9 / 15
第2章 第9話「契約の本丸と、歪んだ洋館への招待状」
しおりを挟む
キッチンに立つのも、すっかり慣れた。
フライパンの上でベーコンが跳ね、香ばしい匂いが部屋に広がる。
私は隣のコンロで沸騰した湯に、そっと卵を落とした。
「七分半」
背後から、聞き慣れた声。
振り返ると、慧がダイニングテーブルでスマホを操作していた。
視線は画面に落としたまま、口だけが動く。
「ゆで卵は七分半。六分では黄身が流れ、八分では固くなりすぎる」
「分かってるってば」
私はため息をついた。
「毎朝同じこと言わないでよ。耳にタコができる」
「事実を述べているだけです」
「事実の押し売りは迷惑よ」
そう言いながら、私はタイマーをセットした。
七分三十秒。
この男のこだわりに、いつの間にか染まっている自分に気づいて、少し腹が立つ。
黒崎事件から、五日が過ぎた。
同居生活は十九日目。
あの夜以来、慧との距離感が微妙に変わった気がする。
といっても、劇的な変化があったわけじゃない。
ただ、会話の角が取れた。
以前は刃物みたいだった言葉が、今は少しだけ丸みを帯びている。
「ねえ」
私は卵を見守りながら、何気なく尋ねた。
「あんた、週末の予定ある?」
慧の手が止まった。
スマホの画面を見つめたまま、数秒の沈黙。
「……ありません」
「じゃあ、どこか出かけない? 息抜きも必要でしょ」
「息抜き」
慧は顔を上げた。
その目が、かすかに細まる。
「君は『契約上の妻』です。観光ツアーのガイドではない」
「堅いなあ」
私は肩をすくめた。
「たまには美味しいもの食べに行くとか、映画観るとか」
「非効率です」
「あんたの口からそれ以外の言葉、聞いたことない気がする」
タイマーが鳴った。
私は卵を氷水に浸し、手際よく殻を剥く。
綺麗な半熟。
黄身がとろりとしながらも、崩れない絶妙な仕上がり。
「どう?」
皿に盛り付けた朝食をテーブルに置く。
ベーコンエッグ、トースト、サラダ、そして七分半のゆで卵。
慧は卵を割った。
黄身がゆっくりと流れ出す。
「……悪くない」
その声が、いつもより柔らかい。
口元がわずかに緩んでいる。
私は向かいの席に座り、コーヒーを一口飲んだ。
窓から差し込む朝日が、テーブルを温かく照らしている。
平和だ。
あまりにも、平和すぎる朝。
その時だった。
インターホンが鳴った。
-----
慧は眉をひそめた。
「宅配の予定はない」
彼は立ち上がり、玄関へ向かった。
私も後に続く。
ドアを開けると、そこには誰もいなかった。
ただ、足元に一通の封筒が置かれている。
漆黒の封筒。
上質な紙の手触り。
封蝋には、鳳凰の紋章が押されていた。
慧の顔色が変わった。
血の気が引くように、白くなる。
「……どうしたの」
私の声に、慧は答えなかった。
ただ、封筒を手に取り、じっと見つめている。
その横顔が、凍りついていた。
いつもの合理主義者の仮面が、剥がれ落ちている。
「慧?」
私は彼の腕に触れた。
その瞬間、慧がビクリと肩を震わせた。
「……すみません」
彼は小さく首を振った。
「開けましょう」
封を切る指が、かすかに震えている。
私は黙って、その様子を見守った。
中から出てきたのは、一枚の便箋。
達筆な毛筆で、こう書かれていた。
『高塔慧殿 並びに御令室
来る週末、鳳凰家本邸にて親族食事会を開催いたします。
つきましては、御夫婦揃っての御臨席を賜りたく存じます。
鳳凰時康』
「……親族食事会?」
私は首を傾げた。
「あんた、鳳凰家の親戚なの?」
