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第26章:学園の防衛戦と仲間の活躍
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委員会の初襲撃から一夜が明けた。
11月下旬。
朝日が、破壊された学園を照らす。
蓮は保健室で、目を覚ました。
昨夜の戦闘で疲れ果て、ここで眠っていた。
身体が重い。
全身が痛む。
だが、起き上がる。
窓の外を見る。
生徒たちが、復旧作業をしている。
瓦礫を片付ける。
壁を修理する。
みんな、必死だ。
蓮も、手伝わなければ。
保健室を出る。
廊下で、雪菜に会った。
「柊君」
雪菜が駆け寄る。
「大丈夫でしたか」
「ああ」
蓮が答える。
「少し疲れただけだ」
雪菜が、蓮の手を取る。
その手が、温かい。
「今日も、来るかもしれません」
その言葉に、蓮は頷く。
委員会は、必ず戻ってくる。
二人で、外に出る。
訓練場に、四人と颯が集まっていた。
「蓮」
明日香が手を振る。
「おはよう」
「おはよう」
蓮が答える。
美鈴が心配そうな顔をしている。
「柊君、無理してませんか」
「大丈夫だよ」
蓮が微笑む。
莉音が拳を握る。
「今日も、頑張ろうね」
颯が、空を見上げる。
「来るぞ」
その言葉に、全員が緊張する。
空が、暗くなる。
雲が集まってくる。
いや、雲ではない。
黒マントの集団だ。
昨日より多い。
数百人。
警報が鳴り響く。
「全校生徒、戦闘配置」
学園長の声。
生徒たちが、武器を取る。
配置につく。
蓮たち六人も、正門に向かう。
だが、今日は違う。
蓮の恥メーターを、先に上げる。
戦闘前に、100に到達させる。
それが、作戦だ。
正門の前で、四人が蓮を囲む。
「柊君」
雪菜が言う。
「今から、恥メーター100にします」
蓮の心臓が跳ねる。
「で、でも……」
「時間がないの」
明日香が続ける。
「今すぐ、やらなきゃ」
美鈴が頷く。
「これが、最善です」
莉音が笑う。
「蓮くん、覚悟して」
四人が、一斉に動いた。
雪菜が、蓮の頬にキスをする。
冷たい唇。
明日香が、反対の頬に。
温かい唇。
美鈴が、額に。
優しい唇。
莉音が、唇に。
柔らかい唇。
そして、四人が同時に抱きつく。
前から雪菜。
右から明日香。
左から美鈴。
後ろから莉音。
完全に包まれた。
四人の温もり。
柔らかい身体。
甘い香り。
蓮の顔が、爆発しそうだ。
額の数字が、跳ね上がる。
80。
85。
90。
そして、四人が耳元で囁く。
「好きです」
(雪菜)
「大好き」
(明日香)
「愛してます」
(美鈴)
「ずっと一緒」
(莉音)
四人の言葉が、重なる。
蓮の意識が、飛びそうになる。
額の数字が、95。
そして、四人が。
順番に、蓮の唇にキスをする。
雪菜。
明日香。
美鈴。
莉音。
深いキス。
本気のキス。
蓮の全身が震える。
額の数字が、100に到達した。
光が溢れる。
力が、全身に満ちる。
四人が離れる。
全員、顔が真っ赤だ。
だが、その目は真剣。
「行きましょう」
雪菜が言う。
蓮は頷く。
恥メーター100。
圧倒的な力。
だが、長時間は維持できない。
だから、短期決戦だ。
委員会の軍勢が、押し寄せてくる。
蓮が、先頭に立つ。
地を蹴る。
速い。
黒マントの集団に突っ込む。
拳を振るう。
一撃で、五人吹き飛ぶ。
蹴りを放つ。
十人が倒れる。
圧倒的な力。
雪菜が、手を伸ばす。
