托卵母のたくらみに利用されそうな公爵令嬢ですが、愛する人たちは全力で守ります

玄未マオ

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調査報告

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 三日後、エステルは客としてソルフェージュ侯爵の指定した宝石店へ足を踏み入れた。

 個室へと案内され、しばらく待つと侯爵が入室してくる。

「ようこそお越しくださいました」

 王族との結婚をまじかに控えたた公爵令嬢が最近評判の上がってきた宝石店を訪れそれを店長が直々に出迎える。何ら不自然にはみえない出来事である。侯爵は書類を抱えて向かいのソファーに座り、お茶を持ってきた店員にしばらく誰も近づけるなといいつけた。

「さて、いろいろ分かったことがあったがどこから行こうかな。お母上のことはどこまで知っているのですかな?」

「両親が離婚して以来、母のことは何も知りません。今思えば周囲が意図的にその話題をさけていたのかもしれませんね」

「なるほど、では、お父上と離婚されてからの話から始めましょうか」

「お願いします」

「アーティ、いや、亡き公爵と離婚したのち、ヴィルは実家に戻されたが、すぐに嫁に出された。ていのいい厄介払いだろうな、相手は家格は高いがすでに爵位を息子に譲って引退したご老人でな、そこの後妻として要するに売り飛ばされたんだな。下位貴族の家の出戻りじゃ、お決まりのコースだろう」

「はあ……?」

「その家のじいさん、いや、ヴィルの夫は年をとっても若い娘に手を出す好色じいさんだったが、妻となったヴィルには比較的自由をあたえていたようだ。だからヴィルは夜な夜な様々な夜会に出ては、男たちと知り合い浮名を流した。もちろん、嫁ぎ先とてそれは把握していたが、じいさんの面倒さえ見てくれれば文句ないってスタンスだったようだな」

「ずいぶんとドライですね」

「三年後、そのじいさんが死ぬと,ヴィルは幾ばくかの礼をもらってその家から出された。再び実家に戻ってからは、その遺産を使ってやはり遊びまわっていたようだ。そして半年前に、ある男と三回目の結婚をした。アーブレー・ディポートという男だ」

「半年前、そんな最近だったのですか、あれっ?」

 半年前と言えば、エステルとサイモン王子の婚約が調ったのもちょうどそのころだ。

「おや、お母上の再婚相手とは会ったことがあったのかい?」

 侯爵がエステルに質問する。

(そういえば、街でいきなり呼び止められたいきさつは離してなかったわ)

 エステルは黙ってうなずいた。

「このディポートってやつがちょっと曲者でね。ヴィルと同じく下位貴族の出だが、見た目の良さでいろんな女性と浮名を流していた。ヴィルとは似た者同士ってやつかな。ただちょいと厄介なやつともつながりがあったんだ」

「えっ?」

 エステルは思わず身を乗り出した。
 
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