慧は答えなかった。
便箋を見つめたまま、石のように動かない。
「慧」
私は彼の顔を覗き込んだ。
その目が、遠くを見ている。
ここではない、どこか別の場所を。
「……これは」
ようやく開いた口から出た声は、かすれていた。
「食事会ではありません」
「じゃあ、何なの」
「品定めです」
慧の声が、低く沈む。
「君を……僕の妻を、値踏みするための場」
私は息を呑んだ。
品定め。
つまり、契約結婚の本丸が、ついに動き出したということ。
「あの男は」
慧が便箋を握りしめた。
紙がくしゃりと音を立てる。
「招待状という名の召喚状を送ってくる。断れば不興を買い、応じれば地獄が待っている」
「地獄?」
「……断ることも可能です」
慧が私を見た。
その目には、いつもの冷徹さがない。
代わりに、奇妙な光が宿っている。
懇願。
そんな言葉が、頭をよぎった。
「あの家は、君には毒すぎる」
慧の声が、震えている。
「あそこに足を踏み入れれば、君は傷つく。僕の過去に巻き込まれる」
「過去?」
「……説明する義務はない。ただ」
慧は目を伏せた。
「行きたくなければ、断ります。契約違反にはしない。違約金も請求しない」
私は黙って、慧の顔を見つめた。
この男が、こんな顔をするのを初めて見た。
法廷の悪魔。
無敗の離婚弁護士。
感情を論理で武装する合理主義者。
その仮面の下に、こんな脆さが隠れていたなんて。
「……ねえ」
私は慧の手から、便箋を取り上げた。
「あんた、何か勘違いしてない?」
「勘違い?」
「私は800万で雇われたプロよ」
私は便箋を丁寧に折り畳んだ。
「どんな化け物屋敷でも、どんな意地悪な爺さんが待ち構えてても、完璧な『高塔慧の妻』を演じきる。それが私の仕事」
「しかし」
「別れさせ屋のエースを舐めないでよ」
私は慧の胸を、軽く小突いた。
「怪しい男を籠絡して、秘密を抜き取って、修羅場をくぐり抜けてきたの。鳳凰なんとかって爺さんの一人や二人、どうってことないわ」
慧の目が、大きく見開かれた。
「……君は」
「逃げたら契約違反でしょ?」
私は笑った。
「あんた、最初に言ったわよね。『契約は履行されるべきもの』って。私も同感」
慧は黙っていた。
その目が、複雑な色を帯びている。
驚きと、困惑と、そして……何か別のもの。
「安心して」
私は慧の目をまっすぐ見つめた。
「どんな敵が来ても、私が最高の妻を演じて、全員黙らせてくるから」
沈黙が落ちた。
朝日が、私たちの間を照らしている。
やがて、慧は小さく息を吐いた。
「……分かりました」
その声が、かすかに震えている。
「週末、鳳凰家の本邸へ向かいます」
「うん」
「ただ」
慧は私から視線を逸らした。
「あの家は……僕にとって、快適な場所ではない」
「知ってる」
「詳しくは、道中で話します」
「うん」
私は頷いた。
この男の『孤独の正体』が、その場所にあるのかもしれない。
そんな予感が、胸の奥でざわめいた。
-----
週末。
私たちは黒塗りのハイヤーで、山道を登っていた。
都心を離れ、高速道路を走り、やがて舗装された道は砂利道に変わった。
窓の外には、深い霧。
木々の影が、幽霊のように揺れている。
「……すごいところね」
私は窓に額を押し付けた。
携帯の電波は、とっくに圏外になっている。
「現代日本とは思えない」
「山奥に本邸を構えるのは、旧財閥の習いです」
慧の声が、硬い。
「外界から隔絶された場所でなければ、彼らは安心できない」
「彼ら?」
「……鳳凰家の人間です」
車が、大きなカーブを曲がった。
その瞬間、視界が開けた。
霧の向こうに、巨大な洋館が浮かび上がる。
古色蒼然とした石造りの建物。
尖塔がいくつも天を突き、蔦が壁を覆っている。
窓は暗く、まるで目を閉じた獣のようだった。
「……冗談でしょ」
私は思わず声を漏らした。
「ゴシックホラーじゃない。吸血鬼が出てきそう」
「出ませんが、それに近いものはいます」
慧の声が、皮肉っぽく響く。
「人の血を吸い、骨までしゃぶり尽くす老人が」
車が正門をくぐった。
長い砂利道を進み、やがて玄関前に停まる。
私は深呼吸した。
演技のスイッチを入れる準備。
「行くわよ」
「……ええ」
ドアが開いた。
冷たい山の空気が、肌を刺す。
玄関の前には、黒服の使用人たちが整列していた。
全員が無表情。
その目が、私たちを値踏みするように見つめている。
敵意。
隠そうともしない、剥き出しの敵意。
私は慧の腕を取り、にっこりと微笑んだ。
「ごきげんよう」
使用人たちの視線が、私に集中する。
品定め。
足の先から頭のてっぺんまで、舐めるように観察されている。
私は動じなかった。
こんな視線、別れさせ屋として何度も浴びてきた。
「高塔慧の妻、ミレイです」
完璧な笑顔。
完璧な所作。
完璧な「良家の令嬢」を演じてみせる。
使用人の一人が、わずかに眉を動かした。
それ以外、反応はない。
「……どうぞ、お入りください」
冷たい声。
私たちは洋館の中へ足を踏み入れた。
薄暗いエントランスホール。
天井には巨大なシャンデリアが吊るされ、壁には古い肖像画が並んでいる。
どの顔も、こちらを睨んでいるように見えた。
私は慧の腕を、少しだけ強く握った。
なるほど。
これが敵の本丸ってわけね。
心の中で、そう呟いた。
さあ、戦いの始まりだ。
フライパンの上でベーコンが跳ね、香ばしい匂いが部屋に広がる。
私は隣のコンロで沸騰した湯に、そっと卵を落とした。
「七分半」
背後から、聞き慣れた声。
振り返ると、慧がダイニングテーブルでスマホを操作していた。
視線は画面に落としたまま、口だけが動く。
「ゆで卵は七分半。六分では黄身が流れ、八分では固くなりすぎる」
「分かってるってば」
私はため息をついた。
「毎朝同じこと言わないでよ。耳にタコができる」
「事実を述べているだけです」
「事実の押し売りは迷惑よ」
そう言いながら、私はタイマーをセットした。
七分三十秒。
この男のこだわりに、いつの間にか染まっている自分に気づいて、少し腹が立つ。
黒崎事件から、五日が過ぎた。
同居生活は十九日目。
あの夜以来、慧との距離感が微妙に変わった気がする。
といっても、劇的な変化があったわけじゃない。
ただ、会話の角が取れた。
以前は刃物みたいだった言葉が、今は少しだけ丸みを帯びている。
「ねえ」
私は卵を見守りながら、何気なく尋ねた。
「あんた、週末の予定ある?」
慧の手が止まった。
スマホの画面を見つめたまま、数秒の沈黙。
「……ありません」
「じゃあ、どこか出かけない? 息抜きも必要でしょ」
「息抜き」
慧は顔を上げた。
その目が、かすかに細まる。
「君は『契約上の妻』です。観光ツアーのガイドではない」
「堅いなあ」
私は肩をすくめた。
「たまには美味しいもの食べに行くとか、映画観るとか」
「非効率です」
「あんたの口からそれ以外の言葉、聞いたことない気がする」
タイマーが鳴った。
私は卵を氷水に浸し、手際よく殻を剥く。
綺麗な半熟。
黄身がとろりとしながらも、崩れない絶妙な仕上がり。
「どう?」
