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さて、春の運動会も終わり、あっという間に梅雨の時期に差し掛かる。
ジメジメとした日々、ザーザーと降る雨に憂鬱な気持ちで毎日学校に通っている。
そんな学校から帰る時、下駄箱に向かう俺に向かって、まるでラクビーのタックルのようなパワフルさで俺の身体に突撃を入れる幼女がいた。言わずと知れた佳子ちゃんである。
「ゆぅくん!ゆぅくん!」
「なに?そんなに慌ててどうしたの?」
「わたしね!きょうね!カサなくしちゃったの!」
「佳子ちゃん……カサって、今朝登校した時に下駄箱のクラス別傘立てに刺したよね?」
「うん!でもね!なくなっちゃったの!」
「いやいや。そもそもまだ下駄箱にすら行ってないよね?なんで無くなってるのが分かるの!エスパーなの?」
「む~……いいの!ないったらないの!なくなっちゃったから、いえまでゆぅくんとあいあいがさするの!」
「…………」
ジト~と目を半眼にしている俺に対し、頬を膨らませ、ブスッとした顔を向ける佳子ちゃん。
なるほど、君の魂胆はよく分かった。
そして恐らく要らない入れ知恵をしたであろう自分の母親の悪い顔が脳裏に浮かぶ。
「なんか朝の時、二人でこそこそ内緒話してると思ったんだよな……」
「あいあいがさ!あいあいがさ!」
「はぁ……わかったよ。でも俺のカサは小さいから少し濡れるよ?」
「だいじょーぶ!ゆぅママからゆぅパパのカサをもらってロッカーにいれてあるから!」
「おい佳子ちゃん!それを今言ったら相合傘しなくて良くなるよね?!」
「ん?……え?……なんで?」
ん~?と人差し指を口に当てながら首を撚る佳子ちゃん。仕草が大変愛らしい。
(なんで?じゃないよ!この場にカサ二本あるじゃんよ!この天然おバカさんめ!)
「いや、何でもないよ……ほら、行こう。雫ちゃんも帰るよ~」
「はっ!はい!わたわた……わたしゅもきゃしゃに!」
「ああ。カサ大きいから大丈夫だよ。三人で一緒に帰ろ?」
「はいッ!」
俺は下駄箱で佳子ちゃんからカサを受け取り、それをバサリと開く。
大きなカサは俺達三人が入っても大丈夫な程の広さがあった。
「えへへ!うふふ!」
「ゆーやさまぁ……」
二人は俺を挟んで左側に佳子ちゃん。右側に雫ちゃんと分かれて二人は仲良く俺の身体に身を寄せ合っている。
「二人とも濡れてない?」
「うん!」
「はい!」
「あっ!ゆぅくん!もっとゆっくりあるいて!」
「ん?速かった?」
「うん!もっとゆっくりがいい!ねっ?しずくちゃん」
「そそそうですね!もっとゆゆゆゆっきゅりがいいでしゅ!」
俺は普段と変わらないペースで歩いていたと思ったのだが、気が付かない内に早足になっていたのだろう。
俺は二人の要望通りにゆっくりと亀のような遅さで牛歩のように歩み進める。
「って!めちゃくちゃ遅いよ!駅まで何分かかるのこれ!」
「きにしちゃだめだよ!」
「そうです!あめのひはあぶないからいそがないってさねまつもいってました!」
「それ!車の話だよね?!俺達今徒歩だから!そして今の俺達はナメクジみたいな速度だから!」
「「いいのっ!」」
俺の魂の叫びは二人の珍しくキッ!と睨むような視線に負けて、俺は渋々といった感じで駅までの道をノロノロと進んでいく。
すれ違う高学年の方々、特に男子の方の反応は顕著で
「リア充が……」
「チッ!爆発しろ!」
「エロイムエッサイムエロイムエッサイム」
っておい!最後の奴!何唱えてんだよ!悪魔くんが来ちゃうだろ!
一方お姉様方のほうは、微笑ましい物を見るような慈愛の視線を向ける方と、俺に向けて殺気を放つ方と、佳子雫ペアに呪詛を唱える方の三組に別れていた。
だから最後の呪詛やめろや!どっかのビデオから髪の毛長くて白い人がきっとクルぞ!
