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第二章 中二病には罹りません ー中学校ー

第97話 夏だ、海だ、合宿だ! (4)(side:野口絵実)

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「今日の夕食も美味しかったな~。」
合宿なんて初めてだからどうなる事かと思ったけど、ご飯は美味しいし、みんなは優しいし、もう最高。
さっきのアジの開きなんか大きくて身がぷりっぷりなんだもん、食べ過ぎちゃったよ~。

でも石川先輩と映像研究会の部長さんがね~。分からないもんだわ、まさかと思ったもん。
斉藤部長って言ったかな、凄い自慢気だったし本当の事なんだろうな~。

「絵実ちゃん、ヤッホー♪」
「あ、みっちゃんとくみちゃん、今からお風呂?」
「そうなのよ~。絵実ちゃんも一緒に行かない?」
「行く行く、タオル取って来るから待ってて。」
あの二人も本当に良くしてくれるんだよね。小学校の時の事があって警戒してたんだけど、全く嫌な所がなくって。
それに映像研究会の人たちもみんな優しいし、思いきってみんなに私の顔の事話したんだけど、全然態度変わらなかったんだよね。
この学校に来て本当に良かった。
これもみんな佐々木アイツのお陰なんだよね。
ママに鼻の下伸ばす変態だけど、少しは見直してあげてもいいかな。

「お待たせ~。早く行こう♪」
「全然だよ♪これからゴールデンタイムだから急がないとね。
あ、詳しくは脱衣所でね。」
「う、うん。分かった。」

"シュルシュルッパサッ"
「それでね、佐々木君たち桜町小学校出身の男子っているじゃない?」
「う、うん。」

"カラカラカラッ"
「彼らって"桜町っ子"って呼ばれてるのよ。」
"ザバーッ"
「くみちゃん、シャンプー取って~。」
「はい、これ。」
「ありがとう。」
"カシャカシャワシャワシャ"
桜町っ子彼らって上級生の人たちもそうなんだけど、自由奔放って言うか警戒心が薄いって言うか、とにかく隙が多いのよ。」
"ザバーッ"
「そんな桜町っ子彼らが温泉旅館に泊ったらどうすると思う?」
"カラカラカラッ"

えっ、何でみんな露天風呂に集まってるのよ。
「ゴールデンタイムの始まりです♪」

えっ、どう言う事?
男子って露天風呂なんか嫌がるんじゃないの?
今じゃ誰も入らないから閉鎖してる所もあるって聞いてるんだけど?
映像研究会の人たち壁に風呂桶当てて其処に耳くっ付けてって何やってんのよ!
あ、でも西城さんがお風呂から目を光らせてる。覗き防止はしてるし、あれくらいは見逃してるのかな?

"なんだお前ら、部屋にいないと思ったら、先に来てたんかよ~。"
"おう、佐々木。遅かったじゃん。俺らもう出る所だぞ~。"
"んだよ。そんじゃ、露天風呂一人占めさせていただきますか♪"
"お先~。"
"おう、後で部屋に行くわ。"

えっ、何で?
本当に男子が露天風呂にいるの?
って言うか、佐々木入ってるの?
何かドキドキして来たんだけど。
一人で鼻歌謳ってるし~!?

”なんだ佐々木、こっち入ってたのか。”
”あ、洋一君に英雄っち、お疲れっす。”
わぁ、石川先輩に木村君も入って来た。
桜町っ子って本当に露天風呂とか気にしないんだ。

”洋一君、やけに詳しいじゃない。趣味が温泉巡りとかだったりするのかな?”
”いや、斉藤がそう言う事が好きでな、色々教えてもらったんだ。”
”斉藤って映像研究会の部長さんじゃないですか~、嫌だな~、そこんところ詳しく教えてくださいよ。”
えっ、生男子のコイバナ?嘘、そんなの本当に聞いちゃっていいの?周りが静まり返ってるんですけど!壁女子が増えてるんですけど!?

