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オリジナル
77.フェチ美形×コンプレックス平凡(美形×平凡)
しおりを挟む自分の体にコンプレックスがある平凡(ゆうひ)。
それというのは陥没乳首であること。
昔はなんとも思っていなかったのだが、小学生の時のプールの授業の際に、クラスメイトの男子にからかわれたのだ。それから自分の体は他の子と違う、変なんだ……そう思うようになって、上半身を見られるのが怖くなった。
高校生になった今では、どんなに暑くてもインナーを着て、体育の着替えの時でも裸を見られないようにしたり、誰よりも遅く……または早く着替えたりと対策をするようになっていた。
そんなある日のこと。ゆうひのクラスに転校生がやってくる。めちゃめちゃイケメンですぐに人気者になる転校生(柚貴)。
ゆうひはどっかで見た気も……?気の所為?くらいに思いながらも、特に接点もなく過ごしていた。
ある日の体育の授業後。
ゆうひはダッシュで教室に戻り、汗で濡れてしまったインナーを着替えることに。
誰にも見られないように誰より先に教室に入り、隅っこで服を脱いでいたのだが、急に扉の開く音がする。
驚いてそちらを見れば、あの柚貴が。
互いに目を見開いて動きが止まり、しばしの間見つめ合ってしまった。
それから思い出したように、脱ぎかけだった服を慌てて下ろす。
(やばいどうしよう見られた!?)
パニックになるゆうひをよそに、柚貴は目をかっぴらいたまま、つかつかとゆうひに近寄ってくる。
「っひ!?」
「見せて」
「はッ!? なに!?」
「胸、見せて」
壁ドンされるみたいに柚貴の腕の間に囲われて、めちゃめちゃ顔を近づけられる。
いきなりのことに驚いたし、発言が意味不明すぎて、ポカンとしてしまうゆうひ。
それから。
「は……はぁぁぁあ!?」
「お願いもう一回見せて猪野の胸」
「嫌だキモイ! 絶対イヤ!!」
「頼むなんでもするから!!」
「ヤダっ!!」
自分の体を抱きしめて断固拒否するゆうひ。……と、その腕を外そうとする柚貴。二人でギャイギャイ揉めていれば、廊下が騒がしくなる。
どうやらクラスメイトたちが教室に戻ってきたようだった。
「キモイ事言ってないで離れてよ!!」
「お願い聞いてくんなきゃヤダ」
「ふざけんな! どけって!!」
「やだ。うんって言うまで退かない」
ひ弱なゆうひの抵抗ごときじゃ柚貴を退かせなくて、そうしているうちにクラスメイトたちの声が近くなってくる。
こんな変な場面を見られたくないと思ったゆうひは、とうとう諦めることに。
「もっ、もう分かったから……! 早く退いてっ!!」
そう言って転校生を突き飛ばしたと同時に、クラスメイトが教室に入ってきた。
「あ? 何してんだお前ら?」
「仲良かったっけ?」
「あー、そう。実は小学校の時の同級生なんだよね、俺と猪野」
「え、そーなん? 幼なじみ的な?」
「まあそんなもん」
そうやって着替え始めるクラスメイトと、何事も無かったかのように喋り出す柚貴。
(は……? なに? 何言ってんのコイツ……!?)
間一髪で変な現場を見られなかったことに安堵するのと、意味不明な発言に何も言えずにいたゆうひ。するとその耳元に、柚貴が囁く。
「さっき了承したよな? 今日、放課後一緒帰るぞ」
嬉しそうな笑顔をうかべてそれから自分の席に戻って行った柚貴。
その背を見ながら、愕然とするゆうひ。
(……最っっっ悪だ!!!!)
