虐げられてた侯爵令嬢は隣国の皇太子殿下の初恋の相手でした

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時は流れ、エマは12歳、アリスは10歳になっていた。

アリスは小さい頃からピアノの才能があるとされていたが、さらにピアノの才能が開花し、今では神童の様な扱いを受けていた。
アリスがピアノを弾くと、まるで周りに花畑が広がるかの様な華やかさと、もっと聴いていたいと思わせる不思議な魅力があった。

エマはそんなアリスがとても誇らしく自慢の妹であった。

そんなアリスにも大きな転機が訪れる。

王宮で開かれる皇太子殿下の10歳の誕生日パーティーで、同年齢のアリスにぜひピアノを披露してほしいと招待があったのだ。

マーティ家は家族で招待されたため、エマも初めて大きなパーティーに参加することになった。

帝国では14歳からパーティーに参加するのが通例のため、幼い2人が招待されるのは異例なことであった。

エマは初めてのパーティに緊張しながらも、ドレスを着てパーティに参加することは大人の仲間入りをした様な気持ちになり、とても楽しみにしていた。

今日はパーティーの衣装を決めるために、ドレス店がマーティ家に訪れていた。

「お姉様はきっとブルーのドレスが似合いますわ！
美しいシルバーヘアーと、綺麗なお顔を引き立ててくれると思います！」

「ありがとうアリス！
でも私なんかより、ピアノを披露するアリスのドレスの方が重要よ！
アリスは綺麗なゴールドヘアーと、可愛いお顔だからピンクのドレスがきっと似合うわ！
みんなアリスからめがはなせなくなるわよ！」

少し大人び、美しく育ったエマと、可愛らしいお顔のアリスが2人並んでドレスを選ぶ様子はとても絵になり、マーティ家の使用人たちは、パーティーで2人が注目の的になることは避けられないだろうと心配しつつも、仲の良い姉妹2人をほほえましくみつめていた。

「でもお姉様、私実は少し不安なのです。
初めてのパーティで、しかも多くの方の前でピアノを披露するのも初めてなので、失敗してしまうのではないかと怖いのです。」

「アリス、あなたならきっと大丈夫よ！
あなたの演奏が素敵なのはあなたの1番のファンの私が保証するわ！」

エマはアリスがピアノを一生懸命練習していて、誰よりも彼女に才能があることを知っていた。
そのためエマの不安が少しでも減る様に毎日アリスのことを励まし続けた。