追放されたデバフ使いが実は対ボス最終兵器でした〜「雑魚にすら効かない」という理由で捨てられたけど、竜も魔王も無力化できます〜

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第33話 【グラナドス戦②・苦戦と追い詰められ】

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 第33話 【グラナドス戦②・苦戦と追い詰められ】

 剣を構える。

 グラナドスの金色の瞳が、俺を見据えた。

 次の瞬間。

 巨大な尾が振り下ろされる。

「散れ!」

 クリスの叫び。

 俺は横に跳んだ。

 地面が砕ける音。

 さっきまでいた場所に、深い亀裂が走る。

「【範囲弱体化】!」

 俺は魔力を解放した。

 紫色の光がグラナドスを包む。

 効いている。

 確かに効いている。

 だが。

「まだ足りない」

 クリスがツブヤいた。

 彼女の剣がグラナドスのウロコを捉える。

 火花が散った。

 だが、傷は浅い。

「くそ!」

 ダリウスが大剣を振るう。

 グラナドスの前脚にタタきつける。

 ウロコが僅かに削れた。

 それだけだ。

「ミラ、回復を頼む!」

「は、はい!」

 ミラの声が震えている。

 彼女は詠唱を始めた。

 淡い緑色の光が俺たちを包む。

 体が少し楽になる。

 だが、疲労は消えない。

 グラナドスが咆哮ホウコウした。

「ガアアアアッ!」

 耳が痛い。

 洞窟全体が震える。

 氷柱が天井から落ちてくる。

「避けろ!」

 俺は叫んだ。

 全員が四方に散る。

 氷柱が地面に突き刺さる。

 鋭い音が響いた。

 グラナドスの口が開く。

 冷気が渦巻く。

「まずい、ブレスだ!」

 クリスが剣を盾にする。

 青白い息吹が俺たちを襲う。

 絶対零度の風。

 俺は本能的に地面に伏せた。

 頭上を冷気が通り過ぎる。

 背中が凍りつくように冷たい。

「ダリウス!」

 ミラの悲鳴。

 見ると、ダリウスが氷の柱にタタきつけられていた。

「大丈夫か!」

「ぐっ、右腕が」

 彼の右腕から血がニジんでいる。

 ヨロイが裂けていた。

「すぐに治療します!」

 ミラが駆け寄る。

 その隙に、グラナドスの尾がぎ払う。

「危ない!」

 俺は咄嗟トッサにミラを突き飛ばした。

 尾が俺の脇をカスめる。

 ヨロイキシむ音。

 肋骨アバラボネに鈍い痛み。

「アクセル!」

 クリスが叫ぶ。

「平気だ」

 俺は立ち上がった。

 だが、息が上がっている。

 額から汗が流れる。

 どれくらい戦っている?

 三十分か。

 もっとか。

 時間の感覚が曖昧になる。

「まだ足りない」

 俺はツブヤいた。

 デバフの効果が足りない。

 グラナドスは確かに弱まっている。

 だが、それでも圧倒的だ。

「【弱体化】!」

 俺は再び魔力を集中させた。

 紫色の光が幾重にも重なる。

 グラナドスを縛る。

 竜の動きが鈍くなった。

「今だ!」

 クリスが踏み込む。

 剣がグラナドスの首元を狙う。

 だが、ウロコが硬い。

 弾かれた。

「ちっ」

 クリスが舌打ちする。

 彼女の手が震えている。

 疲れているのは俺だけじゃない。

 みんな限界に近づいている。

 ダリウスは左手で剣を構えている。

 右腕はまだ動かない。

 ミラの顔は青白い。

 マナが底をつきかけているのだろう。

 そして俺も。

 視界が揺らぐ。

 魔力を使いすぎた。

 だが、まだだ。

 まだ倒れるわけにはいかない。

 グラナドスが動いた。

 巨大な体が持ち上がる。

 翼が広がった。

 洞窟の壁に届くほどの。

「何をする気だ」

 クリスがツブヤく。

 その時、俺は気づいた。

 グラナドスの視線。

 洞窟の奥を見ている。

 氷の壁を。

「あれを守っているのか」

「何?」

「封印だ」

 俺は言った。

「あの氷の壁の奥に、封印がある」

 クリスの目が鋭くなる。

「だから、この場所から動かない」

「つまり」

「あの壁を守るために、俺たちと戦っている」

 グラナドスが低くウナった。

「よく気づいたな、小僧」

 その声には、僅かな疲労が混じっていた。

 竜も、消耗しているのか。

 だが、まだ倒れない。

 まだ戦える。

 俺たちより、ずっと。

「どうする」

 ダリウスが聞いた。

「封印を狙うか」

「いや」

 クリスが首を振る。

「グラナドスを倒さなければ、封印には触れられない」

「だが、このままじゃ」

「分かっている」

 彼女の声が固い。

「でも、諦めない」

 その瞬間だった。

 洞窟の入口から、冷たい風が吹き込んだ。

 何かが変わった。

 空気が。

 温度が。

 グラナドスが顔を上げる。

「時が来たか」

 その声が、低く沈んだ。

 ◇

 同じ頃。

 王都のギルド本部。

 受付の前に、四人の冒険者が立っていた。

 マルセル、カミラ、ブライト、リナ。

 元勇者パーティ。

 ギルド職員が書類を手渡す。

「正式な通知です」

 マルセルが書類を受け取った。

 その手が、微かに震える。

「ランク降格。B級からC級へ」

 職員の声が、淡々としている。

「異議申し立ては可能ですが」

「いや」

 マルセルが遮った。

「異議はない」

 周囲の冒険者たちが、ひそひそとササヤく。

「勇者パーティが降格だって」

「デバフ使いを追放したのが失敗だったんじゃないか」

 カミラの顔が紅潮する。

「何よ、あんな無能」

「カミラ」

 ブライトが小さくトガめた。

 だが、彼の目にも諦めの色がある。

 リナはウツムいたまま、何も言わない。

 マルセルは書類を握りしめた。

 紙がシワになる。

 彼の中で、何かがキシむ音がした。

 認めたくない。

 認めたくないが。

 頭の片隅で、声がササヤく。

 あいつがいた時は、こんなことは。

 いや。

 違う。

 関係ない。

 俺は、間違っていない。

 マルセルは唇をんだ。

「行くぞ」

 短く言って、キビスを返す。

 三人が後に続いた。

 ギルドの喧騒ケンソウが、彼らの背中を見送る。

 誰も、声をかけなかった。

 ◇

 洞窟に、再び緊張が走る。

 グラナドスの全身から、魔力がアフれ出した。

 青白い光。

 氷の粒子が舞い上がる。

「来るぞ」

 クリスが剣を構えた。

 ダリウスとミラも、身構える。

 俺は、深く息を吸った。

 まだだ。

 まだ終わらない。

 デバフの効果が足りないなら。

 もっとツナげる。

 もっと重ねる。

 俺の限界を、超えてでも。

 グラナドスの瞳が、再び俺を捉えた。

 その目の奥に、何かが見えた。

 期待?

 それとも。

 次の瞬間、竜が動いた。
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