「凍結女王・絶対零度」
冷気が放たれる。
地面が凍る。
空気が凍る。
黒マントたちが、氷漬けになる。
数十人が、一瞬で。
雪菜の本気。
明日香が、空を見上げる。
「紅蓮覇王・炎帝の咆哮」
巨大な炎の龍が現れる。
空を駆ける。
黒マントの集団を飲み込む。
爆発。
炎が、広がる。
敵が、次々と倒れる。
明日香の笑顔。
「これが、私の本気」
美鈴が、目を閉じる。
「時視眼・未来視」
数秒先ではなく。
数分先まで見る。
「右翼から、幹部が来ます」
その言葉通り、幹部が現れる。
だが、既に待ち構えていた颯。
「虚無領域・完全消滅」
幹部の能力が、消える。
ただの人間に戻る。
颯の拳が、幹部を打つ。
一撃で、倒れる。
莉音が、両手を広げる。
「重力覇者・重力嵐」
周囲の重力が、狂う。
敵が空中に浮く。
地面に叩きつけられる。
押しつぶされる。
莉音の操る重力。
自在に、変化する。
六人の連携。
完璧だ。
委員会の軍勢が、次々と倒れる。
一時間が過ぎた。
敵の数が、減ってきた。
だが、蓮の身体が。
限界に近づいている。
恥メーター100を維持し続けている。
一時間が限界だと、身体が教えている。
体力が、激しく消耗する。
呼吸が乱れる。
汗が止まらない。
視界が、わずかに揺れる。
意識が、飛びかける。
その時、雪菜の声。
「柊君、無理しないで」
蓮は、頭を振る。
「大丈夫」
だが、身体が正直だ。
膝が、がくがくする。
明日香が、蓮の腕を掴む。
「蓮、休んで」
「まだ、敵が……」
「私たちに任せて」
美鈴が言う。
「蓮くんは、十分やった」
莉音が続ける。
蓮は、周囲を見た。
敵は、まだ数十人残っている。
だが、味方も多い。
生徒たちが、頑張っている。
教師たちも、戦っている。
「わかった」
蓮が言う。
「少しだけ、休む」
蓮は、後退する。
壁に背を預ける。
額の数字を、下げる。
100から、徐々に。
90。
80。
70。
力が抜けていく。
だが、同時に。
身体が楽になる。
深呼吸。
四人が、戦い続ける。
雪菜の氷。
明日香の炎。
美鈴の予知。
莉音の重力。
そして、颯の虚無。
五人の力で。
敵を、圧倒している。
クラスメイトたちも、頑張っている。
一人一人は弱くても。
協力すれば、強い。
その姿が、美しい。
蓮は、微笑む。
みんな、成長している。
この戦いで。
二時間が過ぎた。
敵が、全滅した。
最後の黒マントが、倒れる。
幹部たちも、全員捕縛された。
勝利だ。
だが、黒瀬は来なかった。
昨日、言っていた。
「もっと強くなれ」
まだ、本番ではない。
これは、前哨戦。
歓声が上がる。
生徒たちが、喜んでいる。
「勝った」
「やった」
「すごい」
雪菜たちが、蓮のもとに戻ってくる。
「柊君、大丈夫ですか」
雪菜が尋ねる。
「ああ」
蓮が答える。
「みんなのおかげで」
明日香が笑う。
「蓮が、一番頑張ったよ」
美鈴が微笑む。
「100を、あんなに維持して」
莉音が拳を握る。
「すごかったよ」
颯も、頷く。
「お前、強くなった」
その言葉が、嬉しい。
だが、蓮の心は重い。
恥メーター100の維持。
限界を感じた。
一時間が限界だ。
それ以上は、危険。
意識が飛ぶ。
暴走する。
その恐怖が、消えない。
だが、今は。
この勝利を、喜ぼう。
六人で、訓練場に戻る。
座り込む。
全員、疲れている。
だが、笑顔だ。
「今日は、勝ったね」
明日香が言う。
「ええ」
雪菜が頷く。
「でも、まだ終わりじゃない」
美鈴が続ける。
