12 / 18
12
しおりを挟む
「あ、そうそう、ブルータス君はこれを着けておいてください」
「くーん?」
「首輪ですか」
ヨハンが差し出してきたのはタグの付いた首輪だった。
「ええ。登録された従魔に着ける認識票です」
「あの、ブルータスは俺の従魔という訳ではないのですけど」
「きゃん!」
成り行き上、俺がブルータスの面倒をみてはいるが、俺とブルータスの関係は従魔とその主人という訳ではない。上下関係は無いに等しいのだ。
ブルータスも俺の従魔扱いされるのは不本意なのか怒りの表情を見せているし。
「あなた方の関係はどうでもいいのですよ。ブルータス君はこれからも街に出入りするのですよね?」
「きゃん!」
「するようです」
ブルータスは人間の食べ物に興味津々だし、街には食べ物をくれる人たちが大勢いるのだ。出入りを止める訳がない。
「でしたらこの認識票が必須になります。基本的に街への自由な出入りが許される魔物はこれを着けている登録された従魔だけ。登録されていない魔物が街に出入りしていると討伐対象になるのですよ。これまではブルータス君が魔物であると知られていなかったので見過ごされてきましたが、これから先は見過ごされることはないということです。これから先、街に出入りしないのであれば登録する必要はないのですけど。従魔として登録して街に出入りするか、従魔として登録せずに街への出入りを諦めるか、どちらにします?登録せずに街に出入りして毛皮になるという選択肢もありますけど」
「・・・」
「・・・」
毛皮になる選択肢だけはないだろうな。ブルータスはそこまで馬鹿じゃない。
登録して街に出入りするか、街への出入りを諦めるかの二択になるだろう。
要は食べ物か、プライドかって話だ。
「従魔として登録しても、登録された主人に従わないといけない訳ではないですよ。この認識票にも魔物を従属させる力なんて無いですし」
「・・・・・・くーん」
「ん?どうした?登録するのか?」
「きゃん」
ヨハンの説明でブルータスも認識票を着ける気になったようだ。
『従魔』として登録されるといっても、実態まで『従魔』となる必要は無いようだし。
俺はヨハンから認識票を受け取ると、ブルータスに確認させてから、その首に装着した。
「これでいいかな。きつくはないか?」
「きゃん」
認識票を着けたところで、その首輪の締め具合をブルータスに確認する。
どうやら問題無いようだ。
「!・・・」
「・・・」
ブルータスが一鳴きした後、急に消えたと思ったら首に噛み付いてきやがった。
本当に従属させられていないか確認したかったのだろう。
まあ、見ての通り何のペナルティーも無く俺の命を狙えるのだから従属なんてしてないわな。
「レイジ君!」
「・・・はい、何でしょうか?」
「!くーん」
俺は首からブルータスを引き剥がしてデコピンを食らわせると、ヨハンの方に向き直った。
命を狙った現行犯にはお仕置きしておかないとね。
「あ、え、何ともないのですか?」
「はい。何ともないですよ」
「首に噛み付かれていましたよね?」
「そうですね」
「子供とはいえ、ブルータス君は高位の魔物なんですけど・・・」
「俺、体は丈夫なので」
「丈夫で済む話じゃないのですけどね。普通は死んでもおかしくないので」
「ははは」
まあ、普通の人ならゴブリンの首を噛み千切るブルータスに首に噛み付かれたら重傷は確実で、治癒魔法などのすぐに回復出来る手段がなければ死ぬだろう。
神様の加護が防御力にふんだんに注ぎ込まれたこのチートボディーでなければ無傷でいられるはずがなかった。
「レイジ君はブルータス君のこのような行為を容認しているのですか?」
「うーん、現行犯で見掛けた時はお仕置きしようと思いますけど・・・」
うーん、お仕置きはするけど、やめさせようとまで思ってないから容認していると言えるかな。
「お仕置きで済ませる程度なのですか?」
「そうですね。他の人に対して行わないのであれば」
「そうですか。他の人間に危害を加えているところを見たことはありますか?」
「うーん、今のところライザさんの指を噛んだ時だけですね」
ブルータスに出会ってから今までを思い返してみるけど、ブルータスが俺以外の人間に危害を加えたのは無理矢理利用しようとしたライザにだけだ。
基本的にブルータスは周りの人たちから可愛がられているし、可愛がってくれる人たちには尻尾を振って懐いている。危害を加えることなど無い。
それ以外のただの通行人のような人たちにも危害を加えることは一切無かった。
「そうですか。それならこれからも問題無さそうですね。ブルータス君を人間に危害を加える魔物として討伐対象に認定するのはやめておきましょう。狙われているのはレイジ君だけのようですし」
