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オリジナル
70.血の繋がらない甥×叔父(美形×平凡)
しおりを挟むーー姉が結婚した。
相手は、姉より年上で優しそうな人。
そして、大学に行く道で見かける花屋の店員で、淡い恋心を抱いていた男(ひと)でもあった。
「おめでとう」
祝福の言葉を述べるけれど、内心は失恋のショックと驚きで、ぐちゃぐちゃだった。
それは、姉と片思いの相手が結婚した事実も勿論そうだが、彼に子供がいたことが、より自分を驚かせた。
「その子って……」
「びっくりしたよね?ごめんね。この子は前の恋人との間にできた僕の子供なんだ。恥ずかしい話、この子を置いて前の恋人は居なくなってしまってね……」
なんて苦笑いしながら話す姉の夫。
チラ、とその子に目をやれば、俺をじっと見つめていて目が合った。
義兄によく似たその顔は、幼いながらに整っていて、まじまじと見つめてくるその瞳は、俺の隠したい恋心を暴いてしまいそうで、苦手だと感じた。
…………それが、俺(順太)の失恋と血の繋がらない甥(鷹也)との出逢い。
それから何事もなく日々は過ぎてゆく。姉一家は、夫婦仲は良好だし、鷹也も姉に懐いていてとても幸せそうに暮らしている。
何度も家に呼ばれては、仲睦まじい家族の様子を見て、一緒に笑って。
そうして姉が幸せで嬉しい気持ちと同時に、どうしようもない辛さも感じる。
(いつまで姉貴の旦那さんのこと、好きでいるつもりなんだか……)
忘れなければいけないのは分かっているのに、どうしても目で追ってしまう。
せめて誰にも知られないようにしなければ、と思うけれど、ふと気がつくと俺を見つめる視線に気づく。
それはもちろん鷹也。彼は、俺が姉や義兄と話している時も、知らず視線で義兄を追っている時も、一人でボーッとしている時も。気が付くといつも俺を見ていた。
初めて出逢った日からずっと、俺はこの視線が苦手だった。
俺の何もかもを見透かすかのような、ジットリと焦げ付くように強い視線。
それは鷹也が成長するにつれて、強さも熱量も増していく。
ある日のこと。
「順太、ゴメンだけど、数日間鷹也預かってくれない?」
「は……?」
それは姉からの頼み。なんでも夫婦揃って数日間旅行に出かけるため、その間鷹也を預かって欲しいとの事。
「そんなん、鷹也くんも連れてけばいいだろ?」
「それがあの子、大学受験近いから行かないって言って聞かなくて。でも料理とかからっきしだし、アンタなら一人暮らし長いからそこら辺安心じゃない?だからね?お願い!」
「……鷹也くんは、なんて言ってんの」
「え?あの子ならそれでいいって納得してるわよ」
……結局、断ることも出来ずに引き受けることになり、数日後鷹也が俺の住む家へとやってきた。
「数日間、お世話になります」
「……うん。ゆっくりしてって」
いつの間にか俺の身長を超えてしまった鷹也。少し高い位置から注がれる、いつもと同じ視線から逃げたくて、さっさと踵を返して室内に招き入れる。
けれども。
「っ!!」
「ねえ、順太くん」
「ちょ、離して……ッ」
「イヤ。ねぇ、気付いてるよね」
「な、にが……」
「俺がいっつも順太くんのこと見てたの。気づいてるでしょ?」
鷹也は自分を後ろから抱きしめながら、耳元で囁くように言う。
「……ッ」
「なんで見てるか、分かる?」
「し、らない。そんなこと」
「なら、教えてあげる。……いつも順太くんが父さん見て、辛そうな顔してるのが気になってたんだ、ずっと」
「!!」
「順太くん、昔からずーっと父さんのこと、好きなんでしょ?」
それは質問と言うより、確信を持って発せられる。
なんで、どうして。そう思うと同時に、やっぱりバレていたという気持ち。けれども、義兄の実の子供を前にして、口が裂けても「そう」とは言えない。
「な、に……言ってるんだ。そんな訳……」
「ないわけないよ。だって初めて会った日からずっと順太くんのこと見てたんだよ?何年間も、ずっと。俺が順太くんのこと、わかんない訳ないじゃん」
ぎゅう、と抱きしめる腕に力が込められる。
「なんで、そんな事言うんだ……。俺を、どうしたいんだよ……」
「ふふっ。そんなの、順太くんが好きだから、俺のものにしたいに決まってるじゃん」
「…………は?」
「アレ、それには気づいてなかったの?初めて会った日からずーっと順太くんの事が好きなんだよ、俺。だから、ね?父さんと顔もそっくりだし、俺の事好きにならない?」
ちゅ。耳の後ろに小さく口付けてくる鷹也。
それにカァッと体が熱くなり、慌てて距離を取ろうともがき始める。
けれども体に回された腕の力は弱まらない。
「は、なせって!そんな馬鹿げたこと、受け入れられるわけないだろ……ッ!!」
「ヤダ、絶対離さない。俺はね、このチャンスを逃す気は無いんだ。父さん達が居ない間に、順太くんを俺のものにするって決めてた。だから、覚悟してね?」
グッ、と顎を持ち上げられて後ろにそらされる。下から見上げた鷹也の顔は、楽しそうに、それでいて獲物をとらえた獣のように。隠しきれない喜悦が滲んでいた。
ーーそうして姉夫婦が帰ってくるまでの数日間、俺は鷹也に迫られ乱され、そして堕とされるのだった。
血の繋がらない甥×平凡叔父
CP名:小嶺鷹也×小嶺順太
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