「黒瀬が、来てない」
莉音が言う。
その通りだ。
委員会のリーダー。
恥辱暴君。
あの男が、まだ動いていない。
「次は、あいつが来る」
颯が言う。
「本気で」
蓮は、拳を握る。
黒瀬。
羞恥心転換の先輩。
暴走した能力者。
あの男を、倒さなければ。
この戦いは、終わらない。
「俺、もっと強くならなきゃ」
蓮が言う。
「100を、完璧に制御する」
四人が、蓮を見る。
「無理しないで」
雪菜が言う。
「私たちが、支えます」
「そうだよ」
明日香が続ける。
「一人じゃない」
美鈴が微笑む。
「みんなで、戦いましょう」
莉音が拳を握る。
「絶対、勝とう」
颯も頷く。
「ああ」
六人の決意。
それが、一つになる。
夕方。
蓮は一人で、屋上にいた。
今日の戦闘を、思い返す。
恥メーター100の力。
圧倒的だった。
だが、長時間は維持できない。
一時間が限界。
それ以上は、危険。
どうすれば、完璧に制御できるのか。
その答えを、探す。
風が吹く。
冷たい。
冬が、近づいている。
その時、ドアが開いた。
四人が、入ってくる。
「柊君」
雪菜が言う。
「一人で、考え込んでましたか」
蓮は、苦笑する。
「バレた?」
「当然」
明日香が笑う。
四人が、蓮の隣に座る。
沈黙。
やがて、雪菜が口を開く。
「柊君、一つ提案があります」
「提案?」
「私たちと、もっと深く繋がりませんか」
その言葉に、蓮の心臓が跳ねる。
「深く……?」
「心の繋がり」
美鈴が言う。
「お互いの想いを、完全に共有する」
莉音が続ける。
「そうすれば、100の制御も」
「もっと安定するかも」
蓮は、四人を見た。
全員、真剣だ。
「どうすれば……」
「時間をかけて」
雪菜が答える。
「少しずつ、心を開く」
明日香が手を伸ばす。
「今は、これで」
明日香の手が、蓮の手に重なる。
雪菜の手も。
美鈴の手も。
莉音の手も。
五人の手が、重なる。
温かい。
その温もりが、胸に染みる。
「ありがとう」
蓮が言う。
「みんな、ありがとう」
四人が微笑む。
夕日が、五人を照らす。
長い影が、伸びる。
戦いは、まだ続く。
だが、この仲間たちがいれば。
どんな試練も、乗り越えられる。
その確信を、胸に刻む。
夜が訪れる。
星が輝き始める。
五人は、屋上を出た。
それぞれの寮に向かう。
蓮は、部屋で横になる。
今日も、勝った。
委員会の軍勢を、撃退した。
だが、本番はこれから。
黒瀬との戦い。
それが、待っている。
蓮は、決意を新たにする。
恥メーター100を、完璧に制御する。
四人との絆を、さらに深める。
そして、黒瀬を倒す。
その目標に向かって。
蓮は、前を向く。
窓の外、月が昇る。
美しい月。
その光が、部屋を照らす。
蓮は、目を閉じた。
明日への、希望を抱いて。
恥ずかしさを力に変えて。
大切な人たちを守るために。
戦い続ける。
蓮の決意は、揺るがない。
そして、遠くで。
黒瀬が、学園を見つめていた。
「まだ、弱いな」
その声が、冷たい。
「だが、少しずつ」
「お前は、俺に近づいている」
黒瀬の額の数字が、光る。
黒い100。
「次に会う時」
「お前の運命を、見せてやる」
黒瀬が、笑う。
不気味な笑い。
暗闇に、消えていく。
蓮の試練は。
まだ、始まったばかりだ。
11月下旬。
朝日が、破壊された学園を照らす。
蓮は保健室で、目を覚ました。
昨夜の戦闘で疲れ果て、ここで眠っていた。
身体が重い。
全身が痛む。
だが、起き上がる。
窓の外を見る。