「俺が狙われるのは構わないのですか?」
「はい。あなた自身それを容認しているのでしょう?それに、首に噛み付かれても無傷な異常な体をしている人間を気に掛ける必要がありますか?必要無いですよね」
「・・・そうですね」
いや、まあ、神様から貰ったチートボディーだし、命の心配は無いと言っていいけどさ。
だけど、異常な体とか、気に掛ける必要が無いとか言われるのは人間扱いされてないようでちょっと凹む。
魔法や呪いなどへの耐性はチート化したけど、メンタルは元の俺のままだからね。
「ですから、ブルータス君、レイジ君に攻撃するのは不問にしましょう。ただし、先程のように首に噛み付いたり、危害を加えるのは人前ではやらないように。周囲の人たちがパニックを起こしかねないですからね。通報してくる人間もいるでしょうし」
「きゃん」
「それと、今日竜巻を見ましたけど、あれはあなたの魔法ですね。ああいった大規模な魔法は周囲に被害が出るので、命の危険がない限り許可なく使わないでください。勝手に使うようなら街への出入りを取り消しますし、討伐対象にもなるでしょう」
「・・・くーん」
ヨハンからの注意にブルータスも項垂れている。
やはり魔物が街に出入りしようとすると何らかの制約を課せられるのは仕方ないか。
でもまあ、それ以外は今まで通りでいいということだからよかったよな。
ヨハンとの話を終えた俺たちは今日の報酬を貰いに受付へと戻る。
その時にブルータスの首に掛かっている認識票でブルータスが魔物であると知れ渡ったけど、態度を変える人は皆無と言っていいくらいいなかった。
お蔭でブルータスは今日も多くの人から食べ物を貰えてご機嫌であった。
「ブルータス行くぞ」
「くーん」
報酬を受け取って、散髪屋の場所を聞いてからブルータスに声を掛ける。
まだ貰ったご飯を食べている途中だったブルータスは不満気に振り向いた。
「まだ帰らなくてもいいだろ」
「そうそう。まだ食べてる途中なんだからよ」
「もっとゆっくりしていけ」
俺がブルータスに掛けた声を聞いたアルド、ザウバ、ゲランの三人はすぐさま俺たちを引き留めようとする。
彼らはブルータスに食べ物を与えていたところで、もっとブルータスに構いたいのだろう。
「今日も用事があるので」
「用事って何だよ?」
「えっと、散髪屋に行きたいのですけど」
「切る程伸びてねえだろ」
「そうだ。髪なんか鬱陶しくなるくらい伸びてから切ったので十分だ」
「切らずに紐で縛るのでいいじゃないか」
「そうだそうだ」
「無駄に金を使うことはねえぞ」
今日も既に酒を飲んで酔っ払っている三人だけに、ぱっつりと切れた俺の後ろ髪には気付いてないようだ。
「えーと、伸びてはないのですけど、後ろが変に切れてしまっているので・・・」
手で触っただけなのでどんな状態なのかはっきりと分かっている訳じゃないけど、今の後ろ髪の状態はあまり他人に知られたくはない。
出来れば理由を告げずに散髪屋に行きたいところだが、黙って行こうとすると余計に絡まれそうだからな。
「後ろが切れてるだあ?」
「ほんとか?」
「どれだけ切れてんだ?」
「えーと、その・・・」
あー、やっぱり絡まれるのか。
髪が切れている所はマジで見られたくないんだけど。
「あ、ほんとだ。ここから段になってる」
「!」
不意に後ろから髪が切れている所を触られてビクッとなった。
触ってきたのは声からしてウェイトレスのお姉さんだ。
「どれどれ、あ、ほんと。ここからくっきり段になってるね」
「ふふふ、ちょっと面白い」
「あの、やめてほしいのですけど・・・」
ウェイトレスのお姉さんたちが寄って集って髪が切れている所を弄り回す。
ただでさえ、不自然に段になっている所を見られて恥ずかしいのに、そこを弄り回されるのは尚のこと恥ずかしかった。
「あ、照れてる」
「可愛い」
ウェイトレスのお姉さんたちはそう言ってクスクス笑ってる。
やめてください。マジで恥ずかしいです。
「それにしても、髪サラサラね」
「うん。羨ましいくらいだわ。何かしてるの?」
「いえ、普通に石鹸で洗うだけですけど」
「えー、それでこんなにサラサラなの?羨ましい」
「だよねー」
ウェイトレスのお姉さんたちは談笑しながら俺の髪をずっと弄り続けている。
多少この状況に慣れてきたとはいえ、恥ずかしいのは変わらない。
でも、自分からこの状況を抜け出したいとは思わなかった。
ウェイトレスのお姉さんたちはいい匂いがするし、たまにお姉さんたちの胸が俺の腕や背中などに当たるなんて嬉しいこともあるからね!
