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第5章

5 - 7 彼の精神が壊れるまで何度も何度も○○したった

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バルトロを倒した俺は中央市街の上空を高速で飛行して、僅かな時間で後方の門へと辿り着く

そこには魔物達の死骸の山が築かれていた──
《どうやら…雷斗さんの訓練は役に立ったみたいですね》ホッとする女神さまの声が脳に直接響く
(いや…そんなこともないらしい…)よく見ると、魔物の死骸の合間に訓練生達の遺体も散見している──

しかし…魔物の軍勢がどこにも居ないの一体どういうことなのだろう…そして仮に魔物に全滅させられたにしても、訓練生の遺体の数は見るからに少ない──

戦況が把握できない俺は脳内マップを開きマーカーを確認する

現在は中央市街の左右に展開された魔物を冒険者ギルドのメンツが対応しているのか、ここと俺が潰した二か所以外に戦力が集中しているのがわかる

「ん?」

なぜかポツンと二つの白いマーカーのみがいまだにこのエリアに残っている
怪我でもして動けなくなっているのだろうか?
俺は確認のため飛行して近づくと──

あれはユリアン!それに…どうやら戦闘中らしい…
俺は飛行速度を上げあと少しで戦闘距離──というところで

「これで終わりだ…」と馬に乗った騎士風の男がユリアンの腹に槍を突き立てた

ユリアンは腹に風穴を開け、その場に力なく崩れ落ちた──


「ユリアーーーン!」

俺は急いでユリアンの元へと急降下し、ユリアンに槍を突き立てた騎兵を遠ざけるべく「【トルネイド】」と念じて吹き飛ばす

俺はすでに意識を手放し、いつ死んでもおかしくない状況のユリアンを抱き上げ
「しっかりしろユリアン!絶対に死なせはしない!【リバイブ】」彼に時間逆行の魔法をかけると腹に空いた風穴が徐々に塞がり元の健康な肉体へと再生する

俺は脈を取り、生きていることを確認してホッと一息つくも──

「貴様…バルトロはどうした?」そう言いながら騎兵はゆっくりとした動きで俺に近づく

「今頃は閻魔様と楽しくフォークダンスでも踊っている頃だろうぜ?」俺はユリアンをそっと地面に寝かせて騎兵に向かってそう答えた

騎兵の男は「ほぅ…」と目を細め俺を観察しつつもいつでも飛び込める間合いを維持している

俺は騎兵の行動なぞ気にも留めず、ただ真っ直ぐに騎兵へ向かってゆっくりとした歩みで近づき
「他の訓練生を殺ったものお前か?」と問う俺に
「訓練生?冒険者の出来損ないの事なら確かに俺が殺したが?」それがどうした?と言わんばかりの物言いに俺の血管がブチ切れる音が聞こえた気がした──

「お前が何者でどんな目的があってここに居るのか知らないが…」俺は正清を秋月の構えに持ち
「お前は確実にお白洲を開くまでもなく死罪確定だぞ!!まずはその駄馬から降りてもらうとしよう!【ウォーターバブル】【トルネイド】」と立て続けに念じて水を風圧で飛ばす!

「ぬぉぉ⁉」迫る水の刃に慌てて回避をしようとするも、時既に時間切れ──
鋭い水の刃は瞬く間に騎兵が騎乗している馬の足を切り落とし騎兵を落馬させることに成功する

「ぐぅぅ…」と唸り立ち上がる騎兵に近づき

「お前…市中引き回しって知ってるか?」と正清をのど元へ突き付けて問う

「何を言ってるんだ貴様は…」と疑問を浮かべる騎兵の両の眼を正清で切り裂いた!
「ぐおおおお!」と瞳を押さえてもんどり打つ騎兵の足を掴み引き摺り倒し──

「市中引き回しっていうのはな…【フライ】」俺は騎兵の足を掴んだまま飛翔
「こういう事だ!」と俺は超低空かつ高速で飛行する

眼を切り裂かれ視界を奪われた騎兵は俺に足を掴まれ頭を地面に打ち付けながら引き摺られている
引き回し始めは「ぐああああああああ!」と叫んでいた騎兵も、意識を手放したのか頭をガツン!ガツン!と打ち付ける音のみが辺りに響き渡る

だが俺の怒りはその程度で気絶を許すほど生易しいものではない

「いつまで寝たふりをしているんだ!」と胸を思い切り踏み抜き肋骨を粉砕すると、騎兵は口から血飛沫を吐き痙攣を始めた

「なに勝手に死のうとしてるんだ?【リカバリー】」俺は騎兵の骨折と破裂した内臓のみを治すと、息を吹き返したのかゼーゼー言っている騎兵の頭を掴み…耳元で「楽になったか?」と囁き──

「次は定番の切腹だな…勿論お前はどんな事か知らないだろうから、今回は俺がサービスでやってやるよ」と俺は正清を瞳を失い、暗闇に怯える騎兵の腹部めがけて突き刺して「がああああああ」と叫んで刀を抜こうと暴れる騎兵の腹を無理やり切り裂き──騎兵の腹部からは内臓が零れ落ち再度口から血飛沫を飛ばす

「おうおう…だから簡単には死なせないぞ?【リバイブ】」と俺は自分で開封した腹を元通りに塞ぎ

「ぼばばばば」と最早精神の崩壊を起こしているのではないかと思われる声を上げガタガタと震える騎兵に向かって「どうだ?そろそろ死にたくなってきたか?」と聞くと「殺して…ころしころしてころしてくれええええ!」と懇願する騎兵に俺は──

「何を言っているんだ?まだちょっと内臓を破裂させて、ちょっと腹を切っただけじゃないか…その程度で殺してもらえるほどお前が殺した俺の弟子たちの命は軽くはないぞ?どれ次は大岡割きがいいかな?でも真っ二つにしたらさすがに再生できんし…とりあえず腕だけでも裂いておくか?」と軽いノリで腹に足を当て、腕を力任せに毟り取る

「あばああああああああああああ」

腕が千切れた肩からは大量の血液が流れ出るも「【リカバリー】」と死なれないようさっさと傷口を塞ぐ

「あんまり暴れるんじゃあないぞ?危うく出血多量で死んでしまう所だったぞ?さて…次は何がいいか…」と刑を思案する俺に「ごどじでぐでええええ」と懇願する騎兵

「それは出来ない相談だな…なんせお前はたった一つの大きな間違いを犯したのだから…」

「いっだいおでがなにぼ…」と最早言葉にすらなっていない騎兵に言葉を返す

「テメーは俺を怒らせたって事だ!【メタモルフォーゼ】」姿形を異形の物に変更する魔法を念じ、俺は騎兵を人からカエルへと変貌させた

「ゲコゲコ」と鳴く元騎兵を摘み上げ「これからはカエルとして一生を過ごすんだな【クラッシュマインド】」そして俺は元騎兵のカエルの脳内の回路を破壊してその辺に放り捨て──


「起床おおおおおおおお!」と叫ぶと「サー!イエスサー!」と気絶していたはずのユリアンが反射で起き上がる──我ながらいい仕込み具合だと感心するがどこもおかしなところはないだろう

「───はっ!」と敬礼したまま気絶し続けるという器用な芸当をしていたユリアンが意識を取り戻したのは俺が街の入口まで運んだ後だった───

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