生徒たちが、復旧作業をしている。
瓦礫を片付ける。
壁を修理する。
みんな、必死だ。
蓮も、手伝わなければ。
保健室を出る。
廊下で、雪菜に会った。
「柊君」
雪菜が駆け寄る。
「大丈夫でしたか」
「ああ」
蓮が答える。
「少し疲れただけだ」
雪菜が、蓮の手を取る。
その手が、温かい。
「今日も、来るかもしれません」
その言葉に、蓮は頷く。
委員会は、必ず戻ってくる。
二人で、外に出る。
訓練場に、四人と颯が集まっていた。
「蓮」
明日香が手を振る。
「おはよう」
「おはよう」
蓮が答える。
美鈴が心配そうな顔をしている。
「柊君、無理してませんか」
「大丈夫だよ」
蓮が微笑む。
莉音が拳を握る。
「今日も、頑張ろうね」
颯が、空を見上げる。
「来るぞ」
その言葉に、全員が緊張する。
空が、暗くなる。
雲が集まってくる。
いや、雲ではない。
黒マントの集団だ。
昨日より多い。
数百人。
警報が鳴り響く。
「全校生徒、戦闘配置」
学園長の声。
生徒たちが、武器を取る。
配置につく。
蓮たち六人も、正門に向かう。
だが、今日は違う。
蓮の恥メーターを、先に上げる。
戦闘前に、100に到達させる。
それが、作戦だ。
正門の前で、四人が蓮を囲む。
「柊君」
雪菜が言う。
「今から、恥メーター100にします」
蓮の心臓が跳ねる。
「で、でも……」
「時間がないの」
明日香が続ける。
「今すぐ、やらなきゃ」
美鈴が頷く。
「これが、最善です」
莉音が笑う。
「蓮くん、覚悟して」
四人が、一斉に動いた。
雪菜が、蓮の頬にキスをする。
冷たい唇。
明日香が、反対の頬に。
温かい唇。
美鈴が、額に。
優しい唇。
莉音が、唇に。
柔らかい唇。
そして、四人が同時に抱きつく。
前から雪菜。
右から明日香。
左から美鈴。
後ろから莉音。
完全に包まれた。
四人の温もり。
柔らかい身体。
甘い香り。
蓮の顔が、爆発しそうだ。
額の数字が、跳ね上がる。
80。
85。
90。
そして、四人が耳元で囁く。
「好きです」
(雪菜)
「大好き」
(明日香)
「愛してます」
(美鈴)
「ずっと一緒」
(莉音)
四人の言葉が、重なる。
蓮の意識が、飛びそうになる。
額の数字が、95。
そして、四人が。
順番に、蓮の唇にキスをする。
雪菜。
明日香。
美鈴。
莉音。
深いキス。
本気のキス。
蓮の全身が震える。
額の数字が、100に到達した。
光が溢れる。
力が、全身に満ちる。
四人が離れる。
全員、顔が真っ赤だ。
だが、その目は真剣。
「行きましょう」
雪菜が言う。
蓮は頷く。
恥メーター100。
圧倒的な力。
だが、長時間は維持できない。
だから、短期決戦だ。
委員会の軍勢が、押し寄せてくる。
蓮が、先頭に立つ。
地を蹴る。
速い。
黒マントの集団に突っ込む。
拳を振るう。
一撃で、五人吹き飛ぶ。
蹴りを放つ。
十人が倒れる。
圧倒的な力。
雪菜が、手を伸ばす。
「凍結女王・絶対零度」
冷気が放たれる。
地面が凍る。
空気が凍る。
黒マントたちが、氷漬けになる。
数十人が、一瞬で。
雪菜の本気。
明日香が、空を見上げる。
「紅蓮覇王・炎帝の咆哮」
巨大な炎の龍が現れる。
空を駆ける。
黒マントの集団を飲み込む。
爆発。
炎が、広がる。
敵が、次々と倒れる。
明日香の笑顔。
「これが、私の本気」
美鈴が、目を閉じる。
「時視眼・未来視」
数秒先ではなく。
数分先まで見る。
「右翼から、幹部が来ます」
その言葉通り、幹部が現れる。