俺は心の中でかなりの人数に突っ込みを入れながら、淡々と駅までの道のりを消化したのだった。
ジメジメとした日々、ザーザーと降る雨に憂鬱な気持ちで毎日学校に通っている。
そんな学校から帰る時、下駄箱に向かう俺に向かって、まるでラクビーのタックルのようなパワフルさで俺の身体に突撃を入れる幼女がいた。言わずと知れた佳子ちゃんである。
「ゆぅくん!ゆぅくん!」
「なに?そんなに慌ててどうしたの?」
「わたしね!きょうね!カサなくしちゃったの!」
「佳子ちゃん……カサって、今朝登校した時に下駄箱のクラス別傘立てに刺したよね?」
「うん!でもね!なくなっちゃったの!」
「いやいや。そもそもまだ下駄箱にすら行ってないよね?なんで無くなってるのが分かるの!エスパーなの?」
「む~……いいの!ないったらないの!なくなっちゃったから、いえまでゆぅくんとあいあいがさするの!」
「…………」
ジト~と目を半眼にしている俺に対し、頬を膨らませ、ブスッとした顔を向ける佳子ちゃん。
なるほど、君の魂胆はよく分かった。
そして恐らく要らない入れ知恵をしたであろう自分の母親の悪い顔が脳裏に浮かぶ。
「なんか朝の時、二人でこそこそ内緒話してると思ったんだよな……」
「あいあいがさ!あいあいがさ!」
「はぁ……わかったよ。でも俺のカサは小さいから少し濡れるよ?」
「だいじょーぶ!ゆぅママからゆぅパパのカサをもらってロッカーにいれてあるから!」
「おい佳子ちゃん!それを今言ったら相合傘しなくて良くなるよね?!」
「ん?……え?……なんで?」
ん~?と人差し指を口に当てながら首を撚る佳子ちゃん。仕草が大変愛らしい。
(なんで?じゃないよ!この場にカサ二本あるじゃんよ!この天然おバカさんめ!)
「いや、何でもないよ……ほら、行こう。雫ちゃんも帰るよ~」
「はっ!はい!わたわた……わたしゅもきゃしゃに!」
「ああ。カサ大きいから大丈夫だよ。三人で一緒に帰ろ?」
「はいッ!」
俺は下駄箱で佳子ちゃんからカサを受け取り、それをバサリと開く。
大きなカサは俺達三人が入っても大丈夫な程の広さがあった。
「えへへ!うふふ!」
「ゆーやさまぁ……」
二人は俺を挟んで左側に佳子ちゃん。右側に雫ちゃんと分かれて二人は仲良く俺の身体に身を寄せ合っている。
「二人とも濡れてない?」
「うん!」
「はい!」
「あっ!ゆぅくん!もっとゆっくりあるいて!」
「ん?速かった?」
「うん!もっとゆっくりがいい!ねっ?しずくちゃん」
「そそそうですね!もっとゆゆゆゆっきゅりがいいでしゅ!」
俺は普段と変わらないペースで歩いていたと思ったのだが、気が付かない内に早足になっていたのだろう。
俺は二人の要望通りにゆっくりと亀のような遅さで牛歩のように歩み進める。
「って!めちゃくちゃ遅いよ!駅まで何分かかるのこれ!」
「きにしちゃだめだよ!」
「そうです!あめのひはあぶないからいそがないってさねまつもいってました!」
「それ!車の話だよね?!俺達今徒歩だから!そして今の俺達はナメクジみたいな速度だから!」
「「いいのっ!」」
俺の魂の叫びは二人の珍しくキッ!と睨むような視線に負けて、俺は渋々といった感じで駅までの道をノロノロと進んでいく。
すれ違う高学年の方々、特に男子の方の反応は顕著で
「リア充が……」
「チッ!爆発しろ!」
「エロイムエッサイムエロイムエッサイム」
っておい!最後の奴!何唱えてんだよ!悪魔くんが来ちゃうだろ!
一方お姉様方のほうは、微笑ましい物を見るような慈愛の視線を向ける方と、俺に向けて殺気を放つ方と、佳子雫ペアに呪詛を唱える方の三組に別れていた。
だから最後の呪詛やめろや!どっかのビデオから髪の毛長くて白い人がきっとクルぞ!
俺は心の中でかなりの人数に突っ込みを入れながら、淡々と駅までの道のりを消化したのだった。
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