拾った剣が精神汚染して来るんだけど!?⇔拾われた剣、主に振り回される!?

ゆうきゅうにいと

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第8章 のろのろ帰還と運命の再会?

第022話 姫様の要望とビアンカの成長

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 探索者ギルドの一階ホール、皆が見ている場でユニコーンについて問い詰めてくるエミリアーナだが、のらりくらり躱していくビアンカに次第に語気が強くなっていった。
「だ、か、ら! どうしてその子とユニコーンが貴女に懐いているのよ!?」
「ふう、……大衆の面前で騒ぎ立てるだなんて、一国の姫ともあろうお方のする事ですか? エミリアーナ姫?」
(アイリスちゃんとおとぎ話に出て来る様なユニコーンを同列扱い、……するだけの事をしてしまったのねアイリスちゃん)
 アイリスの事でちょっと遠い目をしそうになったビアンカだが、公衆の面前で大騒ぎして問い正そうとするエミリアーナに対して何とか気持ちを落ち着かせてあしらっていた。
「そんな事どうでも良いのよ! そんな神聖な気配を漂わせてるユニコーンに懐かれて平然としてられるなんて、貴女何かしてるんじゃないの!?」
「その様な事ありませんわ。私自身困惑しておりますし」
 と言うか本当に困惑しかないのよね。多分アイリスちゃん絡みが原因でしょうけど。
「ぐぬぬ、……羨ましい! 私が幾らかまっても全然懐かないし近寄れないのにいーーっ!!」
 ……既に色々やってたのね。て言うか何かしてたとしてもこんなギルドのホールで衆人環視の中で話せる事じゃないでしょうに。
 それにしても本当に欲望ダダ漏れですねこのお姫様は。流石は突撃姫と呼ばれて何処ぞの愚王と並び称されるだけはあるわ。
 ――思っても口には出せないけど。
 エミリアーナは突撃姫と呼ばれる事には自覚もあるし、それに対しては気にしていない。――けどそこにアデール王国の愚王を並べるのはこの国で禁句となっている。
 厚顔無恥、傲慢で怠惰な醜いオークだなどと周辺諸国で揶揄されている愚王と並び例えられるのは、流石にエミリアーナであっても嫌だったのだ。
 実際にそれを口にした貴族が閑職に追いやられたり、消息を絶ったりしている程だったりする。


「さて、――どう言う事か教えて貰おうかしら?」
 エミリアーナ姫が泊まっている部屋の一室で、ビアンカを交えて改めて会談が行われていた。
 と言うのもビアンカの呆れの混じった視線に気付き、周囲を見渡して場を変える事にしたのだ。
 愚王と違って多少は空気を読めるエミリアーナだった。
「此処なら人払いも出来てるし話せるでしょ?」
「そう申されても、私にはこれ以上何も答え様がありませんわ」
「――はあ。全く、レイクにしろ貴女にしろ、私の言う事を聞かない者達ばかりで困ったものよね」
 寧ろ今現在、目の前のお姫様に困らされてるのは私の方なんですけど? この姫様、結局何も諦めてないじゃない。
 なのにまるで私の方を困った奴扱いしてくるなんて、ちょっと腹立たしいわね。
「そう申されましても。私も今まで近寄れもしませんでしたし、何か特別な事をした覚えもありません。此処までの移動中も馬車を別にしてましたし、皆と同じ様に遠目で見る程度でして、共に迷宮にも潜っておりませんから突然の事に私も驚いているんですよ?」
「心当たりは無いと?」
「ええ、残念ながらありませんね」

 ビアンカのユニコーンに関しての考察は「アイリスちゃんに認められればユニコーンに触れられると言う事かしら?」と言うモノだった。
 だがそんな推論を出されればこの突撃姫はアイリスごと取り込もうとするだろう。なのでエミリアーナに伝える訳にはいかないと判断したのだ。
「んん~、……まあ良いわ。納得いかないけど納得してあげる」
「……有り難う御座います」
「それで、あの子。アイリスちゃんを私の白銀騎士隊に頂戴」
 何でそんな結論になるのかっ! 全然納得していないじゃない!!
 あの子に直接聞いて、と言いたい所だけどアイリスちゃんならお菓子とかで簡単に騙されてしまいそうね!
「それは私に言える事ではありませんわ。どうかお父様とご相談下さい」
「それはビアンカ自身の事も? 私ビアンカの事も買っているのよ?」
「それは大変光栄ですが。私は戦える訳ではないので、足を引っ張ってしまいますからご遠慮させて頂きますわ」
「構わないわ」
 私が構うのよ! 誰もがエミリアーナ姫の白銀騎士隊に憧れている訳ではないのよ!?
「戦えもしないのに姫様の騎士隊に身をおけば、少なからず不和が起きてしまうでしょう。ですので残念ながらお断りさせて頂きます」
「大丈夫よ。ねえ貴女達?」
「「「はっ」」問題ありません!」
 って殺気立って言われてもねえ。姫様への忠誠心が高いと言うか。
 でも遠回りどころか真正面から断っているのにこうも引き下がってくれないなんて、これもアイリスちゃん効果かしらね?
 いやまあ、突撃姫らしいと言えばらしいからエミリアーナ姫の特性の方かしら。
 ――何でもアイリスちゃんの所為にすれば良いと言う訳じゃないか。

「結局、姫様が求めているのはあの子達だけではないのですか?」
「……んー、貴女が欲しいのは本当よ? 私に諫言出来る人間は貴重なの。皆んな忠誠心が高いのは良いのだけど、私に意見出来る子は居ないからねえ?」
「戦いに不慣れな私が正しい判断など出来様はずもありませんわ」
「でも貴族としては民の為に剣となり盾となる事も必要になるのではなくて? 不慣れなままでいる事も無いでしょう?」
「民の為? ――エミリアーナ姫に迷宮で何かあれば、その民が責任を取らされていた可能性があったのですが?」
「ぐっ」
「そもそも10階層までと言う約束を破った所為で、多くの民に負担を掛けましたよね?」
「ぐぐっ。――中々言うわね貴女」
「はて? 姫様は私に諫言をして欲しいのではないですか?」
(言った! 確かにそう言ったけども!!)

「姫様の言う剣や盾ではないですが、私も敵国アデール王国を初めカントラス王国やメメントリア王国、タヒュロス王国などと政の世界で飛び回っておりますから、私なりの戦いをしているのですよ?」
 実際自国の姫を相手にこれだけ落ち着いているのはその経験が大きいと思うわ。
 獣人の方々や此方を下に見る敵国の王族貴族達、それから友好国になりそうな令嬢達との交遊が活きているのね。
(パーティー狂いのただの令嬢ではないって事ね。本当にちょっと欲しくなって来たわね)
「エミリアーナ姫は私に政争をさせたい訳ではないのでしょう?」
「それは、……そうね」
「私の戦場は政治の場なので、恐らく姫様方を私の政争に巻き込んでしまうと思いますわ」
 嘘です。シャルロッテの政争です。まあシャルロッテは戦っても強そうなのだけど。
「それは、確かに良くないわね」
 エミリアーナ姫の取り巻きは下位貴族の令嬢が多いですからね。シャルロッテの政争に巻き込まれたら姫様でも守りきれないでしょうね。
 でも何かしら? 白銀騎士隊の面々の私を見る目が変わっている様なのだけど?

 普段から身近に接している親しい関係ならまだしも、辺境にあるレンリート伯爵家とフォーシュレーグ王家とは距離があり、エミリアーナ姫とビアンカ嬢も王家のパーティーで会った事があるかどうかと言う程度の筈だ。
 それでも我が道を行くエミリアーナ姫に辺境の伯爵家の令嬢が堂々と渡り合っている。
 それどころか更に堂々と言いくるめてしまうビアンカに対し、白銀騎士隊の面々は政治の世界で生きる大人の高位貴族を幻視した。
 それは彼女達に嫉妬や恐れよりも憧憬を感じさせたのだった。――何時もエミリアーナの暴走に困らされているのも大きいだろう。
「はあ、流石は『暗躍者』の娘よねえ? 一筋縄じゃいかないわ」
「……あ、暗躍者?」
「あら? 貴女自分の父親のあだ名を知らないの?」
 そこでエミリアーナから知らされたのはリアースレイ精霊王国との関係や他領との揉め事、更に戦争などと様々な事柄でフォーシュレーグ王国の重鎮達の反発を抑え込んで自身を評価をさせた事から、フォーシュレーグ王国の王城で父親のグランツは『暗躍者』と影で呼ばれ、恐れられていると言う話しだった。
(それ、全部シャルロッテの暗躍だから!)
 ――得意気に語り続けるエミリアーナを何とも言えない表情で見るビアンカだった。

「ところで貴女、随分肌や髪の調子が良さそうね」
 エミリアーナの言葉にピシリと表情が固まるビアンカ。
 ビアンカはアイリスからの度重なる美容魔法によってツルツルピカピカになっている。進んで魔物に突撃していく突飛な姫とは言え女性としては無視出来ない事だった。
 現に口にしたエミリアーナ姫だけでなく、白銀騎士隊の面々まで獲物を見る様な目に変わっていた。先程の憧憬は何処かに行ってしまった様だ。
 ――ビアンカの苦難の時間は今暫く続きそうである。




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