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第8話 スライムにはナメクジ用の塩で十分でした
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第2階層は、湿っていた。
石造りの回廊から一歩踏み込んだ途端、空気が変わる。
黴と苔が混じったような匂い。
足元には水路が走り、壁には緑青のような染みが広がっている。
「……ジメジメしてるわね」
ミレイが眉を寄せた。
白いワンピースの裾が、湿った空気を吸って重そうに揺れている。
「エアコンなしのサーバールームみたいだな」
「……どういう例え?」
「最悪の環境ってことだ」
松明の光が、苔むした壁に揺らめく影を落とす。
水路のせせらぎが、静かに響いている。
第1階層のゴブリンたちとは、明らかに雰囲気が違う。
その時、視界の端で何かが動いた。
「来たわ」
ミレイが裁ち鋏を構える。
水路の奥から、ぷるぷると震える半透明の塊が這い出してきた。
直径は1メートルほど。
体内に緑色の核が浮かんでいる。
スライム。
見た目は巨大な葛餅だ。
食欲は湧かない。
「倒すわよ」
ミレイが跳んだ。
裁ち鋏が閃き、スライムの胴体を薙ぎ払う。
ずぶり。
刃がスライムを両断した。
だが、切り離された二つの塊は、すぐに融合して元に戻る。
「……っ」
ミレイがもう一度斬る。
三度斬る。
四度斬る。
切っても、切っても、くっつく。
「キリがないわよ!」
「だろうな」
俺は腕を組んで見ていた。
「物理無効対物理耐性。泥仕合だ」
「見てないで手伝いなさいよ!」
「俺が行っても同じだ。むしろ食われる」
スライムがミレイに触手を伸ばした。
当然、すり抜ける。
物理無効は相変わらず健在だ。
だが、ミレイの攻撃もスライムには効かない。
永遠に終わらない膠着状態。
「『わたし、きれい?』は?」
「試したわよ。反応しないの」
「そりゃそうだ。スライムに耳はない」
俺は息を吐いた。
これは想定内だ。
だから、準備してきた。
◆
「ミレイ、下がれ」
「……何する気?」
「理科の実験だ」
俺は背中に担いでいた袋を下ろした。
20キロの業務用食塩。
昨日、スキマに依代を持たせて業務スーパーから調達しておいたものだ。
「……塩?」
「ああ」
「それでどうするの?」
「かける」
「……は?」
ミレイが首を傾げた。
だが、説明している暇はない。
スライムが俺に気づいた。
ぷるぷると震えながら、こちらに這い寄ってくる。
俺は袋を破り、中身をぶちまけた。
白い粉末が、スライムの体表に降り注ぐ。
瞬間。
じゅわああああ。
音を立てて、スライムが萎み始めた。
「っ……!?」
ミレイの目が見開かれた。
スライムの体が、みるみるうちに皺くちゃになっていく。
半透明だった体は濁り、ぶよぶよだった表面は干からびていく。
まるで、夏の日差しに曝されたナメクジのように。
「な、何これ……」
「浸透圧だ」
俺は淡々と答えた。
「細胞膜を隔てて濃度の異なる溶液があると、濃度の低い方から高い方へ水が移動する。中学の理科で習う基本だ」
「……よく分からないけど、塩で溶けるってこと?」
「溶けるんじゃない。干からびるんだ。ナメクジと同じ原理だ」
スライムは、もう動かなくなっていた。
最初の半分以下のサイズに縮み、床にべちゃりと張り付いている。
UIにメッセージが表示された。
『━━━━━━━━━━━━━━━━━
【討伐完了】
スライム×1
獲得DP:150
━━━━━━━━━━━━━━━━━』
「ゴブリンより高いな」
俺は頷いた。
「脱水完了。回収だ」
スライムの死骸から、緑色の魔石と、プルプルした粘液の塊が残っていた。
粘液は透明で、指で触るとひんやりしている。
「……あんた、魔王よりエグいわよ」
ミレイが肩を竦めた。
「褒め言葉だ」
「褒めてない」
◆
その後、30分で5体のスライムを処理した。
方法は同じ。
塩をかけて、脱水させて、回収。
作業というより、駆除に近い。
「……もうちょっと、こう、戦いっぽくできないの?」
「戦いは効率が悪い。これは資源回収だ」
「スライムが可哀想になってきたわ」
「熱湯の時も同じこと言ってたな」
「ゴブリンの時ね……」
ミレイが遠い目をした。
あの凄惨な光景を思い出しているらしい。
俺は回収した粘液を眺めた。
5体分で、かなりの量が集まっている。
「これ、何に使えるんだ?」
UIを開く。
素材にカーソルを合わせると、詳細情報が表示された。
便利な機能だ。
『━━━━━━━━━━━━━━━━━
【素材情報】
名称:スライムゼリー
分類:素材(生体由来)
━━━━━━━━━━━━━━━━━
特性:
・超保水力(通常の50倍)
・皮膚再生促進
・細胞活性化
━━━━━━━━━━━━━━━━━
備考:
高級美容液の原料として
非常に高い価値を持つ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━』
俺は、ゆっくりと口角を上げた。
「……ミレイ」
「何?」
「手、出せ」
「……なんで?」
「実験だ」
訝しげな顔をしながらも、ミレイは手を差し出した。
俺はスライムゼリーを少量取り、彼女の手の甲に塗る。
「……冷たい」
「待て。すぐ浸透する」
5秒後。
ミレイの手の甲が、艶を帯び始めた。
毛穴が消え、肌理が整い、まるで磨かれた陶器のような質感になる。
「……えっ」
ミレイが自分の手を見つめた。
目が、どんどん大きくなっていく。
「う、嘘……」
「どうだ」
「毛穴が……消えてる……?」
ミレイが頬に触れた。
その仕草は、普段の口裂け女とは思えないほど、乙女らしかった。
「ちょ、ちょっと待って。顔にも塗っていい?」
「好きにしろ」
ミレイが慌ててゼリーを手に取り、顔に塗り始める。
マスクを外し、裂けた口を晒しながらも、気にする様子はない。
「……すごい。高級化粧品より全然すごい」
「だろうな」
「なんでこんなのがダンジョンに湧くのよ……」
「さあな。だが、ありがたい」
俺はUIを確認した。
『━━━━━━━━━━━━━━━━━
【DP残高】
━━━━━━━━━━━━━━━━━
前回残高:2900DP
スライム×5:+750DP
現在残高:3650DP
━━━━━━━━━━━━━━━━━』
ゴブリンの1.5倍。
第2階層は、効率のいい稼ぎ場になりそうだ。
◆
夕方。
俺は縁側で、次の一手を考えていた。
スライムゼリーの美容効果は本物だ。
ミレイの肌は、数時間経っても艶々のままだった。
「タエさん」
「なんだい?」
縁側の端で茶を飲んでいたタエさんが、顔を上げた。
「次の配送先は『マダム』だ」
「マダム?」
「富裕層の奥様方。ペットフードと同じ客層だが、今度は本人向けだ」
タエさんの目が光った。
「へえ。何を届けるんだい?」
「美容液。スライムから取れた原料で作る」
「スライムから美容液……」
「原料は言わない方がいいな。『秘境の泉から採取した希少エッセンス』とでも言っておけ」
「あんた、詐欺師になれるよ」
「経営者だ」
タエさんが喉の奥で笑った。
襖の隙間から、スキマが顔を出した。
「……あの……塩、足りますか……?」
「ああ、助かった。次は25キロ袋を3つ頼む。依代の時間、大丈夫か?」
「……はい……1時間あれば……十分です……」
スキマが隙間の奥に消えていく。
調達係として、完璧に機能している。
ミレイが台所から出てきた。
手には、プリンを3個。
「ねえ、あんた」
「何だ」
「このゼリー、私の分は確保してくれるわよね?」
「……経費として計上する」
「ありがと」
ミレイが嬉しそうにプリンを開けた。
口裂け女が美容に気を使う。
シュールな光景だが、もう慣れた。
俺はスマホを見た。
元上司からの通知は、195件になっていた。
もちろん、見ていない。
「さて」
俺は立ち上がった。
「明日からは第2階層も周回コースに入れる。ミレイ、塩まきは任せるぞ」
「私が?」
「俺がやると腰が痛くなる」
「……それは労働じゃないの?」
「お前がやれば、俺にとっては労働じゃない」
ミレイが天を仰いだ。
もう反論する気力もないらしい。
太陽が山の稜線に沈んでいく。
茜色の空が、古民家の屋根を染める。
第1階層でゴブリンを狩り、ペットフードを作る。
第2階層でスライムを狩り、美容液を作る。
完璧な二毛作だ。
