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リクエスト
⑮ 線細くて非力×一匹狼系筋肉(平凡×美形)
しおりを挟む「あ……」
そう思った時には、目の前が真っ暗になっていた。
傾いでいく体をどこか遠くで感じていると、「おい!」という誰かの声が、聞こえたような気がした。
次に目が覚めると、真っ白な天井が目に映る。
「……保健室?」
ぼんやりとその白い空間を眺めていれば、「おい」とまた、気を失う前に聞こえた声がする。
「え?」
「お前、大丈夫か?」
声の方に目を向けて、平凡(冴)は驚く。
「三峰くん……?」
自分が寝ているベッド横の椅子に座っていたのは、学校でも有名な美形(久弥)だった。
「お前、急に倒れたけど、なんかの病気か?」
「ぅ、あ……えっと」
その言葉にぼんやりしていた頭がハッキリとし、同時に少しビクッとしてしまう。
というのもこの久弥、目付きが鋭く、近寄り難い雰囲気を普段から醸しており、いつも1人で過ごしている一匹狼と呼ばれる男だった。
冴とは今まで関わりなどなく、幼少期病弱で、成長した今でも線が細く非力な自分とは正反対な見た目をしている彼のことが、冴は正直苦手だったのだ。そこには憧れも多分に含まれているが。
「病気、とかじゃないんだけど。僕、昔から体が弱くて。今日もちょっと調子悪くて、それで……」
「そうか。……しばらく休んでから帰れよ。荷物は持ってきてるから」
「えっ!?あの……」
「じゃ」
それだけ言うと、美形は保健室を出ていってしまう。残された冴はポカンとしていたが……。
「三峰くん、実はいい人……?」
倒れた自分を保健室まで連れてきてくれて、荷物を教室から持ってきてくれて、おまけに起きるまで隣にいてくれた?
そう思ったら、なんだか胸がソワリとした。
……それから、久弥のことを目で追うようになった冴。
同じクラスだったが、今まで苦手意識があったので気にしたこともなかった彼の行動を、よくよく見るようになった。そうしたら、彼が見た目に反して、とてもいい人だということがわかった。
授業はサボることなく受けているし、困っている人を見たらさりげなく助けている。筋肉質でがっしりしているので、重いものなんかは進んで運んでくれたりと、自分の知らなかった一面が沢山見えた。
(今までなんで気づかなかったんだろ)
彼の素敵な部分を知る度、冴はどんどんと惹かれていく。
しかも彼は、自分が倒れたあの日から、なにかと冴のことを気がけてくれているようで、体育のときや移動教室のときなど、こちらの様子を伺っているようだった。たまに調子が悪い時は、声をかけてくれる。
そんなの、好きにならないわけがなかった。
ある日の放課後、冴は久弥を呼び出した。
校舎裏に来てもらって、そこで告白をする。
「助けてもらったあの日から、ずっと目で追ってて。三峰くんのことが好きになったんだ。よかったら、付き合って欲しい」
顔を真っ赤にして告げた冴に、美形は
「……俺も、あの日からずっと気になってた。最初は心配なだけだったんだけど、どんどん可愛いなって思って……。だから、嬉しい。これからよろしく」
そうやって受け入れてくれた。
冴は嬉しくて嬉しくて、その場で泣いてしまう。おまけに緊張やら興奮やらしたせいか、その日の夜には発熱した。
一日休んで、それから登校したら、久弥がめちゃめちゃ心配してくれて、またまた嬉しくなる冴。
筋肉ムチムチで、きつい目付きで、近寄り難い雰囲気な一匹狼の久弥が、自分には笑ってくれたり心配してくれたり、色んな顔を見せてくれて毎日幸せを感じる冴だったが、気になるのはもちろん性的なアレソレで。冴としてはいろんな事をしてみたいと思っているのに、久弥はなかなか手を出そうとはしてくれない。つい最近、やっと触れるだけのキスをしたくらいだ。
「ねえ、もっと深いやつ、しない?」
「っ!!」
そうやって誘いをかけるけど
「まだ、早いと思う」
といってまた軽いキス。
むぅ。とふくれっ面な冴だけど、久弥はそれ以上をしようとはしない。
そんな日々が続いたある日、ついに冴は我慢の限界に。
久弥の家にお泊まりに来たタイミングで、冴は行動を起こす。
ネットで見かけたジョークグッズである媚薬を購入。ほんの少しだけ飲み物に混ぜて彼に飲ませることに。
そしたら効果があったのかどうなのか、荒い息をしだした久弥に、冴はキュンキュンする。コレは行ける!と押し倒そうとするけど、ムチムチな彼を非力な冴が押し倒せる訳もなく。反対にベッドに押さえつけられてしまう。
まあ、抱かれるのは自分だろう……と思っていたので、何も問題はないと身を委ねることにしたのだが。
「っえ!?え、ええ!?なん、ちょっ、ええ!?」
「桐本うるさい。お前がなんかしたんだろ。責任取れ」
「いやっ、取るけど、なんでソッチ……!?」
ーー気がついたら冴の上に久弥が乗っかっていた。顔を赤くして体を震わせている久弥。そのなんとも淫らなことか。
訳が分からないまま、快楽に飲み込まれた冴。そのまま久弥の中で果ててしまう。
行為が終わったあと冴は久弥に訊ねる。
「なんで、三峰くんが受け入れる側に……?」
そうしたらちょっと黙ってから、久弥はゆっくり口を開いた。
「だってお前、体弱いし。無理させたくなかったから。二人で気持ちよくなるのに、どっちのポジションじゃなきゃダメとかないだろ?俺が受け入れたほうが、お前の負担少ないとおもったから、そうしただけ」
とのこと。
久弥の愛の深さにキュンキュン萌え萌えしちゃった冴。
久弥に気を使わせなくていいよう、また気持ちよくさせられるよう体力作りに励むのであった。【完】
リクエストの
線細くて非力平凡×一匹狼系筋肉美形受け
でした!
受けの一匹狼くんが、攻め平凡のことめちゃめちゃ大好きなんだなこれ。
CP名:桐本冴×三峰久弥
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