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鈍色の螺旋 番外
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友達を超えたら…ね、女の子は幸せを世界に告げる事が出来るけど
俺等は知られないように…世界で息を殺すんだ
これは罪だから 誰にも知られてはいけない事だから…
■□■ 鈍色の螺旋 番外
藤本の言葉を、晴海は公定も否定も出来ない…
認めてしまえば進めなくなるし、嘘だと言えば、それこそが嘘だとふたり共知っているから。
「それでも欲しいんだ…
藤本が欲しい…」
辛そうに吐出されたそのことばを、藤本は軽い溜息で受け取った。
「一緒に堕ちてくれる?」
静かに問ながら晴海が手を取ると、少し青ざめた藤本がその指に力を込め頷いた。
「怖い?」
続けて問う晴海に藤本がもう1度頷く
「自分が堕ちるのも、もしかして無意識に晴海を自身が誘惑していたのかもしれないと思うと…それも怖い…」
怯えと恐怖に震え少し冷たくなった藤本の身体を晴海は自分の熱を与えるように抱き締める。
「それは、無いよ、だって、藤本の事は初めて会った時から凄く欲しかったんだ」
「初めてって、あんな小さな時分に…」
小首を傾げる藤本の視線を背中に感じながら晴海は、カーテンを引く。
狭くない寝室が薄明るい闇に包まれた。
「うちに連れて帰って、大切に綺麗な箱に収めて誰の目にも見せない自分だけの宝物にしたかったんだ
でも…そんな人形みたいな藤本は藤本じゃないから…」
手を引き、自分のベッドに導く晴海は、ぎこちなく動く藤本に目を細める。
「何時も俺と一緒に飛んでくれる藤本が好きだったから…
傍にいてくれるだけで良かったのに…
今は…藤本が俺から逃げないように、背中の羽を引き千切りたい…」
語気は決して強いものでは無かったが支配を願うそのことばに、藤本は背をゾクリと這う恐怖に再び震えた。
いっそ逃げ出してしまいたかったが、晴海の腕を振り払うにはあまりに彼が好きで大好きでどうしたら良いのか考える事が出来ない…
噛み付かれるような口付けと、少し乱暴な指が藤本の衣服を乱していく。
冷たい指先が藤本の身体を確かめるように滑る。
その繊細な動きには躊躇いが一切なくて彼が長く頭の中で自分を抱く事を、シュミレートしていたのが藤本にはわかった。
恐怖に冷たくなっていた藤本の身体は、その晴海の指に簡単に堕ちる。
上がる心拍、肌が薄く汗ばみ自分を男だと主張する箇所が張り詰めて苦しい…
熱い
と、藤本が呟くと晴海が緩めるだけなく衣服を手際よく取り去った。
隠す布が無くておぼつかない仕草で自分の身体を自分で抱きしめる藤本を見下ろし、満足げに晴海が口元を緩める。
その晴海が自分の衣服を脱ぎ落とす様を藤本は黙って見つめた。
晴海の細いが無駄のない筋肉に覆われた身体はどこもかしこも綺麗で背徳の匂いが一切感じられない、なにより触れる晴海の肌は酷く冷たくて自分達のしている事が何なのかわからなくなる。
自分は彼に今本当に「抱かれて」いるのか?と、疑問に思うが、その答えは見つからなかった。
晴海が素肌に唇を落としては軽く時にきつく噛み付く、藤本は痛みに上がる悲鳴をおし殺そうと唇を噛んだ。
その唇をゆっくりと晴海の指が這う…
「藤本?唇が切れる…声を出しても大丈夫だよ
メイドには近づかないように言ってあるし、ここも防音してある」
自分を心配そうに覗き込む晴海に、ゆっくりと唇を解き大きく息を付く藤本の瞳から涙が一筋零れた。
「晴海が好きだ…疑わないで…」
切れ切れに自分の心を明かそうとする藤本のことばに、晴海が不思議な顔をして答えた。
「疑ってないよ…
ただ距離をもっと縮めたいだけなんだ」
割り開かれる下肢の奥に差し込まれた指は痛みを伴い藤本の微かに感じていた小さな快楽を吹き飛ばす。