「おーい、注文頼む」
そんな時、テーブルから注文の為の声が掛かった。
これでウェイトレスのお姉さんたちも俺の髪を弄るのもこれで終わりかなと思ったけど、そうはならなかった。
ウェイトレスのお姉さんたちの中から一人が抜け出して注文を処理すると、俺たちの所に戻ってきてまた俺の髪を弄りだすのだ。
「あ、そうだ。髪気になるなら私が切ってあげようか?」
「あ、いいね。私も切りたい」
「わたしもわたしも」
「じゃあ、みんなで切ろっか」
「さんせー。何処でする?」
「邪魔になるから端の方がいいよね」
そうして、俺の髪を弄り回していた流れで俺の髪を切ろうかって話が出てきた。
申し出自体は嬉しいのだけど、流石にそこまでお世話になる訳にはいかない。
「あの、それは遠慮します。みなさんお仕事中だし。髪は散髪屋で切りますから」
ウェイトレスのお姉さんたちは仕事中で、これからどんどん忙しくなっていく時間帯である。
そんな最中にお姉さんたちに俺の髪を切ってもらう訳にはいかない。
「大丈夫大丈夫。交代でするから問題無い」
「そうそう、まだ混み合うまでに時間あるし、注文を捌くのなんて楽勝だもの」
確かに、今の時間帯はまだそこまで混み合っていないので俺の髪を切りながらも注文を捌くことは出来るだろう。
髪を切るのも段が出来ている後ろを整えてもらえばいいだけなのでそれ程時間も掛からないだろうし。
だけど、やはりそこまでお世話になる訳にはいかない。
「いえ、それでもお世話になる訳にはいきません。髪は散髪屋で切ります」
髪を切るのはウェイトレスであるお姉さんたちの仕事じゃないし、俺の髪を切ることでお姉さんたちが他の冒険者からも髪を切るように要求される可能性もある。
頷く訳にはいかなかった。
「えー、ここで切ろうよ。大した手間じゃないし遠慮しないで」
「そうそう。それに、ブルータス君もまだ食事中でしょ。もっとゆっくりしていけばいいよ」
あ、そうだ。ウェイトレスのお姉さんたちもブルータスのことがお気に入りな人たちだった。
ブルータスに構う時間を作る為に俺を引き留める意味でも髪を切ってくれようとしてるのか。
そんな風に考えていたところへ声を掛けてくる者が現れた。
「あんたらは仕事があるだろ。兄ちゃんの髪なら俺たちが切ってやるよ」
「そうそう、毎日刃物を弄ってる俺たちの方が上手く切れるって」
そう言って声を掛けてきたのは話したことの無い冒険者たちだった。
その者たちはみなうっすらと笑みを浮かべている。
だけど、その顔は友好的なものには思えなかった。
多分、ウェイトレスのお姉さんたちが俺に構いっぱなしなのが気に入らないのだと思う。
イケメン死すべしって感じのオーラが溢れ出ているし。
「いえ、髪は散髪屋で切りますから」
どう考えてもこの冒険者たちに任せるとろくなことにならないと思う。
わざと髪の毛を変に切ったりとか、体に斬り付けてきたりとか。
体は幾ら斬り付けられても大丈夫だろうから、髪の毛を変に切られる方がまずいのだけど。
「遠慮するなよ兄ちゃん」
「そうだぜ。俺たちがご機嫌な髪型にしてやるよ」
「あんたの髪を切りたい奴は大勢いるからな」
その言葉通り、俺の周りに冒険者たちが次々にやって来る。
厳つい顔したベテランから、まだ幼さの残る顔の新人まで、集まってきた者たちはみな憎悪のオーラを纏ってた。
あれ?俺って想像以上に嫌われている?
