橋を進むと足を滑らしてしまい、川にそのままドボン。気が付くとそこは、ゲームのように広大な大地が広がる世界だった。
訳も分からなかったが、視界に現れたゲームのようなステータス画面、そして、クエストと書かれた文章……。
「夢かもしれないし、有給消化だとおもって、この世界を楽しむか!」
そう開き直り、この世界を探求することに――
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
神の手違い転生。悪と理不尽と運命を無双します!
yoshikazu
ファンタジー
橘 涼太。高校1年生。突然の交通事故で命を落としてしまう。
しかしそれは神のミスによるものだった。
神は橘 涼太の魂を神界に呼び謝罪する。その時、神は橘 涼太を気に入ってしまう。
そして橘 涼太に提案をする。
『魔法と剣の世界に転生してみないか?』と。
橘 涼太は快く承諾して記憶を消されて転生先へと旅立ちミハエルとなる。
しかし神は転生先のステータスの平均設定を勘違いして気付いた時には100倍の設定になっていた。
さらにミハエルは〈光の加護〉を受けておりステータスが合わせて1000倍になりスキルも数と質がパワーアップしていたのだ。
これは神の手違いでミハエルがとてつもないステータスとスキルを提げて世の中の悪と理不尽と運命に立ち向かう物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる