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第8章 のろのろ帰還と運命の再会?
第023話 再会、シラルの町の同郷
しおりを挟むさらりとビアンカがエミリアーナ姫からの勧誘を躱していた頃、アイリスは一息付いてから何とかキーちゃんに乗れないかとギルドの鍛練場に行こうとしていた。
キーちゃんもアイリスを乗せたがっていたのでノリノリである。
一応レイク達もお目付け役として同行している。アイリスには内密にシーラがレイク達を付けていたのだ。
一階まで階段を下りるけど階段が苦手そうなキーちゃんが思いの外苦にせず昇り降りしている。俺よりスムーズだ。鞍が出来たらキーちゃんに乗って階段を使おうかな。
「あっ、アイリスちゃん! こっちこっち!!」
受付嬢のカリンが呼ぶ声に振り返ると何となく見知った様な顔が並んでいた。
『何を言うとる。シラルの町を出る時にチームを組んでおったコレット達じゃろ? 何で此処に居るのかは知らんがの』
おお、コレット!! シラルの町でスタンピードが起きた時に助けてから暫く一緒にパーティー組んでいたんだよな!
『……その後はお主の方が世話になりっぱなしじゃったがの』ボソッ
『つまり何時も通りなのー』ボソッ
トテテっと駆け寄ってギュッと抱き付く。コレットは150cmくらい、頭一個分背が高いから見上げてしまう、けど確かにコレットだ。
「えっ、ええと。アイリスちゃん、だよね?」
「ん!」コクリ
「そうですよね? アイリスちゃん前よりもっと可愛くなってますよね!? 私もビックリしちゃいましたもん! 何でか髪もこんなに伸びちゃってるし艶々サラサラで、妹さんかと思っちゃいましたよ!」
カリンが何か言ってるけど今はコレット達だ。懐かしいな。
コレットは3人組のチームのリーダーだった娘だ。茶髪のポニーテールで片手剣に小楯装備で鍛練ではちょっと攻撃的で危なっかしい所があったっけな。
ほんの少し、短い間だったけどシラルの町での思い出らしい思い出と言ったらこの娘達との思い出くらいしかないのだ。後傭兵ギルドに紹介してくれたエリックも居たけど。
「ぐすっ。エヘヘ、……コレット」
思わず懐かしくなって涙ぐんでしまった。これは大人らしくないな。もっとギュッとして誤魔化そう。
「ちょっとコレット! 何時まで抱き合ってるのよ! 私も私も! ほらアイリスちゃん、ラビィちゃんだよー?」
そう言ってラビィが両手を広げて笑顔でこっちを見てる。これはラビィも挨拶して欲しいって事かな? 甘えん坊だな。仕方のないヤツめ、強めにギュッとしてやる、ギューっだ。
「おうっふー、ほっほっ。可ん愛ぃいいー」
「ちょっとラビィ、女の子が出しちゃイケない声出してるよ」
うぐっ、逆におもいっきり抱き締められる! ラビィは赤いセミロングの髪で頬にそばかすがあっておっぱいが少し大きい娘だ。今ならそばかす消せるけど後で聞いてみるかな?
この娘もコレットと同じくらいの背の高さで短槍使い、明るい性格の反して戦いでは慎重なタイプだったな。
「ラビィ交代」
「あ痛、ちょっ!? 髪引っ張らないで!」
最後はルルだ。ラビィが何時までも撫でくり回してくるので痺れを切らしたのだろう。
「ルル」
「ん、ルル」コクリ
ギュッと抱き締め合う。ルルはスタンピードの時に大怪我していた娘で俺が治療した娘だ。
ルルは黒髪ボブカット、片手剣と小手を使っていたけどリリィのお陰で魔法の才能があるのが分かって鍛え初めていたんだよな。今はどうなっているのか興味がある。
割りと無口で口下手な所は共感が持てるし背が小さいの、も……?
「ふっ、――ルルの勝ち」上から目線
がーーん!? 同じくらいだったのにちょっと目線が上になってる!?
何時の間にか俺が一番背が低くなってしまっていた。
くっ、俺の頭を撫でながら勝ち誇るルル。これでは俺が可愛がってあげてるのに何故か可愛がられているみたいに見えてしまうじゃないか!!
『『…………』』ジト目
屈辱に耐えながら横を見上げる。コレット達と一緒に背の高い女の人が居たのだ。新しい仲間かな?
「タニアさんだよ? アイリスちゃんと別れてから組んだの。冒険者でランク5だったんだけどね。今は傭兵になってるのよ?」
ランク5!? レイク達のランク6には及ばないけどミリアーナやナージャさん達より上って事か。冒険者でもかなりの上澄みの筈だ。そんな人がコレット達の仲間になっていたのか。
改めて見ると本当に背が高い。シャルロッテ様と同じ185cmくらいかな? ミリアーナくらいの爆乳も持ち合わせている。まあシャルロッテ様程じゃないけどな、ふふん。
『何故お主が得意気??』
『主が分からないなのー』
冬が近い事もあって皆んなそれなりに着込んでいるんだけど、それでもガタイが良いのが分かる。持ってる武器からして重そうなハンマーで、俺なら振り回す処か持つ事も出来そうにない重量武器だ。
「あー、覚えてないか? アタシはシラルの町のスタンピードの時に背中を切られてアンタに助けられたんだが……」
膝を付いて頭の位置を同じくして話し掛けて来たタニアさん。あの時はいっぱい治療したからなあ。
『お主覚えとらんのか? 防具屋でも会っておるじゃろ。そこで背中の傷痕を消してついでに目と膝を治してやったのじゃ。代わりに防具代を出して貰っておったがの』
「? ――カリンと、買い物」コテリ
「っそうそう、私とアイリスちゃんがデートした時に会ったのよね!?」
デート?