ここ最近ブルータスを連れ歩くようになって睨まれたり、舌打ちされたりすることがあったけど、まさかここまでの人に嫌われているとは思ってもみなかった。
「いえ、結構です。散髪屋に行きますから。じゃあ、俺はこれで」
俺のことが気に入らない人が増える中、この場に居残ってもいいことはないだろう。
俺はすぐにこの場を離れることにした。
「待って。もう少しゆっくりしていこ。ね」
「そうだよー。慌てなくても散髪屋閉まったりしないから」
そんな俺をウェイトレスのお姉さんたちが腕を絡めて引き留める。
勿論、お姉さんたちの胸が当たる腕は天国だよ。
あ、オーラが倍増した。
俺の周りに集まっていた冒険者たちの憎悪のオーラが、はっきりと知覚出来るくらいに倍増する。
彼らは顔に怒りの表情を浮かべ、合唱でもするように次々と舌打ちを鳴らしていく。
「えーと、放してほしいのですけど・・・」
「だーめ」
「放すと出て行っちゃうもの」
周りの状況を考えると放してもらった方がいいのだろうけど、このまま胸の柔らかさを堪能していたいという思いも確かに存在している。
そんな俺は立ち尽くしたままウェイトレスのお姉さんたちに要望を伝えるにとどまっていた。
無理矢理振り解くなんて非道は出来る訳がない。
「そうだそうだ。お前はいつもすぐに出て行こうとし過ぎる」
「もっとゆっくりしていくべきなんだ」
「奢ってやるから飲んでいけ」
そんな俺の元へ、アルド、ザウバ、ゲランの酔っ払い三人組までやって来る。
ウェイトレスのお姉さんたちに引き留められるのは役得があるからいいのだけど、酒臭いおっさんに捕まってもいいことなど何も無い。
俺は三人組が近くまでやって来た理由を探した。
すると、足元に口をモグモグさせているブルータスがいた。
俺がマジで帰ろうとしていたので慌てて食べ物を口に入れるだけ入れてやって来たようだ。
「ブルータス、お前は暫くここにいろ。な」
ブルータスさえここに残っていれば俺は解放されるだろう。
俺はそう思ってブルータスに残るように告げたのだが、ブルータスは首を横に振って拒否してきた。
やはりブルータスは俺から離れることを嫌がるようだ。
勿論、その理由は俺に懐いているからじゃない。
俺の命を狙う上で、俺の隙を見逃したくないからだった。
「ちょっと放してもらえますか?」
そうウェイトレスのお姉さんたちに告げると、今度は放してもらえた。
俺がブルータスに言い聞かせようとしているのが伝わったのだろう。
大勢の人間が側にいる状況。
俺とブルータスの実際の関係は知られない方がいいから、言葉を連ねてブルータスを説得することは出来ない。
俺はしゃがむと、小声でブルータスに一言だけ伝える。
「あのなブルータス、寝ている時以上に無防備なことなんて無いからな」
「・・・!」
これなら聞かれていたとしてもブルータス以外には訳が分からないだろう。
まあ、聞こえている様子も無さそうだけど。
ブルータスは寝ている時という俺の命を狙う最高の機会に襲撃していても俺を傷付けられないのだ。他の機会を少々見逃したとしても結果は変わらない。
それなら、常に俺に付き纏うよりも、ここで食べ物貰ってちやほやされている方がいいんじゃないか?
俺は言外にそう言いたい訳だ。
どうやらブルータスにもこちらの意図は伝わったらしい。ブルータスは目から鱗が落ちたかのように目を見開いていた。
俺は立ち上がると普通の声で話し掛ける。
「だから、少しくらい離れても問題無いだろ。大人しくここで待ってろ。散髪終わったら迎えに来るから」
「・・・」
まだ口をモグモグしているブルータスは頷くと、振り返って小走りで食べ物の所へと戻っていった。
その後を追うように、酔っ払い三人組が元の席へと戻っていく。
ウェイトレスのお姉さんたちの視線もブルータスの方に向いている。
俺は自由に動けるこの瞬間を逃さないように冒険者ギルドを後にした。
「ふー、誰も追って来てはいないみたいだ」
冒険者ギルドで向けられていたヘイトを考えると誰かが襲撃してくるのではと思っていたけど、それは無さそうだ。
俺を追い出すことが出来ればそれでよかったのかも。
「それにしても、あそこまで嫌われているとはな」
冒険者ギルドでは男性冒険者の大半から憎悪の視線を向けられた。
まあ、一人だけ女性たちからちやほやされていたら憎まれもするか。
俺も立場が逆だったらそうしていたかもしれないし。
「はあ、これから先、気を付けないといけないのかな・・・」
あの嫌われ具合、もう陰口とかってレベルじゃない。
これから先、絡まれたり、何らかの嫌がらせが行われたりする気がする。
彼らに遭遇しないようにしようにも、生活していく為にはギルドに出入りする必要があるので、俺のことを疎ましく思っている誰かには必ず会うと思う。
だからといって、彼らに絡まれないようにウェイトレスのお姉さんたちなどから無理矢理距離を置くというのも違う気がするし。
「まあ、なるようにしかならないんだろうな」
もう彼らに絡まれるのは確実だと考えておこう。
