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第8章 のろのろ帰還と運命の再会?
第018話 合流、即帰還??
しおりを挟む「そうですよね!? 臭いですよね!? なのに皆さん酷いんですよ!! 私を引きずり出して尋問だと言って取り囲んでっ!! 皆さんの余りの臭さに吐きそうになり」ゴンッ
「痛ったぁ!? ――何をするんですかぁデイジー副隊長ぉー!」
「アレはお前が悪い」
「なっ、何でですか!?」
「簡単に捕まる様な所でふらふらしていた上に本当に取っ捕まった。どん臭さ過ぎるぞ。改めて徹底的に鍛え直しだな」
「いやいや、私魔法使いですし! 弓の名手ですし! 遠距離専門ですから要りませんよ!?」
「そう言って近接戦闘の鍛練を怠った結果、接近された魔物に対処出来なかったのだろう。一番の大怪我を負っておいてまだ不要と言い張るか!?」
「――っ! うぐぐ~、言えません~~」
「それに思わず出てしまうのなら兎も角、仲間の女性に対し良くも臭い等と言えたモノだ。――メルティナには淑女教育も必要だろうな」
「ふええぇ~、それが嫌で実家から逃げたのに~」
崩れ落ちるメルティナだが誰も同情しなかった。普段は年下と言う事もありその明るい性格から皆に可愛がられているのだが、それがこの結果かと甘やかし過ぎたと皆が考えを改めたのだ。
これからのメルティナには茨の道が待ち受けている、のかも知れない。
「済まんな。私も失言だった。許せ」
「いえ! 姫様が謝る事等ありません! 私達も分かっておりますから!!」
「うむ、そう言ってくれると助かる。お前達も身綺麗にして欲しい所だが、まずは残りの怪我人の治療が先であろう。魔物が発生してもいかん。残りは全員運び出してしまえ」
「「「「……はっ!!」」」」
邪素の多い迷宮では魔物が自然発生していく事が知られている。但し人が近くに居ると人の魔力で邪素が散らされて発生し辛くなる事も知られている。
大丈夫だろうとは言え、身動き出来ない怪我人だけをひとまとめに放置しておく理由にはならない。万が一と言う事もあるしその不安を感じさせたままにする意味もない。
返事が遅れたのは彼女達も鼻が効く様になっていた為、中に行くのがキツかったからだ、残念。
その後も治療を続け、癒し、身綺麗にしていく。最後に治療の必要無しと言っていた者達にも小さな怪我はあったので回復魔法を掛けつつ改めて全身にバブルクリーンを掛けていった。
「ふぅ、終わりました」
「プルルゥ『お疲れーー』」
アイリスを労う様に頬を擦り付けていくキーちゃんに寄り掛かる様に抱き付いた。
50人近い人数に治療と洗浄をしていたのだ。リリィ達の魔力で聖女モードになっていたので、魔力は絶えず補充されていたが精神的には疲れ果てていた様だった。
白銀騎士隊の少女達が喜びを分かち合っている中、エミリアーナがデイジー達数人を引き連れてアイリス達の下にやって来た。
「お前達も大義であった」
「構わない。俺達は依頼を受けただけだ」
レイクの物言いに不快感を持つ者もいたがエミリアーナが抑えた。迷宮や魔の森などで今までも学の無い者達の無作法など何度も見て来ているからだ。
「そう言うな。地上に戻ったら褒美は期待して良いぞ」
「依頼料はギルド長から貰うから必要ない。どうしてもと言うのなら依頼したビアンカ様にでもすれば良い」
「ビアンカ? ……確かレンリートの娘だったか?」
「レンリート伯爵家の3子、長女のビアンカ様ですね。次男のラウレス様と婚約なされたらエミリアーナ姫の義妹となります」
「そうか、それはちょっと楽しそうだな」
そのくらい知っておけ、と言うデイジーの視線も意に返さずエミリアーナは笑みを溢した。
「それはそうとお前達。そこの、……ユニコーン? だな。ソレも含めて皆私の配下になると良い」
「うん? ……嫌だが?」
「なっ、何でよ!!」
「仕える相手は決めているからだ」
自信満々に勧誘するエミリアーナだがその価値が分からないレイクは首をかしげながら拒否をした。
エミリアーナの創った白銀騎士隊は女性だけの騎士隊だ。その騎士達は幾ら腕が立って顔が良いからとレイクを勧誘するのはどうなのかと言う思いと、あっさり断ったレイクに憤りを感じていた。
