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恋敵 三
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「それが今の亜美子の悩みなんだな、分かったよ。
でも、亜美子には悪いかも知れないけど、それって幻想なんじゃない?その、トシさんって、1980年代の人なんだろ?仮に、今その、トシさんが生きていたとして、30年前に20代だから、今は50代だよ?
そんな年の離れた人と、恋なんてできるわけないじゃん。」
「そんなの分かってるよ!」
亜美子は泣きながら、激昂した。それは、周りの学生が振り返るような、大きな声であった。
「何であんたにそんなこと言われないといけないの?そんなこと、私だって考えたよ!トシさんとは、年が離れすぎている。もしかしたら、結婚だって、しているかもしれない。それでも、私は…私は…トシさんへの気持ちを、止めることができなかったの。だから、待ち合わせの時は…、本当に楽しみで、それだけじゃなくて、緊張して…、こんな気持ち、あんたには分かんないよ!
それで、トシさんに『さよなら。』って言われた時、私は本当に、悲しくて、失恋って、こんなに辛いものなんだって思って、それで、そんなトシさんが、私のお父さんかもしれないって思って…、今の私は、どうしたらいいのか、分かんないの!途方にくれてるの!
あんたなんかに相談した私が馬鹿だった。もういい、私、帰る。」
そう言い残して帰ろうとする亜美子の腕を、浩一は握り、亜美子を引き止めた。
「ちょっと待てよ!」
「何するの、離して!警察呼ぶわよ。」
「ごめん、手荒な真似して。分かった。さっきの発言は謝るよ。でも…」
「でも何よ?何、友達だからほっとけない?そんなの同情だよね?私は、同情なんかされたくない!だから、もう私のことは、ほっといてくれる?」
「そんなんじゃねえよ!」
今度は、浩一が激昂する番であった。
「亜美子、お前だって、俺の気持ち、何にも分かってないよ。
俺の気持ちは、同情とか、友達だから心配してるとか、そんなんじゃない…
俺は、亜美子のことが好きなんだよ!
前に、ご飯食べてる時、
『何で高校時代のマネージャーと、付き合わなかったの?』
って亜美子、訊いたよな?それは…その頃から、いやもっと前から、亜美子のことが好きだったからだよ!いや、だったじゃない。今でも、俺は亜美子のことが好きなんだ。
だから、去年のクリスマスイブに、俺、亜美子を映画に誘ったよな?あの時、俺だってドキドキしたよ!でも、亜美子は全然、俺の気持ちに気づいてなくて…。それで俺、亜美子に好きな人ができたんじゃないかって、亜美子の様子から思って、そいつがいい奴なら、俺、亜美子のことは諦めようって、そんな風にも思ったんだ。
だから俺、見てられないんだよ!亜美子がそんな風に悩んでるの。だから、…俺と付き合ってくれなんて、今は言わない。でも、でも…、
俺は亜美子の力になりたい。亜美子が悩んでいるなら、俺には相談して欲しい。
…迷惑かな?」
浩一の突然の告白に、亜美子は戸惑った。自分は、浩一の気持ちに気づかずに、浩一にひどいことを繰り返してきた…、亜美子は瞬間的に、自責の念に駆られた。
「そうだったんだ。ごめん、何にも気づかなくて。
…とりあえず、今日は帰るね。」
亜美子は、その場から立ち去ろうとした。
「最後にもう1つ!」
浩一は、再度亜美子を呼び止めた。
「一応アドバイスだけど、その、トシさんと、亜美子のお父さんって、本当に同一人物なのかな?今の話だと、全部、状況証拠じゃない?
亜美子がどうしても、トシさんのことを忘れられないなら、トシさんともう1回、話してみたら?
そうしたら、本当のことが分かるんじゃない?もしかしたら、トシさんとお父さんは別の人間で、本当の、50代のトシさんに、会えるかもよ。」
「ありがとう、浩一。浩一はやっぱり優しいね。」
「いや、だから、それは…」
「分かってるって。私のことが好きなんでしょ?」
亜美子は、自分には全く似合わないと思いながら、浩一にこう答えた。そして、
「ごめん、今の私は余裕がなくて、浩一の気持ちに、応えることができない。だから…、
ちょっと、待ってくれる?
