拾った剣が精神汚染して来るんだけど!?⇔拾われた剣、主に振り回される!?

ゆうきゅうにいと

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第8章 のろのろ帰還と運命の再会?

第026話 アデール王国の終焉

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「どうしてこうなった……」
 国軍のトップ、ラーバン・イル・マーシャル将軍は王城の執務室で頭を抱えていた。
 王族によって使用人がなぶり殺されるのは前王家の時代から続いていた悪習だ。だがそれも泣き寝入りして当然だったのだ、……これまでは。
「強い王家であれば、な」
 王家と言う尊ぶべき名を過信した。敵に囲まれ、それでも省みる事なく傲慢な振る舞いを続けていたら当然支持を失う。誰も恨みを我慢しなくなる。当然の結果だ。
 敵軍に囲まれて平静ではなかったとは言え、そんな事にも気付けなかったとはな。……俺の責任だ。
「フォシュレーグ王国と会談の場を設けるぞ」


 翌日、王都とレンリート伯爵軍の間に幕で囲った簡易の陣が設置され、ラーバン将軍とレンリート伯爵軍の間で会談が行われる事になった。
 ラーバン将軍側は数人の部下を連れて、レンリート伯爵軍側はジェラルドとルシオスを引き連れて代表者が来ていた。勿論手練れの護衛としてアーダルベルトとルトルートもである。
((結局巻き込まれるのな!!))
「まさか貴方が代表で来られるとは思わなかったぞ。――ブラン侯爵」
 ラーバン将軍が憎々しげに睨み付けるのはゼルアスと共に自分達への寝返りを打診した相手だった。
 ブラン侯爵が此方側に付いていれば戦況はひっくり返っていた筈だと今でも考えていた。ラーバン将軍のこの反応も当然だろう。
 対するブラン侯爵は顔面蒼白だ。何時も弱腰で優柔不断なブラン侯爵だが、シャルロッテに何かあってはならないとルシオスに代理として据えられたのだ。
 今後フォシュレーグ王国との中継地として安全に発展が見込まれるブラン侯爵領は他の高位貴族の領地に比べても恵まれているのだ。
 少しくらい使い潰しても良いだろうと言う考え、と言うかシャルロッテの為になるのなら光栄だろうと思っていた。
 ――勿論ブラン侯爵は盛大にゴネた。

「なっ、何故私がっ!?」
「サルマトール侯爵は南部に閉じ籠っていてこの場に居ない。西のベルピュート辺境伯は着いたばかりだし、そもそも此方との面識もまだほぼ無いのでシャルロッテ様の代役には適さない。北はそもそも高位貴族が居ない。――となれば、東部高位貴族で早々に此方に付いた貴方しか代役は居ないでしょう?」
「別にそんな者居なくても良いだろう!?」
「シャルロッテ様の代役を分不相応にも任されるのですよ? その幸運は神に感謝して然るべき事なのですよ?」
 話しが通じない!??

「ゼルアス家とゼルアス軍の殲滅を手土産にする」
 離反者を続出させていた国軍だがフォシュレーグ王国側と会談をすると言う話しが広まりその勢いは止まっていた。ゼルアス軍に比べれば未だ数的優位を保っており、この会談が上手く行けば王都民の支持も得られると考えていたのだ。
「代わりに国軍とその役職の維持を頼む」
「無理に決まっているでしょう」
 即断過ぎる!? ルシオスの発言にラーバン将軍は殺気立つが、ブラン侯爵はその殺気を真正面で受けて今にも気を失いそうだった。
「敵対組織をそのまま維持する事など有り得ません」
(もうちょっと言葉を濁せえぇええーー!!)
 ブラン侯爵を正面に座らせてルシオスが後ろから答えていたので、あたかもブラン侯爵の意を汲んで答えているかの様であった。
「――では、如何すると?」
「解体以外無いでしょう」
(おいぃいいいいーーっ!!)
「そんなモノが、受け入れられると?」
「受け入れずに如何するのです? 王都民も巻き込んで一戦交えますか?」
「――くっ」
「時間は我々の味方なのですよ?」
「……せめて、後2カ月あれば……」
「ルードルシア教王国ラージヒルド商業王国が圧力を掛けてくれますか? 無駄ですよ。フォシュレーグ王国は勿論カントラス王国も動きません。南の2国は小国で相手にならないですしね」
 結局ラーバン将軍は折れた。国軍は解体、ラーバン将軍はベルピュート辺境伯の預かりとなった。他の将官達も爵位役職共に取り上げられる事になる。
 勿論反旗を翻そうとする者達も居たが既に王都を包囲されていて、レンリート伯爵軍との圧倒的に不利な状況を前に付いて来る者達が居らず頓挫、一部がゼルアス軍側に寝返り吸収されるに留まった。
 しかしそのゼルアス軍も、満を持して王都に入ったレンリート伯爵軍に王城を包囲され兵站が保てずに降伏。
 ゼルアス家もゼルアス軍も色々と譲歩を引き出そうとしていたのだが、この盤面でシャルロッテが受ける意味は無く、全て脚下されていた。


「引き際を見誤ったなラーバン」
「まあ国軍は大きな組織だ、それも難しかったのだろうがな」
「……お前達も、当に裏切っていたのかガルーダ、ワイデ」
 ラーバン・イル・マーシャル将軍の前に居るのは元近衛大隊長官のガルーダ・イル・ベルパインと元暗部のトップであるワイデだ。
 ガルーダはゼルアスと王城を制圧する際にラーバン将軍の勧誘を断っていたし、ワイデに至っては接触すら出来ずに居た相手だった。
「だが処刑されたゼルアス一家よりはマシだろうよ」
「くくっ、自分達が前国王一家を処刑した王城前の広場で処刑されたってな。愚王一家と同様の酷い醜態を晒していたらしい。笑ってしまうな」
「……お前達には愛国心は無いのか?」
 2人の言い様に腹立たし気に聞くと意外そうな顔をされてから苦笑された。
「そうか。……お前は国を愛していたのだな」
「それも、判断を誤らせた原因かも知れんな」
「俺達には無い感傷だ。あの愚王一族を身近にしていればな」
「……そうか」
 2人は近衛と暗部、国軍に身を置く俺などより余程王家と身近に接していたのだ。あの愚王相手では愛国心も当に擦り切れていたと言う事か。
 2人は各々北に領地を頂くそうだ。これが判断を見誤った差なのだな。
「と言ってもお互いしがない男爵位だ。継承権はあるが細々とやる事になりそうだ」
「お前もベルピュート辺境伯の預かりになるなら悪い様にはならないだろうよ」
 その後男爵位を得た2人は厳しい貴族教育に晒され、ラーバン・イル・マーシャル元将軍はベルピュート辺境伯の信を得て大隊を任される迄になっていったとか何とか。
 どちらが幸せな事かは本人にしか分からないだろう。




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