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第四帖 忍戦
4-3 暴露
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◆◇
数日後には、環は国へ帰ることとなった。
治昭の容態への心配と、政務と、江戸からの連絡などの、諸々の事情を抱えての帰国の途であった。
行きより人数が少なく、半分くらいが先に帰国し、残りは江戸にて評定をつづける。
その、残りの中に菊羽も含まれていた。
宗丈じきじきの、指名であった。
この数日、かれの目に留まるように環と菊羽でしめし合わせていたからでもあった。
環は菊羽との別れ際にこっそりと口づけを交わし――もっぱら、環が半ば足らず強引に吸い取ったのだが――、必ず帰国するよう命じた。
残った菊羽は三日後の夜、宗丈に奥座敷へと呼び出された。
他の者を下げ、二人きりとなる。
「菊、といったか」
「――はい」
菊羽は、宗丈を前に平服している。
宗丈はにたりと笑って「近う」と菊羽を呼んだ。
ただ大人しい娘のように、菊羽はしずしずと移動する。
「緊張しておるのか」
宗丈のほうも菊羽に近づき、その手を取った。
「環の女中と聞いたが、わしのものになれ」
「ご冗談が過ぎます。私など、何のお役にも――っ!?」
宗丈が、菊羽を引き寄せた。
「な、何を――」
菊羽は、宗丈の腕の中に捕らわれる。
五寸ほどかれのほうが背丈があり、肩幅も、体格もおおきい。
下になった宗丈の手が、菊羽の尻を撫ではじめた。
「おっ、お戯れはおやめください」
「戯れ、よいではないか」
宗丈は菊羽を抱きかかえて立ち上がった。
隣にある寝所まで運ぶ。
「あっ、あの……」
布団に優しく寝かされたところで、おずおずと菊羽が言う。
「いま、お家の一大事なのではないのですか? 私など――」
隣に転がった宗丈はなおも菊羽を抱き、菊羽の帯を解く。
はらりと、着ていた小紋の衿が緩む。
「一大事、とな」
ふふ、と宗丈は低く笑う。
「環にでも聞いたか。女子供の関わることではない――いや」
菊羽の顎をくいと押して、目を合わせさせる。
「おぬしがわしの子を産めば、それはそれで落着するぞ」
帯が抜き取られ、布団の外に投げられる。
宗丈は、自らが先に脱いで、褌ひとつの姿を菊羽に見せた。
かつては鍛えてもいたのだろう身体には無駄な肉が付き、日に焼けていない中年太りの肉体が、菊羽の上になる。
酒と煙草の混じった臭いが菊羽の鼻孔を襲う。
「お――お戯れを」
もう一度、菊羽がいう。
「何をあの年増に聞かされておるのか知らぬが、案ずるな」
「年増……?」
抗わぬよう己を抑えている菊羽が脱がされて、腰巻一枚になる。
宗丈は考えながら探るように、菊羽の胸のふくらみを下から撫で上げた。
「菊は、いくつじゃ」
宗丈の声は、優しい響きを持っていた。
猫撫で声にも近い。
「じっ――十五でございます」
「もうそんな歳なのか。あと五年、せめて三年は早く、こうしたかったものじゃ」
菊羽が目を丸くする。
「だがまあ、十五にしてはまだ、幼いところを残しておるのが、よい」
宗丈は菊羽の、胸の先を親指で弄る。
上には乗らず、足で挟み込む格好で、肌が触れ合う。
「殿は、十やそのあたりの、幼子がよいのですか?」
菊羽はいくぶん抵抗を見せる。
「それなら私などなおさら、こんなことを……」
言葉尻まで言わず、体をずらして宗丈を見上げる。