皿に盛り付けた朝食をテーブルに置く。
ベーコンエッグ、トースト、サラダ、そして七分半のゆで卵。
慧は卵を割った。
黄身がゆっくりと流れ出す。
「……悪くない」
その声が、いつもより柔らかい。
口元がわずかに緩んでいる。
私は向かいの席に座り、コーヒーを一口飲んだ。
窓から差し込む朝日が、テーブルを温かく照らしている。
平和だ。
あまりにも、平和すぎる朝。
その時だった。
インターホンが鳴った。
-----
慧は眉をひそめた。
「宅配の予定はない」
彼は立ち上がり、玄関へ向かった。
私も後に続く。
ドアを開けると、そこには誰もいなかった。
ただ、足元に一通の封筒が置かれている。
漆黒の封筒。
上質な紙の手触り。
封蝋には、鳳凰の紋章が押されていた。
慧の顔色が変わった。
血の気が引くように、白くなる。
「……どうしたの」
私の声に、慧は答えなかった。
ただ、封筒を手に取り、じっと見つめている。
その横顔が、凍りついていた。
いつもの合理主義者の仮面が、剥がれ落ちている。
「慧?」
私は彼の腕に触れた。
その瞬間、慧がビクリと肩を震わせた。
「……すみません」
彼は小さく首を振った。
「開けましょう」
封を切る指が、かすかに震えている。
私は黙って、その様子を見守った。
中から出てきたのは、一枚の便箋。
達筆な毛筆で、こう書かれていた。
『高塔慧殿 並びに御令室
来る週末、鳳凰家本邸にて親族食事会を開催いたします。
つきましては、御夫婦揃っての御臨席を賜りたく存じます。
鳳凰時康』
「……親族食事会?」
私は首を傾げた。
「あんた、鳳凰家の親戚なの?」
慧は答えなかった。
便箋を見つめたまま、石のように動かない。
「慧」
私は彼の顔を覗き込んだ。
その目が、遠くを見ている。
ここではない、どこか別の場所を。
「……これは」
ようやく開いた口から出た声は、かすれていた。
「食事会ではありません」
「じゃあ、何なの」
「品定めです」
慧の声が、低く沈む。
「君を……僕の妻を、値踏みするための場」
私は息を呑んだ。
品定め。
つまり、契約結婚の本丸が、ついに動き出したということ。
「あの男は」
慧が便箋を握りしめた。
紙がくしゃりと音を立てる。
「招待状という名の召喚状を送ってくる。断れば不興を買い、応じれば地獄が待っている」
「地獄?」
「……断ることも可能です」
慧が私を見た。
その目には、いつもの冷徹さがない。
代わりに、奇妙な光が宿っている。
懇願。
そんな言葉が、頭をよぎった。
「あの家は、君には毒すぎる」
慧の声が、震えている。
「あそこに足を踏み入れれば、君は傷つく。僕の過去に巻き込まれる」
「過去?」
「……説明する義務はない。ただ」
慧は目を伏せた。
「行きたくなければ、断ります。契約違反にはしない。違約金も請求しない」
私は黙って、慧の顔を見つめた。
この男が、こんな顔をするのを初めて見た。
法廷の悪魔。
無敗の離婚弁護士。
感情を論理で武装する合理主義者。
その仮面の下に、こんな脆さが隠れていたなんて。
「……ねえ」
私は慧の手から、便箋を取り上げた。
「あんた、何か勘違いしてない?」
「勘違い?」
「私は800万で雇われたプロよ」
私は便箋を丁寧に折り畳んだ。
「どんな化け物屋敷でも、どんな意地悪な爺さんが待ち構えてても、完璧な『高塔慧の妻』を演じきる。それが私の仕事」
「しかし」
「別れさせ屋のエースを舐めないでよ」
私は慧の胸を、軽く小突いた。
