拾った剣が精神汚染して来るんだけど!?⇔拾われた剣、主に振り回される!?

ゆうきゅうにいと

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第8章 のろのろ帰還と運命の再会?

第001話 シャルロッテと探索者達

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「――ダールトン様?」
「……シャルロッテ様、流石にお手上げです。一商人の私には現状何も申し上げられません。精々本国に問い合わせるくらいですが、何をどう聞けば良いのか……、途方に暮れてしまいます」
 シャルロッテにとってリアースレイ精霊王国と言うのは清廉潔白ではないが大陸2大国家であるルードルシア教王国とラージヒルド商業王国すら歯牙にも掛けない異次元の力を持つ国で、此方に不利益を強要する様な小さな国ではないと言う認識であった。
 そんな国ですら求められかねないのがユニコーンと言う聖獣だ。立場ある者に興味を持たれればソレを求められる事も有り得る。そう言う存在なのだと言う事だ。
 ユニコーンの角やドラゴン素材も希少だがユニコーンそのものには敵わないと言う事だろう。
「――はぁ、やってくれたわね。アイリスちゃん」
 シャルロッテのこれまでの策謀が根幹から崩れかねない現状にシャルロッテ自身、足元が覚束なく揺らいでいくのを感じる程だった。
 思わず自身の体を抱き締める様にして恨みがましい視線をアイリスに向けてしまっていた。


 子供のアリアとカチュアですら異常事態と感じている中で、アイリスは1人ニッコニコである。
 自分でも乗れる馬? を手に入れたのだから当然だろう。子供のコクリコットですら乗馬を嗜んでいると聞いても怖くて挑戦する気は無かった。だが恥じだとは感じていたのだ。
 子供のユニコーンとは言え其処は聖獣、並みの馬を遥かに凌駕する能力を有しているのは間違いが無い。見た目も優雅だしアイリス的にも文句無しであったのだ。
 それが特大の爆弾であり、周囲が頭を抱えている事には感づいてない様であったが。

 その後飛空挺から籠を何度か昇降させて、ユニコーン達に運ばせた竜素材を回収させてから飛空挺でそのまま山の麓まで降りて行った。
「ダールトン様、取り敢えず連絡はメメントリア王国へお願いしますわ」
「ええ、担当が誰になるかはまだ分かりませんが伝えておきます」
「――アイリスちゃんの事だけど」
「はい、一度カントラス王国で降りて精霊神社の巫女に手紙を認めて貰えたらと考えております。それで何とか本国で上の方に取り次げられたらと――」


 シャルロッテ様は此処で降りるらしい。アーダルベルトさん達探索者組も一緒だ。ツェツェーリアさんはキーちゃんが好きで離れたくないとかなり駄々を捏ねてたけど、ナージャさんが撮ったキーちゃんの写真を現像してもらって何とか引き下がってくれたみたい。
 ――写真には俺も写っちゃってるんだけど良いのかね?
「ビアンカお嬢様、これから先はレイク達が護衛に就きます。腕は確かなので安心して下さい」
「ええ、宜しくお願いするわ」
「はい、任せて下さい」
 レイクは見映えが良いからな。シャルロッテ様に見劣りしないのは凄いよな。傭兵だった筈なのにビアンカお姉様を守る騎士みたいに見える。
『お主は傭兵どころか幼い深窓のご令嬢に見えるがの』ボソッ
『傭兵のコスプレなのー』ボソッ

