闇と光

白銀狼

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苦しい再開

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「ラウ…やっぱり私は。」

 ギンと出逢ったあの山の頂上で1人空を見上げる。
 腰までの長い黒髪にピンと立つ二つの長い耳。フサフサな黒い尻尾。服は最近あつらえ直した、チューブトップと短パン。肩に結ばれた長いローブで普段は姿を隠しながら今でも旅をしている。

 クロウにとって大切な者は手から溢れる…
 彼女は、幼い頃に両親と愛犬を失った。
 
 つい最近まで、彼女の側に居てくれた愛犬ラウの魂でさえ彼女から去って行った。

 そして、旅の途中拾った少年ギンは騎士団に保護された。と噂で耳にした。

 と言うことは、彼の心配はないだろう…

 残るは、クロウの両親の仇を探し出し何故あんな事をしたのか?

(知った上でケジメを付けなくては。前に進めない。)



ガサガサッ


(?)
 クロウの耳がピクピクと揺れ動く。
 側の茂みから音がした。誰か居ることは明らかだった。


(さぁ、どうするか…?仕留めるかっ!!この匂いは…まさか!?
)

 クロウは、静かに音のする方を見た。そして、息をゆっくり吐き冷静に言う。

「いいから、出て来なさい。」

「あー、やっぱりバレたか。クロウには敵わないや」

 姿を見て正直驚いた。

 目の前にはやはりギンが立っていた。しかし、かつてのあの幼かった姿は無く凛々しい青年の姿をしていた。

 騎士団に入団したのだろう、騎士服に身を包み腰に剣を携えクロウを見据えていた。

 
「変わらないのは、その優しげな目かしら。久しいわね、ギン。」

「うん、久しぶりクロウ。…迎えに来たよ」


 ガハッ…

 バタン…

 久しぶりのギンの姿に釘付けになっていて気づかなかった。
 彼の背後に隊の1人が見えた。
 ギンの背後から麻酔ばりをクロウに放ち、クロウはギンの前に倒れた。

「ごめんね、クロウ。僕は君を助けたいんだ。…だから君を騎士団に受けわたすよ…恨んでくれて良いから…」


つづく
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