拾った剣が精神汚染して来るんだけど!?⇔拾われた剣、主に振り回される!?

ゆうきゅうにいと

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第8章 のろのろ帰還と運命の再会?

第017話 香り高い者達(笑)

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 そうして次々と治療を受けて仲間達が回復していくがトラブルが起きた。
 何故か回復した者達が仲間の下ではなくアイリスの側から離れない。そこで何か怪しい魔法か何かで隷属しているのではないかと疑惑を持たれてしまい治療は一時中断となってしまったのだ。
「でしたらエミリアーナ姫に治療を受けて頂き判断を仰ぎましょうよ!」
「姫様にこんな状況でそんな怪しい魔法など受けさせられる訳が無いだろうメルティナ!!」
「怪しい魔法等ではない!! 私が保証する! 皆んな安心しろ!」
「デイジー副隊長! 貴女が真っ先に魔法を受けていたでしょう! 信じられません!!」
「なっ!?」
 そして喧騒の中メルティナが香り高い者達(笑)に捕まってしまい尋問を受ける事になった。
 しかし治療を受けた誰もメルティナを香り高い者達(笑)から助け出そうとはしなかった。その集団に飛び込む勇気が無かったのだ。
「ぎゃー! 何で私が!? 爵位ですか!? やっぱり男爵なんてなんちゃって貴族の娘だからですかぁああああーー!??」
「違うっ!! 姫様の前で我等は平等だ! あの誓いを忘れたのか貴様は!?」
「単に貴様が鈍臭いのだ! さあ尋問してやるから覚悟しろ!!」
「ひいーーっ! 止めて下さいーー、誰か助けてぇえええ!!」
 メルティナの叫びに治療を受けたデイジー達はただ視線を反らすだけだった。
 ――しかし尋問するまでもなくゲロった。香り高い者達(笑)に囲まれ鼻をつまみ涙目で叫んだのだ。
「臭いですぅううううう! 無理ぃーーーーっ!!!」
「「「「――っ!?」」」」
『茶番じゃのう。主よ、奴等の頭だけバブルクリーンを掛けてやるのじゃ』
「リリィ? 何か考えがあるのですね? 分かりました」
『相変わらずネネェ達の魔力で性格変わるなのー』
 メルティナの言葉にピシリと凍り付く香り高い者達(笑)。地獄の様な空気の中、白いお湯がメルティナ達の頭をゆっくりと被っていく。逃げ出そうとする者達はリリィとネネェが念動魔法で動けなくしていった。
 しかし今までのアイリスの治療を見て来てそれが危険が無いモノと分かっている為、逃げようとする者は意外と少なかった。それが人を綺麗にするモノと分かっていたからだろう。
 ――だが彼女達はすぐにその判断が過ちであった事に気付いた。

 頭だけなのでほんの十秒程でバブルクリーンの洗顔洗髪を終えた。息を止めていた彼女達は一斉に息を吸い込み叫ぶのだった。
「「「「臭あっ!!?」」」」
「えっ!? 何コレ! 酸味がキツい! 臭いっ!!」
「うっく! 魔物の体液か!? 臭過ぎるわ!!」
 そう、頭部だけ洗ったので鼻が効く様になったのだが、体は匂うままなのだ。まさに阿鼻叫喚だろう。そしてその混乱の合間を縫ってメルティナはデイジーの居る方へ逃げ出した。
「ひいーー、うう~、酷い目に遭いましたぁ。吐きそうですデイジー副隊長~」
「…………お前……」
 少しは言動を遠慮しろ。と思ったが時既に遅しだろう。
「これで我々が洗脳など受けていない事が分かっただろう」
「わっ、分かった。だから早く話しを進めるぞ!」
 本心では自分達も身体中綺麗にして欲しかった。しかし仕えるエミリアーナ姫が未だ治療を受けて居らずに待っているのだ。そんな事を頼める筈が無い。
 だから一刻も早く全員の治療を終えさせ体を洗って欲しいのだ。そして難題なのはエミリアーナ姫の治療をどうするかの議論だ。

