悪役令嬢のサラは溺愛に気づかないし慣れてもいない

玄未マオ

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第14章 大団円

第158話 王宮の執務室にて

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 リーニャの言っていることがよくわからなかった。
 
 縛られている?

 私はそこゲームから自由になるために頑張ってきたんじゃないか。
 そして、ようやく円満な婚約解消にこぎつけたんじゃないか。

 考えても答えがまとまらないまま、家につくと王家の使いと父がもめていた。

「なぜ、娘が王宮で仕事をせねばならぬのだ? 婚約は解消されるのだろう!」

 父が使いの者に大声をあげていた。

「解消? えっ?」

 使いの者が理解できないという表情をする。

 そういえば王妃は仕事ができない状態だった。私は王妃の書類仕事はすでにいろいろ教わっている。今は譲位のための仕事の引継ぎやもろもろの雑務で、王太子も家臣もてんてこまい。そのうえ、王妃の仕事まで滞っていたら……。

「なるほど、正式に解消になるまでこき使えるだけ使ってやろうという意図か」

 あ~あ、使いの者が父の剣幕に押されて小さくなっているよ。ちょっと気の毒。

「お父さま、落ち着いてください。王妃様の仕事の代行でしょ。私、行ってもよろしくてよ」

 父が渋い表情をするのをなだめて、私は使いの者とともに王宮へ向かった。

 執務室に入ると、たまった書類をすぐさま片付けにかかる。
 しばらくの間は、代行で書類仕事だけは請け負ってもいいかな。立つ鳥跡を濁さずとも言うし、婚約を解消すると言っても、ジークを苦境に立たせたいわけじゃない。

 とはいっても、次の人間、つまり私の代わりにジークの妃になる人にすべてを任すのはどうだろう?

 私やフェリシアは幼いころから妃教育を受けていたし、王妃の仕事も一部代行していた。でも、その下地のない者がこれらの仕事をすべて一人で引き受けるのは少々荷が重いだろう。ならば、女官たちを教育して、王妃の仕事をある程度肩代わりできるよう教育しておくのも、去りゆく者の義務だろうか。

 そんなことをつらつら考えながらも、書類をどんどん片付けていると、ジークが入室してきた。

「久しぶり、サラ。なかなか会えなくてごめんよ」

 いつもと同じフレンドリーな笑顔。

「お気づかいなく、王太子殿下。代わりの者が着任するまでは私にできることは何でもお申し付けください」

「どうしたんだい、他人行儀な?」

 ジークが首をかしげる。 
 そうか、いつもと違って敬語を使う私に首をかしげているのだな。

「王太子殿下、正式な手続きが終わるまでは確かに婚約者同士ですが、解消すればそのあとは王と臣下。私が敬語を使うのは当然です。まあ、今までとは違うので変な感じがしますが、お互い慣れないと」

 私はにこやかにできるだけ丁寧に説明した。

 そのつもりだった。

「何を言ってるんだ、君は!」

 なぜか、王太子殿下は目をむいて大声を上げた。
 
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