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俺を乗せた車は30分ほどでその動きを止めた。
実松さんが後部座席のドアを開ける。
そして俺が車から降りると、そこには巨大な西洋風の豪邸がそびえ立っていた。
(ここ日本だよな?車で走ってるはずが、いつの間にか車ごとテレポートしたとかないよな?)
俺は目の前の豪邸に萎縮され、知らずに喉をゴクリと鳴らしていた。
執事の実松さんは俺の緊張なぞ一切気にする様子を見せず「では、ご案内致します」とサッサと玄関のドアを開けて中へと入って行ってしまった。
俺は置いて行かれたらいけないと、慌てて実松さんの後を追う。
建物の入り口のドアも装飾過多だったが、内装もかなりきらびやかだった。
入り口から伸びる通路は全面赤い絨毯で、通路の所々に高価そうなツボやら絵画が飾ってあり、天井から照らす光に目を向ければ、大きなシャンデリアが等間隔で吊られている。
そのシャンデリアは複数の透明なクリスタルが形良く突き立ち、中央で煌々と輝くライトの光を内部に蓄え、その光をキラキラと反射させながら、その輝きを周囲にばら撒いている。
俺が天井のシャンデリアに見とれていると
「そのシャンデリアの石は、クリスタル……英石を使っておりまして、全て天然の物を削った物で出来ております。他のシャンデリアはダイヤの加工品ですね」
サラッとダイヤは劣化版みたいに言いましたけど実松さん!ダイヤだって庶民には一粒、一欠片でもありがたいんですよ?!
先を急ぎましょう。と俺を急かす実松さんに、俺はシャンデリアから意識を戻して実松さんの後を再び追いかける。
そして案内されたのは中庭だった。
そこで待っていたのは雫ちゃん。
「ゆーやさまだ!パパのいったとおり!ほんとにあそびにきてくれた!」
そう言うと、雫ちゃんは大輪の華を咲かせたような笑みを浮かべて俺と実松さんの所に走ってくる。
トトト……ツン!
「危ない!」
可愛らしく小走りで近付いて来ていた雫ちゃんだったが、前を見過ぎて足元がお留守になっていたのだろう。
つま先が庭の石に躓いて、俺達の目の前まで来てつんのめる。
俺は前に大きく一歩を踏み出して、雫ちゃんが転ぶ寸前で受け止めた。
両手でお腹から背に手を回すようにキャッチした俺は、落ち着いてゆっくりと立ち上がらせる。
(流石に毎日地道にトレーニングしているだけあって同年代の女の子を抱き止める程度ならビクともしないな)
俺は自分に毎日課しているトレーニングがしっかりと身を結んでいる事を改めて実感した。
「ありあり!ありがとうごじゃります!」
「どういたしまして。怪我がなくてよかった」
目の前でアワアワと身振り手振りでお礼を言って頭を下げる雫ちゃんが余りにも可愛らしく、俺はクスリと笑いを漏らした。
雫ちゃんをよく見ると、今日は小学校がない為、当然だが私服を着ている。
言い忘れたが、俺達の小学校は私立だけあってか、ブレザー風な制服なのだ。
んで、肝心の雫ちゃんの私服だが、ヒラヒラの白いフリルが付いたピンク色のワンピースだ。
上のフリルは少なく、肩を出すノースリーブ、下のスカート部分は下部にフリルが三段、そしてポケット?と思わしき部分にもワンポイントでフリルがあしらわれていた。
ここでゲーム内の彼女を思い出す。
ゲームにおける十条雫をデートに誘った際に着てきた私服も確か清楚系でフリルの多めな服を着ていた。
吊り目で勝ち気で高飛車なお嬢様が実は清楚系ビッチだった!とおまいらと騒いだのが懐かしい。
(ふむ……どうやら服の趣味は同じらしい……と言う事は、このまま行けば、いずれはあの高飛車な性格になってしまうのかな?)
俺が思考の海に沈んでいると、目の前の雫ちゃんから声がかかり、俺は慌てて思考を切り替える。
「ゆーやさま……どうかしましたか?」
「いや、雫ちゃんのお洋服が可愛いなって思ってさ」
「え?!ほんとーですか?」
「うん。似合ってて可愛いよ」
「うれしいです……えへへ」
頬を染めてハニカムように笑う美幼女を見て俺は改めて誓った。
この子を絶対に高飛車で性格悪い女になんてさせない!と。
ま、もし、万が一にも高飛車になってしまったら……そこは主人公君に頑張ってもらうとしよう。
え?お前性格悪くないかって?
何を言っていらっしゃる。俺はこの世界では所詮脇役。
主人公様の足下にも及ばない存在だからな?
わざわざ大変な役割を率先してやったりはせんよ!
んじゃこのまま可愛らしくお前を慕ったまま育ったらどうするのかって?
そりゃあ勿論……決まってんだろ?
「ゆーやさま!あちらでおちゃしましょ!」
「うん!」
俺は雫ちゃんに手を引かれるまま中庭を進むと、白い屋根が見えてきた。
そこには白いテーブルに白い椅子。横には噴水もあり、暖かい4月の陽気に爽やかな涼を感じる。
「やぁ、よく来たね。裕也くん」
そこにヤツが居なければ……
実松さんが後部座席のドアを開ける。
そして俺が車から降りると、そこには巨大な西洋風の豪邸がそびえ立っていた。
(ここ日本だよな?車で走ってるはずが、いつの間にか車ごとテレポートしたとかないよな?)