「姫様に対して反意が無いとも言い切れません。姫様を治療するのであれば武装放棄は勿論、身動きが取れない様に拘束しておく必要もあるのではないでしょうか?」
 と言う言葉が出たのだがレイクは当然拒否、先程と同じ話しなのでそれは分かっている。
「姫様以外を先に治療すると言う訳にもいかないですし」
「当たり前です。本来なら治療出来ると分かった時点で最優先で治療を受けて頂くものなのですから」
 重症度順とエミリアーナが決めた事にも不承不承であったのに更に後回しにする等不敬が過ぎるのだ。
「やはりエミリアーナ姫にお伺いするしか無いのではないでしょうか?」
「姫様は受け入れるだろうが、それで万が一の事があった場合どう責任を取ると言うのだ?」
「うーん、どうしましょうか?」
「貴様等っ! 真剣に考えているのか!?」
「当たり前じゃないですか? いきなり何を言うんですか」
「姫様は今も苦しんで居られるのだぞ!? 一刻も早く治療させるべきであろう!! 何を悠長な話し合いを続けているのだっ!!!」
「「そうよそうよ!」真剣に話し合いなさいよね!!」
 全身洗われて余裕がある者達と、頭だけ洗われて鼻が曲がる思いをしている者達とで若干溝が出来ていそうだった。
「どのみち信用するしか無いのではないかしら? あの方も折れそうに無いですし」
 そう言われて見られているのは見た目イケメン貴公子のレイクだ。
 ――因みにアイリスに全身洗われた者達以外は近寄れずにいた。こんな仕事をしていても彼女達は貴族の令嬢、人並み以上には羞恥心があるのだ。
 そうして紆余曲折ありながらも結局アイリス達を信用するしかないと判断された。勿論エミリアーナ姫に判断を仰いでの事である。
 そうと決まればエミリアーナを担架に乗せて素早くアイリスの下へと届けていく。皆慣れたモノである。
 エミリアーナの他にも5人程治療待ちの者達も居て、香り(笑)の事もあり運び出すのに非常に耐え難い思いをしたのもその素早さの一因であろう。

 そんな中エミリアーナは当初の絶望感など忘れ去り、今は期待に胸を膨らませていた。
 噂の聖女とはどんな姿なのか。どんな魔法を行使すれば聖女等と呼ばれる様になるのか。魔物の毒には効きづらいと聞く回復魔法でどの様にして治療するのか。
(ああ、こんな事なら重症であったメルティナの治療を見てみたかったわね)
 従来の好奇心が刺激されて目を爛々とさせていたエミリアーナだったが、実際のアイリスを見て固まった。
 巫女モードになっていたアイリスはリリィとネネェから惜しみなく清浄な聖素を供給され続けていて、エミリアーナを初め皆がまるで精霊樹を前にした時の様に神聖さに当てられた状態になってしまっていた。
 隣のレイクもかなりのイケメンだが流石にアイリスの醸し出す神秘的な雰囲気にエミリアーナの視界にも入らなかった。
(それに、子馬!? アレが馬?? 角もあるし、……小さいけど幻想的で、何て美しい姿なの!?)
 アイリスと共にレイクの逆隣りに居た聖獣ユニコーンのキーちゃんにも目が釘付けになる。
 この世界の一般的な馬は見た目はサイに近く、実際のサイとは違い動きは鈍重だ。軍馬ですらも大きさ、頑健さを重視した馬でユニコーンの美しさとは掛け離れている。
(あの頭にある美しい角、まさか伝説のユニコーンだとでも言うの!??)
 エミリアーナが驚愕に陥っている中でアイリスは構わず治療を進めて行った。素早くバブルクリーンで身綺麗にしてから麻痺を取り去り怪我を治して終了だ。

 エミリアーナはアイリスとユニコーンに対する余りの驚きに、あっさりと治されてしまった自分の体やバブルクリーンについてはそう言うモノだとただ受け入れるだけだった。
 わっ! と歓声が起こり同じく治療を受けた者達はエミリアーナを取り囲んで喜びの声を上げていった。
「エミリアーナ姫様! ご快復お喜び申し上げます!!」
「う、うむ、デイジー。心配掛けたな。皆も、私はもう大丈夫だ」
 ひとしきり歓待を受けた後、後ろに控えていた怪我や麻痺を受けなかった者達の下へ向かう。
「お前達にも心配を掛けたな。お前達が無事だったからこそ救援が来るまで魔物から守られ生き長らえる事が出来たのだ。私はお前達が誇らしいぞ」
「あっ、有り難うございます姫様!」
「「「有り難うございます!!」」」
 エミリアーナ姫の言葉に涙ぐむ皆んなだが、駆け寄る事はせずその場で跪いた。側に寄って自分達の仕える姫様に匂いについて触れられたくなかったのだ。
 しかし残念ながらエミリアーナの方から近寄ってしまった。慌てて止めようとしたが少し遅かった。
 ――そこは既にネネェのそよ風の範囲外だ。
「うん?――お前達臭いな」
 どうやらエミリアーナの淑女教育は足りていなかった様である。




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