迷宮アドバイザーと歩む現代ダンジョン探索記~ブラック会社を辞めた俺だが可愛い後輩や美人元上司と共にハクスラに勤しんでます

秋月静流

文字の大きさ
13 / 54

1日目⑫

しおりを挟む

「ここから300メートル先。
 T字路を左に曲がった小部屋に先程討伐した大鼠と同等の個体が2体います。
 この階層の大鼠に懸念すべき毒持ちはいません。
 ですが【悪寒】と呼ばれるバッドステータスをもたらす病原菌のような魔素をばら撒く特殊個体が時折いるので注意を。
 なお【悪寒】自体は1時間程で【探索者】固有の自然治癒能力で消失するものの、その間は全能力におよそ5%近いデバフ効果を及ぼします。
 この効果は重複しません。ですが通常とは違い動きが意識しないとワンテンポ遅れてしまう……つまり、初心者殺しに繋がりやすいので警戒が必要です」

 アイの助言が導くままダンジョンを進む。
 ここで痛い程に痛感(頭痛が痛いみたいだが)するのはやっぱりアイのナビゲート能力だ。
 途中説明を受けたアイの話だとダンジョンは広大で、尚且つ低階層でモンスターと接敵する事は極めて稀らしい。
 モンスター達も自分達のロジックで動いているし(ゲートキーパーと呼ばれる、部屋固定モンスターは別。恐ろしい事に定番のボスも専用のボス部屋からは出ないとのこと)この洞窟階層内だと隠れる場所も多いからその程度のようだ。
 モンスターの気配を感じ取れるという斥候のクラスの能力を除けば、頻度にすれば1時間に1~2回くらいあれば上々か。
 その効率の低さがアイの導きがあれば10分もせずに会敵可能。
 しかも予めどこに何がいるか、罠が無いか、脅威となる不確定事項を事前に訊く事が出来て、対策を練れるという。

「……改めて考えるまでもなく、ヘタなチートよりチートだよな」
「何がですか?」

 思わず呟いた独り言にアイが反応し尋ねてくる。
 俺は歩きながら実感している事を説明する。

「アイの存在が、だよ。
 こうしている間にもさ、各地で俺以外の【探索者】がダンジョンに挑んでいるんだろう?」
「肯定です」
「どんな事を皆が望んだかは分からないけどさ……
 こうやって的確なサポートを受けれて心身共に安心安全、確実に成長できる機会を得られるレベルの望みなんて早々ないぞ?
 何せ敵の位置や罠の有無まで把握可能。
 上級職や有能スキルの解説もバッチリだしな」
「……ご満足頂けているようで何より」
「ん? ひょっとして照れたか?」
「生憎そういう感情はありません。
 あと――
 次の戦闘後にレベルアップする予定です。
 また臥龍の意識空間へ戻るので了承願います」
「早いな!
 さすがはアイ推薦のスキルだ」
「当然です。
 獲得経験値向上を得ているか否かで、今後の取得経験値差は大きく広がります。
 だからこそ――初期ポイント全てを費やす価値があるのです」

 視えないのにドヤ顔をしているアイを幻視する。
 そう……初期ポイントである、全20点を費やし得た獲得経験値向上(低)。
 これは文字通り獲得経験値が増すというパッシブスキルだ。
 使えそうな他スキルを蹴ってまで得たのにはアイが述べた理由がある。
 もちろん(低)ではおよそ2~3割増し、くらいらしいが……
 積み重ねれば差は大きい。
 特にこれから先、得られる経験量が増えれば増える程に格差が広がる。
 早く次の獲得経験値向上(中)へとランクアップしたいものだ。

「最初はなんで、と思ったが……
 まさに探索を始めたばかりの俺に適切だな。
 早くレベルが上がればよりパワーアップできる」
「レベルを上げて物理で殴る。
 結局の所、これが最初は一番効率がいいのです。
 さあ――お喋りはおしまいです。
 もうすぐ敵とエンゲージするので準備を。
 今の臥龍なら油断しなければ問題ないはずです」
「了解だ!」

 アイの助言に気合を入れて返答。
 驚きに身を竦ませる大鼠2匹へ奇襲を仕掛ける。
 こうして、ダンジョン2回目となる戦闘も殊の外呆気なく終わり――
 俺のレベルは2へと上昇するのだった。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

クラスの陰キャボッチは現代最強の陰陽師!?~長らく継承者のいなかった神器を継承出来た僕はお姉ちゃんを治すために陰陽師界の頂点を目指していたら

リヒト
ファンタジー
 現代日本。人々が平和な日常を享受するその世界の裏側では、常に陰陽師と人類の敵である妖魔による激しい戦いが繰り広げられていた。  そんな世界において、クラスで友達のいない冴えない陰キャの少年である有馬優斗は、その陰陽師としての絶大な才能を持っていた。陰陽師としてのセンスはもちろん。特別な神具を振るう適性まであり、彼は現代最強の陰陽師に成れるだけの才能を有していた。  その少年が願うのはただ一つ。病気で寝たきりのお姉ちゃんを回復させること。  お姉ちゃんを病気から救うのに必要なのは陰陽師の中でも本当にトップにならなくては扱えない特別な道具を使うこと。    ならば、有馬優斗は望む。己が最強になることを。    お姉ちゃんの為に最強を目指す有馬優斗の周りには気づけば、何故か各名門の陰陽師家のご令嬢の姿があって……っ!?

異世界転移から始まるハーレム生活〜チートスキルを貰った俺は、妹と共に無双する〜

昼寝部
ファンタジー
 2XXX年、X月。  俺、水瀬アキトは戦争の絶えない地球で『戦場の悪魔』と呼ばれ、数多の戦で活躍していた。  そんな日々を過ごしていた俺は、ひょんなことから妹と一緒に異世界へ転移することになった。  その世界にはダンジョンが存在しており、ライトノベルなどで登場する世界観と類似していた。  俺たちはその世界で過ごすため女神様からチートスキルを貰い、冒険者となって異世界での生活を満喫することにした。  これは主人公の水瀬アキトと妹のカナデが異世界へ転移し、美少女たちに囲まれながら異世界で無双するお話し。

第2の人生は、『男』が希少種の世界で

赤金武蔵
ファンタジー
 日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。  あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。  ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。  しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。

素材ガチャで【合成マスター】スキルを獲得したので、世界最強の探索者を目指します。

名無し
ファンタジー
学園『ホライズン』でいじめられっ子の生徒、G級探索者の白石優也。いつものように不良たちに虐げられていたが、勇気を出してやり返すことに成功する。その勢いで、近隣に出没したモンスター討伐に立候補した優也。その選択が彼の運命を大きく変えていくことになるのであった。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺

マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。 その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。 彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。 そして....彼の身体は大丈夫なのか!?

処理中です...