まあ、たとえ絡まれても殴られたり蹴られたりするのだったら問題無い。このチートボディーが余裕で受け止める。
鬱陶しくなるまでは反撃しなくていいかもな。
でも、エスカレートして武器や魔法を使い出したら問題だ。
体は大丈夫でも髪の毛や装備品が傷付くから。
特に装備品は傷付くと修理や買い換えの費用が掛かるし。
「髪の毛なんかは最悪伸びるのを待てばいいけど、装備品が傷付けば確実に財布にダメージがあるからな。相手が武器や魔法を使い出したらちゃんと戦おう。『装備大事に』で」
はっきり言って、防具より生身の体の方が丈夫なのだ。
『命』は大事にするけど、『体』はそこまで大事にしなくていいと思う。
だったら、俺の戦う時の方針は『装備大事に』でいい。
「まあ、今はその方針に則った戦い方は無理だから練習しないとな」
俺は新たな目標を胸に散髪屋に行くのだった。
「くーん?」
「首輪ですか」
ヨハンが差し出してきたのはタグの付いた首輪だった。
「ええ。登録された従魔に着ける認識票です」
「あの、ブルータスは俺の従魔という訳ではないのですけど」
「きゃん!」
成り行き上、俺がブルータスの面倒をみてはいるが、俺とブルータスの関係は従魔とその主人という訳ではない。上下関係は無いに等しいのだ。
ブルータスも俺の従魔扱いされるのは不本意なのか怒りの表情を見せているし。
「あなた方の関係はどうでもいいのですよ。ブルータス君はこれからも街に出入りするのですよね?」
「きゃん!」
「するようです」
ブルータスは人間の食べ物に興味津々だし、街には食べ物をくれる人たちが大勢いるのだ。出入りを止める訳がない。
「でしたらこの認識票が必須になります。基本的に街への自由な出入りが許される魔物はこれを着けている登録された従魔だけ。登録されていない魔物が街に出入りしていると討伐対象になるのですよ。これまではブルータス君が魔物であると知られていなかったので見過ごされてきましたが、これから先は見過ごされることはないということです。これから先、街に出入りしないのであれば登録する必要はないのですけど。従魔として登録して街に出入りするか、従魔として登録せずに街への出入りを諦めるか、どちらにします?登録せずに街に出入りして毛皮になるという選択肢もありますけど」
「・・・」
「・・・」
毛皮になる選択肢だけはないだろうな。ブルータスはそこまで馬鹿じゃない。
登録して街に出入りするか、街への出入りを諦めるかの二択になるだろう。
要は食べ物か、プライドかって話だ。
「従魔として登録しても、登録された主人に従わないといけない訳ではないですよ。この認識票にも魔物を従属させる力なんて無いですし」
「・・・・・・くーん」
「ん?どうした?登録するのか?」
「きゃん」
ヨハンの説明でブルータスも認識票を着ける気になったようだ。
『従魔』として登録されるといっても、実態まで『従魔』となる必要は無いようだし。
俺はヨハンから認識票を受け取ると、ブルータスに確認させてから、その首に装着した。
「これでいいかな。きつくはないか?」
「きゃん」
認識票を着けたところで、その首輪の締め具合をブルータスに確認する。
どうやら問題無いようだ。
「!・・・」
「・・・」
ブルータスが一鳴きした後、急に消えたと思ったら首に噛み付いてきやがった。
本当に従属させられていないか確認したかったのだろう。
まあ、見ての通り何のペナルティーも無く俺の命を狙えるのだから従属なんてしてないわな。
「レイジ君!」
「・・・はい、何でしょうか?」
「!くーん」
俺は首からブルータスを引き剥がしてデコピンを食らわせると、ヨハンの方に向き直った。
命を狙った現行犯にはお仕置きしておかないとね。
「あ、え、何ともないのですか?」
「はい。何ともないですよ」
「首に噛み付かれていましたよね?」
「そうですね」
「子供とはいえ、ブルータス君は高位の魔物なんですけど・・・」
「俺、体は丈夫なので」
「丈夫で済む話じゃないのですけどね。普通は死んでもおかしくないので」
「ははは」
まあ、普通の人ならゴブリンの首を噛み千切るブルータスに首に噛み付かれたら重傷は確実で、治癒魔法などのすぐに回復出来る手段がなければ死ぬだろう。
神様の加護が防御力にふんだんに注ぎ込まれたこのチートボディーでなければ無傷でいられるはずがなかった。
「レイジ君はブルータス君のこのような行為を容認しているのですか?」
「うーん、現行犯で見掛けた時はお仕置きしようと思いますけど・・・」
うーん、お仕置きはするけど、やめさせようとまで思ってないから容認していると言えるかな。
「お仕置きで済ませる程度なのですか?」
「そうですね。他の人に対して行わないのであれば」
「そうですか。他の人間に危害を加えているところを見たことはありますか?」
「うーん、今のところライザさんの指を噛んだ時だけですね」
ブルータスに出会ってから今までを思い返してみるけど、ブルータスが俺以外の人間に危害を加えたのは無理矢理利用しようとしたライザにだけだ。
基本的にブルータスは周りの人たちから可愛がられているし、可愛がってくれる人たちには尻尾を振って懐いている。危害を加えることなど無い。
それ以外のただの通行人のような人たちにも危害を加えることは一切無かった。
「そうですか。それならこれからも問題無さそうですね。ブルータス君を人間に危害を加える魔物として討伐対象に認定するのはやめておきましょう。狙われているのはレイジ君だけのようですし」
「俺が狙われるのは構わないのですか?」
「はい。あなた自身それを容認しているのでしょう?それに、首に噛み付かれても無傷な異常な体をしている人間を気に掛ける必要がありますか?必要無いですよね」
「・・・そうですね」
いや、まあ、神様から貰ったチートボディーだし、命の心配は無いと言っていいけどさ。
だけど、異常な体とか、気に掛ける必要が無いとか言われるのは人間扱いされてないようでちょっと凹む。
魔法や呪いなどへの耐性はチート化したけど、メンタルは元の俺のままだからね。
「ですから、ブルータス君、レイジ君に攻撃するのは不問にしましょう。ただし、先程のように首に噛み付いたり、危害を加えるのは人前ではやらないように。周囲の人たちがパニックを起こしかねないですからね。通報してくる人間もいるでしょうし」
「きゃん」
「それと、今日竜巻を見ましたけど、あれはあなたの魔法ですね。ああいった大規模な魔法は周囲に被害が出るので、命の危険がない限り許可なく使わないでください。勝手に使うようなら街への出入りを取り消しますし、討伐対象にもなるでしょう」
「・・・くーん」
ヨハンからの注意にブルータスも項垂れている。
やはり魔物が街に出入りしようとすると何らかの制約を課せられるのは仕方ないか。
でもまあ、それ以外は今まで通りでいいということだからよかったよな。
ヨハンとの話を終えた俺たちは今日の報酬を貰いに受付へと戻る。
その時にブルータスの首に掛かっている認識票でブルータスが魔物であると知れ渡ったけど、態度を変える人は皆無と言っていいくらいいなかった。
お蔭でブルータスは今日も多くの人から食べ物を貰えてご機嫌であった。
「ブルータス行くぞ」
「くーん」
報酬を受け取って、散髪屋の場所を聞いてからブルータスに声を掛ける。
まだ貰ったご飯を食べている途中だったブルータスは不満気に振り向いた。
「まだ帰らなくてもいいだろ」
「そうそう。まだ食べてる途中なんだからよ」
「もっとゆっくりしていけ」
俺がブルータスに掛けた声を聞いたアルド、ザウバ、ゲランの三人はすぐさま俺たちを引き留めようとする。
彼らはブルータスに食べ物を与えていたところで、もっとブルータスに構いたいのだろう。
「今日も用事があるので」
「用事って何だよ?」
「えっと、散髪屋に行きたいのですけど」
「切る程伸びてねえだろ」
「そうだ。髪なんか鬱陶しくなるくらい伸びてから切ったので十分だ」
「切らずに紐で縛るのでいいじゃないか」
「そうだそうだ」
「無駄に金を使うことはねえぞ」
今日も既に酒を飲んで酔っ払っている三人だけに、ぱっつりと切れた俺の後ろ髪には気付いてないようだ。
「えーと、伸びてはないのですけど、後ろが変に切れてしまっているので・・・」
手で触っただけなのでどんな状態なのかはっきりと分かっている訳じゃないけど、今の後ろ髪の状態はあまり他人に知られたくはない。
出来れば理由を告げずに散髪屋に行きたいところだが、黙って行こうとすると余計に絡まれそうだからな。
「後ろが切れてるだあ?」
「ほんとか?」
「どれだけ切れてんだ?」
「えーと、その・・・」
あー、やっぱり絡まれるのか。
髪が切れている所はマジで見られたくないんだけど。
「あ、ほんとだ。ここから段になってる」
「!」
不意に後ろから髪が切れている所を触られてビクッとなった。
触ってきたのは声からしてウェイトレスのお姉さんだ。
「どれどれ、あ、ほんと。ここからくっきり段になってるね」
「ふふふ、ちょっと面白い」
「あの、やめてほしいのですけど・・・」
ウェイトレスのお姉さんたちが寄って集って髪が切れている所を弄り回す。
ただでさえ、不自然に段になっている所を見られて恥ずかしいのに、そこを弄り回されるのは尚のこと恥ずかしかった。
「あ、照れてる」
「可愛い」
ウェイトレスのお姉さんたちはそう言ってクスクス笑ってる。
やめてください。マジで恥ずかしいです。
「それにしても、髪サラサラね」
「うん。羨ましいくらいだわ。何かしてるの?」
「いえ、普通に石鹸で洗うだけですけど」
「えー、それでこんなにサラサラなの?羨ましい」
「だよねー」
ウェイトレスのお姉さんたちは談笑しながら俺の髪をずっと弄り続けている。
多少この状況に慣れてきたとはいえ、恥ずかしいのは変わらない。
でも、自分からこの状況を抜け出したいとは思わなかった。
ウェイトレスのお姉さんたちはいい匂いがするし、たまにお姉さんたちの胸が俺の腕や背中などに当たるなんて嬉しいこともあるからね!
「おーい、注文頼む」
そんな時、テーブルから注文の為の声が掛かった。
これでウェイトレスのお姉さんたちも俺の髪を弄るのもこれで終わりかなと思ったけど、そうはならなかった。
ウェイトレスのお姉さんたちの中から一人が抜け出して注文を処理すると、俺たちの所に戻ってきてまた俺の髪を弄りだすのだ。
「あ、そうだ。髪気になるなら私が切ってあげようか?」
「あ、いいね。私も切りたい」
「わたしもわたしも」
「じゃあ、みんなで切ろっか」
「さんせー。何処でする?」
「邪魔になるから端の方がいいよね」
そうして、俺の髪を弄り回していた流れで俺の髪を切ろうかって話が出てきた。
申し出自体は嬉しいのだけど、流石にそこまでお世話になる訳にはいかない。
「あの、それは遠慮します。みなさんお仕事中だし。髪は散髪屋で切りますから」
ウェイトレスのお姉さんたちは仕事中で、これからどんどん忙しくなっていく時間帯である。
そんな最中にお姉さんたちに俺の髪を切ってもらう訳にはいかない。
「大丈夫大丈夫。交代でするから問題無い」
「そうそう、まだ混み合うまでに時間あるし、注文を捌くのなんて楽勝だもの」
確かに、今の時間帯はまだそこまで混み合っていないので俺の髪を切りながらも注文を捌くことは出来るだろう。
髪を切るのも段が出来ている後ろを整えてもらえばいいだけなのでそれ程時間も掛からないだろうし。
だけど、やはりそこまでお世話になる訳にはいかない。
「いえ、それでもお世話になる訳にはいきません。髪は散髪屋で切ります」
髪を切るのはウェイトレスであるお姉さんたちの仕事じゃないし、俺の髪を切ることでお姉さんたちが他の冒険者からも髪を切るように要求される可能性もある。
頷く訳にはいかなかった。
「えー、ここで切ろうよ。大した手間じゃないし遠慮しないで」
「そうそう。それに、ブルータス君もまだ食事中でしょ。もっとゆっくりしていけばいいよ」
あ、そうだ。ウェイトレスのお姉さんたちもブルータスのことがお気に入りな人たちだった。
ブルータスに構う時間を作る為に俺を引き留める意味でも髪を切ってくれようとしてるのか。
そんな風に考えていたところへ声を掛けてくる者が現れた。
「あんたらは仕事があるだろ。兄ちゃんの髪なら俺たちが切ってやるよ」
「そうそう、毎日刃物を弄ってる俺たちの方が上手く切れるって」
そう言って声を掛けてきたのは話したことの無い冒険者たちだった。
その者たちはみなうっすらと笑みを浮かべている。
だけど、その顔は友好的なものには思えなかった。
多分、ウェイトレスのお姉さんたちが俺に構いっぱなしなのが気に入らないのだと思う。
イケメン死すべしって感じのオーラが溢れ出ているし。
「いえ、髪は散髪屋で切りますから」
どう考えてもこの冒険者たちに任せるとろくなことにならないと思う。
わざと髪の毛を変に切ったりとか、体に斬り付けてきたりとか。
体は幾ら斬り付けられても大丈夫だろうから、髪の毛を変に切られる方がまずいのだけど。
「遠慮するなよ兄ちゃん」
「そうだぜ。俺たちがご機嫌な髪型にしてやるよ」
「あんたの髪を切りたい奴は大勢いるからな」
その言葉通り、俺の周りに冒険者たちが次々にやって来る。
厳つい顔したベテランから、まだ幼さの残る顔の新人まで、集まってきた者たちはみな憎悪のオーラを纏ってた。
あれ?俺って想像以上に嫌われている?
ここ最近ブルータスを連れ歩くようになって睨まれたり、舌打ちされたりすることがあったけど、まさかここまでの人に嫌われているとは思ってもみなかった。
「いえ、結構です。散髪屋に行きますから。じゃあ、俺はこれで」
俺のことが気に入らない人が増える中、この場に居残ってもいいことはないだろう。
俺はすぐにこの場を離れることにした。
「待って。もう少しゆっくりしていこ。ね」
「そうだよー。慌てなくても散髪屋閉まったりしないから」
そんな俺をウェイトレスのお姉さんたちが腕を絡めて引き留める。
勿論、お姉さんたちの胸が当たる腕は天国だよ。
あ、オーラが倍増した。
俺の周りに集まっていた冒険者たちの憎悪のオーラが、はっきりと知覚出来るくらいに倍増する。
彼らは顔に怒りの表情を浮かべ、合唱でもするように次々と舌打ちを鳴らしていく。
「えーと、放してほしいのですけど・・・」
「だーめ」
「放すと出て行っちゃうもの」
周りの状況を考えると放してもらった方がいいのだろうけど、このまま胸の柔らかさを堪能していたいという思いも確かに存在している。
そんな俺は立ち尽くしたままウェイトレスのお姉さんたちに要望を伝えるにとどまっていた。
無理矢理振り解くなんて非道は出来る訳がない。
「そうだそうだ。お前はいつもすぐに出て行こうとし過ぎる」
「もっとゆっくりしていくべきなんだ」
「奢ってやるから飲んでいけ」
そんな俺の元へ、アルド、ザウバ、ゲランの酔っ払い三人組までやって来る。
ウェイトレスのお姉さんたちに引き留められるのは役得があるからいいのだけど、酒臭いおっさんに捕まってもいいことなど何も無い。
俺は三人組が近くまでやって来た理由を探した。
すると、足元に口をモグモグさせているブルータスがいた。
俺がマジで帰ろうとしていたので慌てて食べ物を口に入れるだけ入れてやって来たようだ。
「ブルータス、お前は暫くここにいろ。な」
ブルータスさえここに残っていれば俺は解放されるだろう。
俺はそう思ってブルータスに残るように告げたのだが、ブルータスは首を横に振って拒否してきた。
やはりブルータスは俺から離れることを嫌がるようだ。
勿論、その理由は俺に懐いているからじゃない。
俺の命を狙う上で、俺の隙を見逃したくないからだった。
「ちょっと放してもらえますか?」
そうウェイトレスのお姉さんたちに告げると、今度は放してもらえた。
俺がブルータスに言い聞かせようとしているのが伝わったのだろう。
大勢の人間が側にいる状況。
俺とブルータスの実際の関係は知られない方がいいから、言葉を連ねてブルータスを説得することは出来ない。
俺はしゃがむと、小声でブルータスに一言だけ伝える。
「あのなブルータス、寝ている時以上に無防備なことなんて無いからな」
「・・・!」
これなら聞かれていたとしてもブルータス以外には訳が分からないだろう。
まあ、聞こえている様子も無さそうだけど。
ブルータスは寝ている時という俺の命を狙う最高の機会に襲撃していても俺を傷付けられないのだ。他の機会を少々見逃したとしても結果は変わらない。
それなら、常に俺に付き纏うよりも、ここで食べ物貰ってちやほやされている方がいいんじゃないか?
俺は言外にそう言いたい訳だ。
どうやらブルータスにもこちらの意図は伝わったらしい。ブルータスは目から鱗が落ちたかのように目を見開いていた。
俺は立ち上がると普通の声で話し掛ける。
「だから、少しくらい離れても問題無いだろ。大人しくここで待ってろ。散髪終わったら迎えに来るから」
「・・・」
まだ口をモグモグしているブルータスは頷くと、振り返って小走りで食べ物の所へと戻っていった。
その後を追うように、酔っ払い三人組が元の席へと戻っていく。
ウェイトレスのお姉さんたちの視線もブルータスの方に向いている。
俺は自由に動けるこの瞬間を逃さないように冒険者ギルドを後にした。
「ふー、誰も追って来てはいないみたいだ」
冒険者ギルドで向けられていたヘイトを考えると誰かが襲撃してくるのではと思っていたけど、それは無さそうだ。
俺を追い出すことが出来ればそれでよかったのかも。
「それにしても、あそこまで嫌われているとはな」
冒険者ギルドでは男性冒険者の大半から憎悪の視線を向けられた。
まあ、一人だけ女性たちからちやほやされていたら憎まれもするか。
俺も立場が逆だったらそうしていたかもしれないし。
「はあ、これから先、気を付けないといけないのかな・・・」
あの嫌われ具合、もう陰口とかってレベルじゃない。
これから先、絡まれたり、何らかの嫌がらせが行われたりする気がする。
彼らに遭遇しないようにしようにも、生活していく為にはギルドに出入りする必要があるので、俺のことを疎ましく思っている誰かには必ず会うと思う。
だからといって、彼らに絡まれないようにウェイトレスのお姉さんたちなどから無理矢理距離を置くというのも違う気がするし。
「まあ、なるようにしかならないんだろうな」
もう彼らに絡まれるのは確実だと考えておこう。
まあ、たとえ絡まれても殴られたり蹴られたりするのだったら問題無い。このチートボディーが余裕で受け止める。
鬱陶しくなるまでは反撃しなくていいかもな。
でも、エスカレートして武器や魔法を使い出したら問題だ。
体は大丈夫でも髪の毛や装備品が傷付くから。
特に装備品は傷付くと修理や買い換えの費用が掛かるし。
「髪の毛なんかは最悪伸びるのを待てばいいけど、装備品が傷付けば確実に財布にダメージがあるからな。相手が武器や魔法を使い出したらちゃんと戦おう。『装備大事に』で」
はっきり言って、防具より生身の体の方が丈夫なのだ。
『命』は大事にするけど、『体』はそこまで大事にしなくていいと思う。
だったら、俺の戦う時の方針は『装備大事に』でいい。
「まあ、今はその方針に則った戦い方は無理だから練習しないとな」
俺は新たな目標を胸に散髪屋に行くのだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
6
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる