20kHz

べいかー

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好きな人の幸せを願うということ 四

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 ※ ※ ※ ※
 2016年3月31日。この日は、トシの命日であった。亜美子は、トシとの最後の通話を終えた後、母親に、トシとのことを、全て話した。それを聴いて母親は泣き、トシとの思い出を、亜美子に語ってくれた。
 そして亜美子は母親から、トシのお墓の場所を、教えてもらった。そして、この日、トシの墓参りに、行くことにしたのである。
 「これが、トシさんの墓か…。亜美子、大丈夫?」
「うん、大丈夫。トシさんのことは、一生忘れない。でも、私も前を向いて、生きていかなくちゃ!
 …って、お母さんも前に、同じようなこと言ってたんだけどね。」
亜美子の隣には、付き合い始めたばかりの、浩一の姿があった。
 不思議と、亜美子の目には、涙はなかった。そして、亜美子は、献花をした後、家へと帰っていった。

 ※ ※ ※ ※
 1986年3月31日
 俊樹の容態が急変した、という知らせを聞き、俊雄、美香の2人は、病室へと急いだ。俊樹の家族からは、
「俊樹の最後に、2人も居合わせて欲しい。」
という要望を、2人は聞いていた。
 2人が病室についた時、俊樹には意識がまだ残っていた。後で医者が言うには、2人が来るまでは、ずっと昏睡状態が続いており、その意識が、一時的にではあるにせよ戻ったことは、奇跡に近いという。
 「おい、俊樹、聞こえるか?」
「俊樹くん、聞こえる?」
「…ああ、美香さんと俊雄だね。聞こえるよ。僕、2人に会えて、本当に良かった。今までありがとう。
 じゃあ、先に行くね。」
そう言った俊樹は、一瞬、見開いた目を閉じた。そして、眠るように、息をひきとった。(終)
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