「おぬしほどの体の具合ならば、まあ、よい」
宗丈は菊羽の首筋から耳まで舌を這わせて、耳元でささやく。
「環の年増より余程、おぬしがよい」
この宗丈、少女性愛の嗜好であった。
手は別の生き物のように菊羽の体を撫で、腰巻も解こうとする。
「たっ――妹姫さまは、年増などでは」
「可愛らしい忠義心じゃな。だが、わしからすれば環はもう薹の立った女じゃ。
どうだ、わしのものになれば、苦労はせぬぞ」
宗丈はまた、菊羽を誘う。
菊羽は焦らすようなそぶりで体を捻り、上目遣いの視線を送る。
「家の大事、と言うたな」
菊羽の腰巻が、ゆっくりと下げられはじめた。
「環が大袈裟に騒ぎすぎなのじゃ。治昭はもともと体の弱いところがあるし、先のことはわしに任せて、ああやって気楽に遊んでおればよいのじゃ」
宗丈の見えないところで、菊羽は拳を握って震わせていた。
「まあ、わしが少々後押ししてやってもいるがな」
腰巻が膝を通過する。
「先のこと――とは?」
胸を舐めにくる宗丈に、息の多めの問いを投げる。
それには答えず、宗丈は指を、菊羽の秘所にそろりと這わせる。
「あっ……」
悪寒を抑えた吐息をこぼす。
宗丈が、褌を解く。
すでに硬くなっていたものを宗丈は菊羽に見せる。
「おぬしで、こうなっておるのじゃ。
環の年増ではぴくりともならぬ」
父のより、数日前に潰した男より、小さい、と菊羽は密かに比べていた。
余談ではあるが、あの晩のあとから、件の男は姿を見せていなかった。
宗丈は菊羽の手を掴み、自分のものを握らせる。
「男は、はじめてか?」
菊羽は頷く。
嘘ではない。
「怯えておるのか。案ずるな。優しく、気持ちよく、男を教えてやる」
菊羽の瞳は、嫌悪感と怒りと演技で震えていた。
宗丈が誘導して、菊羽の手が前後にゆっくりと動く。
菊羽の秘部を探っていた宗丈の指が、その奥に入る。
「んんっ」
涙が落ちた。
「痛かったか、すまん」
「との、さま……」
菊羽は気合を振り絞って、宗丈の耳に唇を寄せる。
「先のことは、どうされるのですか?」
「気にするな、と言うただろう」
「殿のものとなっても、すぐ、お取り潰しになるのは、いやでございます」
宗丈の指に合わせてはあはあと、半ば以上は演じている息を吐きながら、尋ねる。
宗丈が笑う。
「そのような心配は無用じゃ」
だが、と菊羽を抱きしめる。
「気になるのは仕方あるまい。憂いのう」
密着して、菊羽の肌が粟立つ。
抑えろと口の中で繰り返し唱えて、菊羽は夜目が効いて見えるようになってきていた、天井の板目を見る。
つぷ、と菊羽の割れ目を押し入っていた宗丈の節ばった指が、中で動く。
「んぁ……っ」
「教えてやってもよいが、わしのものになるか、菊」
「とのさま……」
返事代わりのように、菊羽は自分の体を押し付ける。
「でも、歳をとったら、捨てるのでしょう? 幼い子を、求めるのでしょう?」
宗丈の視界に入らない位置にある表情は、冷静になっていた。
声のみ、甘える。
宗丈が含んだ笑みで、菊羽の中をさらに掻き回す。
「この体を保てば、いつまでも可愛がってやる」
どうだ、と再度問う宗丈に、菊羽は応える体で動かす手を強める。
宗丈が低い息をもらす。
「おっ、いいぞっ、菊――」
「とのさま、わたしの心配を、消して……」
宗丈の耳に、媚びた声を響かせる。
「――わしには、大きな後ろ盾があるのじゃ」
「うしろ、だて?」
菊羽は、宗丈が果てぬよう、宗丈のものを握る強弱を細かく変える。