俺のダンジョン経営は、順調に拡大している。
そして俺は、明日も寝て暮らす。
続く
石造りの回廊から一歩踏み込んだ途端、空気が変わる。
黴と苔が混じったような匂い。
足元には水路が走り、壁には緑青のような染みが広がっている。
「……ジメジメしてるわね」
ミレイが眉を寄せた。
白いワンピースの裾が、湿った空気を吸って重そうに揺れている。
「エアコンなしのサーバールームみたいだな」
「……どういう例え?」
「最悪の環境ってことだ」
松明の光が、苔むした壁に揺らめく影を落とす。
水路のせせらぎが、静かに響いている。
第1階層のゴブリンたちとは、明らかに雰囲気が違う。
その時、視界の端で何かが動いた。
「来たわ」
ミレイが裁ち鋏を構える。
水路の奥から、ぷるぷると震える半透明の塊が這い出してきた。
直径は1メートルほど。
体内に緑色の核が浮かんでいる。
スライム。
見た目は巨大な葛餅だ。
食欲は湧かない。
「倒すわよ」
ミレイが跳んだ。
裁ち鋏が閃き、スライムの胴体を薙ぎ払う。
ずぶり。
刃がスライムを両断した。
だが、切り離された二つの塊は、すぐに融合して元に戻る。
「……っ」
ミレイがもう一度斬る。
三度斬る。
四度斬る。
切っても、切っても、くっつく。
「キリがないわよ!」
「だろうな」
俺は腕を組んで見ていた。
「物理無効対物理耐性。泥仕合だ」
「見てないで手伝いなさいよ!」
「俺が行っても同じだ。むしろ食われる」
スライムがミレイに触手を伸ばした。
当然、すり抜ける。
物理無効は相変わらず健在だ。
だが、ミレイの攻撃もスライムには効かない。
永遠に終わらない膠着状態。
「『わたし、きれい?』は?」
「試したわよ。反応しないの」
「そりゃそうだ。スライムに耳はない」
俺は息を吐いた。
これは想定内だ。
だから、準備してきた。
◆
「ミレイ、下がれ」
「……何する気?」
「理科の実験だ」
俺は背中に担いでいた袋を下ろした。
20キロの業務用食塩。
昨日、スキマに依代を持たせて業務スーパーから調達しておいたものだ。
「……塩?」
「ああ」
「それでどうするの?」
「かける」
「……は?」
ミレイが首を傾げた。
だが、説明している暇はない。
スライムが俺に気づいた。
ぷるぷると震えながら、こちらに這い寄ってくる。
俺は袋を破り、中身をぶちまけた。
白い粉末が、スライムの体表に降り注ぐ。
瞬間。
じゅわああああ。
音を立てて、スライムが萎み始めた。
「っ……!?」
ミレイの目が見開かれた。
スライムの体が、みるみるうちに皺くちゃになっていく。
半透明だった体は濁り、ぶよぶよだった表面は干からびていく。
まるで、夏の日差しに曝されたナメクジのように。
「な、何これ……」
「浸透圧だ」
俺は淡々と答えた。
「細胞膜を隔てて濃度の異なる溶液があると、濃度の低い方から高い方へ水が移動する。中学の理科で習う基本だ」
「……よく分からないけど、塩で溶けるってこと?」
「溶けるんじゃない。干からびるんだ。ナメクジと同じ原理だ」
スライムは、もう動かなくなっていた。
最初の半分以下のサイズに縮み、床にべちゃりと張り付いている。
UIにメッセージが表示された。
『━━━━━━━━━━━━━━━━━
【討伐完了】
スライム×1
獲得DP:150
━━━━━━━━━━━━━━━━━』
「ゴブリンより高いな」
俺は頷いた。
「脱水完了。回収だ」
スライムの死骸から、緑色の魔石と、プルプルした粘液の塊が残っていた。
粘液は透明で、指で触るとひんやりしている。
「……あんた、魔王よりエグいわよ」
ミレイが肩を竦めた。
「褒め言葉だ」
「褒めてない」
◆
その後、30分で5体のスライムを処理した。
方法は同じ。
塩をかけて、脱水させて、回収。
作業というより、駆除に近い。
「……もうちょっと、こう、戦いっぽくできないの?」
「戦いは効率が悪い。これは資源回収だ」
「スライムが可哀想になってきたわ」
「熱湯の時も同じこと言ってたな」
「ゴブリンの時ね……」
ミレイが遠い目をした。
あの凄惨な光景を思い出しているらしい。
俺は回収した粘液を眺めた。
5体分で、かなりの量が集まっている。