今から、トシさんともう1度話して、決着つけてくるね。」
と浩一に、言い残した。
「分かった。待ってるよ。」
浩一はそう答えた。さっきまで激昂していた2人の姿は、もうそこにはなかった。
でも、亜美子には悪いかも知れないけど、それって幻想なんじゃない?その、トシさんって、1980年代の人なんだろ?仮に、今その、トシさんが生きていたとして、30年前に20代だから、今は50代だよ?
そんな年の離れた人と、恋なんてできるわけないじゃん。」
「そんなの分かってるよ!」
亜美子は泣きながら、激昂した。それは、周りの学生が振り返るような、大きな声であった。
「何であんたにそんなこと言われないといけないの?そんなこと、私だって考えたよ!トシさんとは、年が離れすぎている。もしかしたら、結婚だって、しているかもしれない。それでも、私は…私は…トシさんへの気持ちを、止めることができなかったの。だから、待ち合わせの時は…、本当に楽しみで、それだけじゃなくて、緊張して…、こんな気持ち、あんたには分かんないよ!
それで、トシさんに『さよなら。』って言われた時、私は本当に、悲しくて、失恋って、こんなに辛いものなんだって思って、それで、そんなトシさんが、私のお父さんかもしれないって思って…、今の私は、どうしたらいいのか、分かんないの!途方にくれてるの!
あんたなんかに相談した私が馬鹿だった。もういい、私、帰る。」
そう言い残して帰ろうとする亜美子の腕を、浩一は握り、亜美子を引き止めた。
「ちょっと待てよ!」
「何するの、離して!警察呼ぶわよ。」
「ごめん、手荒な真似して。分かった。さっきの発言は謝るよ。でも…」
「でも何よ?何、友達だからほっとけない?そんなの同情だよね?私は、同情なんかされたくない!だから、もう私のことは、ほっといてくれる?」
「そんなんじゃねえよ!」
今度は、浩一が激昂する番であった。
「亜美子、お前だって、俺の気持ち、何にも分かってないよ。
俺の気持ちは、同情とか、友達だから心配してるとか、そんなんじゃない…
俺は、亜美子のことが好きなんだよ!
前に、ご飯食べてる時、
『何で高校時代のマネージャーと、付き合わなかったの?』
って亜美子、訊いたよな?それは…その頃から、いやもっと前から、亜美子のことが好きだったからだよ!いや、だったじゃない。今でも、俺は亜美子のことが好きなんだ。
だから、去年のクリスマスイブに、俺、亜美子を映画に誘ったよな?あの時、俺だってドキドキしたよ!でも、亜美子は全然、俺の気持ちに気づいてなくて…。それで俺、亜美子に好きな人ができたんじゃないかって、亜美子の様子から思って、そいつがいい奴なら、俺、亜美子のことは諦めようって、そんな風にも思ったんだ。
だから俺、見てられないんだよ!亜美子がそんな風に悩んでるの。だから、…俺と付き合ってくれなんて、今は言わない。でも、でも…、
俺は亜美子の力になりたい。亜美子が悩んでいるなら、俺には相談して欲しい。
…迷惑かな?」
浩一の突然の告白に、亜美子は戸惑った。自分は、浩一の気持ちに気づかずに、浩一にひどいことを繰り返してきた…、亜美子は瞬間的に、自責の念に駆られた。
「そうだったんだ。ごめん、何にも気づかなくて。
…とりあえず、今日は帰るね。」
亜美子は、その場から立ち去ろうとした。
「最後にもう1つ!」
浩一は、再度亜美子を呼び止めた。
「一応アドバイスだけど、その、トシさんと、亜美子のお父さんって、本当に同一人物なのかな?今の話だと、全部、状況証拠じゃない?
亜美子がどうしても、トシさんのことを忘れられないなら、トシさんともう1回、話してみたら?
そうしたら、本当のことが分かるんじゃない?もしかしたら、トシさんとお父さんは別の人間で、本当の、50代のトシさんに、会えるかもよ。」
「ありがとう、浩一。浩一はやっぱり優しいね。」
「いや、だから、それは…」
「分かってるって。私のことが好きなんでしょ?」
亜美子は、自分には全く似合わないと思いながら、浩一にこう答えた。そして、
「ごめん、今の私は余裕がなくて、浩一の気持ちに、応えることができない。だから…、
ちょっと、待ってくれる?
今から、トシさんともう1度話して、決着つけてくるね。」
と浩一に、言い残した。
「分かった。待ってるよ。」
浩一はそう答えた。さっきまで激昂していた2人の姿は、もうそこにはなかった。
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