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第3章 なりきり学生生活は問題だらけ?
第031話 幕間 コレットチーム、再び村へ
しおりを挟む町の中、馬車2台と一緒に皆んなで外に向かって歩いている。町は今建て替えや色々とお店が変わったりしている。
「まさか教会が潰れちゃうとは思わなかったねえ」
「ん、すぐ再建すると思った」
「アイリスちゃん絡みで色々やらかしちゃってたからねえ」
アイリスちゃんを誘拐しようとして傭兵の皆んなやスタンピードで助けられた冒険者の人達も神聖教会に怒っていた。
それが他の街で商業ギルド冒険者ギルド、神聖教会が組んで誘拐や違法奴隷を扱っていたって言う話しがこの町まで広まってしまって、町の人達が詰めよったんだけど神聖教会は特にまともに取り合う事もなく火に油を注いでしまったんだ。――結果町の人達から焼き討ちにあってしまった。
商業ギルド、冒険者ギルドは残っているけど職員は居心地は悪そうだ。私達も武具を買わされて借金漬けにされそうになったしね。でもギルドは兎も角冒険者自身は被害を受けた側だと思われているから大丈夫みたい。
「まあ教会が無くたって私達には影響無いけどねえ」
「んっ」こくり
ラビィやルルの言う通り神聖教会の回復魔法、彼等は祝福と言っているけど治療には大金を取られるから一般的ではない。
しかも私達が所属する傭兵ギルドには数は少ないが適正価格で回復魔法を掛けてくれる人達がいるのだ。馬鹿高い金を払って神聖教会のお粗末な治療を受ける必要は無くなっていた。まあ3人共冒険者時代はそんなお金は無かったけど。
早朝にシラルの町を出て二つ目の村まで徒歩で4時間、少し休憩してから出発して2時間程歩いて行くと昼過ぎに目的の村に着いた。
「ああー、懐かしい! ……って言うかちょっと変わった? 変わってるよね? ね、コレット!?」
「うん、柵が変わったみたいだね。前の柵は2mくらいの細い板を横に並べた感じだった筈だけどね」
「おう、その通りよ。今は掴みにくいように村に向かって縦向きに並べられているだろ?」
「それに前の柵も崩れないように横板で繋げていたけど、狼とかの4足歩行の魔物相手ならまだしも、ゴブリンみたいな人型じゃその横板に足を掛けて乗り越えられちまうだろ? 今はその横板を地面と膝位の高さの2ヶ所に下げて足掛かりにされないようにしたのさ」
「いや大変だったんだぜ? 板を縦向きにしたから必要な数が増えたし突き刺していくのも重労働だったしなあ?」
「柵に手を掛けられないように先端を削って尖らせていくのも大変だったよなぁ。傭兵だけじゃ手が足りなくて冒険者や村の人等も手伝ってくれたけどよお」
ランドさん達は自慢気に話して来たけど途中から目が死んでいった。よっぽど大変だったらしい。
「良いタイミングでランク2になった」
「ははっ、確かにルルの言う通りだね。まあアタシも冒険者として受けて無かったけどね」
ランク1じゃ町から出る依頼は受けられないからね。タニアさんは高ランク冒険者として危険度の高い依頼ばかり受けていたからこう言う依頼とは無縁だったそうだ。
「おお、お嬢ちゃん等か、久しぶりだな」
「あっ、村長さん。お久しぶりです」
「あら本当、あの時の娘達ね。アイリスちゃんとイケメンさんは居ないのかしら?」
「ははっ、居ませんよ。私達だけです」
村長さんに挨拶をしたら奥さんが出て来てコレだ。イケメンさんて言うのはレイクさんの事だろう。確かに格好良かったからな。スタンピードの時は剣の腕もあってアイリスちゃんとは別に目立ちまくってたから。
まあアイリスちゃん程じゃないけど。
一旦私達は村長さんの家で休ませて貰った。ランドさん達とエリックさん達はそれぞれ別の家に案内されていた。本来ならランドさん達が村長さんの家に入るんだろうけど私達はアイリスちゃんと一緒に前にお世話になっていたからと譲られたんだ。
奥さんに昼食を貰ってお金を払ってから森の中に入っていった。今回は村周辺の再調査とそれに関係する作業を2日掛けて行うそうだ。具体的に何をやるかは知らないけど。
「さてと、この辺で良いか。アリオンはエリック達とコの字ブロックの方を頼むな。俺等はタニア達と森の奥に行くから」
「待てよおっさん、何やるか知らねえけど森の奥に行くんだろ? それなら魔物と戦うかも知れねえ。なら俺等の方が良いんじゃねえか?」
「おっさんて言うんじゃねえ! タニアやエリックとは話しが付いてんだよ。ほら行くぞ、時間が勿体ないねえ」
ランドさんの指示にラストさんがまた噛みついていた。
――けど私達はそれどころじゃない。タニアさんから事前に聞いていたけど私達にゴブリンの狩りをさせるつもりらしい。私達のトラウマ解消と人型の魔物を倒す忌避感を無くす為だ。
これからアイリスちゃんを追い掛けるなら人相手に戦う覚悟も必要だ。人型のゴブリンとすらまともに戦えない人間が盗賊とかと戦えるかって話しだ。
タニアさんは充分安全には配慮するって言ってるけど怖さからか手が冷たくなってるみたい。何時も明るいラビィもニコニコしてるように見えてその笑顔がひきつってるのが分かる。ルルなんて顔面蒼白で今にも倒れそうだよ!?
ランドさん達に連れられて森の奥に進んで行くけど私達は3人共足どりが重くなってる。
「こんな試練があるとは……」
「いやいや、傭兵やって行くならいずれ殺らなきゃイケない事だぞ? こんだけフォローがある中で殺れるなんて幸運だと思わないとな」
ラビィの愚痴にタニアさんが反応する。言いたい事は分かるけどね。でも愚痴、と言うか弱音くらい吐かせてよ。
「ランド達はアレから何回くらい来てるんだい?」
「何回、か。10回くらいは来てるかな。まあ今は月一くらいになってるけど」
「調査って何やるんだい? 間引きくらいしか思い付かないんだけど」
「概ね合ってるけど魔物の分布を図に起こしたり今後の予測をたてたりするな。魔物によっては敢えて倒さない場合もあるし」
「何か面倒臭いな」
「スタンピードを起こさせない為には必要な事だ」
「……そうか」
「まあ、これでも楽にはなって来てるんだぜ? 初めの頃なんてスタンピードの時に人が落とした武器を回収する為に、クソ寒い冬の森の中を駆けずり回ったんだからな」
「うわぁ、……そりゃ大変だったな」
「ゴブリンみたいな人型の魔物に人間の武器が渡らないようにってのは分かるけどなあ」
「そう言えばスタンピードの後って雪降りませんでしたっけ? 大丈夫だったんですか?」
タニアさんとランドさんが目の前で話してるのに緊張からか声が遠く聞こえる。ってラビィも参加して来るの!? アンタも緊張してなかったっけ!?
いや、話して緊張解そうとしてるのかな? 私には出来ないな。
「いや雪の前に何とか粗方回収したさ。ったく死体だけじゃなく武器とかも森が喰ってくれてりゃなあ?」
「森が喰う?」
「森の栄養にされるって事さ。魔力の濃い森だとより早く吸収されるらしい。この辺りだとゴブリン程度なら20日くらいで消えちまうな」
「へえ」
「おっと、魔物、ゴブリンだ。2、3匹いるぞ。どうするタニア?」
ランドさんが片手を上げて皆んなを止めてタニアさんに意見を聞く。遂にこの時が来ちゃったか。
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