「怪しい男を籠絡して、秘密を抜き取って、修羅場をくぐり抜けてきたの。鳳凰なんとかって爺さんの一人や二人、どうってことないわ」
慧の目が、大きく見開かれた。
「……君は」
「逃げたら契約違反でしょ?」
私は笑った。
「あんた、最初に言ったわよね。『契約は履行されるべきもの』って。私も同感」
慧は黙っていた。
その目が、複雑な色を帯びている。
驚きと、困惑と、そして……何か別のもの。
「安心して」
私は慧の目をまっすぐ見つめた。
「どんな敵が来ても、私が最高の妻を演じて、全員黙らせてくるから」
沈黙が落ちた。
朝日が、私たちの間を照らしている。
やがて、慧は小さく息を吐いた。
「……分かりました」
その声が、かすかに震えている。
「週末、鳳凰家の本邸へ向かいます」
「うん」
「ただ」
慧は私から視線を逸らした。
「あの家は……僕にとって、快適な場所ではない」
「知ってる」
「詳しくは、道中で話します」
「うん」
私は頷いた。
この男の『孤独の正体』が、その場所にあるのかもしれない。
そんな予感が、胸の奥でざわめいた。
-----
週末。
私たちは黒塗りのハイヤーで、山道を登っていた。
都心を離れ、高速道路を走り、やがて舗装された道は砂利道に変わった。
窓の外には、深い霧。
木々の影が、幽霊のように揺れている。
「……すごいところね」
私は窓に額を押し付けた。
携帯の電波は、とっくに圏外になっている。
「現代日本とは思えない」
「山奥に本邸を構えるのは、旧財閥の習いです」
慧の声が、硬い。
「外界から隔絶された場所でなければ、彼らは安心できない」
「彼ら?」
「……鳳凰家の人間です」
車が、大きなカーブを曲がった。
その瞬間、視界が開けた。
霧の向こうに、巨大な洋館が浮かび上がる。
古色蒼然とした石造りの建物。
尖塔がいくつも天を突き、蔦が壁を覆っている。
窓は暗く、まるで目を閉じた獣のようだった。
「……冗談でしょ」
私は思わず声を漏らした。
「ゴシックホラーじゃない。吸血鬼が出てきそう」
「出ませんが、それに近いものはいます」
慧の声が、皮肉っぽく響く。
「人の血を吸い、骨までしゃぶり尽くす老人が」
車が正門をくぐった。
長い砂利道を進み、やがて玄関前に停まる。
私は深呼吸した。
演技のスイッチを入れる準備。
「行くわよ」
「……ええ」
ドアが開いた。
冷たい山の空気が、肌を刺す。
玄関の前には、黒服の使用人たちが整列していた。
全員が無表情。
その目が、私たちを値踏みするように見つめている。
敵意。
隠そうともしない、剥き出しの敵意。
私は慧の腕を取り、にっこりと微笑んだ。
「ごきげんよう」
使用人たちの視線が、私に集中する。
品定め。
足の先から頭のてっぺんまで、舐めるように観察されている。
私は動じなかった。
こんな視線、別れさせ屋として何度も浴びてきた。
「高塔慧の妻、ミレイです」
完璧な笑顔。
完璧な所作。
完璧な「良家の令嬢」を演じてみせる。
使用人の一人が、わずかに眉を動かした。
それ以外、反応はない。
「……どうぞ、お入りください」
冷たい声。
私たちは洋館の中へ足を踏み入れた。
薄暗いエントランスホール。
天井には巨大なシャンデリアが吊るされ、壁には古い肖像画が並んでいる。
どの顔も、こちらを睨んでいるように見えた。
私は慧の腕を、少しだけ強く握った。
なるほど。
これが敵の本丸ってわけね。
心の中で、そう呟いた。
さあ、戦いの始まりだ。
0
あなたにおすすめの小説
働かないつもりでしたのに、気づけば全部うまくいっていました ――自由に生きる貴族夫人と溺愛旦那様』
