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風呂から出た私と兄様。
私は風邪を引かない様、念入りに髪を乾かし身支度を整えます。
シャス兄様も同様に身支度と装備を手にしていきます。
これから村に在る弓手の稽古場に赴くらしいです。
若手のホープとして注目されてる身としては、
期待に添える様、サボる訳にはいかないみたいですね。
「行ってらしゃ~い。
可愛い子によろめいては駄目ですよ~」
「ひどいな、ユナは(笑)」
苦笑し頬を掻くシャス兄様。
元気よく見送った後は、ファル姉様のお手伝いです。
掃除に洗濯、洗い物に食事の仕込み。
メイドの仕事に終わりはありません。
瞬く間に時間が経ち、教会から昼を告げる鐘が鳴り響きます。
「あ、ファル姉様。
そろそろ時間なので、今日はこの辺でよろしいですか?」
「もうそんな時間ですか。
集中すると早いものですね。
今日も大変助かりました、ユナ様。
乾いた砂が水を吸収する様に、確実に日々成長されてるので、
指導するわたくしもつい嬉しくなってしまいます」
「そんな事は……」
「いいえ。年齢以上に努力をされてるのをちゃんと知っておりますわ。
それに……奥様の事についても貴女なりに動いてらっしゃるのでしょう?」
「姉様……」
「無論、カル様もシャス様も御存知ですわ。
ならば気兼ねなく振る舞ってみればよろしいのです。
誰にも遠慮はいりませんわ」
「そうでしょうか?」
「ええ。世の中に無駄な努力などはありません。
目標に向けて頑張る事は、必ず何かしらの力になります」
まったくタイプが違うファル姉様とシャス兄様。
でも異口同音に同じ様な事を解説し、励ましてくれます。
不思議です。
物事に接するスタンスすら、まったく異なるというのに。
二人はまるでコインの裏表みたいに似通った在り方なのかもしれません。
「あまり長く引き留めては御迷惑になりますね。
いってらっしゃいませ、お嬢様。
御帰りをお待ちしております」
エプロンドレスの裾を両手で広げ、優雅に一礼する姉様。
わざとお嬢様という呼称をつける辺りファル姉様も悪戯好きですが、
私も一ヶ月分の成果を見せるべく礼には礼で返します。
「ありがとうございます、姉様。
そんなに遅くはならないとは思います。
けど……今日も、もしかしたらご飯を食べていけ~と引き止められるかもしれません」
「お誘いは仕方ありません。
ゴラン様とジャレッド様はユナ様を溺愛なさってますから。
きっと娘の様に想ってらっしゃるのですわ。
もし夕飯を御一緒される時はご連絡下さい。
わたくしも普段お世話になってる礼をしたいので」
「はい、分かりました」
「あと、これを」
「これは?」
「わたくしが焼いたリンゴパイですわ。
よければ向こうで皆様と召し上がってください」
「わあ~♪
ありがとうございます、姉様。
姉様のパイは絶品なんで今から楽しみです☆」
「うふふ……ユナ様が喜ぶ顔が見たくて頑張ってしまいました。
食べ過ぎにはご注意くださいね?」
「むー。
姉様の意地悪」
「メイドたる者、常に慎みと自制が必要なのです。
ユナ様はメイドの道を歩むのでしょう? だから……」
「あ、メイド辞めました」
「返答はやっ!」
「嘘です」
「もうですか!?」
「まあ、冗談なのですけど……」
「何が何やら……(苦笑)。
わたくし、未だにユナ様の全貌が掌握できませんわ」
これは褒め言葉なのでしょうか?
微妙です。
「何はともあれ……
いってらっしゃいませ」
「は~い♪
行って参りま~す」
お土産を手にファル姉様に見送られながら、
私は最近の午後の日課であるマイスター商店の店番に向かうのでした。
私は風邪を引かない様、念入りに髪を乾かし身支度を整えます。
シャス兄様も同様に身支度と装備を手にしていきます。
これから村に在る弓手の稽古場に赴くらしいです。
若手のホープとして注目されてる身としては、
期待に添える様、サボる訳にはいかないみたいですね。
「行ってらしゃ~い。
可愛い子によろめいては駄目ですよ~」
「ひどいな、ユナは(笑)」
苦笑し頬を掻くシャス兄様。
元気よく見送った後は、ファル姉様のお手伝いです。
掃除に洗濯、洗い物に食事の仕込み。
メイドの仕事に終わりはありません。
瞬く間に時間が経ち、教会から昼を告げる鐘が鳴り響きます。
「あ、ファル姉様。
そろそろ時間なので、今日はこの辺でよろしいですか?」
「もうそんな時間ですか。
集中すると早いものですね。
今日も大変助かりました、ユナ様。
乾いた砂が水を吸収する様に、確実に日々成長されてるので、
指導するわたくしもつい嬉しくなってしまいます」
「そんな事は……」
「いいえ。年齢以上に努力をされてるのをちゃんと知っておりますわ。
それに……奥様の事についても貴女なりに動いてらっしゃるのでしょう?」
「姉様……」
「無論、カル様もシャス様も御存知ですわ。
ならば気兼ねなく振る舞ってみればよろしいのです。
誰にも遠慮はいりませんわ」
「そうでしょうか?」
「ええ。世の中に無駄な努力などはありません。
目標に向けて頑張る事は、必ず何かしらの力になります」
まったくタイプが違うファル姉様とシャス兄様。
でも異口同音に同じ様な事を解説し、励ましてくれます。
不思議です。
物事に接するスタンスすら、まったく異なるというのに。
二人はまるでコインの裏表みたいに似通った在り方なのかもしれません。
「あまり長く引き留めては御迷惑になりますね。
いってらっしゃいませ、お嬢様。
御帰りをお待ちしております」
エプロンドレスの裾を両手で広げ、優雅に一礼する姉様。
わざとお嬢様という呼称をつける辺りファル姉様も悪戯好きですが、
私も一ヶ月分の成果を見せるべく礼には礼で返します。
「ありがとうございます、姉様。
そんなに遅くはならないとは思います。
けど……今日も、もしかしたらご飯を食べていけ~と引き止められるかもしれません」
「お誘いは仕方ありません。
ゴラン様とジャレッド様はユナ様を溺愛なさってますから。
きっと娘の様に想ってらっしゃるのですわ。
もし夕飯を御一緒される時はご連絡下さい。
わたくしも普段お世話になってる礼をしたいので」
「はい、分かりました」
「あと、これを」
「これは?」
「わたくしが焼いたリンゴパイですわ。
よければ向こうで皆様と召し上がってください」
「わあ~♪
ありがとうございます、姉様。
姉様のパイは絶品なんで今から楽しみです☆」
「うふふ……ユナ様が喜ぶ顔が見たくて頑張ってしまいました。
食べ過ぎにはご注意くださいね?」
「むー。
姉様の意地悪」
「メイドたる者、常に慎みと自制が必要なのです。
ユナ様はメイドの道を歩むのでしょう? だから……」
「あ、メイド辞めました」
「返答はやっ!」
「嘘です」
「もうですか!?」
「まあ、冗談なのですけど……」
「何が何やら……(苦笑)。
わたくし、未だにユナ様の全貌が掌握できませんわ」
これは褒め言葉なのでしょうか?
微妙です。
「何はともあれ……
いってらっしゃいませ」
「は~い♪
行って参りま~す」
お土産を手にファル姉様に見送られながら、
私は最近の午後の日課であるマイスター商店の店番に向かうのでした。
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