無理矢理にこじ開けられようとしている箇所がジンジンと痛んで、痛みに涙が滲んだ。
「む…り…だよ」
喘ぐ藤本の言葉に小さくゴメンと呟いた晴海がそこに顔を近づけ舐め始める。
その生々しい感触に一挙に藤本の身体の熱が戻った。
「やっダメ…止めて……」
序々に持ち上がる雄に絡む指と、水音が静かすぎる部屋に響きにもどかしい熱が煽られる。
「もう…いいかな?」
痛む後口を紛らわそうと自身の熱を追っていた藤本は、そのことばと共に自身の中から遠ざかる指にほっとしたが、身体を重ね自分を蹂躙する晴海からの痛みにこらえ切れない高い悲鳴を上げたのだった。
傷口を無理矢理広げられるようなその酷い痛みに、一瞬正気を手放しそうになる。
激痛から逃げ出そうとずり上がりそうになる手首を捕まれた藤本は、涙で滲む瞳を見開いた。
「ごめん…」
自分を苦しめている少年の眉も顔も苦しそうに歪んでいたが、酷く幸せそうに謝ってくる。
その瞬間藤本は、これが…晴海が自分を食らう為の儀式なのだと理解した。
身体を繋げる事を、自分との同化の意味を強める為だけに行おうとしている彼にとって、快楽を追う事はさして重要ではないのだ。
純粋で清廉なゆえにとてつもなく残酷で美しい…誰よりも…愛おしい人
「晴海…」
痛みに飛びかける意識に、手を伸ばす事も許されない藤本が青ざめた唇から少年の名を呼んだ。
少し滑らかになった晴海の動きに、自身の傷ついた箇所が傷付き血を流しているのを感じる。
綺麗な彼の身体を自分の血潮が汚していると思うと堪らなかった…
「藤本…わかる?俺が藤本の中にいるの?」
嬉しそうな彼の声に小さく頷くと縋るように抱きしめてくる少年を藤本は痛む身を無視して彼が自由にしてくれた両腕を少年の線を残す細い肩口に回し両頬を押し付けた。
泣く自分を知られたくなくて…
俺等は知られないように…世界で息を殺すんだ
これは罪だから 誰にも知られてはいけない事だから…
END
※本編は「BL 短編集」に掲載しておりますので このふたりのお話に興味のある方はそちらをごらんくださいまし~
俺等は知られないように…世界で息を殺すんだ
これは罪だから 誰にも知られてはいけない事だから…
■□■ 鈍色の螺旋 番外
藤本の言葉を、晴海は公定も否定も出来ない…
認めてしまえば進めなくなるし、嘘だと言えば、それこそが嘘だとふたり共知っているから。
「それでも欲しいんだ…
藤本が欲しい…」
辛そうに吐出されたそのことばを、藤本は軽い溜息で受け取った。
「一緒に堕ちてくれる?」
静かに問ながら晴海が手を取ると、少し青ざめた藤本がその指に力を込め頷いた。
「怖い?」
続けて問う晴海に藤本がもう1度頷く
「自分が堕ちるのも、もしかして無意識に晴海を自身が誘惑していたのかもしれないと思うと…それも怖い…」
怯えと恐怖に震え少し冷たくなった藤本の身体を晴海は自分の熱を与えるように抱き締める。
「それは、無いよ、だって、藤本の事は初めて会った時から凄く欲しかったんだ」
「初めてって、あんな小さな時分に…」
小首を傾げる藤本の視線を背中に感じながら晴海は、カーテンを引く。
狭くない寝室が薄明るい闇に包まれた。
「うちに連れて帰って、大切に綺麗な箱に収めて誰の目にも見せない自分だけの宝物にしたかったんだ
でも…そんな人形みたいな藤本は藤本じゃないから…」
手を引き、自分のベッドに導く晴海は、ぎこちなく動く藤本に目を細める。
「何時も俺と一緒に飛んでくれる藤本が好きだったから…
傍にいてくれるだけで良かったのに…
今は…藤本が俺から逃げないように、背中の羽を引き千切りたい…」
語気は決して強いものでは無かったが支配を願うそのことばに、藤本は背をゾクリと這う恐怖に再び震えた。
いっそ逃げ出してしまいたかったが、晴海の腕を振り払うにはあまりに彼が好きで大好きでどうしたら良いのか考える事が出来ない…