鷹 綾
恋愛
前世では、仕事に追われるだけの人生を送り、恋も自由も知らないまま終わった私。
だからこそ転生後に誓った――
「今度こそ、働かずに優雅に生きる!」 と。
気づけば貴族夫人、しかも結婚相手は冷静沈着な名門貴族リチャード様。
「君は何もしなくていい。自由に過ごしてくれ」
――理想的すぎる条件に、これは勝ち確人生だと思ったのに。
なぜか気づけば、
・屋敷の管理を改善して使用人の待遇が激変
・夫の仕事を手伝ったら経理改革が大成功
・興味本位で教えた簿記と珠算が商業界に革命を起こす
・商人ギルドの顧問にまで祭り上げられる始末
「あれ? 私、働かない予定でしたよね???」
自分から出世街道を爆走するつもりはなかったはずなのに、
“やりたいことをやっていただけ”で、世界のほうが勝手に変わっていく。
一方、そんな彼女を静かに見守り続けていた夫・リチャードは、
実は昔から彼女を想い続けていた溺愛系旦那様で――。
「君が選ぶなら、私はずっとそばにいる」
働かないつもりだった貴族夫人が、
自由・仕事・愛情のすべてを“自分で選ぶ”人生に辿り着く物語。
これは、
何もしないはずだったのに、幸せだけは全部手に入れてしまった女性の物語。
氷の騎士と陽だまりの薬師令嬢 ~呪われた最強騎士様を、没落貴族の私がこっそり全力で癒します!~
放浪人
恋愛
薬師として細々と暮らす没落貴族の令嬢リリア。ある夜、彼女は森で深手を負い倒れていた騎士団副団長アレクシスを偶然助ける。彼は「氷の騎士」と噂されるほど冷徹で近寄りがたい男だったが、リリアの作る薬とささやかな治癒魔法だけが、彼を蝕む古傷の痛みを和らげることができた。
「……お前の薬だけが、頼りだ」
秘密の治療を続けるうち、リリアはアレクシスの不器用な優しさや孤独に触れ、次第に惹かれていく。しかし、彼の立場を狙う政敵や、リリアの才能を妬む者の妨害が二人を襲う。身分違いの恋、迫りくる危機。リリアは愛する人を守るため、薬師としての知識と勇気を武器に立ち向かうことを決意する。
溺愛王子の甘すぎる花嫁~悪役令嬢を追放したら、毎日が新婚初夜になりました~
紅葉山参
恋愛
侯爵令嬢リーシャは、婚約者である第一王子ビヨンド様との結婚を心から待ち望んでいた。けれど、その幸福な未来を妬む者もいた。それが、リーシャの控えめな立場を馬鹿にし、王子を我が物にしようと画策した悪役令嬢ユーリーだった。
ある夜会で、ユーリーはビヨンド様の気を引こうと、リーシャを罠にかける。しかし、あなたの王子は、そんなつまらない小細工に騙されるほど愚かではなかった。愛するリーシャを信じ、王子はユーリーを即座に糾弾し、国外追放という厳しい処分を下す。
邪魔者が消え去った後、リーシャとビヨンド様の甘美な新婚生活が始まる。彼は、人前では厳格な王子として振る舞うけれど、私と二人きりになると、とろけるような甘さでリーシャを愛し尽くしてくれるの。
「私の可愛い妻よ、きみなしの人生なんて考えられない」
そう囁くビヨンド様に、私リーシャもまた、心も身体も預けてしまう。これは、障害が取り除かれたことで、むしろ加速度的に深まる、世界一甘くて幸せな夫婦の溺愛物語。新婚の王子妃として、私は彼の、そして王国の「最愛」として、毎日を幸福に満たされて生きていきます。
身代わり令嬢、恋した公爵に真実を伝えて去ろうとしたら、絡めとられる(ごめんなさぁぁぁぁい!あなたの本当の婚約者は、私の姉です)
柳葉うら
恋愛
(ごめんなさぁぁぁぁい!)