”なんだお前、急に真面目な顔をして。お前が考えてるような関係じゃないっての。ちょっと話をしたりたまに買い物に行ったりって、まあ、それくらいの関係だっての。”
斉藤部長、無茶苦茶どや顔!思いっきり胸張ってるし!
と言うかこの人胸デカくない?
スタイル凄い良いんだけど、髪の毛上げるとかなり美人なんだけど!?

”おやおや、少々逆上のぼせてしまいましたかな、暑い暑い。”
”お前ふざけるなよ、って木村もさっきから関係ないって顔しやがって、お前は西城さんとどうなってるんだよ。”
今度は木村君!?
西城さん、思いっきりビクッってしたんですけど。

”ふん、何を言っている。俺と西城の関係は俺と西城の関係だ。それ以上でもそれ以下でもない。”
”だからそうじゃなくて、そうだな、恋人とか将来のパートナーだとかそう言った話でな。”
”あぁ、そういった話か。西城なら妻として申し分ないと思っている。まだ俺の方が彼女にふさわしいとは思えんがな。”
西城さん硬直しちゃってるんですけど!なんか全身真っ赤なんですけど!
これってお風呂から上げてあげないと倒れちゃわない?

「だそうですよ、西城さ~ん!!」
!!
”ガシャン!ガタガタガタッ”
佐々木、気付いてた!
壁女子一斉に逃げていくし、西城さん仰向けに倒れこんじゃうし!
あ、みっちゃんとくみちゃんが脱衣所に連れてった、良く冷やしてあげて~。

”おいなんだ、女子風呂から凄い音がしなかったか?”
”誰か転んだんじゃないですか?風呂桶の音みたいでしたし、西城さんがいるだろうし大丈夫だと思いますよ。”
佐々木~、ナイスフォロー!
でも肝心の西城さん、ノックダウンしちゃってますよ~!

”で、そういうお前はどうなんだ佐々木、月子姉さんも気にしてる様子何だが?”
”なんだ貴様、こっちの事色々言っといて自分は友人の姉に手を出してるだと!
吐け、全部吐け!!”
えっ、どう言う事?佐々木ってば実はモテたりするって事?
ウチのママに鼻の下伸ばしてる佐々木だよ、のっぺりだよ?
え、なんか嫌なんだけど。

”いや、月子さんはそんなんじゃないですよ。埴輪とかそういうのが好きで、ほら、俺ってのっぺり顔でしょ?それで気に入られてるって言うか?そんな感じですって。それに月子さん英雄ちゃん大好きっ子ですし~。”
”いや、俺はそれだけじゃないと思うがな。ま、後は本人たち次第だが。”
なに、佐々木ってば”月子さん”って下の名前で呼んでんのよ、私なんて未だに”野口さん”呼びじゃない!

「絵実ちゃん、私たち西城さん部屋に運ぶから先に上がるね。」
「う、うん。私も今行く。」

その晩はなんかモヤモヤした気分でよく眠れなかった。


「おはよう、絵実ちゃん。なんかすごい顔してるけど大丈夫?」
「う、うん。ちょっと夕べよく眠れなくって。全然平気だよ。」
「そう?あまり無理しないでね。ご飯行こ♪」

二人とも元気だな~。私なんて寝不足で…

「おはよう、野口さん。なんか顔色悪いけど大丈夫?ちゃんと寝れた?」
!!
佐々木、何でこのタイミングで現れるのよ!
心の準備が…

「顔赤くなってるよ、熱でもある?」
”ピトッ”
!!
「うん、オデコもそんなに熱くなってないし大丈夫かな?今日はみんな海で遊ぶから、無理だけはしないでね。先に朝飯行くね♪」

佐々木アイツ私のオデコに”ピトッ”って…。
え、これってドラマかなんか?
映像研究会撮影してるとか?

あ~~~~、佐々木~~~~~~!!
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