自分の中で蠢く宗丈の指に合わせて嬌く息をこぼし続ける。
「どこ?」
宗丈のものを強く擦る。
宗丈の背に回している手で、腰を撫でる。
「どこ?」
視線の浮いた宗丈に、畳み掛けるように訊く。
「う……このえ――ごん、ちゅうじょう、さまだ……」
右近衛権中将、といった。
菊羽はそれを耳に刻み、手は仕上げに走る。
「んぁ――っ」
宗丈から放出されるものが、菊羽の腿から臍まで広がる。
菊羽は腰を撫でていた手で宗丈の首筋を打つ。
絶頂と同時に、宗丈は気絶した。
「――っく」
自分の中に入ったままだった、宗丈の指を抜く。
吐き気を堪えて、菊羽は肌にかかったものを拭い、二人の着物を軽く整えて、布団に潜り込んだ。
右近衛権中将、と口の中で繰り返す。
尾張のあるじ、徳川光友(この頃は、まだ光義と名乗っている)の官名であった。
「環、さま……」
想い人の名を呟き、菊羽はそっと涙をこぼしていた。
翌朝、菊羽は宗丈より先に起きて身支度を整え、寝所の一角にある箪笥を調べた。
――はたして、奥底に隠されるように、上に『治昭』と書かれた包みを、菊羽は見つけ出した。
そっと開けてみると、数粒の丸薬が入っていた。
それを懐に収めてから、菊羽は宗丈を起こす。
「わしは……」
首をかしげる宗丈に、すすと寄り添って菊羽は言った。
「昨晩は激しゅうございました。わたくし、すっかり殿様のことが……」
と、頬を染めて見せる。
宗丈は目を丸くして、笑声をあげた。
菊羽が、宗丈の着替えを世話する。
宗丈はなおも菊羽の尻を撫で、胸を揉もうとする。
「おやめください――まだ、朝ですよ」
また夜に、と菊羽は背伸びして宗丈の耳元で囁く。
宗丈は菊羽の腰を抱いて、にたりと口を歪める。
その夜半、菊羽は江戸屋敷を出た。
数日後には、環は国へ帰ることとなった。
治昭の容態への心配と、政務と、江戸からの連絡などの、諸々の事情を抱えての帰国の途であった。
行きより人数が少なく、半分くらいが先に帰国し、残りは江戸にて評定をつづける。
その、残りの中に菊羽も含まれていた。
宗丈じきじきの、指名であった。
この数日、かれの目に留まるように環と菊羽でしめし合わせていたからでもあった。
環は菊羽との別れ際にこっそりと口づけを交わし――もっぱら、環が半ば足らず強引に吸い取ったのだが――、必ず帰国するよう命じた。
残った菊羽は三日後の夜、宗丈に奥座敷へと呼び出された。
他の者を下げ、二人きりとなる。
「菊、といったか」
「――はい」
菊羽は、宗丈を前に平服している。
宗丈はにたりと笑って「近う」と菊羽を呼んだ。
ただ大人しい娘のように、菊羽はしずしずと移動する。
「緊張しておるのか」
宗丈のほうも菊羽に近づき、その手を取った。
「環の女中と聞いたが、わしのものになれ」
「ご冗談が過ぎます。私など、何のお役にも――っ!?」
宗丈が、菊羽を引き寄せた。
「な、何を――」
菊羽は、宗丈の腕の中に捕らわれる。
五寸ほどかれのほうが背丈があり、肩幅も、体格もおおきい。
下になった宗丈の手が、菊羽の尻を撫ではじめた。
「おっ、お戯れはおやめください」
「戯れ、よいではないか」
宗丈は菊羽を抱きかかえて立ち上がった。
隣にある寝所まで運ぶ。
「あっ、あの……」
布団に優しく寝かされたところで、おずおずと菊羽が言う。
「いま、お家の一大事なのではないのですか? 私など――」
隣に転がった宗丈はなおも菊羽を抱き、菊羽の帯を解く。
