ギャルゲーの脇役、情報通な彼に転生してしまった!~こうなったらヒロインの一人位は絶対に確保する!~

GARUD

文字の大きさ
14 / 39

11

しおりを挟む
 俺を乗せた車は30分ほどでその動きを止めた。
 実松さんが後部座席のドアを開ける。
 そして俺が車から降りると、そこには巨大な西洋風の豪邸がそびえ立っていた。
 
(ここ日本だよな?車で走ってるはずが、いつの間にか車ごとテレポートしたとかないよな?)

 俺は目の前の豪邸に萎縮され、知らずに喉をゴクリと鳴らしていた。
 執事の実松さんは俺の緊張なぞ一切気にする様子を見せず「では、ご案内致します」とサッサと玄関のドアを開けて中へと入って行ってしまった。
 俺は置いて行かれたらいけないと、慌てて実松さんの後を追う。
 建物の入り口のドアも装飾過多だったが、内装もかなりきらびやかだった。
 入り口から伸びる通路は全面赤い絨毯で、通路の所々に高価そうなツボやら絵画が飾ってあり、天井から照らす光に目を向ければ、大きなシャンデリアが等間隔で吊られている。
 そのシャンデリアは複数の透明なクリスタルが形良く突き立ち、中央で煌々と輝くライトの光を内部に蓄え、その光をキラキラと反射させながら、その輝きを周囲にばら撒いている。

 俺が天井のシャンデリアに見とれていると

「そのシャンデリアの石は、クリスタル……英石を使っておりまして、全て天然の物を削った物で出来ております。他のシャンデリアはダイヤの加工品ですね」

 サラッとダイヤは劣化版みたいに言いましたけど実松さん!ダイヤだって庶民には一粒、一欠片でもありがたいんですよ?!

 先を急ぎましょう。と俺を急かす実松さんに、俺はシャンデリアから意識を戻して実松さんの後を再び追いかける。

 そして案内されたのは中庭だった。
 そこで待っていたのは雫ちゃん。

「ゆーやさまだ!パパのいったとおり!ほんとにあそびにきてくれた!」

 そう言うと、雫ちゃんは大輪の華を咲かせたような笑みを浮かべて俺と実松さんの所に走ってくる。

 トトト……ツン!

「危ない!」

 可愛らしく小走りで近付いて来ていた雫ちゃんだったが、前を見過ぎて足元がお留守になっていたのだろう。
 つま先が庭の石に躓いて、俺達の目の前まで来てつんのめる。
 俺は前に大きく一歩を踏み出して、雫ちゃんが転ぶ寸前で受け止めた。
 両手でお腹から背に手を回すようにキャッチした俺は、落ち着いてゆっくりと立ち上がらせる。
(流石に毎日地道にトレーニングしているだけあって同年代の女の子を抱き止める程度ならビクともしないな)
 俺は自分に毎日課しているトレーニングがしっかりと身を結んでいる事を改めて実感した。

「ありあり!ありがとうごじゃります!」
「どういたしまして。怪我がなくてよかった」

 目の前でアワアワと身振り手振りでお礼を言って頭を下げる雫ちゃんが余りにも可愛らしく、俺はクスリと笑いを漏らした。

 雫ちゃんをよく見ると、今日は小学校がない為、当然だが私服を着ている。
 言い忘れたが、俺達の小学校は私立だけあってか、ブレザー風な制服なのだ。

 んで、肝心の雫ちゃんの私服だが、ヒラヒラの白いフリルが付いたピンク色のワンピースだ。
 上のフリルは少なく、肩を出すノースリーブ、下のスカート部分は下部にフリルが三段、そしてポケット?と思わしき部分にもワンポイントでフリルがあしらわれていた。
 ここでゲーム内の彼女を思い出す。
 ゲームにおける十条雫をデートに誘った際に着てきた私服も確か清楚系でフリルの多めな服を着ていた。
 吊り目で勝ち気で高飛車なお嬢様が実は清楚系ビッチだった!とおまいらと騒いだのが懐かしい。

(ふむ……どうやら服の趣味は同じらしい……と言う事は、このまま行けば、いずれはあの高飛車な性格になってしまうのかな?)

 俺が思考の海に沈んでいると、目の前の雫ちゃんから声がかかり、俺は慌てて思考を切り替える。

「ゆーやさま……どうかしましたか?」
「いや、雫ちゃんのお洋服が可愛いなって思ってさ」
「え?!ほんとーですか?」
「うん。似合ってて可愛いよ」
「うれしいです……えへへ」

 頬を染めてハニカムように笑う美幼女を見て俺は改めて誓った。
 この子を絶対に高飛車で性格悪い女になんてさせない!と。
 ま、もし、万が一にも高飛車になってしまったら……そこは主人公君に頑張ってもらうとしよう。
 え?お前性格悪くないかって?
 何を言っていらっしゃる。俺はこの世界では所詮脇役。
 主人公様の足下にも及ばない存在だからな?
 わざわざ大変な役割を率先してやったりはせんよ!
 んじゃこのまま可愛らしくお前を慕ったまま育ったらどうするのかって?
 そりゃあ勿論……決まってんだろ?

「ゆーやさま!あちらでおちゃしましょ!」
「うん!」

 俺は雫ちゃんに手を引かれるまま中庭を進むと、白い屋根が見えてきた。
 そこには白いテーブルに白い椅子。横には噴水もあり、暖かい4月の陽気に爽やかな涼を感じる。

「やぁ、よく来たね。裕也くん」

 そこにヤツが居なければ……
 
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

女の子がほとんど産まれない国に転生しました。

さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。 100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳 そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。 当面は2日に1話更新予定!

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました

もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!

辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~

香木陽灯
恋愛
 「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」  実の父と義妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。  「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」  「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」  二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。 ※ふんわり設定です。 ※他サイトにも掲載中です。

完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました

らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。 そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。 しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような… 完結決定済み

冗談のつもりでいたら本気だったらしい

下菊みこと
恋愛
やばいタイプのヤンデレに捕まってしまったお話。 めちゃくちゃご都合主義のSS。 小説家になろう様でも投稿しています。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

処理中です...