「「デートじゃない!」」「ない」
「ははっ、覚えていてくれたか。アタシはアンタに命を救われた。コレット達がアンタを追い掛けると聞いてアタシも恩返しがしたくてな。一緒のチームを組んで貰う事にしたのさ」
「タニアさん、アンタじゃなくてアイリスちゃんだよ?」
「うっ。いやアタシがちゃんっておかしくないか?」
「前まで聖女様聖女様って言ってたじゃない」
「それは……、男で歳も上で、35歳だなんて思わなくて、どう接して良いか分かんないんだよ」ボソッ
?? コテリ?
タニアさんは何かボソボソ言っているけどしゃがんでいる内に挨拶してしまおう。皆んなと同じ様にギュッとして抱き付いておく。
立たれてからだと顔も見れないし、かがんで抱き締められると胸で圧迫されかねないからな。――ふふっ、出来る男と言うのは先を読むのだよ。
『出来る、……男……』ジト目
『主は相変わらず凄いなのー』
「ブルルゥ?『リリちゃーん、僕に乗るんじゃないのー?』」
「あ、……キーちゃん」
皆んなと話している間に周囲に人集りが出来ている。キーちゃんが注目を集めてしまった様だ。乗馬どころでは無くなってしまったな。
「プルゥ!『ええーっ!』」
そう話したらキーちゃんプンプンである。
でも仕方ないから結局割り当てられた俺の部屋に皆んなで行く事になった。俺の部屋はキーちゃんの事もあって大きな部屋を割り当てられているからな。
レイク達は入らなかった。護衛の仕事として外で待つらしい。そう言えばキーちゃんに乗ろうとした時も付いて来てたっけな。ユニコーンは聖獣だし護衛を付けない訳にもいかなかったんだろう。
『『…………(お主の護衛でもあるのじゃ)』』
「そっかー。領主様のお嬢様の使用人になる依頼を受けてるんだぁ」
「ん」コクリ
キーちゃんの聖素が畏れ多いらしいから、俺は隅っこでキーちゃんを抱き締めて慰めるている。よっぽど俺を乗せたかった様だ。気の毒な事をしてしまったな。
そんな中カリンが俺に関する状況の説明をしていて俺もそれに頷いていく。と言っても具体的に何をしていたか等は聞いてない様で、大雑把な説明をしただけだった。
後は此処に来て姫様を救出に行った事をちょっと話したくらいかな。
熊のぬいぐるみはルルに貸している。ルルは本好きでお話しが好きみたいで、キーちゃんがお話しに出て来る聖獣ユニコーンと知ってキラキラした瞳で見ている。
「ユニコーンを従えるなんて、……やはり聖女様は聖女様か……」ボソッ
タニアさんもまた何かボソボソ言っていたけど同じ様な瞳で見ている。
『いや、アレはユニコーンと言うよりお主の方に目がいってるのじゃ』ボソッ
皆んなキーちゃんの事を聞きたがるから「キーちゃん」って紹介したら微妙な顔をされた。聞きたがるから教えたのに。キーちゃんも「プルルゥ」って言ってたのに。
『それじゃ分からんのじゃ』
『でもホントにプルルゥとしか言ってなかったなのー』
だってキーちゃんはキーちゃんじゃん。カリンがだいたい説明しちゃったし、アレ以上話せる事なんてないぞ、俺。
「流石にお貴族様の契約が終わらないと、一緒のチームは組めないよねえ」
「ちょっ、ラビィ!?」
何かコレットが慌ててるけど確かにそうなんだよな。俺はコクリと頷いておく。
「えっ! アイリスちゃんまた私達とチーム組んで貰えるの!?」
?? はて、駄目なの?
「いやいや、私達は嬉しいんだけどね? ほらお貴族様が延長するとか言うかも知れないでしょ!?」
「ああ~、確かに。アイリスちゃんの回復魔法だけでも囲い込みたいよねぇ。そこにこんなユニコーンなんてモンまであったら、ねえ?」
そんな話しをしていたらビアンカお姉様がナージャさん達を引き連れてやって来た。
「お姉様。――ビアンカお姉様」
「プルゥ『仕方がないなー』」
取り敢えず何時も通りギュッとしておく。キーちゃんも一緒に来て一緒にギュッとする。
ビアンカはエミリアーナ姫達の追及から何とか逃れたのだが、抱き付いてくるアイリスとユニコーンを無心で撫でるくらいには疲れていた。
しかしその様子を見ていたコレット達一同はギョッとした。
((((何であんな神聖で近寄り難い雰囲気のユニコーンに近付けるの? やっぱりアイリスちゃんの仕えるお貴族様は普通じゃない!!))))
そうして新たな風評被害を生んでしまっていたのだが、エミリアーナからの被害に比べれば些細な事だろう。
ビアンカお姉様に挨拶し終えたらナージャさんもして欲しそうだったからギュッとしてあげた。
「はう、良い子ですねアイリスちゃん。非常に良い挨拶ですよー。満点です」
「ん」コクリ
((((抱き付きはアレが原因か!!))))
早速コレット一同にアレ扱いされるナージャであった。
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五万字越えてしまったのですが、1話1話は短いので短編としておきます。
最初はギャグ多め。だんだんシリアスです。
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