「これ、何に使えるんだ?」
UIを開く。
素材にカーソルを合わせると、詳細情報が表示された。
便利な機能だ。
『━━━━━━━━━━━━━━━━━
【素材情報】
名称:スライムゼリー
分類:素材(生体由来)
━━━━━━━━━━━━━━━━━
特性:
・超保水力(通常の50倍)
・皮膚再生促進
・細胞活性化
━━━━━━━━━━━━━━━━━
備考:
高級美容液の原料として
非常に高い価値を持つ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━』
俺は、ゆっくりと口角を上げた。
「……ミレイ」
「何?」
「手、出せ」
「……なんで?」
「実験だ」
訝しげな顔をしながらも、ミレイは手を差し出した。
俺はスライムゼリーを少量取り、彼女の手の甲に塗る。
「……冷たい」
「待て。すぐ浸透する」
5秒後。
ミレイの手の甲が、艶を帯び始めた。
毛穴が消え、肌理が整い、まるで磨かれた陶器のような質感になる。
「……えっ」
ミレイが自分の手を見つめた。
目が、どんどん大きくなっていく。
「う、嘘……」
「どうだ」
「毛穴が……消えてる……?」
ミレイが頬に触れた。
その仕草は、普段の口裂け女とは思えないほど、乙女らしかった。
「ちょ、ちょっと待って。顔にも塗っていい?」
「好きにしろ」
ミレイが慌ててゼリーを手に取り、顔に塗り始める。
マスクを外し、裂けた口を晒しながらも、気にする様子はない。
「……すごい。高級化粧品より全然すごい」
「だろうな」
「なんでこんなのがダンジョンに湧くのよ……」
「さあな。だが、ありがたい」
俺はUIを確認した。
『━━━━━━━━━━━━━━━━━
【DP残高】
━━━━━━━━━━━━━━━━━
前回残高:2900DP
スライム×5:+750DP
現在残高:3650DP
━━━━━━━━━━━━━━━━━』
ゴブリンの1.5倍。
第2階層は、効率のいい稼ぎ場になりそうだ。
◆
夕方。
俺は縁側で、次の一手を考えていた。
スライムゼリーの美容効果は本物だ。
ミレイの肌は、数時間経っても艶々のままだった。
「タエさん」
「なんだい?」
縁側の端で茶を飲んでいたタエさんが、顔を上げた。
「次の配送先は『マダム』だ」
「マダム?」
「富裕層の奥様方。ペットフードと同じ客層だが、今度は本人向けだ」
タエさんの目が光った。
「へえ。何を届けるんだい?」
「美容液。スライムから取れた原料で作る」
「スライムから美容液……」
「原料は言わない方がいいな。『秘境の泉から採取した希少エッセンス』とでも言っておけ」
「あんた、詐欺師になれるよ」
「経営者だ」
タエさんが喉の奥で笑った。
襖の隙間から、スキマが顔を出した。
「……あの……塩、足りますか……?」
「ああ、助かった。次は25キロ袋を3つ頼む。依代の時間、大丈夫か?」
「……はい……1時間あれば……十分です……」
スキマが隙間の奥に消えていく。
調達係として、完璧に機能している。
ミレイが台所から出てきた。
手には、プリンを3個。
「ねえ、あんた」
「何だ」
「このゼリー、私の分は確保してくれるわよね?」
「……経費として計上する」
「ありがと」
ミレイが嬉しそうにプリンを開けた。
口裂け女が美容に気を使う。
シュールな光景だが、もう慣れた。
俺はスマホを見た。
元上司からの通知は、195件になっていた。
もちろん、見ていない。
「さて」
俺は立ち上がった。
「明日からは第2階層も周回コースに入れる。ミレイ、塩まきは任せるぞ」
「私が?」
「俺がやると腰が痛くなる」
「……それは労働じゃないの?」
「お前がやれば、俺にとっては労働じゃない」
ミレイが天を仰いだ。
もう反論する気力もないらしい。
太陽が山の稜線に沈んでいく。
茜色の空が、古民家の屋根を染める。
第1階層でゴブリンを狩り、ペットフードを作る。
第2階層でスライムを狩り、美容液を作る。
完璧な二毛作だ。
俺のダンジョン経営は、順調に拡大している。
そして俺は、明日も寝て暮らす。
続く
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