はらりと、着ていた小紋の衿が緩む。
「一大事、とな」
ふふ、と宗丈は低く笑う。
「環にでも聞いたか。女子供の関わることではない――いや」
菊羽の顎をくいと押して、目を合わせさせる。
「おぬしがわしの子を産めば、それはそれで落着するぞ」
帯が抜き取られ、布団の外に投げられる。
宗丈は、自らが先に脱いで、褌ひとつの姿を菊羽に見せた。
かつては鍛えてもいたのだろう身体には無駄な肉が付き、日に焼けていない中年太りの肉体が、菊羽の上になる。
酒と煙草の混じった臭いが菊羽の鼻孔を襲う。
「お――お戯れを」
もう一度、菊羽がいう。
「何をあの年増に聞かされておるのか知らぬが、案ずるな」
「年増……?」
抗わぬよう己を抑えている菊羽が脱がされて、腰巻一枚になる。
宗丈は考えながら探るように、菊羽の胸のふくらみを下から撫で上げた。
「菊は、いくつじゃ」
宗丈の声は、優しい響きを持っていた。
猫撫で声にも近い。
「じっ――十五でございます」
「もうそんな歳なのか。あと五年、せめて三年は早く、こうしたかったものじゃ」
菊羽が目を丸くする。
「だがまあ、十五にしてはまだ、幼いところを残しておるのが、よい」
宗丈は菊羽の、胸の先を親指で弄る。
上には乗らず、足で挟み込む格好で、肌が触れ合う。
「殿は、十やそのあたりの、幼子がよいのですか?」
菊羽はいくぶん抵抗を見せる。
「それなら私などなおさら、こんなことを……」
言葉尻まで言わず、体をずらして宗丈を見上げる。
「おぬしほどの体の具合ならば、まあ、よい」
宗丈は菊羽の首筋から耳まで舌を這わせて、耳元でささやく。
「環の年増より余程、おぬしがよい」
この宗丈、少女性愛の嗜好であった。
手は別の生き物のように菊羽の体を撫で、腰巻も解こうとする。
「たっ――妹姫さまは、年増などでは」
「可愛らしい忠義心じゃな。だが、わしからすれば環はもう薹の立った女じゃ。
どうだ、わしのものになれば、苦労はせぬぞ」
宗丈はまた、菊羽を誘う。
菊羽は焦らすようなそぶりで体を捻り、上目遣いの視線を送る。
「家の大事、と言うたな」
菊羽の腰巻が、ゆっくりと下げられはじめた。
「環が大袈裟に騒ぎすぎなのじゃ。治昭はもともと体の弱いところがあるし、先のことはわしに任せて、ああやって気楽に遊んでおればよいのじゃ」
宗丈の見えないところで、菊羽は拳を握って震わせていた。
「まあ、わしが少々後押ししてやってもいるがな」
腰巻が膝を通過する。
「先のこと――とは?」
胸を舐めにくる宗丈に、息の多めの問いを投げる。
それには答えず、宗丈は指を、菊羽の秘所にそろりと這わせる。
「あっ……」
悪寒を抑えた吐息をこぼす。
宗丈が、褌を解く。
すでに硬くなっていたものを宗丈は菊羽に見せる。
「おぬしで、こうなっておるのじゃ。
環の年増ではぴくりともならぬ」
父のより、数日前に潰した男より、小さい、と菊羽は密かに比べていた。
余談ではあるが、あの晩のあとから、件の男は姿を見せていなかった。
宗丈は菊羽の手を掴み、自分のものを握らせる。
「男は、はじめてか?」
菊羽は頷く。
嘘ではない。
「怯えておるのか。案ずるな。優しく、気持ちよく、男を教えてやる」
菊羽の瞳は、嫌悪感と怒りと演技で震えていた。
宗丈が誘導して、菊羽の手が前後にゆっくりと動く。
菊羽の秘部を探っていた宗丈の指が、その奥に入る。
「んんっ」
涙が落ちた。
「痛かったか、すまん」
