迷宮アドバイザーと歩む現代ダンジョン探索記~ブラック会社を辞めた俺だが可愛い後輩や美人元上司と共にハクスラに勤しんでます

秋月静流

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3日目⑥

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「――という訳で、アイは俺の願望によって助言をしてくれる、迷宮アドバイザーとでもいうべき存在だ。ちゃんと理解したか?」
「うう……はい。
 誤解して騒いでしまい申し訳ありませんでした――」

 平身低頭。
 土下座でもしそうな勢いで俺とアイへ頭を下げる楓。
 さっきまでの泣き真似は鳴りを潜め、今は本当に泣き出しそうな顔をしている。
 まったく手間のかかる奴だ。
 こいつは昔から物事を早とちりで認識しがちなとこがある。
 無論、それが上手く働けば阿吽の呼吸に繋がるだろう。
 だが大概の場合いらぬ騒動へと繋がる事が多い。
 何かを判断する時は肯と否、両端の視点から考えろと教えてきたのだが……
 呆れた眼で楓を見ると伏せた目尻にはついに涙が光っていた。
 ……心から反省するから憎めないんだよな、こいつ。
 同じ事柄に関する失敗はきっちり学んで繰り返さないし。
 まあ、十代の女の子にそこまで責を負わせるのは酷か。
 俺が十代の若造の頃なんて、もっと馬鹿だったしな。
 元上司である瑞希さん達と行った愚行の数々が頭を過ぎる。
 思い返しても恵まれた学生時代だった。
 それに引き換え――
 両親の死という特大の都合で急遽大学を中退し働く事になった楓。
 明るい仮面(ペルソナ)の下へ巧妙に隠している傷つきやすい少女の一面がある事を俺は把握している。
 なので――あまり責め立てず軽く水に流すことにした。

「反省してるならよし」
「……本当っすか? 見捨てない?」
「勿論、見捨てない」
「良かったぁ……ありがとうございます」
「けど赦しを乞うのは俺だけじゃ駄目だろ?
 ちゃんとアイにも改めて謝罪しておけ」
「はい。
 アイさん……勝手に誤解して申し訳ありませんでした」
「いえ。私は全然気にしてはいません。
 謝罪するというのなら拒絶せず受け入れます。
 ただ、紫亜――
 と呼んでよろしいですか?」
「あ、はい。構いません」
「臥龍もですが、貴女も非常に個性的(ユニーク)です。
 むしろ適正でいえば臥龍より上かもしれませんね。
 だからこそ――今一度問います。
 貴女は【探索者】になる覚悟はありますか?
 願いを叶える代償として命を落とす可能性がありえます」
「ウチは――ううん、わたしはちゃんと覚悟してるよ?
 先輩に誘われた時から……
 その手を取ってここに来てから、運命を共にする事を。
 たとえ傷ついても――臥龍先輩の背中を守ると誓ったことを。
 もし戦いの果てに力尽きたとしても……きっと後悔はしない」
「了解しました。
 己に殉じるその覚悟、見事と称賛しましょう。
 現地雌成体:紫亜との契約完了。
 貴女をダンジョンに挑む【探索者】こと、通称【シーカー】と認めます」

 壮大なファンファーレや派手なエフェクトもない地味なやり取り。
 だからこそ自らの覚悟を問われる大事な契約は――
 今ここに、敢然と為されたのだった。


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