なんでこんな嫌な思いをしなきゃならんのだ!と思いながらも時間は過ぎてゆき、とうとう放課後に。
(いっそダッシュで帰れば……)
なんて一か八かの賭けに出ようとした時、声が掛けられた。
「猪野。帰ろ」
「…………うわ」
「約束、したよな?」
ニッコリ。
圧さえ感じる笑みに逃げることなんて出来なくて。仕方なく柚貴と下校することに。
「……どこいくの」
「俺ん家」
「うちと同じ方向、なの?」
特に会話もないまま歩くのが辛くて、思い切って訊ねてみればそう返ってきて。
そういえば「小学校の時の同級生」だと言っていたな、と思い出す。
「さっき言ってた、小学校の時の同級生って、あれほんと……?」
「マジだよ。つか、やっぱ忘れてんだな」
「……いたっけ?」
「中学の時に母親が再婚して名前変わったんだ。前の苗字は佐川」
「さがわ…………あ」
聞かされた名前で思い出したのは、あのプールで自分をからかった男の子で。
「ゆずきくん……なの?」
「あ、思い出した感じ?」
「えー……あ、うん。まぁ……」
(なんてこった地獄すぎる)
そう思わずにはいられなかった。
何が悲しくて、自分にコンプレックスを植え付けた張本人の言うことを聞かねばならないのか。
(しかもコイツ、あの時バカにしたくせに「胸見せろ」だぁ!? ふざけんな!!)
目の前のイケメンが、あの時の男子だと分かった途端、ムカムカと怒りが湧いてきて。
「やっぱ俺帰る」
「は?」
「だって意味わかんねーし。キモいし」
「いやいや。約束は守んねーとだろ」
「一方的にそっちが押し付けたんじゃん。なんなん、む……胸見せろって。変態かよ」
「そうだよ」
「…………は?」
貶したのに返ってきたのは肯定の言葉で。
思わず足を止めたら、腕を掴んで歩かされる。
「ちょ、おい……っ!!」
「俺なぁ、お前のせいで性癖歪んじまったんだよ」
「はぁ!?」
「小学生の時のプール覚えてるか? あの時さ、俺お前の乳首のことからかったろ?」
忘れるわけが無い。今でも自分を苦しめている言葉だ。
「……それが、なに」
「あん時はさぁ、ガキだったしノリとかもあってバカにしたんだけど、ずーっとお前の乳首が忘れらんなくてさ」
「え?」
「もう一回見たい、触ってみたいってずっと思ってて。女の子と付き合ってもそこばっか見ちゃうし、でもなんか違くて。いっつも一人でする時頭に浮かぶのは、小学生の頃見たお前の乳首で。陥没乳首のやつ探して付き合うしかないのかなー、なんて思ってたらお前と再会して」
「え、は……。マジでなに……」
「あ、ここ俺ん家な。はい、中入って」
「ちょっ」
突然の性癖暴露に驚いていたらいつの間にか転校生の家に着いていて、玄関に押し込まれる。
「最近じゃさあ」
「わっ!?」
扉が閉まった途端壁に押し付けられて。
「いつお前と接触してその乳首見せてもらうか、どうやって触って開発するか。……そればっか考えてたんだよな」
「っひ!!」
すりり、と胸元に触れる大きな掌と、グッと押し付けられたナニか。
「な、な……ッ」
「もー誤魔化すのも大変だったんだよ。お前のココ。見た時からずっとヤバくて」
「ひ……やめ、やだ……」
「逃がすわけないじゃん。俺の性癖捻じ曲げた責任取って」
「~~!!」
(誰か助けてくれ……!!)
大声で叫ぼうとした口を、転校生のそれで塞がれて。
それから玄関先でとんでもないことをされてヘロヘロになって、そのまま美味しくペロリと食べられてしまったゆうひ。
(ぜってー許さん! シね!! コロす!!)
湧き上がる怒りと、痛む体。
家に帰って、もう二度とあんな奴と関わるか!! ……そう心に誓ったのに、それから熱心に口説かれ、あの一日で覚え込まされた快感を引きずり出されて。
ゴリッゴリに開発された陥没乳首は、コンプレックスから性感帯へとレベルアップし、より一層誰にも……いや。ただ一人以外には見せられなくなってしまったのだった。
陥没乳首フェチ美形転校生×陥没乳首コンプレックス平凡
CP名:早乙女柚貴×猪野ゆうひ
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