「との、さま……」
菊羽は気合を振り絞って、宗丈の耳に唇を寄せる。
「先のことは、どうされるのですか?」
「気にするな、と言うただろう」
「殿のものとなっても、すぐ、お取り潰しになるのは、いやでございます」
宗丈の指に合わせてはあはあと、半ば以上は演じている息を吐きながら、尋ねる。
宗丈が笑う。
「そのような心配は無用じゃ」
だが、と菊羽を抱きしめる。
「気になるのは仕方あるまい。憂いのう」
密着して、菊羽の肌が粟立つ。
抑えろと口の中で繰り返し唱えて、菊羽は夜目が効いて見えるようになってきていた、天井の板目を見る。
つぷ、と菊羽の割れ目を押し入っていた宗丈の節ばった指が、中で動く。
「んぁ……っ」
「教えてやってもよいが、わしのものになるか、菊」
「とのさま……」
返事代わりのように、菊羽は自分の体を押し付ける。
「でも、歳をとったら、捨てるのでしょう? 幼い子を、求めるのでしょう?」
宗丈の視界に入らない位置にある表情は、冷静になっていた。
声のみ、甘える。
宗丈が含んだ笑みで、菊羽の中をさらに掻き回す。
「この体を保てば、いつまでも可愛がってやる」
どうだ、と再度問う宗丈に、菊羽は応える体で動かす手を強める。
宗丈が低い息をもらす。
「おっ、いいぞっ、菊――」
「とのさま、わたしの心配を、消して……」
宗丈の耳に、媚びた声を響かせる。
「――わしには、大きな後ろ盾があるのじゃ」
「うしろ、だて?」
菊羽は、宗丈が果てぬよう、宗丈のものを握る強弱を細かく変える。
自分の中で蠢く宗丈の指に合わせて嬌く息をこぼし続ける。
「どこ?」
宗丈のものを強く擦る。
宗丈の背に回している手で、腰を撫でる。
「どこ?」
視線の浮いた宗丈に、畳み掛けるように訊く。
「う……このえ――ごん、ちゅうじょう、さまだ……」
右近衛権中将、といった。
菊羽はそれを耳に刻み、手は仕上げに走る。
「んぁ――っ」
宗丈から放出されるものが、菊羽の腿から臍まで広がる。
菊羽は腰を撫でていた手で宗丈の首筋を打つ。
絶頂と同時に、宗丈は気絶した。
「――っく」
自分の中に入ったままだった、宗丈の指を抜く。
吐き気を堪えて、菊羽は肌にかかったものを拭い、二人の着物を軽く整えて、布団に潜り込んだ。
右近衛権中将、と口の中で繰り返す。
尾張のあるじ、徳川光友(この頃は、まだ光義と名乗っている)の官名であった。
「環、さま……」
想い人の名を呟き、菊羽はそっと涙をこぼしていた。
翌朝、菊羽は宗丈より先に起きて身支度を整え、寝所の一角にある箪笥を調べた。
――はたして、奥底に隠されるように、上に『治昭』と書かれた包みを、菊羽は見つけ出した。
そっと開けてみると、数粒の丸薬が入っていた。
それを懐に収めてから、菊羽は宗丈を起こす。
「わしは……」
首をかしげる宗丈に、すすと寄り添って菊羽は言った。
「昨晩は激しゅうございました。わたくし、すっかり殿様のことが……」
と、頬を染めて見せる。
宗丈は目を丸くして、笑声をあげた。
菊羽が、宗丈の着替えを世話する。
宗丈はなおも菊羽の尻を撫で、胸を揉もうとする。
「おやめください――まだ、朝ですよ」
また夜に、と菊羽は背伸びして宗丈の耳元で囁く。
宗丈は菊羽の腰を抱いて、にたりと口を歪める。
その夜半、菊羽は江戸屋敷を出た。
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