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オリジナル
㉑貴族×没落貴族オメガバース(美形×平凡)
しおりを挟む没落貴族のオメガ平凡(ヨシュア)。過去の栄華にすがって金持ちぶりたい両親に代わり、金を稼ぐため娼館で働いている。
ある日浮かれ気分な父親に呼ばれる。
「……なに?」
「喜べ!今日からまた貴族に戻れるぞ!」
「は…………?」
聞けば、ヨシュアに結婚の話が来ているという。
しかも相手はそこそこ名の知れた貴族。向こうからヨシュアを嫁に迎えたいと申し出があったのだとか。
「お前みたいな奴を気に入るなんて変わったヤツだが、なんでもいい。これでまた豪華な暮らしができる!!」
大喜びの両親とは裏腹に、ヨシュアは複雑な表情。
それもそのはず。自分を娶ると言ってきた相手は、かつてちゃんとした貴族だった頃、パーティで知り合い何度か遊んだことのある男だったからだ。
(どうして、あの人が……)
ひとつ年上で優しくて、とても整った顔をしていた。
時折香る甘い匂いが大好きで、顔を合わせる度彼に駆け寄ったことを思い出す。
ーー彼は、自分の初恋だった。
なぜ、どうして。それを考えたところで自分が拒否することなど出来ないし、金にがめつい両親が許してくれるわけなどない。
久しぶりに初恋の人に会える嬉しさと、汚れてしまった自分を見せたくないという気持ちがごちゃ混ぜになりながら、その時は刻一刻と迫っていた。
そうして迎えた嫁入りの日。
必死に働いて貯めた金で買った一張羅に身を包み、大きなお屋敷の前にヨシュアは居た。
扉が開かれ中に入れば、そこには昔の面影を残しつつ、美しく逞しく成長した初恋の相手(グレッグ)がいた。
「あ……、ぁの、この度は……」
「着いてこい」
挨拶をしようとしたヨシュアを遮って、夫になるはずのグレッグは背を向けて歩き出す。
何も分からないまま、その背を追うヨシュア。足の長さの違いで小走りで着いていけば、大きな扉の前でグレッグは立ち止まる。
「あ、あの……」
「入れ」
またも言葉を断ち切られる。逆らう訳にもいかないので入室すれば部屋の奥に追い立てられた。
「バスルームだ。体を綺麗にしてこい」
「え、あの……っ」
口を挟む間もなくグレッグは背を向けて部屋の中へ戻っていく。
一人浴室に残されたヨシュアは、しばらく立ちつくしていたが、言われた通り風呂に入ることに。
「……なんなんだろう」
自分を嫁にと望んだのは、彼の方だろうに。どうしてこんなに冷たいのか。
「僕が、汚いから……か」
それ以外に思い当たる節がない。昔は仲良く遊んでいたのだから。
きっと素性は調べられているのだろうし、父からも聞かされているのだろう。
じくりと胸が痛むが、それは見ないふりをしてヨシュアは風呂から上がった。
用意されていたバスローブに身を包み、部屋へと続く扉を開けると。
「っ!?」
ぶわりと甘ったるい匂いが鼻をつく。
何が起こっているのか考えるより先に、体から力が抜けて床にへたり込む。
熱をあげる体を抱きしめ震えていれば、視線の先につま先が。
「あ……」
助けを求めようと視線を上げたヨシュア。けれどそこに居たのはギラつく目をした獣で。
ーーあとはもう、嵐に飲み込まれるだけだった。
貫かれ揺さぶられ、かき混ぜられ。泣いているのか媚びているのか分からない声を上げてグレッグに抱きついた。
前も後ろも分からなくなった頃、項に噛み付かれた。
「っあぁぁぁあ!!」
痛みと共に全身を快感が巡る。それからプツリと意識が途切れた。
目を覚ましてから、昨夜のあれは催淫効果のある香をたかれたのだと理解した。それと同時に
「どうしてそんなものを用意してまで自分を抱いたのか」
という疑問もわく。
だが隣を見てもグレッグの姿はなく、ヨシュアごときがそんなことを彼に訊ねるのも失礼かと、ヨシュアはなにも考えないことにした。
それから二人の関係がどうなったかと言えば、どうしたことか良くなっている。
抱かれた次の日から、グレッグが優しくなった気がする。他愛もないことを話しかけてくれたり、体調を気遣ってくれたり。
今度はどういう風の吹き回しかと、また疑問に思うものの、それが嬉しいからヨシュアは黙って受け入れる。
そうしていたら、嫁いで初めてのヒートが。
運悪く夫は仕事。でも、自分は別に好かれている訳でもないし、彼を頼るのは良くないだろうと考えたヨシュア。
自分の部屋に籠ってやり過ごそうと決める。匂いにつられて彼の部屋に入りかけたが、いけないとどうにか思いとどまった。
それからどうにもならない熱を持て余し、ベッドの上で乱れたり気を失ったりしていれば、不意に扉が開く。
途端に広がる甘い香り。
あとはもう流れに身を任せるだけだった。
初めて体を重ねた時より激しく甘く交わって、そして何度も中に出された。
そうして発情期が明け、しばらく経って妊娠が発覚する。
グレッグに告げたらどうなる?好きでもない自分との間に子供だなんて、喜んでくれるか……。
不安を感じつつも言わない訳にはいかない。意を決して懐妊を告げる。
するとめちゃめちゃ喜ぶグレッグ。今まで以上に優しく甘く接してくれる。
ここでようやく、自分てもしかして好かれてる???て思いだすヨシュア。
ベッドでヨシュアの腹を撫でているグレッグに
「グレッグって、もしかして僕のこと大切に思ってくれてる?」
と聞いてみたら、ゆるゆる微笑んでた顔から一転。
真っ青になってヨシュアの肩を掴んで詰め寄る。
「なんだ?どうした?なんでそんなこと言うんだ?」
って酷く慌ててるグレッグ。
ヨシュアはその様子にビックリしつつ、今まで思ってたことを告げてみる。
そうしたら、それは全部勘違いで、昔遊んでいた時から今まで、ずっとずっと好かれていたことを告げられる。
嫁いできたあの日冷たかったのは、他の人の匂いがついていたのが我慢ならなかったこと。
性急に体を繋げたのは、早く自分のものにしたかったから。
そもそも没落したヨシュアを妻にしたのだって、ずっとずっと好きで居場所を探してて、娼館で働いてると知って居てもたってもいられなくなったからで。
それを聞いて嬉し涙を流すヨシュア。それから自分の気持ちも伝えて。
それからこの二人は子宝にも恵まれ幸せに暮らしましたとさ!
貴族美形×没落貴族平凡
ちなみに。
ヨシュアの親はグレッグの縁戚として、貴族に一瞬戻るけど性格が性格だからすぐ消える。グレッグはこの親とヨシュアを離したいのもあって娶った。
あと、初ヒートのとき自分を頼ってくれなかったの地味に根に持ってて
「ずっとそばに居たかったのに」
「自分で慰めるなんて」
ってブチブチ言ってる。愛する妻のことはなんでも知っていたいやってあげたいグレッグ。
この先のヒートは仕事もほっぽってヨシュアのそばに居るグレッグであった。
CP名:グレッグ×ヨシュア
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