勿論見た目の良さに惹かれ断られたのを残念そうにしている者達も居たのだが。
「お前、口の聞き方を気を付けなさい。流石に無礼が過ぎるわよ。その実力なら指導役に丁度良いかと思ったのだけどまあ良いわ。私の本命はそこの少女とユニコーンよ!」
ビシッと指差す先には寝転がるキーちゃんに抱き付いて眠りこけるアイリスの姿があった。
(少女? ……いや、確かにアイリスさんはシラルの町で一時女装されていた時があったな。髪も伸ばしているしそう言う作戦かも知れない。俺が勝手に何か言って良い事では無いか)
アイリスはシラルの町でルードルシア教王国ラージヒルド商業王国からの追跡から逃れる為に、金髪のカツラを付けて女装させられていた事があった。
今髪を伸ばしているのもその時の聖女騒ぎの時から見た目を少しでも変える為であった。
「悪いがあの方々の勧誘は保護者同伴にしてくれ」
「――保護者?」
「シャ、……レンリート伯爵だ」
「レンリート伯爵ね。まあ良いわ。いざとなればお父様の助力を得ましょう」
エミリアーナは青い髪と目をしていて胸のサイズは平均的だが女性としてはやや背が高く170cmあり、猫を思わせる様な可愛らしい顔立ちをしている。
剣と魔法に長けていて、鍛練の所為かビアンカと同じ14歳の少女だが体つきは少々逞しい。
そんなエミリアーナだが今は肩まである髪を後ろで束ねて、アイリスとキーちゃんの前でしゃがみこんで興味津々で見つめていた。
「か、可愛いわね」
「はい姫様。まるでぬいぐるみを抱いて寝ている様です。――ですので寝かせておいてあげましょうね?」
「わ、分かっているわよ」
口を尖らせて拗ねた様に言うエミリアーナだが今さっきキーちゃんにもたれ掛かって寝ているアイリスを起こして勧誘しようとしていたのだ。流石に自分達への手当てで魔力を消費して疲れて寝ているのだから止めて下さいと周りに止められていたのだが。
「アイリスちゃんご無事ですかぁああああーーーーっ!!」
レイクがエミリアーナ達のもとへ辿り着いて3時間半程、17時頃になって漸くナージャ達が到着した。何度か小休止を取ってはいたが、これでも最高に急いで来たのである。
――重装備でアイリスを抱え、その半分の時間で辿り着いたレイクが異常なのだ。
ボロボロになったナージャがふらふらとアイリスの下へと近付こうとする。名前を呼んでいた事から知り合いだろうと白銀騎士隊の面々はその異様に引きながらも道を開けていった。
ユニコーンを抱き締めながらスヤスヤと眠るアイリスを見て、ボロボロと涙を流しながらカメラに収めていくナージャ。カメラを知らない為、何をしているかは分からないが周りはドン引きしていった。
レイクは大剣を背負ってアイリスを抱っこして走るのだから走り出した当初こそいづれ追い付けるだろうと考えていた。しかし幾ら追い掛けても全く影も見えない状況が続きナージャは焦っていった。
次第にそれが焦燥感となって襲い掛かってきたのだ。
一緒に追い掛けていたメンバーも無理に付き合わされ、迷惑でしかなかったであろう。
「怪我の、ハアハア、治療も、ハア、ハア、終えたのか?」
「ああ、お前達の到着を待っていたんだぞリック。さあ帰るぞ?」
レイクはナージャ達が到着するのを今か今かと待ち望んでいた。アイリスとキーちゃんは我関せず眠りこけているが、レイクは護衛の為側に立ち続けていたのだ。
そこに王女と騎士隊の面々、50人近い少女達に囲まれていて非常に居心地が悪かったのである。
「いやっ、バカかお前っ! ハアハア、無理に、ハアッ、ハアッ、決まってるだろ! クッ! ハアッ、ハアッ、今までッ、走り詰めだったんだぞ!? 殺す気か!!!」
小休止はあったもののナージャが余りにも急かすので皆休憩を最低限にして走り続けたのだ。リックもトマソンも皆息も絶え絶えだ。
エミリアーナ姫の為かと思って誰も文句も言えずに走って来たのだが、着いてみればナージャはアイリスに釘付けでエミリアーナ姫に見向きもしてない。
余りに無礼が過ぎるとナージャに代わりヴェルンが頭を下げているが同情しかない。巻き込まれた皆がナージャに恨みがましい視線を送るが、この異常者には何を言っても無駄だろう。
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