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悲しい再会
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クロウとギンは、無事裁きの祠に辿り着いた。
ギンは、下を向いて歩いた為に何度も何もない所でつまづいた。
「わぁっ!!」
「はぁ…あんた、これで10回目よ?ちゃんと前見て歩いて!」
「ご…ごめんなさい。」
そんなギンに見かねてクロウは、手を引きなんとか目的地に到着したのだった。ギンは、クロウから繋がれた手を初めは戸惑いながらもしっかりと離さないように握っていた。
すると、祠への入り口には一人の好青年が立っていた。たった一人で…
「クロウさんですね?」
「あんたは?」
問いに対し、青年は深々と頭を下げた。
「私は、”ミカ”と言います。お婆様から話は伺っています。」
「…」
”クロウ イヤナ ヨカンスル”
傍のギンを見るとさっきまでとは打って変わり、緊張した表情だった。
「…案内しなさい。」
”ハッ!?”
「えっ!?クロウ!?」
クロウは、ミカと名乗る者に対し喉元に短剣を構え案内を要求した。
しかし、ミカは微動だにしなかった。
「では、こちらへ」
そう言い、祠の中に入っていく。
クロウは、ミカの背に短剣を構え、その後を追う。クロウの後を追うギンは何故かいつもより深く俯いていた。そんなギンにクロウは何も気にせず洞窟を突き進む。
洞窟の中に吹く風は、肌をピリピリとさせた。
汚れた者が進入すれば身体に異変がある。祠とは、常に清らかなものである。と教えられた。
この場合汚れた進入者は、クロウ。きっと異教の姿をしているからだろう。
痛みは、ジリジリと身体を痛めつける。まるで全身を針で刺されているようだ。痛くは無いが気持ち悪い感覚だった。
ギンを見ると恐怖と緊張で身体はガチガチだった。神聖な場所に入ると感じてなのだろうか?いや、違う。ギンは…
「ギン。身体は平気?」
「うん。身体は大丈夫だよ?ただ緊張して…」
「そう…。」
クロウは、それ以上聞こうとはしなかった。
「ミカ。あんたは…大丈夫そうね」
「はい。ご心配痛み入ります。」
祠の奥に進み開けた場に出た。
ミカは、振り返りクロウ達を見据えた。
「ここから先はクロウさんだけで入って下さい。ギンさんと私はここで待っています。」
「じゃぁ、行ってくるわね。」
「クロウっ!だ…大丈夫だよね?平気だよね?また一緒に…」
自分の肩を両手で抱きブルブルと震えるギンにクロウは近づき頭に手を置く。
「大丈夫よ。もし何かあればミカやおばあちゃんを頼りなさい。」
ギンは、自分のそばから離れるクロウを寂しく見つめた。
(言って欲しくないなんて傲慢だろうか?…クロウのそばに居たいなぁ…なんて…)
ミカは、ギンに寄り添いギンと共にその場を去った。クロウを一人残して…
【裁きの祠】
奥へ進むごとに身体の節々に痛みが感じられた。
きっと、今上に戻ってもギンとミカは居ない。初めからミカは何かあると思っていた。ミカとギンは何かで繋がっている。そしてギンは、獣を飼っている訳では無い。きっとクロウを出し抜く為に使った術かなにかだろう。
そう感じたのは、ギンが祠に近づく際に身体に痛みを感じていなかった事。そしてミカが来た際にギンが恐怖を感じていなかった事。
この町の住人に追い出されたのであれば何かしらの恐怖を感じても良いはずだった。
(まぁ、気付いた上で乗っかったのはこっちだけど。)
”モウスグ アト スコシダ クロウ”
「そうね。あんたとも後少しで別れだわ」
暗い洞窟内に佇む祠に近づき祠の戸を開ける。
「さぁ、解放の時だ!」
続く
ギンは、下を向いて歩いた為に何度も何もない所でつまづいた。
「わぁっ!!」
「はぁ…あんた、これで10回目よ?ちゃんと前見て歩いて!」
「ご…ごめんなさい。」
そんなギンに見かねてクロウは、手を引きなんとか目的地に到着したのだった。ギンは、クロウから繋がれた手を初めは戸惑いながらもしっかりと離さないように握っていた。
すると、祠への入り口には一人の好青年が立っていた。たった一人で…
「クロウさんですね?」
「あんたは?」
問いに対し、青年は深々と頭を下げた。
「私は、”ミカ”と言います。お婆様から話は伺っています。」
「…」
”クロウ イヤナ ヨカンスル”
傍のギンを見るとさっきまでとは打って変わり、緊張した表情だった。
「…案内しなさい。」
”ハッ!?”
「えっ!?クロウ!?」
クロウは、ミカと名乗る者に対し喉元に短剣を構え案内を要求した。
しかし、ミカは微動だにしなかった。
「では、こちらへ」
そう言い、祠の中に入っていく。
クロウは、ミカの背に短剣を構え、その後を追う。クロウの後を追うギンは何故かいつもより深く俯いていた。そんなギンにクロウは何も気にせず洞窟を突き進む。
洞窟の中に吹く風は、肌をピリピリとさせた。
汚れた者が進入すれば身体に異変がある。祠とは、常に清らかなものである。と教えられた。
この場合汚れた進入者は、クロウ。きっと異教の姿をしているからだろう。
痛みは、ジリジリと身体を痛めつける。まるで全身を針で刺されているようだ。痛くは無いが気持ち悪い感覚だった。
ギンを見ると恐怖と緊張で身体はガチガチだった。神聖な場所に入ると感じてなのだろうか?いや、違う。ギンは…
「ギン。身体は平気?」
「うん。身体は大丈夫だよ?ただ緊張して…」
「そう…。」
クロウは、それ以上聞こうとはしなかった。
「ミカ。あんたは…大丈夫そうね」
「はい。ご心配痛み入ります。」
祠の奥に進み開けた場に出た。
ミカは、振り返りクロウ達を見据えた。
「ここから先はクロウさんだけで入って下さい。ギンさんと私はここで待っています。」
「じゃぁ、行ってくるわね。」
「クロウっ!だ…大丈夫だよね?平気だよね?また一緒に…」
自分の肩を両手で抱きブルブルと震えるギンにクロウは近づき頭に手を置く。
「大丈夫よ。もし何かあればミカやおばあちゃんを頼りなさい。」
ギンは、自分のそばから離れるクロウを寂しく見つめた。
(言って欲しくないなんて傲慢だろうか?…クロウのそばに居たいなぁ…なんて…)
ミカは、ギンに寄り添いギンと共にその場を去った。クロウを一人残して…
【裁きの祠】
奥へ進むごとに身体の節々に痛みが感じられた。
きっと、今上に戻ってもギンとミカは居ない。初めからミカは何かあると思っていた。ミカとギンは何かで繋がっている。そしてギンは、獣を飼っている訳では無い。きっとクロウを出し抜く為に使った術かなにかだろう。
そう感じたのは、ギンが祠に近づく際に身体に痛みを感じていなかった事。そしてミカが来た際にギンが恐怖を感じていなかった事。
この町の住人に追い出されたのであれば何かしらの恐怖を感じても良いはずだった。
(まぁ、気付いた上で乗っかったのはこっちだけど。)
”モウスグ アト スコシダ クロウ”
「そうね。あんたとも後少しで別れだわ」
暗い洞窟内に佇む祠に近づき祠の戸を開ける。
「さぁ、解放の時だ!」
続く
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