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オリジナル
⑳王様×掃除屋
しおりを挟むとある国の強く美しく、冷酷なことで評判の王様(レオンハルト)。
彼には粛清した者の処理をする専属の“掃除屋”がいた。
人前には決して姿を見せず、臣下たちも噂でしかその存在を知らない。
その正体は平凡な顔の男(ガイ)。
貧民として生まれ、街の片隅で命を落とすところだったのを、当時王太子だったレオンハルトに助けられた。それから彼の傍に仕え、命じられるままに仕事をこなしている。
強固な主従関係が結ばれていると思われているが、実際は少し違う。
「……王様」
「ガイか」
「はい。仕事は恙無く終了いたしました」
「そうか。ご苦労だったな。……ガイ」
「はい」
「おいで」
それはいつの頃からだったか。
仕事をひとつこなす度、レオンハルトはガイを抱いた。
性欲の発散や、気まぐれなどではなく、優しく甘やかすように毎回ガイの体を開くのだ。
これは仕事をちゃんと終わらせたことへの褒美なのだと思っているガイ。
レオンハルトはこんな卑しい身分の自分にも優しくしてくれるけど、飼い犬に餌をやっている感覚なんだろう。だからいくら自分がこの人に恩を感じて愛していても実ることなんてないし、そもそも身分が違いすぎてそんな事望むのも烏滸がましい。
そう自分に言い聞かせ、抱かれた後は速やかにベッドを降りて自室に戻り、後処理も自分でする。
これが正しい己のあり方だと思って日々を過ごしていれば、ある時王様が結婚するという噂を耳にする。
レオンハルトが自分以外の人間をあんな風に抱くのかと考えたら吐きそうになったが、彼は国王。跡継ぎをつくるのが使命でもあるのだから妻を娶るのは当たり前のこと。
なにより自分は口出し出来る立場ではない。
そうグルグルしている間も、レオンハルトはガイが仕事を終えれば自分を抱きに来る。
噂を耳にしてから、自分はレオンハルトが結婚して初夜を迎えるまでの性欲処理で、使い勝手のいい掃除屋でしかないと考えるようになったガイ。
以前はほんの少しは甘い雰囲気があったような気がするが、今は微塵もない。
ある時レオンハルトが訊ねる。
「近頃どうしたのだ?いつも上の空で、私を拒んでいるように感じるのだが」
「……そんなことはありません」
「いいや、ある。私には言えぬ事か?」
貴方だから言えないのだと、貴方が愛してくれないからだと言えたらどれだけいいか。
けれど自分は優秀で従順な掃除屋で居なければ、と。そう考えるガイ。
「……では、失礼を承知で言わせて頂きます。陛下はいつまで私を伽の相手になされるのでしょうか?」
「なに……?」
「私はただの掃除屋です。奥方様を迎える予定があるのに、いつまでもこんなことをしていてはいけないと思うのです。ですから陛下。私を伽の相手にするのはもうおやめ下さい」
感情を押し殺して、淡々と告げる。
「それは本気で言っているのか」
「え?あ、はい。それはもちろん。このような関係でなくとも、私は死ぬまで陛下のお傍におりますので何も心配なさることはーー」
「お前は何も分かっていない」
冷えた声が聞こえたかと思えば、ベッドに放り投げられ押さえつけられる。
それから口を挟むことも抵抗も出来ないまま、乱暴に抱かれた。
最中
「お前を拾ったあの日から、お前は私のものだ」「体だけでは無い、その心全てがだ」
「私が妻をとる?そんな事実どこにもない」
「私が今までもこれからも、愛するのはお前だけだ」
ってめちゃめちゃ重い想いをぶつけられて、乱暴にされているのに嬉しくなって何度も果てるガイ。
結局、結婚の話はデマだったのか、レオンハルトはその後死ぬまで独り身だった。
けれど彼の傍には1人の平凡な男が。
レオンハルトが死ぬまで傍らに在り続け、彼の死後誰もその噂も影も見ることは無かった。
激重執着美形王様×掃除屋平凡
レオンハルトは普通にガイのこと愛してるから抱いてた。なのに「性欲処理」みたいに思われてたのが心外なのでした。
CP名:レオンハルト×ガイ
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