「アイリスちゃん。1年経たずにレンリート伯爵領に帰る事になったけど、契約では一応1年間はビアンカお嬢様の付き人として雇われる事になっているわ」
「ん」コクリ
「やっと帰れるのだし、1ヶ月くらいなら休みを取っても良いけど。その後はまたビアンカお嬢様の所に行って欲しいの。領都だから妹さんの家とも近い筈だしね」
「ん、……分かった」コクリ
 シャルロッテ様が今後についての話しに来た。契約は大事だからな。俺も傭兵としてそこは分かっている。長期の休みが取れてねぇねの家と近い場所なら特に文句はない。契約が切れるまで4ヶ月ちょいだしな。
「あら、それなら私も一緒に雇ってくれないかしら? アイリスちゃんとはチームメンバーなんだし」
「あっ、ちょっと」
 そんな話しをしているとミリアーナがシャルロッテ様の腰に手を回しながら会話に入って来た。――あ、キスしそう。
「あ痛たたた! ちょっ、冗談だから! 頭がっ、頭が割れちゃう!!」
 そう思っていたらシャルロッテ様に額を鷲掴みされていた。命知らずにも程がある。こうなる事は分かっていただろうに。
『抱き付きに行った人が何言ってるなのー?』
 ん? 何が?? ああ、シャルロッテ様に挨拶したやつか? アレはナージャさんに教わった挨拶なんだぞ? シャルロッテ様も普通に受け入れていたじゃないか。頭撫でられたしな。
『『……』なのー』ジト目
「貴女の契約期間はアイリスちゃんと同じ筈だから、後はビアンカお嬢様と直接話しなさい。それじゃアイリスちゃん、気を付けてね」
 そう言って俺の頭を撫でて行ったよ。ほらね? 俺もギュッとしてお返しする。大人として挨拶は大事だからな。
『『…………』』
「もう、つれないわね。分かったわよ、またねシャルロッテ様」
「バイバーイ」
「バ、……バイバイ」
 ミリアーナがシャルロッテ様に別れの挨拶をしていたので俺も手を振って挨拶をしたら小さく手を振り返して去って行った。やっぱりシャルロッテ様は格好良いなー。
 俺は移動用カートに乗ったシャルロッテ様達が見えなくなるまでブンブンと手を振って見送った。

「ぷっ、……くくっ」
「――何がおかしいのかしら、ルトルートさん?」
「いや、だってバイバイって……、すんません」
 無理矢理アイリスに合わせて挨拶したのだがバイバイは恥ずかしかったらしい。シャルロッテの白い肌が仄かに赤らんでいた。
「……命拾いしたわね」ボソッ
((いや怖えよ!))
 飛空挺を降り立ったシャルロッテと探索者一行は、そのまま用意されていた馬車に乗り込み逆侵攻中のアデール王国中央部に進んで行く事になる。
 既に東部北部は掌握済み。南部貴族も動かない様に確約してある。西部貴族は対カントラス王国の警戒が必要で動けない。後は中央を抑えるだけ。
 ――そんな状況の中でシャルロッテはアデール王国との戦争よりアイリス絡みのトラブルに思案していた。
 フォーシュレーグ王国レンリート伯爵家次男のラウレスと婚約する第3王女エミリアーナ様は好奇心旺盛、行動力の塊だ。アイリスちゃんともユニコーンとも会わせる訳にはいかない。
 1ヶ月は休みを付けたしミリアーナにナージャ、ヴェルンも護衛に付ける様にビアンカお嬢様には言っておいたから、その間に適当な仕事でも見繕って引き離してくれるでしょうけど。
 一応(ビアンカの母親の)アネモネ様は王妃様から第3王女エミリアーナ様の教育係を仰せ付かったから任せられるんだけど、懸念もあるのよね。
 ユニコーンがまだ小さい子供だから馬車の中に入れて移動出来きたんだけど、隠して住まわせる事が出来るのがそのエミリアーナ姫も居るレンリート伯爵家しかないのよね。
「エミリアーナ姫と会わせると何が起こるか分からない。上手く躱せると良いのだけど、皆に任せるしかないのは歯がゆいわね」

 そんな思案に耽るシャルロッテとは別に先頭の馬車にはアーダルベルトとルトルートが乗り込んでいた。
「これで本当に最後になるかねえ?」
「不吉な事言うなよルトルート」
「まあ愛し子ちゃんと別れたのは良かったんじゃね? どんな爆弾落とされるか分っかんねえモン」
「……そうだな」
「替わりにおっかねえ人が付いて来たけど」
「そうだ――、って何言わすんだよ!」
 馬車の中、シャルロッテとは別の馬車なのにアーダルベルトは恐る恐るシャルロッテが乗る後ろの馬車を警戒してしまった。
「ったく、懲りねえなお前は」
「まあまあ、今はそれよりツェツェーリアだろ。お前んトコのメンバーなんだからちゃんとフォローしておけよ」
 ツェツェーリアは写真を貰っていても、やはりユニコーンとの別れを引き摺っていたのだった。
「レーディアに任せるよ。ああ言うのは下手に関わるもんじゃない」
「何だよ詰まらん」
「お前俺で遊ぼうとしたな? シャルロッテ様をおっかないって言ったのチクられたいのか?」
「止めろよ! 洒落になんねえだろ! ミリアーナなんてアレ、本気で頭割られそうになってたんだぞ!?」
 同じ女でアレなんだから男のルトルートでは本当に殺されかねない。そう思ったルトルートは割りと本気でアーダルベルトを止めにかかるのだった。





 第8章始まります。引き続き読んでくれると嬉しいです。




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