だが、既に待ち構えていた颯。
「虚無領域・完全消滅」
幹部の能力が、消える。
ただの人間に戻る。
颯の拳が、幹部を打つ。
一撃で、倒れる。
莉音が、両手を広げる。
「重力覇者・重力嵐」
周囲の重力が、狂う。
敵が空中に浮く。
地面に叩きつけられる。
押しつぶされる。
莉音の操る重力。
自在に、変化する。
六人の連携。
完璧だ。
委員会の軍勢が、次々と倒れる。
一時間が過ぎた。
敵の数が、減ってきた。
だが、蓮の身体が。
限界に近づいている。
恥メーター100を維持し続けている。
一時間が限界だと、身体が教えている。
体力が、激しく消耗する。
呼吸が乱れる。
汗が止まらない。
視界が、わずかに揺れる。
意識が、飛びかける。
その時、雪菜の声。
「柊君、無理しないで」
蓮は、頭を振る。
「大丈夫」
だが、身体が正直だ。
膝が、がくがくする。
明日香が、蓮の腕を掴む。
「蓮、休んで」
「まだ、敵が……」
「私たちに任せて」
美鈴が言う。
「蓮くんは、十分やった」
莉音が続ける。
蓮は、周囲を見た。
敵は、まだ数十人残っている。
だが、味方も多い。
生徒たちが、頑張っている。
教師たちも、戦っている。
「わかった」
蓮が言う。
「少しだけ、休む」
蓮は、後退する。
壁に背を預ける。
額の数字を、下げる。
100から、徐々に。
90。
80。
70。
力が抜けていく。
だが、同時に。
身体が楽になる。
深呼吸。
四人が、戦い続ける。
雪菜の氷。
明日香の炎。
美鈴の予知。
莉音の重力。
そして、颯の虚無。
五人の力で。
敵を、圧倒している。
クラスメイトたちも、頑張っている。
一人一人は弱くても。
協力すれば、強い。
その姿が、美しい。
蓮は、微笑む。
みんな、成長している。
この戦いで。
二時間が過ぎた。
敵が、全滅した。
最後の黒マントが、倒れる。
幹部たちも、全員捕縛された。
勝利だ。
だが、黒瀬は来なかった。
昨日、言っていた。
「もっと強くなれ」
まだ、本番ではない。
これは、前哨戦。
歓声が上がる。
生徒たちが、喜んでいる。
「勝った」
「やった」
「すごい」
雪菜たちが、蓮のもとに戻ってくる。
「柊君、大丈夫ですか」
雪菜が尋ねる。
「ああ」
蓮が答える。
「みんなのおかげで」
明日香が笑う。
「蓮が、一番頑張ったよ」
美鈴が微笑む。
「100を、あんなに維持して」
莉音が拳を握る。
「すごかったよ」
颯も、頷く。
「お前、強くなった」
その言葉が、嬉しい。
だが、蓮の心は重い。
恥メーター100の維持。
限界を感じた。
一時間が限界だ。
それ以上は、危険。
意識が飛ぶ。
暴走する。
その恐怖が、消えない。
だが、今は。
この勝利を、喜ぼう。
六人で、訓練場に戻る。
座り込む。
全員、疲れている。
だが、笑顔だ。
「今日は、勝ったね」
明日香が言う。
「ええ」
雪菜が頷く。
「でも、まだ終わりじゃない」
美鈴が続ける。
「黒瀬が、来てない」
莉音が言う。
その通りだ。
委員会のリーダー。
恥辱暴君。
あの男が、まだ動いていない。
「次は、あいつが来る」
颯が言う。
「本気で」
蓮は、拳を握る。
黒瀬。
羞恥心転換の先輩。
暴走した能力者。
あの男を、倒さなければ。
この戦いは、終わらない。
「俺、もっと強くならなきゃ」
蓮が言う。
「100を、完璧に制御する」
四人が、蓮を見る。
「無理しないで」
雪菜が言う。
「私たちが、支えます」
「そうだよ」
明日香が続ける。
「一人じゃない」
