拾った剣が精神汚染して来るんだけど!?⇔拾われた剣、主に振り回される!?

ゆうきゅうにいと

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第8章 のろのろ帰還と運命の再会?

第024話 アデール王国王都包囲網

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 アデール王国では王都がシャルロッテが率いるレンリート伯爵軍とアデール王国内で新たに雇い入れた軍勢で取り囲んでいた。
 そしてそこに西方からベルピュート辺境伯も領軍を率いて合流して来ていた。
「王都南部を抑えろと言われたのですか? 西部ではなく?」
「西を開けておく訳ではない。フォシュレーグ王国軍が付く。奴等は北に居るからそのまま西側まで手を延ばすのだろう」
 彼等がレンリート伯爵軍ではなくフォーシュレーグ王国軍と言っているのはシャルロッテ達がフォーシュレーグ王国を代表していると匂わせているからだ。
 ベルピュート辺境伯も、まさかレンリート伯爵軍単独でアデール王国を落とそうとしているとは考えられなかったのだ。
「で、我等は南を抑えろと?」
「ああ、我等が西側に居座ってたらフォシュレーグ王国軍が南部を抑えるには北と南で飛び地になるからな」
「王都の奴等が逃げるとしたら西部か南部しかないだろう。北は何もないし東はフォシュレーグ王国本国だ」
「西に逃げるとしたら……」
「フォシュレーグ王国軍と挟撃する。まあ我が辺境伯領を制圧して更にカントラス王国と同盟を組まねば活路が無いし、現実的ではないがな」
「となると我等が陣を張る南が攻められる可能性が高いのでは?」
「ふん、功績として見られるのであれば構わん」
 ベルピュート辺境伯はシャルロッテの誘いに乗って駆け付けはしたが、早々に寝返ってフォーシュレーグ王国側に付いた東部のブラン侯爵に比べて後発だった為、未だ何も貢献していないと考えていた。

「最近城の女共が反抗的じゃないかぁ? なあ兄貴」
「ああ、こっちは王子だと言うのに不敬極まりない」
「父上、っと、陛下にでも相談するかな?」
「それだと女ごと取られかねねえだろ? 面倒だけど躾てやらねえとな。何ならお前が囲った女も俺が躾てやろうか?」
「ふざけんなよ兄貴! それ絶対取る気だろ!?」
「ぶはははは! そりゃそうだ。当たり前だろ!」
 アデール王国王都の王城ではゼルアスの息子達が好き勝手する中、情報が錯綜し新国王となったゼルアスも国軍の幹部達も荒れに荒れていた。
「東部ブラン侯爵だけでなく、西部のベルピュート辺境伯の軍勢まで王都を取り囲んでいるだと!?」
「はい、ベルピュート辺境伯軍は王都の南部に陣を構えております!」
「北はフォシュレーグ王国で東はブラン侯爵の軍で囲まれているな。西に逃れ様とすればベルピュート辺境伯軍とフォシュレーグ王国軍に挟撃されるか」
「ゼルアス様、如何しますか? フォシュレーグ王国からは降伏勧告が来ていますが」
「ブラン侯爵め! 何故返答を寄越さないのだ!! まさか本当に祖国を裏切るつもりか!?」
 自分も王位簒奪をしておいて何を言うのか。ラーバン将軍はゼルアスを冷めた目で見ながらも自身にも死の影が迫っているのを感じていた。
「ブラン侯爵とは何か確約があったのではないのですか?」
「そんなモノある訳無いだろ! 奴の様な辺境の偽貴族などと、誰が好き好んで接するのだ!!」
 余りに酷い言い草だ。これではブラン侯爵に送った信書の内容も問題がありそうだ。
 せめて手紙を送る前に確認しておくべきだったか。ラーバン将軍はそう後悔したが、当時は王位簒奪で走り回りそれどころではなかったのだ。