噛み付かれるような口付けと、少し乱暴な指が藤本の衣服を乱していく。
冷たい指先が藤本の身体を確かめるように滑る。
その繊細な動きには躊躇いが一切なくて彼が長く頭の中で自分を抱く事を、シュミレートしていたのが藤本にはわかった。
恐怖に冷たくなっていた藤本の身体は、その晴海の指に簡単に堕ちる。
上がる心拍、肌が薄く汗ばみ自分を男だと主張する箇所が張り詰めて苦しい…
熱い
と、藤本が呟くと晴海が緩めるだけなく衣服を手際よく取り去った。
隠す布が無くておぼつかない仕草で自分の身体を自分で抱きしめる藤本を見下ろし、満足げに晴海が口元を緩める。
その晴海が自分の衣服を脱ぎ落とす様を藤本は黙って見つめた。
晴海の細いが無駄のない筋肉に覆われた身体はどこもかしこも綺麗で背徳の匂いが一切感じられない、なにより触れる晴海の肌は酷く冷たくて自分達のしている事が何なのかわからなくなる。
自分は彼に今本当に「抱かれて」いるのか?と、疑問に思うが、その答えは見つからなかった。
晴海が素肌に唇を落としては軽く時にきつく噛み付く、藤本は痛みに上がる悲鳴をおし殺そうと唇を噛んだ。
その唇をゆっくりと晴海の指が這う…
「藤本?唇が切れる…声を出しても大丈夫だよ
メイドには近づかないように言ってあるし、ここも防音してある」
自分を心配そうに覗き込む晴海に、ゆっくりと唇を解き大きく息を付く藤本の瞳から涙が一筋零れた。
「晴海が好きだ…疑わないで…」
切れ切れに自分の心を明かそうとする藤本のことばに、晴海が不思議な顔をして答えた。
「疑ってないよ…
ただ距離をもっと縮めたいだけなんだ」
割り開かれる下肢の奥に差し込まれた指は痛みを伴い藤本の微かに感じていた小さな快楽を吹き飛ばす。
無理矢理にこじ開けられようとしている箇所がジンジンと痛んで、痛みに涙が滲んだ。
「む…り…だよ」
喘ぐ藤本の言葉に小さくゴメンと呟いた晴海がそこに顔を近づけ舐め始める。
その生々しい感触に一挙に藤本の身体の熱が戻った。
「やっダメ…止めて……」
序々に持ち上がる雄に絡む指と、水音が静かすぎる部屋に響きにもどかしい熱が煽られる。
「もう…いいかな?」
痛む後口を紛らわそうと自身の熱を追っていた藤本は、そのことばと共に自身の中から遠ざかる指にほっとしたが、身体を重ね自分を蹂躙する晴海からの痛みにこらえ切れない高い悲鳴を上げたのだった。
傷口を無理矢理広げられるようなその酷い痛みに、一瞬正気を手放しそうになる。
激痛から逃げ出そうとずり上がりそうになる手首を捕まれた藤本は、涙で滲む瞳を見開いた。
「ごめん…」
自分を苦しめている少年の眉も顔も苦しそうに歪んでいたが、酷く幸せそうに謝ってくる。
その瞬間藤本は、これが…晴海が自分を食らう為の儀式なのだと理解した。
身体を繋げる事を、自分との同化の意味を強める為だけに行おうとしている彼にとって、快楽を追う事はさして重要ではないのだ。
純粋で清廉なゆえにとてつもなく残酷で美しい…誰よりも…愛おしい人
「晴海…」
痛みに飛びかける意識に、手を伸ばす事も許されない藤本が青ざめた唇から少年の名を呼んだ。
少し滑らかになった晴海の動きに、自身の傷ついた箇所が傷付き血を流しているのを感じる。
綺麗な彼の身体を自分の血潮が汚していると思うと堪らなかった…
「藤本…わかる?俺が藤本の中にいるの?」
嬉しそうな彼の声に小さく頷くと縋るように抱きしめてくる少年を藤本は痛む身を無視して彼が自由にしてくれた両腕を少年の線を残す細い肩口に回し両頬を押し付けた。
泣く自分を知られたくなくて…
俺等は知られないように…世界で息を殺すんだ
これは罪だから 誰にも知られてはいけない事だから…
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