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第19話 翠緑色のガーネット
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「彼女に話を聞きに行くなど、お勧めしかねます!」
メルがテティスと約束したことをベネットがやめさせようとした。
「では、ベネット様がお話をしてくれるのですか?」
「いや……、ただ、私がこの国を出るという話は……」
「秘密だというなら他言しません。でも、知りたいのです」
なかなか頑固なメルにベネットはため息をついた。
そして話を変えようと、先ほど伯父のレナートに受け取った小箱をメルに渡した。
「あなたのものです。どうぞあけてください」
箱の中には、透明感のある深緑色の石が中央に配置されたネックレスとセットのイヤリングが入っていた。
「これは?」
「ガーネットです」
「えっ? ガーネットって柘榴のように赤い石では?」
「ええ、これは緑色をした希少なものでデマントイドガーネットと呼ばれています。あなたの瞳と似た色の石を考えたら、これが一番ぴったりだったので」
「こんなきれいな石が私と一緒?」
「パーティー用の装飾品はこの前作りましたが、普段使いのものがないのが少し気になりましてね。妹のエメ殿はいつもジャラジャラとたくさんのアクセサアリーをつけて王宮にやってくるというのに」
「ありがとうございます……」
ここまでしてくれるベネットの『親切』にメルは戸惑った。
ちなみに装飾品を持ってないことをベネットが知ったのは、ばあやの助言によってである。
「私は伯父の元で平民の生活に取り組みますが、あなたはいずれ一貴族の令嬢に戻る。その時にできるだけ優位な立場に立てるよう、物質的に惨めな思いをせぬよう計らいます。私にまつわることをあなたは気にしなくていいのです」
「ベネット様……」
この上なく『親切』にしてくださるのに、肝心のところは壁を作られ、それ以上は踏み込めない。
「伯母上には私から断っておきましょう。さ、もう夜も遅い。先にお休みください。私はもう少しすることがあるので」
ベネットはメルにベッドに入るよう促した。
これ以上、懇願しても無駄だとわかったメルは素直に引き下がることにした。
その翌日、メルはいつもより遅くまでベッドの中にいて、王太子妃の仕事も体調不良で欠席した。
「たいしたことないわ、昨日は夜遅くまで起きていて、少し寝不足なの」
「まあ、そうでございますか! 寝不足で」
ばあやがニコニコと意味深なツッコミをする。
「あの、ばあやさん……」
「ほほほ、ゆっくりおやすみくださいませ」
ばあやは微笑みながらメルがゆっくり休めるよう、他の侍女も連れて部屋を退出した。
「まあ、本当のことはわからないし、たとえ、まだそういうことはなくても、夜更かしするほど話が弾まれるのはいい傾向ですわね」
そう小さく独り言を言って、ばあやのサモワは別の仕事に向かった。
メルはテティスに会うのをあきらめたわけではなかった。
実はベネットが反対したときのために、テティスはコッソリ連絡用の魔石をメルに渡していた。
そして、王太子夫妻の部屋にある脱出用の秘密の通路の入口も教えてもらっているので、夕方より少し前にメルはそこから王都のはずれに出口まで出て行った。
「ベネット坊やったら反対したのね。でもそれをおして出てくるなんて、あなた、なかなか根性あるわね、じゃ、行きましょうか」
テティスは翼の生えた魔獣リザに乗るようメルに促した。
メルがテティスと約束したことをベネットがやめさせようとした。
「では、ベネット様がお話をしてくれるのですか?」
「いや……、ただ、私がこの国を出るという話は……」
「秘密だというなら他言しません。でも、知りたいのです」
なかなか頑固なメルにベネットはため息をついた。
そして話を変えようと、先ほど伯父のレナートに受け取った小箱をメルに渡した。
「あなたのものです。どうぞあけてください」
箱の中には、透明感のある深緑色の石が中央に配置されたネックレスとセットのイヤリングが入っていた。
「これは?」
「ガーネットです」
「えっ? ガーネットって柘榴のように赤い石では?」
「ええ、これは緑色をした希少なものでデマントイドガーネットと呼ばれています。あなたの瞳と似た色の石を考えたら、これが一番ぴったりだったので」
「こんなきれいな石が私と一緒?」
「パーティー用の装飾品はこの前作りましたが、普段使いのものがないのが少し気になりましてね。妹のエメ殿はいつもジャラジャラとたくさんのアクセサアリーをつけて王宮にやってくるというのに」
「ありがとうございます……」
ここまでしてくれるベネットの『親切』にメルは戸惑った。
ちなみに装飾品を持ってないことをベネットが知ったのは、ばあやの助言によってである。
「私は伯父の元で平民の生活に取り組みますが、あなたはいずれ一貴族の令嬢に戻る。その時にできるだけ優位な立場に立てるよう、物質的に惨めな思いをせぬよう計らいます。私にまつわることをあなたは気にしなくていいのです」
「ベネット様……」
この上なく『親切』にしてくださるのに、肝心のところは壁を作られ、それ以上は踏み込めない。
「伯母上には私から断っておきましょう。さ、もう夜も遅い。先にお休みください。私はもう少しすることがあるので」
ベネットはメルにベッドに入るよう促した。
これ以上、懇願しても無駄だとわかったメルは素直に引き下がることにした。
その翌日、メルはいつもより遅くまでベッドの中にいて、王太子妃の仕事も体調不良で欠席した。
「たいしたことないわ、昨日は夜遅くまで起きていて、少し寝不足なの」
「まあ、そうでございますか! 寝不足で」
ばあやがニコニコと意味深なツッコミをする。
「あの、ばあやさん……」
「ほほほ、ゆっくりおやすみくださいませ」
ばあやは微笑みながらメルがゆっくり休めるよう、他の侍女も連れて部屋を退出した。
「まあ、本当のことはわからないし、たとえ、まだそういうことはなくても、夜更かしするほど話が弾まれるのはいい傾向ですわね」
そう小さく独り言を言って、ばあやのサモワは別の仕事に向かった。
メルはテティスに会うのをあきらめたわけではなかった。
実はベネットが反対したときのために、テティスはコッソリ連絡用の魔石をメルに渡していた。
そして、王太子夫妻の部屋にある脱出用の秘密の通路の入口も教えてもらっているので、夕方より少し前にメルはそこから王都のはずれに出口まで出て行った。
「ベネット坊やったら反対したのね。でもそれをおして出てくるなんて、あなた、なかなか根性あるわね、じゃ、行きましょうか」
テティスは翼の生えた魔獣リザに乗るようメルに促した。
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