辺境伯令嬢のウィルマは心の中で土下座した。
結婚が嫌で家出した姉の身代わりをして、誰もが羨むような素敵な公爵様の婚約者として会ったのだが、公爵あまりにも良い人すぎて、申し訳なくて仕方がないのだ。
正直者で面食いな身代わり令嬢と、そんな令嬢のことが実は昔から好きだった策士なヒーローがドタバタとするお話です。
さくっと読んでいただけるかと思います。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
婚約破棄歴八年、すっかり飲んだくれになった私をシスコン義弟が宰相に成り上がって迎えにきた
鳥羽ミワ
恋愛
ロゼ=ローラン、二十四歳。十六歳の頃に最初の婚約が破棄されて以来、数えるのも馬鹿馬鹿しいくらいの婚約破棄を経験している。
幸い両親であるローラン伯爵夫妻はありあまる愛情でロゼを受け入れてくれているし、お酒はおいしいけれど、このままではかわいい義弟のエドガーの婚姻に支障が出てしまうかもしれない。彼はもう二十を過ぎているのに、いまだ縁談のひとつも来ていないのだ。
焦ったロゼはどこでもいいから嫁ごうとするものの、行く先々にエドガーが現れる。
このままでは義弟が姉離れできないと強い危機感を覚えるロゼに、男として迫るエドガー。気づかないロゼ。構わず迫るエドガー。
エドガーはありとあらゆるギリギリ世間の許容範囲(の外)の方法で外堀を埋めていく。
「パーティーのパートナーは俺だけだよ。俺以外の男の手を取るなんて許さない」
「お茶会に行くんだったら、ロゼはこのドレスを着てね。古いのは全部処分しておいたから」
「アクセサリー選びは任せて。俺の瞳の色だけで綺麗に飾ってあげるし、もちろん俺のネクタイもロゼの瞳の色だよ」
ちょっと抜けてる真面目酒カス令嬢が、シスコン義弟に溺愛される話。
※この話はカクヨム様、アルファポリス様、エブリスタ様にも掲載されています。
※レーティングをつけるほどではないと判断しましたが、作中性的ないやがらせ、暴行の描写、ないしはそれらを想起させる描写があります。
離婚寸前で人生をやり直したら、冷徹だったはずの夫が私を溺愛し始めています
腐ったバナナ
恋愛
侯爵夫人セシルは、冷徹な夫アークライトとの愛のない契約結婚に疲れ果て、離婚を決意した矢先に孤独な死を迎えた。
「もしやり直せるなら、二度と愛のない人生は選ばない」
そう願って目覚めると、そこは結婚直前の18歳の自分だった!
今世こそ平穏な人生を歩もうとするセシルだったが、なぜか夫の「感情の色」が見えるようになった。
冷徹だと思っていた夫の無表情の下に、深い孤独と不器用で一途な愛が隠されていたことを知る。
彼の愛をすべて誤解していたと気づいたセシルは、今度こそ彼の愛を掴むと決意。積極的に寄り添い、感情をぶつけると――
捨てられた地味な王宮修復師(実は有能)、強面辺境伯の栄養管理で溺愛され、辺境を改革する ~王都の貴重な物が失われても知りませんよ?~
水上
恋愛
「カビ臭い地味女」と王太子に婚約破棄された王宮修復師のリディア。
彼女の芸術に関する知識と修復師としての技術は、誰からも必要性を理解されていなかった。
失意の中、嫁がされたのは皆から恐れられる強面辺境伯ジェラルドだった!
しかし恐ろしい噂とは裏腹に、彼はリディアの不健康を見逃せない超・過保護で!?
絶品手料理と徹底的な体調管理で、リディアは心身ともに美しく再生していく。
一方、彼女を追放した王都では、貴重な物が失われたり、贋作騒動が起きたりとパニックになり始めて……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる