虐げられてた侯爵令嬢は隣国の皇太子殿下の初恋の相手でした

きりん

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皇太子殿下のパーティー当日、思わず見惚れてしまうほど美しい小さな姉妹がドレスに着飾り、緊張気味にパーティー会場に現れた。

もともと社交界の華として有名なマーティ侯爵家だけあって、参加者からの注目も大きく、また今回は皇帝陛下直々にピアノの披露を依頼されたアリスも大きな注目を浴びていた。

エマはドレスやタキシードで着飾った人々が集まり、賑やかな雰囲気に少し圧倒され、自分たちが注目を浴びていることに気づかずいた。

皇帝騎士団の1人が大きな声で告げる。

「皇帝陛下、皇后陛下、リアム皇太子殿下のご入場です!」

すると、貴族たちは一斉に静かになり、そちらに注目する。

「みな、本日は息子リアムの10歳の誕生日パーティーによく参加してくれた。
ぜひ楽しんでいってほしい。」

皇帝陛下の挨拶のもと豪華なパーティーが始まった。

そしていよいよアリスのピアノ披露の時間になった。
少し緊張した面持ちの妹をエマは祈るような気持ちで見守っていた。

アリスのピアノの音が鳴り響くと、周りは興奮と静寂の交わる異様な雰囲気に包まれる。

10歳の少女の演奏に、耳の肥えているはずの貴族たちが夢中になる。その様子はアリスが神童たる所以をみなに見せつけているようでもあった。

演奏が終わると、アリスは見惚れるような可愛らしい笑顔でお辞儀した。
エマは大きな拍手で包まれるアリスを嬉しそうに見つめていた。

それからアリスと両親は貴族に囲まれ、対応で忙しそうであったため、エマは少し離れたところでパーティー会場を観察していた。

すると、リアム皇太子殿下がやや興奮気味に皇帝陛下夫妻に何か告げ、2人も嬉しそうに頷いているのが見えた。

そしてそのまま、皇帝陛下とリアム皇太子殿下がアリスと両親に近づきみんなの前でアリスを褒める。

「マーティ侯爵令嬢、実に素晴らしい演奏だった。」
「アリス嬢、本当に素敵な演奏だったよ!もしよければ今度直接お礼をしたいんだけど、お城に遊びに来ない?」

皇太子殿下はまだ正式な婚約者がおらず、直接王宮に誘われることは、婚約者候補に誘われることと同異議だった。

そんな政治的なことを知らないエマは、
金髪で優しそうな顔のリアム皇太子殿下と、可愛く才能溢れるアリスが童話に出てくるような王子様とお姫様みたいで素敵だと、少し離れたところから見つめていたのだった。
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