俺は目の前の豪邸に萎縮され、知らずに喉をゴクリと鳴らしていた。
執事の実松さんは俺の緊張なぞ一切気にする様子を見せず「では、ご案内致します」とサッサと玄関のドアを開けて中へと入って行ってしまった。
俺は置いて行かれたらいけないと、慌てて実松さんの後を追う。
建物の入り口のドアも装飾過多だったが、内装もかなりきらびやかだった。
入り口から伸びる通路は全面赤い絨毯で、通路の所々に高価そうなツボやら絵画が飾ってあり、天井から照らす光に目を向ければ、大きなシャンデリアが等間隔で吊られている。
そのシャンデリアは複数の透明なクリスタルが形良く突き立ち、中央で煌々と輝くライトの光を内部に蓄え、その光をキラキラと反射させながら、その輝きを周囲にばら撒いている。
俺が天井のシャンデリアに見とれていると
「そのシャンデリアの石は、クリスタル……英石を使っておりまして、全て天然の物を削った物で出来ております。他のシャンデリアはダイヤの加工品ですね」
サラッとダイヤは劣化版みたいに言いましたけど実松さん!ダイヤだって庶民には一粒、一欠片でもありがたいんですよ?!
先を急ぎましょう。と俺を急かす実松さんに、俺はシャンデリアから意識を戻して実松さんの後を再び追いかける。
そして案内されたのは中庭だった。
そこで待っていたのは雫ちゃん。
「ゆーやさまだ!パパのいったとおり!ほんとにあそびにきてくれた!」
そう言うと、雫ちゃんは大輪の華を咲かせたような笑みを浮かべて俺と実松さんの所に走ってくる。
トトト……ツン!
「危ない!」
可愛らしく小走りで近付いて来ていた雫ちゃんだったが、前を見過ぎて足元がお留守になっていたのだろう。
つま先が庭の石に躓いて、俺達の目の前まで来てつんのめる。
俺は前に大きく一歩を踏み出して、雫ちゃんが転ぶ寸前で受け止めた。
両手でお腹から背に手を回すようにキャッチした俺は、落ち着いてゆっくりと立ち上がらせる。
(流石に毎日地道にトレーニングしているだけあって同年代の女の子を抱き止める程度ならビクともしないな)
俺は自分に毎日課しているトレーニングがしっかりと身を結んでいる事を改めて実感した。
「ありあり!ありがとうごじゃります!」
「どういたしまして。怪我がなくてよかった」
目の前でアワアワと身振り手振りでお礼を言って頭を下げる雫ちゃんが余りにも可愛らしく、俺はクスリと笑いを漏らした。
雫ちゃんをよく見ると、今日は小学校がない為、当然だが私服を着ている。
言い忘れたが、俺達の小学校は私立だけあってか、ブレザー風な制服なのだ。
んで、肝心の雫ちゃんの私服だが、ヒラヒラの白いフリルが付いたピンク色のワンピースだ。
上のフリルは少なく、肩を出すノースリーブ、下のスカート部分は下部にフリルが三段、そしてポケット?と思わしき部分にもワンポイントでフリルがあしらわれていた。
ここでゲーム内の彼女を思い出す。
ゲームにおける十条雫をデートに誘った際に着てきた私服も確か清楚系でフリルの多めな服を着ていた。
吊り目で勝ち気で高飛車なお嬢様が実は清楚系ビッチだった!とおまいらと騒いだのが懐かしい。
(ふむ……どうやら服の趣味は同じらしい……と言う事は、このまま行けば、いずれはあの高飛車な性格になってしまうのかな?)
俺が思考の海に沈んでいると、目の前の雫ちゃんから声がかかり、俺は慌てて思考を切り替える。
「ゆーやさま……どうかしましたか?」
「いや、雫ちゃんのお洋服が可愛いなって思ってさ」
「え?!ほんとーですか?」
「うん。似合ってて可愛いよ」
「うれしいです……えへへ」
頬を染めてハニカムように笑う美幼女を見て俺は改めて誓った。
この子を絶対に高飛車で性格悪い女になんてさせない!と。
ま、もし、万が一にも高飛車になってしまったら……そこは主人公君に頑張ってもらうとしよう。
え?お前性格悪くないかって?
何を言っていらっしゃる。俺はこの世界では所詮脇役。
主人公様の足下にも及ばない存在だからな?
わざわざ大変な役割を率先してやったりはせんよ!
んじゃこのまま可愛らしくお前を慕ったまま育ったらどうするのかって?
そりゃあ勿論……決まってんだろ?
「ゆーやさま!あちらでおちゃしましょ!」
「うん!」
俺は雫ちゃんに手を引かれるまま中庭を進むと、白い屋根が見えてきた。
そこには白いテーブルに白い椅子。横には噴水もあり、暖かい4月の陽気に爽やかな涼を感じる。
「やぁ、よく来たね。裕也くん」
そこにヤツが居なければ……
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