美鈴が微笑む。
「みんなで、戦いましょう」
莉音が拳を握る。
「絶対、勝とう」
颯も頷く。
「ああ」
六人の決意。
それが、一つになる。
夕方。
蓮は一人で、屋上にいた。
今日の戦闘を、思い返す。
恥メーター100の力。
圧倒的だった。
だが、長時間は維持できない。
一時間が限界。
それ以上は、危険。
どうすれば、完璧に制御できるのか。
その答えを、探す。
風が吹く。
冷たい。
冬が、近づいている。
その時、ドアが開いた。
四人が、入ってくる。
「柊君」
雪菜が言う。
「一人で、考え込んでましたか」
蓮は、苦笑する。
「バレた?」
「当然」
明日香が笑う。
四人が、蓮の隣に座る。
沈黙。
やがて、雪菜が口を開く。
「柊君、一つ提案があります」
「提案?」
「私たちと、もっと深く繋がりませんか」
その言葉に、蓮の心臓が跳ねる。
「深く……?」
「心の繋がり」
美鈴が言う。
「お互いの想いを、完全に共有する」
莉音が続ける。
「そうすれば、100の制御も」
「もっと安定するかも」
蓮は、四人を見た。
全員、真剣だ。
「どうすれば……」
「時間をかけて」
雪菜が答える。
「少しずつ、心を開く」
明日香が手を伸ばす。
「今は、これで」
明日香の手が、蓮の手に重なる。
雪菜の手も。
美鈴の手も。
莉音の手も。
五人の手が、重なる。
温かい。
その温もりが、胸に染みる。
「ありがとう」
蓮が言う。
「みんな、ありがとう」
四人が微笑む。
夕日が、五人を照らす。
長い影が、伸びる。
戦いは、まだ続く。
だが、この仲間たちがいれば。
どんな試練も、乗り越えられる。
その確信を、胸に刻む。
夜が訪れる。
星が輝き始める。
五人は、屋上を出た。
それぞれの寮に向かう。
蓮は、部屋で横になる。
今日も、勝った。
委員会の軍勢を、撃退した。
だが、本番はこれから。
黒瀬との戦い。
それが、待っている。
蓮は、決意を新たにする。
恥メーター100を、完璧に制御する。
四人との絆を、さらに深める。
そして、黒瀬を倒す。
その目標に向かって。
蓮は、前を向く。
窓の外、月が昇る。
美しい月。
その光が、部屋を照らす。
蓮は、目を閉じた。
明日への、希望を抱いて。
恥ずかしさを力に変えて。
大切な人たちを守るために。
戦い続ける。
蓮の決意は、揺るがない。
そして、遠くで。
黒瀬が、学園を見つめていた。
「まだ、弱いな」
その声が、冷たい。
「だが、少しずつ」
「お前は、俺に近づいている」
黒瀬の額の数字が、光る。
黒い100。
「次に会う時」
「お前の運命を、見せてやる」
黒瀬が、笑う。
不気味な笑い。
暗闇に、消えていく。
蓮の試練は。
まだ、始まったばかりだ。
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そんな折、現代日本に迷宮と魔物が出現。それらは拓斗が異世界で散々見てきたものだった。
そして3年後、ついに迷宮で活動する国家資格を手にした拓斗は、安定も平穏も捨てて、自分のすべてを活かせるはずの迷宮へ赴く。
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やがて拓斗はフィリアと共に、魔物の倒し方や、迷宮探索のコツ、魔法の使い方などを、時に直接売り、時に動画配信してお金に変えていく。
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