「だが此方に付けばフォシュレーグ王国軍を国軍と挟撃出来るし、補給路を絶てるのだから負けは無いのだぞ!? フォシュレーグ王国に付くより厚待遇で迎えられると言うのに何なのだアイツは!!」
 これはゼルアスの言う通りだとラーバン将軍も思っていた。だからこそゼルアスが信書を出すと言っても問題無いだろうと確認まではしなかったのだ。
 フォシュレーグ王国に組み込まれても今の地位以上のモノは与えられないだろうと考えていた。今でも侯爵位の維持すら怪しいところだと思っている。
 此方に付けばゼルアスの言う通り戦況をひっくり返すのだ。
 褒美として北部の領地の一部を加えるか公爵位にしてやると言う話しをゼルアスと話していた。
 それで充分此方に付くだけの対価になると誰もが納得していたのである。

「しかし、そうすると如何しますか。王都民の逃亡阻止の為に設置した国軍からも離反者が出て来ていますが」
 王都を出入りしていた商人達によってアデール王国内、特に王都周辺の情勢が王都の庶民達に広まっていた。それによって王都から逃げ出そうとする庶民が大量に出て王都の経済が麻痺しそうになったのだ。
 国軍を使って王都の出入りに制限を付けて対処したのだが、敵軍に囲まれた状況にその国軍からも離反者が出始めていた。
「それはその方の責任であろう!!」
「情勢が悪ければそうなるのも当然でしょう! これ以上の離反者を出さない為にも如何するのかと聞いているのです!!」
「むっくぅっ!? ルードルシア教王国やラージヒルド商業王国の連中は何をしているのだ!!」
「周辺国に働き掛けているのでしょう。しかし流石に効果が出るにしても数ヶ月は掛かりますよ」
「そんな事は分かっている!!」
 ――なら言うなと言いたい。ラーバン将軍は此処に来て付くべき相手を見誤ったのではないかと考え初めていた。


 王都に家族の居る国軍兵士であれば兎も角、地方出身で地位の低い庶民出の国軍兵士は次々と武装放棄して逃亡していた。シャルロッテは国軍での経歴を告げれば戦後領軍や新たに国などで優先的に雇う約束をしているのだ。
 王都を敵に囲まれている状況は庶民でも楽観視出来るモノでは無い。
 利権を持たない庶民は国への帰属意識は低く、国軍の中でも影で手助けする者達も居て、安全に王都を脱出出来るならと逃げ出す庶民は日を追う毎に増えていた。
「流石シャルロッテ様、上手い手ですね。離反者を続出させられる上、将来を約束しておけば盗賊などに身を落とす者達を防げますから」
「ふーむ、ついでに貴族に対しても戦後爵位に応じて地位も与えるとしたらどうだ? その地位に見合った仕事も付ければ大抵は続かずに辞めて行くだろうし、騙される貴族もいるのではないか?」
 手放しで誉めるルシオスに老騎士のシェルビドが意見を挟む。此処は王都間近の北部に設営されたフォシュレーグ王国軍、と言うかレンリート伯爵軍の参謀本部だ。
「駄目よ」
「何でだ? 約束を違える訳でも無ければ此方が痛む事も無いだろう?」
「その意図に気付く者は居ないと思うけど、疑り深い者達は居るわ。そんなのにおかしな噂を立てられて今までの離反工作が失敗したらどうするのよ。国軍は8割が平民なのよ? 彼等の離反の方が大切なのよ」
「つまらぬ策で下手を打ちたくないですからね、当然でしょう」
 シャルロッテの説明にルシオスはシェルビドを煽る様に同意する。
「悪かったな、つまらぬ策で」
「いいえ、手放しで受け入れられるよりは貴方の様に意見を言ってくれる方が有難いわ」
「――ふん」
 シャルロッテに笑顔で言われたシェルビドは拗ねた様にしながらも少し照れ臭そうにしていた。それを見てルシオスは「キモいジジイだ」とは言わずに堪え、今後何かしら意見を言う様にしようと考えた。




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